行政機関の「特別管理秘密」 9省庁 計90項目
経産省など「何が秘密かもヒミツ」
国の安全、外交などの利益に関わるなどとして国の行政機関が秘匿する「特別管理秘密」の件数が9省庁で計90項目にのぼることが19日、日本共産党の塩川鉄也衆院議員の調査で判明しました(表参照)。そのうち経済産業省など5省庁が「秘密」の題名すら明らかにしておらず、「秘密が何かも秘密」という隠ぺいぶり。民主党政権が狙う秘密保全法制が先取りされている危険な現状が浮かび上がってきます。
塩川衆院議員調査で判明
「秘密」の具体的項目を公表していない5省庁のなかでも、経産省は最多の21項目の「特別管理秘密」の公表を拒んでいます。
経産省の「秘密」には、国民が強く情報開示を求めている原発や環太平洋連携協定(TPP)に関するものが含まれている可能性があります。同省はこの間、東京電力福島第1原発事故をめぐる炉心溶融の情報など、国民の安全にかかわる問題で情報隠しの批判を受けました。
経産省は「秘密の具体名が出ると、どの部署が管理し、どんな秘密を保有しているのか類推されてしまい、漏えいのリスクが高まってしまう。特別管理秘密をもっているかどうかも機微な情報だ」と公表を拒んでいます。
国の行政機関は、「特別管理秘密」を2009年4月から実施していますが、これと一体に「秘密取扱者適格性確認制度」の運用を始めました。職員の人事記録や勤務評定などを調査し、その職員が秘密を扱うのに「適格」かどうか選別する制度です。
塩川議員が7月に衆院内閣委員会でおこなった質問では、09年以降、少なくとも5万3000人超の国家公務員に対して、本人に無断で調査したことが判明しました。
「特別管理秘密」が90項目存在し、その一部は項目すら明確にされていない―。国民には、何も知らされないまま、行政機関の都合で情報が隠され、関係者には人権無視の身辺調査が行われていることになります。
「秘密保全法制」では、現行の国家公務員の人権侵害だけでなく、民間人や地方公務員までプライバシー調査の対象を拡大。こうした一連の秘密保全体制が、国民の知る権利を侵害するだけでなく、人権侵害をともなうものであることは明らかです。
保全法を先取り
情報公開骨抜きに
秘密保全法制に詳しい田島泰彦上智大学教授の話 「特別管理秘密」と、これを扱う人を選別する「適格性確認制度」の運用はすでに始まっています。
秘密保全法制に関する有識者会議では、「特別秘密」と「適性評価制度」を同法制の骨格として示しました。現行の「特別管理秘密」と、重なる部分が大きいと思われます。
そう考えると、法律の制定に先行して、特別秘密を保護する具体的な体制が敷かれているといえます。
現状でも「適格性確認」で国家公務員は、選別されています。内部告発を強く抑制し、プライバシーを侵害して思想信条を理由に排除できる仕掛けであり、重大な問題です。
行政機関がどんな秘密を持つのかも秘密にすることは、国民の知る権利、情報公開の理念を骨抜きにする事態が進行しているといえ、許されません。
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