森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「この世界の片隅に」を観てきました。

2017-03-02 12:28:19 | 映画

いつも行っている映画館では上映しないのかと残念に思っていたら、口コミでこの作品の良さが評判になり上映館が増えて、いつも行っている映画館でも上映してくれるようになって助かりました。

 

「評判通り」と書くと、なんとなく悔しいので、自分の言葉で言うと…と、自分の言葉で言っても、

「この作品を見ると、どうしても人に優しくしようと思えてくるし、当たり前のように続く普通の日常を、本当に大切にしようと思うのでした。」と、

たぶん多くの人が呟いたり書いたりおっしゃっている事と同じ感想なのだと思います。

 

だけどそのみんなが思っただろうその感想を、本当に強く強く思いました。

静かに続いていた日常。

絶対に手放したくない、そして手放してはいけない普通の毎日。

 

もしも闘う運命がこの先にあるのなら、罪のない他国の若者の命を奪い自分の息子や娘たちの命を奪う戦いなどではなくて、数の論理で物事を決めようとする偽物のやつらと闘いたいと私は思います。

 

またのんさんのすずさんの声はぴったりで、その語りも素晴らしかったです。こちらも「評判通り」と言う所ですね。

 

ところで姉に、この映画を見に行く予定だと言いましたら、タオルを持っていった方が良いよとか息が苦しくなった時の為に水は必須アイテムだとかアドバイスを受けました。
だけど泣き虫なんで泣くかもしれないけれど、最初から泣く気満々って言うのもどうなのよ~とニヤニヤして聞いていました。

 

ところがそのオープニング、すずさんが(道に迷って)青い空を見上げます。静止動画のようなその絵は、個人的感想ですがちょっと変な顔。ボーっとしているのだと思います。

でもそこにかかるオープニングの音楽は・・・・・・・。

うっっとなりました。

いくら泣き虫と言ってもですね、まだ本編の物語が何も始まっていないんですよ。

しっかりしろよ~、自分、って思いましたよ。

だけど

だって広島の運命を知ってるじゃん。

この先の日本の運命を知ってるもん。

だから少女が立っているだけでも、この音楽が流れたら、思わず泣きたくなったのでした。

(少々のネタバレ感想は、この音楽の下から。)

 

コトリンゴ -「 悲しくてやりきれない 」

 

映画館なので、もちろん静かに見ていました。でも心の中では、相当煩かったです。お話の内容を全く知らずに見たと言うのも私的には良かったと思いました。

この映画、人との出会いがみんな不思議な感じがしました。夫となった周作との出会いも、バケモノと言う人さらいが介入しているのですが、それが背負った籠の中で人と出会うとは、それはすずさんが作り出した物語に他ならないと思うのですが、実際の所はどうだったのかよく分からない所が、

「なんか、なんかな・・。」っていきなり朝ドラかですが、いやいや逆になんか良かったんですよね~。

今起きている事は夢なの、それとも現実なのか。

最初のリンとの出会いも、本当に座敷童かと思いました。

「ファンタジー映画だったのか。」とお門違いな勘違いをするところでした。

でも淡い想いがあっただろう同級生の水原とは一緒にならずに、よく知らない男性の元に嫁いでいく辺りから、その間違いは払しょくされました。

 

嫁いだ翌日からよく働くすずさん。

それがこの時代の嫁の務めなのでしょう。だけどだからこそ、この先に辛くなって広島に帰ろうと言う選択をしようとしたのだと思います。

ああ、少々の感想をと書いたのでした。少々に留めようと思います。

 

不発弾が時限装置で爆発した時、「ああ、奇跡よ、起きて !!!」と心の中で念じてしまいました。

寝ているすずさんの片腕がない !!

「ああ、利き腕じゃんか !?」って叫びました。

広島に帰る支度をするすず。

「だめだめだめ。今、帰っちゃダメだって。」とドキドキしました。

 

広島に帰っているシーンで、いきなり原爆の時のシーンが挿入されました。爆風で片腕を失いながら、子供の手を引いて逃げる母と子。母は腰かけた石の上で息絶えて、子供はやがてベンチで腰かけているすずの元にたどり着くのです。真っ黒な汚い戦災孤児。その少女はすずの片腕のないその腕にそっと寄り添うのでした。

「おかあさん。」

そんなセリフ、有ったっけ ?

でもきっと、少女の中では母の面影をすずに見たのだと思います。

 

きつかった小姑の径子の存在も良かったですよね。この人の言葉があったから、すずは広島行を留まったのですものね。

何かキラキラする大切なものを手のひらでそっと包み込んだ、そんな感じがこの作品からは受け取ることが出来ました。

「評判通り」で素晴らしく、お勧めできる作品だと思いました。


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6 コメント

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ありがとー (koumama)
2017-03-02 13:48:47
君の名はとはまた一線を画して
違う感動があるよ
すごくいいよって友達に言われている作品で
のんちゃんがもうすばらしいのひとことってことでしたが
kiliy さんのレビューみて本当なんだなあと思いました(笑)
今からでも十分間に合うよね 評価が高いからまだやってるかなあ
今あることのすばらしさ
当たり前の幸せが奇跡だと言うことに気がつく
そんな作品なのかな
レビューありがとう♪
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同感です (osa-michi2016)
2017-03-02 18:01:01
私はお正月にみました。戦争中でも人間の日常があったのですね。そんな事を強く感じました。多くの人に見てもらいたいと思いました。
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koumama様 (kiriy)
2017-03-02 21:00:47
この映画、本当にお勧めできます。
「君の名は。」との共通点は、丁寧に作られたアニメだって所だけで、まったくジャンルも違う内容です。

時間は限られてしまうかもしれませんが、まだ間に合いますよ。koumamaさんには絶対に見て欲しいです♪

>当たり前の幸せが奇跡だと言うことに気がつく

そうそう。そんな感じ。見られたら、また感想を楽しみにしていますね。
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osa-michi2016様 (kiriy)
2017-03-02 21:04:54
早くに見られたんですね♪
早くに見られた方の口コミのお蔭で、近所の映画館で見る事が出来ました。

私も
>多くの人に見てもらいたいと思いました。
同じようにそう思いました。

子供たちにも、海外の人達にも。
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Unknown (ポチ)
2017-03-05 19:03:01
今日、観てきました。
おすすめの通りいい映画でした。ジブリ映画とも違うし。
クラウドファンディングで制作費を調達したってのもびっくりでした。

私、最寄り駅が西武新宿線の航空公園駅で、駅前に所沢市役所があるんですが、市役所の正面玄関前に旧広島市庁舎の被爆した敷石が展示されています。
映画を観た帰りにのぞきに行きました。
当時の市長が広島市と親しくしたことに対して「No More Hiroshima」の言葉とともに昭和59年2月に広島市から贈られたということが書かれていましたが、それから2回市長が替わり、その間、ちょっと不名誉なニュースを全国に何度か提供しましたが、この敷石と説明文は手入れされていないようで文字も読みにくくなっていました。少しがっかりでした。

当事者や関係者でなくても、忘れないこと、思い出すことが大切なんでしょうけどね。
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ポチ様 (kiriy)
2017-03-05 23:48:05
こんばんは~☆
この映画は良い映画を作る作り手がいて、そしていい映画をちゃんと見る事が出来る観客がいて完成した作品だったと思います。
いつもならまったくと言って興味のない日本アカデミー賞でなのですが、そこで長編アニメの部門で賞を取ったのは、本当に感激しました。
負けてしまった「君の名は。」も凄く良い作品なんですよ。こちらも凄く好きです。でも日にちが経っても、思い出すと泣けてくると言う意味では、やっぱりこの作品の方が心に喰い込む力が勝っていたのかも知れません。

それから所沢市役所の敷石の展示の事を教えてくださって、ありがとうございます。

手入れがされてなくてがっかりしたと言う事を、市役所の方に教えてあげたい衝動に駆られました。
市役所に訪れた人がさりげなく見るかも知れないのに・・・・。

忘れない事、思い出す事、やっぱり大切な事だと思います。
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