森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

その日はいつかやってくる

2007-11-01 00:12:37 | イギリス旅行記
 また復活いたします。皆様、またよろしくお願い致します。
 私にとっては初めての、9日間と言うバケーションに出かけていました。
 この「森の中の一本の木」は、テーマ絞らず心の中にあるものを書き綴っていますので、何やかやと話したいことが絶えません。もともとおしゃべりですし。でも、どこかでしっかり絞めないと、準備と後片付けが半端になりそうでしたので、しばらくお休みと言う形をとらせていただきました。
 その間の皆様の毎日はいかがでしたか。


 ところで、タイトルの「その日はいつかやってくる」と言う言葉は、採りようによっては少し怖い言葉ですが、その意味合いも全面否定するものではありません。
生きとし生きるものに架せられた逃れることの出来ない約束。生まれてからその約束の日までが、私という人生のページなのです。そのページに何が書き込まれていくのか、本当に千差万別、この世の人の数だけそのストーリーはあるわけです。

 若いときに会社の旅行で香港に行きましたが、それ以来海外旅行には縁のない私でした。その経験も楽しいものでしたが、私的にはオマケ。海外に行くのに、その最初の行き先をイギリスにしようと言うのは、まずは相手を見つけるのにも大変なものがありました。なぜなら、そうしょっちゅう行けるわけではないのに、なぜイギリスなんだと、妹からもブーイングです。親切な姉は、この先もう少し経ったら行ってくれたとは思いますが、でも、彼女の興味もどちらかと言うと、中国の桂林あたりなのを、私は知っています。

 前に少しだけ行った(役にも立たなかった)英会話教室で出来たお友達達と、ある日異常に盛り上がり、翌年あたりに行こうかという話が起きた時があります。ですがまだその時は、三泊四日で行って帰って来れるという訳ではありませんので、仕事の事や子供のことにもかなり不安があり、心の中では私はきっと無理だなあと思いながらも、話の腰も折ることもないので、一緒に盛り上がっていました。
彼女達はイタリアに何年、スペインに何年と言う海外経験の長いベテランばかりです。そのうちの誰かが、ロンドンに着いたら、車をレンタルしてみんなで交代で運転して回ろうと言うことを言い出しました。私が車を運転できないことを伝えると、
「仕方がないから、あなたは乗せてヤルわ。」と言いました。たわいのない言葉です。悪意もきっとないのでしょう。でも、ダメです。私は、仕事の事も子供の事もきちんと対応して行けるかなと思っても、彼女達と行くことはあり得ない事だと思いました。

そして長い旅行に行くのは、いろいろな意味で大変なことなのだと、心の中で思いました。

英会話はその後、時間的に通いきれなくなって止めてしまいましたが、(先生が好きでしたのでちょっと残念)、じゃあ残ったメンバーで行ったかというと、そんな話はついに耳には入ってきませんでした。


 でも、私は幸いな事に共に行く良きお仲間に恵まれて、楽しく9日間を過ごすことが出来ました。 


最終日近く、私は夜のロンドンの地下鉄の通路を歩いていました。その時、ふと不思議な感覚が込み上げてきました。

―私は、今、ロンドンを歩いている・・・―

私が参加したのは33名の団体ツアーです。郊外ではそうでもありませんが、ロンドンの街中をその人数でまとまっていると、なんとなくちょっと恥ずかしいような気もしてしまいます。でも、その時は最初から少人数で出掛け、しかもその時は前後にお仲間も別れて、私は一人。まるで、横浜の街を一人で歩いているような感じです。すれ違う人も日常の生活を送っている人ばかりです。日常の中の非日常の私。徐々にその日常の中に解けていくような錯覚が押し寄せてきます。

その時感じた
―私は、今、ロンドンを歩いている・・・―という奇妙な感覚。


いつか行きたいと思っていたイギリス。でも、私にとってはその「いつか」は永遠に来ない「いつか」だと思っていました。海外をとても身近に暮らしている方もたくさんいることと思いますが、私には海の向こうに出掛けていく事は、今年まではとても難しいことでした。子供が小学生の頃は論外、何が起きるかわからない思春期の子供も置いて出掛けても心配で楽しめません。だけれど、子供達は成長して、もう私を縛っているものは何もないのです。
季節が巡れば暑かった夏が秋に変わっていくように、いつかその日はやってくるのです。
 
 
 最終日は終日飛行機の中ですので、その前日の朝、私は一緒に行ったお友達三人と、ホテルの周辺を散歩していました。

誰もいない朝の街の中で、写真など撮っていましたらごみ収集車の人たちが手を振ってくれたりしました。彼らにとって、東洋人が自分達の町を写真にとっている姿は、非日常な出来事なのかも知れません。

 

 テムズ川のほとりを歩いていると、一人の老人がイカツイ顔をして、パンやら缶詰やらの買い物の荷物を抱えて猫背気味で歩いて来ました。
川面がきらりとひかり、風がそよりと吹いていました。
私は、彼に
「Good morning !」
と、声をかけました。

その老人は驚いた顔をして、私をじっと見つめ、そして前を向いて行ってしまいました。まあ、調子に乗ってしまったかしらと思っていたら、私の後ろを歩いていた友人が
「じい様、笑っていたね。」と言うのです。
「エッ、笑っていた?」
「うん、クックックってね。」


その時見上げたロンドンの空は、真っ青でした。
そして、また私は感じたのです。

―私は、今、ロンドンを歩いている。―  と。

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6 コメント

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お帰りなさ~い! (YAN)
2007-11-01 14:07:23
kiriyさん、無事に帰ってきましたね~!
お待ちしてました~!

いきなり、たくさんの記事を書いて、エンジン全開じゃないですか。

ロンドンの街に溶け込んできた様子ですね。
外の世界から来た観光客じゃなくて、
何の違和感もない住人のような感覚を味わうのが、
最高にうれしいものだと思います。

これからも、写真のUPを楽しみにしてますよ♪
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お待ちかね♪ (さくらこ)
2007-11-01 19:53:31
kiriyさん、憧れのイギリス、しっかりと楽しんでこられましたか?

子供の手が離れて・・といっても、9日間も一緒に旅行が出来る友人なんて、そうそういないんじゃないかと思います。

kiriyさんがよほど交流関係が多いのか、たまたま恵まれていたのか、羨ましい限りです。

写真は、静かな朝、という感じですね。
私みたいに自分のペースでゆっくりでいいから、色々な風景、紹介していってくださいね♪
(ゆっくりと言いながら、あれでも結構大変でした。
返信する
YAN様 (kiriy)
2007-11-02 11:34:37
おはようございます。
>いきなり、たくさんの記事を書いて、

そうなんですよ。テンプレを変えなくちゃナと思ったら、あのキャラとお別れするのが寂しくなって、物語りを作ってしまったりして、「相棒」の事は、私的には外したくないことなので、やたら書いてしまいました。

・・・・ブログ中毒なのかも?!  

街に溶け込むような優雅な旅行ではないのですが、「私的楽しみ方」をしてきましたよ。何気ない朝の散歩なんかは、しばしの楽しい勘違い、その町の住人になったような気分になれますよね。

「旅行記」は長々書いていく予定でいるんですよ。ほら、おしゃべりなので、そればかり書いているのって飽きちゃうのではないかなとか思うものですから。お付き合いくださいね。
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さくらこ様 (kiriy)
2007-11-02 11:54:12
おはようございます。
9日間一緒に旅行できる友達が、私には居て幸せでした。これは、交流関係が多いのではなくて、たまたまの幸運なんです。
相性の問題もありますが、同じように9日間家を空けられると言う環境でないとダメですし、行きたい所が同じでないとダメなのですから、本当に「ラッキー」としか言いようないですよね。

さくらこさんの旅行記はとっても上手に、しかも綺麗にまとまっていましたよね。特に上海の写真が忘れられません。
前に、横浜の新しいスポット写真を、「梢」の方に載せたら、通りすがりの方が「上海みたいだ」とコメントを下さったのですよ。さくらこさんのお写真で、私は上海を知っていたので、「ああ、本当だ。」と思いましたが、知らなかったら「そうなのか」と思うばかりだったと思います。

イギリスに行ったのは、私にとっては大きなイベントでしたので、しつこく書いているかもしれませんが、苦笑などしながらお付き合いくださいませ。
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おかえりなさい (おりょう)
2007-11-02 18:34:39
”その日はいつかやってくる” 
あぁ 本当にそうでしょうか? 嬉しいです。私も子ども達の手が離れたら 旅行に行きたいと思っている一人です。”その日はいつかやってくる”いいですねー。こんなふうに実現される人がいるということは 私にも現実の話になりそうで希望がふくらみます。

旅行記いっぱいいっぱい書いてくださいね。
楽しみにしています。

そうそう 私は 一緒に行ってくれる仲間は見つからないだろうと思っているので 一人旅!の予定です。
kiriyさん 良かったですね。
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おりょう様 (kiriy)
2007-11-03 15:38:14
こんにちは~。
前にもそういうことがあったと思うのですが、記事を書いているときに、私、ふとおりょうさんのこと思い浮かべましたよ。子育てまっ最中のその頃、記事にも書きましたが、「いつか」は永遠に来ない「いつか」だと思っていましたよ。
子供がある程度大きくなると、結構自由に動かれる方もいらっしゃるでしょう?
でも、私にはできないことでした。今まで待ったからこそ、何も心配しないで楽しめたのかもしれないと思いましたよ。(家族で行くという選択肢は、経済的に最初からないのですが、私の場合)

おりょうさんも、今は子育てが一番楽しめるときですよね。でも、それが終わったら、その日はいつかやってきますよ。これは私の思い込みかもしれませんが、女の子が居るおうちは、私のように男のだけのおうちほど、待たないように思いますよ。

そうそう、女の人で一人旅の人もいましたよ。期間中に食事のときなどをきっかけに、みんなとお話なんかもするようにもなって、付かず離れずで一人旅を楽しんでいました。

私も時々、近いところで一人旅の練習なんかをしてみたいなとか思うときがありますよ。一人でも動けるということは、本当はとても大切なことなんだと思うときがあるものですから。
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