たとえどんな種類の事柄でも 、そのことであなたが恐れを感じるかぎり、
その事柄に関してあなたの内部にまだ欠けている何かがあるわけで、
これはぜひ取りのぞかなければならない。
恐れるということが、悪人やなまぬるい人間の弱みである。
彼らは一生のあいだ恐れをのがれることができない。
さもなければ、彼らは「光の子らより利口」(ルカによる福音書一六の八)であって、多くの点で光の子らにまさるであろう。
しかしね恐れるところが悪人らの弱点であり、われわれはそれを計算にいれて決してまちがいない。
そこでツィンツェンドルフは彼の讃美歌の一つで、鋭い人間知の持主としてこう歌っている。
神に従う生活をしない者は、
ただ恐れにばかり支配される。
よく観察すれば、あなたはつねにこの言葉通りだと知るであろう。
これはさかさまに言っても同じである。
あまりに小心で、人間恐怖で一ぱいの信心家などというのは、およそその名にふさわしくない人だ。
こういう人はまだこの世と断っていないのだから、恐怖をいだくのも当然である。
ツィンツェンドルフ(一七○○-六○)、敬虔主義的な同胞教会の設立者、「心の宗教」主唱。
眠られぬ夜のために ヒルティ著より