家庭
家庭とは何でしょうか。
心配の情念だと思います。
とくに親が子に責任を感じて配る心づかい、その情念ともいうべき心配を欠くならば、
たとえ家庭を成り立たせる要件のすべてを満たしていても、
それを家庭とはもはや呼べないでしょう。
親が子に抱く気配りの多くは、非理性的で、感情的で、
第三者には認め難い身勝手甘さに甘さに流されたものばかりですが、
しかし、それこそが家庭というものではないでしょうか。
家庭とは、どこかで大目に見てもらわないことには生きて行けない人間に許されている非合理のことです。
藤木正三著 断想 神の風景 人間と世間より