to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

春との旅

2010-05-31 23:46:43 | the cinema (ハ行)
ある日、突然──
ひとりの老人が家を捨てた。
孫娘、春が
あとを追った…。


製作年度 2009年
上映時間 134分
原作 脚本 小林政広
監督 小林政広
出演 仲代達矢/徳永えり/大滝秀治/菅井きん/小林薫/田中裕子/淡島千景/長尾奈奈/柄本明/美保純/戸田菜穂/香川照之

足が不自由な元漁師の祖父と仕事を失った18歳の孫娘が、疎遠だった親族を訪ね歩く旅に出る姿を描いたヒューマンドラマ
足の不自由な元漁師の忠男(仲代達矢)と仕事を失った18歳の孫娘・春(徳永えり)は、忠男の生活の面倒を見てもらおうと疎遠だった親類縁者を訪ね歩く旅に出る。親族との気まずい再会を経るうちに、忠男はこれまで避けてきた過去と向き合わざるを得なくなる。そんな祖父の葛藤(かっとう)を間近に見ていた春にも、ある感情が芽生えていく。

かつてニシン漁で栄えた北海道の港町の、今は見る影もない寂れた海辺の家を、
憤怒に駆られた体の老人が飛び出す。
孫娘は困惑し、後ろめたさを滲ませて後を追い、寄り添うのだが―

怒りながら不自由な足で急ぐ忠男の旅の目的も、それまでの人生も、
その目に漂う、焦りと悲しみがなぜなのかも徐々に浮き彫りになる旅…。

怒りっぽくて我がままで、甘ったれの老人と、
その祖父の生活を、たった一人で支えてきた十代の孫娘の心を辿る旅―。
たった二人暮らしのそれまでの生活が、どこか封建的な主従関係を思わせながら
また2人の人生の長さの違いをみせつける。
その甘えと怒りは、自ら捨てて選び取ってきた人生の中で、初めて捨てられようとしている男の困惑であり、
孫にとっては、捨てられて、選べなかった人生の頼りなさが表れている。

人は誰でも自分の人生が順調で、忙しければ、
あえて疎遠の親戚宅を訪れ、昔話に花を咲かせることは次第に減っていくのかも知れない。
冠婚葬祭は、そういう意味で、面倒でもあり優しくもある機会なのだという気がする。
忠男が訪ねる兄弟とのやりとりも空白の長さを思わせるけれど、肉親ならではの感情もあり、、
この旅は、春にある決意をさせる。
ラストは、人生、なんでも起こりうると言うことなのか、、、
終盤の2人がこっそり逃げ出すシーンが可愛かっただけに、個人的には別な終わり方が見てみたかったです。

途中から「歩いても、歩いても」を思い出していました。
肉親という、このどうしようもない血の重さと懐かしさ。
そういうものを感じる作品ではありましたが、
「歩いても~」のようなアルアル感もあまりなく、二人のどこにも感情移入が難しかったです。
しかし、豪華な力のある俳優陣の演技は素晴らしく、かなりインパクトのある作品でした。
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2 コメント

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春はあの後どう生きるのでしょうね・・・ (ぺろんぱ)
2010-06-04 19:47:33
こんばんは。

私も二人に感情移入しにくかったです。
仲代さん、好きな俳優さんなので是非また違う作品で「どーだっ!」と存在感を示して頂きたいです。(*^_^*)

『歩いても、歩いても』は「家族」「親族」や「老い」について深く考えさせられる作品でしたね。重たい悲哀がありながら、観てよかったなぁと感じたものでした。

>2人がこっそり逃げ出すシーンが可愛かった

そうそう!そうでしたね!(^^)  
アレこそが二人の本来の「姿」だったのでは?
と思いました。
仰る通り、違う「旅の結果」を見たかったですね。
ぺろんぱさん* (kira)
2010-06-06 22:44:58
核家族でなくとも、
事故や病気はひとを選ばないで襲ってくるわけで、
この二人のように、突き詰めていけばこのような事態になることは、
誰にでもあることでしょうね。

あのギロっと見開いた仲代さんの目と、いつも少し文句を言いたそうな口元に、
なぜか私は忠男のこころの慌てようをみた気がしました。

本当に、この作品の展開をみていたら、やはりあの終わり方では、
なんだか予定調和ではないかという気になりますよね。
キャストはもう、贅沢で、かなり印象的な作品になりました。

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