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to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

となり町戦争

2007-02-21 23:58:44 | the cinema (タ行)
のどかな地方都市舞坂町で旅行会社に勤める北原(江口洋介)は、ある日、突然舞坂町ととなり町の森見町が戦争を始めたことを知る。だがその後も表立った変化は見られず、彼も相変わらずの日々を過ごしていた・・・
とまどいつつも核心部分をつかめないまま明確に自己主張することもなく、戦争推進室の香西(原田知世)の示すレールの上を歩き始める北原は、知らず知らずのうちに戦争に加担していた。

香西さんのセリフがコワイんですよ・・・
なんで戦争やってるんですか?「町おこしの一環です」
誰が戦ってるんですか?「自治体規模の戦争に国家公務員は参加できません。志願していただいた一般市民です」
「反対しなければ賛成したのと同じです」
香西さんの行動はすべて任務遂行のため。まるで洗脳されているようなお役人口調がじれったい。怖い。

対照的な、現代社会の多くの大人のもつ無関心さ、曖昧さ、無防備さを
江口洋介がいかにもどこにでもいそうな気軽さで演じている。
国と国の領土争いでもなく、ほんの隣町との戦争にまきこまれた主人公は、自分の身に危険が及ぶに至って初めて恐怖に目覚める。
会社に顔を出し定食やに寄り、という日常パターンを繰り返しながらも町の戦死者は確実に増えている。
物語はほとんどが出ずっぱりの北原(江口)目線でのみ進行しているので、観客も北原と同じ情報しか与えられない。
見えなかった戦争が見えた時、観客もまた同じ恐怖に襲われるだろう。。

出演は他に、瑛太、余貴美子、岩松了がそれぞれ持ち味をだし時に笑いを誘っている。


役所と住人。決める側と守る側。男と女。
一線を越えるエネルギーは何なのか。
戦争についてでなく、生きかたについて、立ち止まって考えてみるのもいいかも知れない。
姿無き戦争の恐怖は、ある意味、自主性のない無関心さが生み出した結果かも知れないのだから・・。

魂萌え!

2007-02-07 19:31:25 | the cinema (タ行)
原作は桐野夏生の同名小説。
「肉体は衰えるけれど魂はますます燃え盛るものだ」という
夫の定年、夫の死、老年の性愛、自立せず親にまといつく子供たち、、
目をそらしたくても何時の日か必ずやってくる、その時。
ちょっとドキドキしながらの観賞でしたが、良かったです。

平凡な専業主婦・敏子(風吹ジュン)は夫の死後かかってきた一本の電話をきっかけに
怒涛の人生の一歩を踏み出すことになる。

ダサくて鈍くて、お人よしで世間知らずだった敏子が
怒りをもって変貌していく様を風吹ジュンがコミカルに演じていて、
つい応援したくなる。
失意の最中にも無遠慮な子供たち
そして飛び出した彼女は“何も知らなかった”“中古の家具”から変化していく。

好奇心丸出しのオバサン化!
なによりオバサンはしつこい!
そして逞しい

不器用に、でもオバサンの逞しさで一つ一つ扉を開けていく
風吹ジュンがとても可愛い
無茶ともいえる行動も、時には必要かも知れない
彼女は変わりたかったのだから


殆ど滑り込みセーフで、館内を見渡す余裕もなかったけど
終って急にざわつく館内にびっくり・・・主人公の年齢をはるかに上回るシニアなお姉さま方
・・ふと、劇中で敏子がチケットを買うときのやりとりを思い出して笑ってしまった
そう、何があっても元気をだしていかなければ

終盤になつかしいマストロヤンニとソフィア・ローレンのシーンが映った時は
当時の感動が甦り、懐かしさで胸がいっぱいになりました