何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

鑁阿寺-(3) (足利)

2022年01月01日 | 寺社巡り-栃木

【栃木・足利市】鑁阿寺の約4万平方メートルに及ぶ寺域は、12世紀半ばに足利氏祖・源義康が建てた居館の址で、ほぼ正方形の寺域の周囲には土塁と堀がめぐらされ、平安時代後期の武家屋敷の面影を今に伝えている。
境内には武家屋敷の遺構をそのまま遺している他、建造物や古書も焼失せず残っていることから、明治四十一年(1908)には大御堂及び鐘樓が特別保護建造物に、さらに大正十一年(1922)には境内地、土塁、濠一式が史蹟に指定された。

●不動明王を祀る中御堂に向かって左手に本堂を向いて裳腰を付けた経堂が建っている。 四方が白壁で、白壁の中に桟唐戸と花頭窓を設けた簡素な造りだが、威厳に満ちている。 室町時代の再建だが、鎌倉時代の禅宗様建築の様々な特徴を見ることができる。
経堂から西門に行く。 古色を帯びた簡素な門だが、鎌倉時代の武家屋敷の門らしく剛健な風格を感じさせる。 西門で注目したのは、柱下と礎石の間にある木造りの礎盤で、特に本柱の礎盤の大きさに驚いた。 西門の外に出て境内西側の見事な土塁と水を湛えた石積護岸の堀を眺めるが、足利氏宅が豪壮な構えだったと思わせるに十分な光景だ。
西門から境内の北西に南面で並んで鎮座する御堂群に向かう。 まずは、本殿に源氏の祖、拝殿に足利15代将軍義昭像を祀る御霊屋。 社殿と塀が全て丹塗りなので「赤御堂」ともいわれ、横に回って本殿を眺めると懸魚・妻飾・木鼻・小壁・手挟・海老虹梁の若葉彫刻などに鮮やかな彩色を施して威厳を保っている。
御霊屋の右隣に室町時代建立の簡素な妻入りの大酉堂が建ち、鑁阿寺伝来の大酉大権現を祀っている。 大酉堂は元々足利尊氏の御霊屋で、甲冑姿の木造尊氏像が祀られていたそうだ。 尊氏像が本坊に移された理由がなかなか興味深い。

△宝形造桟瓦葺の経堂(重文)....鎌倉時代建久七年(1196)の創建(伝)で、足利義兼が妻の供養のため一切経会を修する道場として建てたもの....室町時代の応永十四年(1407)、関東管領の鎌倉公方足利満兼により再建

△裳腰は桁行五間、梁間五間(身舎は三間四方)で、中央間三間は桟唐戸、両脇間に花頭窓を配す

△中央間に「一切経堂」の扁額、真ん中は格子入りの桟唐戸/側面五間は全て縦羽目板壁と白壁の小壁で、羽目板壁に花頭窓を配す....丸柱の頂部に粽がある

△軒廻りは二軒扇垂木、組物は二手目と三手目が尾垂木の三手先、組物間に詰組が施されている/裳腰屋根の隅降棟端と稚児棟端に鳥衾を乗せた鬼瓦

△堂内に本尊の釈迦如来像、足利歴代の将軍坐像が祀られ、一切経二千余巻を納めた八角形の回転式の経棚がある

△経蔵の背面は窓がなく、中央間一間に桟唐戸、両脇間は全て白に彩色された羽目板壁そして白壁の小壁

△切妻造本瓦葺の西門(四脚門)....開基足利義兼により創建(伝)....室町時代永享四年(1432)に公文書奉行により再修

△簡素で古色を帯びた西門....鎌倉時代の武家造りで剛健な風格がある

△本柱に乗る桁の中央から梁行き方向に腕木を天秤のように渡し、その先端に舟形の肘木を乗せて丸桁を支えている/様式は虹梁に板蟇股が乗る虹梁蟇股式

△柱下と礎石の間に設けられた礎盤は石材ではなく木造(円覚寺舎利殿でも木造礎盤がみられる)

△元は足利氏宅ということで、寺院だが周囲に土塁と水掘を巡らせている

△鎌倉時代の創建とされる御霊屋....江戸時代後期、十一代将軍徳川家斉の寄進により再建され「足利大権現」と称す....神門の扉は足利氏の家紋「足利二つ引両」を入れた桟唐戸

△神門・拝殿・本殿からなり、塀や社殿の身舎が丹塗リのため「赤御堂」ともいわれる/正面三間側面二軒の拝殿....神門の隙間から眺めた足利15代将軍義昭像を祀る拝殿の正面....中央間は桟唐戸、両脇間は蔀戸....扁額は「足利大権現」と思う

△塀越しに眺めた拝殿と本殿の側面....拝殿は入母屋造銅板葺、拝は彩色された亀の彫刻(?)、妻飾はよく分からないが2つの出組が見える

△拝殿の軒廻りは二軒繁垂木、組物は出組で中備なし....全ての小壁に彫刻、全ての柱に獅子の木鼻が施されている/源氏の祖を祀る流造銅瓦葺の御霊屋本殿....二軒繁垂木、大棟端に鳥衾を乗せ三つ葉葵の紋を入れた鬼板

△拝の懸魚は龍の彫刻、妻飾は虹梁の上一面に龍の彫刻....懸魚・妻飾・木鼻・小壁・手挟・海老虹梁の若葉彫刻にそれぞれ彩色が施されている

△入母屋造桟瓦葺で妻入の大酉堂....鑁阿寺伝来の大酉大権現を祀っている....室町時代に足利尊氏公の御霊屋として建立され、甲冑姿の木造尊氏像が祀られていた....明治の中期、尊氏逆賊の皇国史観の台頭で尊氏像は本坊に移された

△簡素な造りの三間四方の大酉堂....側面は入口を除いて横羽目板で入口は板造りの引戸

△軒廻りは一軒疎垂木で組物はない、小壁は全て横羽目板/正面三間は全て横木の数が少ない格子窓で、窓下は縦羽目板
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