免許を返納した高齢者の車を引き取りに行く自動車会社の方から聞いた話だが、長いこと親しんだ最後の愛車を涙を浮かべながら見送る老夫婦の泣き顔を見るのは辛いと言っていた。
90歳の壁の向かっている爺は、幼い頃から「男子たるもの人の前で涙を見せるものではない」と育てられたせいか、涙を流すこともなく、家内と車が見えなくなるまで手を振って見送った。
マイカーが無くなってから3週間近くなる。一年前から、病院と市内での買い物だけだったので、マイカー利用時とタクシーとの便利さの差は思っていたより少なく徐々に慣れるだろう。
時々マイカーで行っていた近くのコンビニ、百円ショップ、本屋も今は歩いて行っている。身近で転んで骨折した高齢者を見ているので義弟が生前に使っていた転ばぬ先の杖を使い始めた。