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ロボット工学・・・。

2015-05-17 18:26:56 | Weblog
講義のことを考えると気が重くてこの時期はいつも憂鬱なのだが,そろそろ曲線のことを話さなければならない時期が来た。

空間曲線の接線,主法線,従法線(陪法線)の単位ベクトル同士の間に成り立つ Frenet-Serret の公式というやつが頭痛の種である。

これはベクトル解析の主題から見れば深入りしすぎであろう。また,曲線の曲率を扱うならば,曲面の曲率も取り上げるべきだが,それはさすがに時間が無さすぎて割愛せねばならない。

そんな中途半端な取り扱いに辟易しているのだが,ぶらーんと宙に浮いた Frenet-Serret の公式の位置づけはどうすればよいだろうか。ずっとこのことに頭を悩ませてきた。曲線の曲率と捩率をあらかじめ指定すれば,自動的に曲線が定まる,つまり,何らかの目的に沿った望ましい性質をもった曲線のデザインの仕方を与えてくれるのが Frenet-Serret の公式の意義であろうとは思っていたが,そういったニーズがどこにあるのかがわからずじまいだった。

かろうじて道路のカーブの設計に利用できそうだとは思っていたものの,詳しい利用方法はわからなかった。

しかし,やはり今はインターネット全盛の時代である。Wikipedia などでいくつかの利用方法を知った。

まず,やはり道路のカーブの設計に曲率が応用されているとのことである。曲率 0 の直線から,急に曲率が 0 でない一定値の円孤になると,カーブに入ったところでハンドルを急に回さなければならず,危険である。したがって,曲率が 0 からジワリと増えていくような,つまり,ハンドルを少しずつ回していけば済むようなカーブの曲線を設計しなければならない。曲率が進んだ距離に比例するというのが最も単純な増え方だが,そういった性質を持つ曲線をクロソイドと呼ぶんだそうな。

ところが,電車の線路はクロソイドでは保守のための計算が複雑すぎて実用的ではないので,もっと単純な仕組みを利用しているんだそうな。

この他,ロボット工学でも Frenet-Serret の公式に基づいた曲線の設計を利用しているとのことで,それは初めて知った。ちなみに,その手の robotics のテキストをちらっと覗いたら,しょっぱなから Lie 群だの Lie 代数だのという,「ど数学」の専門用語のオンパレードだったので,腰を抜かさんばかりに驚いた。機械工学系の学生がその手の講義を聞いたらチンプンカンプンだろうなあ・・・。心の底より同情を申し上げます。
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