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電池管検波ラジオ。

2013-03-25 23:48:45 | 工作・実習
たくさん借りた電子工作の本に真空管を用いた比較的簡単そうなラジオが紹介されていたので,真空管にも手を出してみようかと本気で考えるようになった。

ただ,ものによっては真空管を駆動するのにかなりの高電圧を必要とするものらしく,それ専用の電源の製作から行わなければならず,まだまだ敷居が高いと感じていた。

そんな中,橋本剛著『ブレッドボードで始める電子工作』を眺めていたら,電池管というタイプの真空管を用いたラジオの話を見つけた(同書 Section 09)。その名の通り電池で実現できる比較的低い電圧で動作する真空管のことを電池管と呼ぶようだが,そうは言っても,45V の電池などの,今ではなかなかお目にかかれなさそうな電池を使用するのが一般的のようだった。

ところが,見つけた回路を何度見直しても電源は 1.5 V の乾電池一本だけである。まさに僕のような者にうってつけである。

ただ,電池管は現在の真空管ブームの主流にあっては少数派ではないかという印象がある。そもそも聞いたことがないし,そのラジオで使用されている 1T4 という真空管は,心当たりのパーツショップの商品リストをいくら探しても載っていない。

ところが,ネット全体の検索結果のうち,Yahoo! オークションの出品情報が目に留まった。まさにその 1T4 を出品している方がいたのである!

オークションといえば低めの値段から入札を始めて,最終的に競り勝った人が落札するというイメージしかないが,まだ入札者がいない状態だった。未使用品が2本一組で 1,100円との出品者からの即決価格が提示されていたが,相場がさっぱりわからないので高いか低いか判断がつかない。しかし,『ブレッドボードで始める電子工作』の巻末のパーツリストに書かれた参考価格は一本 1,500円だったので,一本 550円というのは破格の値段だとみなしてよさそうである。

確実に,そしてなるべく早く手に入れたかったので,値切ることなく,即決価格で落札した。オークションを利用したのはこれが初めてであったが,出品者は誠実な対応をして下さる方で,すぐに商談がまとまり,無事 1T4 が手元に届いた。

真空管が入っていた箱(白箱?元箱?)と真空管のツーショット。あ,しまった。リード線を付けたソケットをはいたままなので,ツーショットという感じではないな。

製造元らしい RADIO CORP OF AMERICA というのは,かの有名な RCA と呼ばれるメーカーのことだろう。つまりこの電池管は RCA 製なのである。オークションの商品情報にも確かそう書かれていた。

中身は本当に新品だったのだろうが,箱から取り出したり手で触っているうちに,白い塗料でいろいろ書かれていた字がほとんど消えてしまった。が,かろうじて 1T4 という型番だけは残っているのが写真からわかるだろうか。


念願の電池管を手に入れたので,あとは周辺部品である AM ラジオ用のバーアンテナとバリコン,そして 1T4 用に使える真空管ソケットを買い求めた。

パーツ集めで一番苦労したのは真空管ソケットである。別の用事で立ち寄ったある店でソケットを見かけたので一も二もなく購入した。ところが,家に帰っていざ 1T4 を差し込もうとしたところ,かなり力を入れてもなかなか入らない。あまり力を入れ過ぎると真空管のガラスが割れてしまう恐れもある。真空管を触るのも初めてのことだったので,ソケットへの装着がスムーズなのかそうでないのが普通なのか全くわからない。ただ,真空管アンプの工作本だかどこかのサイトだかで,ソケットには出来の良いのと悪いのとがあるという話を知り,いくつかソケットを買ってうまく合うかどうか試すことにした。

若松通商にはタイトソケットのゴールドとシルバーがあるとのことだったので一つずつ買った。また,千石電商でも真空管ソケットを取り扱い始めたとのことだったので,そこでも一つ購入した。それら3つを試したところ,どれもそれほど力まなくてもちゃんと足が最後までカチっといった感じに収まった。そこで,一番スムーズに足が入るソケットに,ブレッドボード用のスズめっき線をつけたリード線をはんだ付けして使用することにした。

せっかくラジオを組み立てても,そもそも AM の受信状況の悪い家であったら聞こえる見込みが薄い。AM 放送がどの程度受信できるのか事前に確かめる必要がある。それには市販のラジオを買えば事足りるが,せっかくの機会なので AM ラジオ専用 IC という強力なデバイスを利用して IC ラジオを組み立ててみた。その結果,バーアンテナだけで十分受信できることが判明した。

また,ラジオの「ラ」の字とも言うべきゲルマ・ラジオでもちゃんと受信できるか確認したところ,受信が確認された

これだけの下準備の後,ようやく電池管検波ラジオの実験に取り掛かかった。

バーアンテナとバリコンとで構成された同調回路の受信部はゲルマ・ラジオで用いた配線を流用すればよいのだが,てきとーに配線したことがたたってアンテナ線などがごちゃごちゃと入り組んでおり,何がどうつながっているのか配線した本人でさえわからなくなってきた。そういうときはリセットして最初からやり直すに限る。全部引っこ抜いて一からパーツを配置し直すことにした。

相変わらずごちゃごちゃした印象だが,これでもゲルマ・ラジオの配線よりかはすっきりしている。いかな実験回路といえども,すっきりした配線を心がけるべきだという教訓を学んだ。

かすかに雨が降っているベランダに出て,ゲルマ・ラジオの時と同じようにアンテナ線を物干しざおに干し,アース線を手すりから垂らしていざ電池をつないでみたが,ダイヤルを回してもうんともすんとも言わない。単三では電力不足なのかと単一電池に変えても改善の兆しはない。一旦ベランダから撤収して配線を見直したところ,配線ミスが発覚した。修正して再チャレンジしたところ,2局だけ受信が確認できた。

受信を確認した時は,もちろん嬉しかったが,感激したというよりも,ほっと一安心といったところであった。

ゲルマ・ラジオよりも感度が悪く,音も小さかったので,ぜひさらに真空管を使用した高周波増幅,低周波増幅機能を搭載した立派な真空管ラジオを目指したいものである。

一つ残念だったことは,ヒーターがぼんやり光るという真空管の情緒を味わえなかったことである。1.5 V ではヒーターは光るほどには温まらないということだろうか。

※ 夜寝る前にヒーターに電池をつないでおき,しばらくしてから部屋の明かりを消したところ,電池管から橙色の明かりがほんのりと漏れていたのを確認した。やはりヒーターは光るのである。ただ,他の明かりにかき消されてしまうようなきわめて弱々しい光であった。[2013.3.27. 追記]

電池を外しても数秒は音量が変わらず,しだいに小さくなって消えた。そういえば,真空管は電源を切ってもしばらく動き続けると聞いたことがあったような気がする。ヒーターが暖かいうちは動作し続けるということなのだろう。

と,さも真空管通のような調子で書いてしまったが,真空管の動作原理は何一つ理解していない。それは今後の勉強課題の一つとしてとってある。

子どもの頃,遠い憧れの対象であった真空管をこうして動かしてラジオを聴けたというのは,やはり感慨深い。また縁があれば増幅回路用の電池管を手に入れて,9V 乾電池 006P を 5 個直列にした 45 V 電源を使用した 2~3 球規模のラジオを作って楽しみたいものである。あ~,そういえば他の出品者がその目的にかなっていそうな電池管バラエティーパックを出品したけど,やっぱり買うべきだったかなぁ・・・。

キットもあるらしい(YouTube の動画へのリンクです)けど,そんな感じのが目標かなぁ!

当然 自作しちゃっている方が世の中にはいるわけで。すごい本もあるらしい。並ではないスキルを持っている方は本当にたくさんいらっしゃるようだ。

B級ラジオ博物館の研究室に,今回試した回路の元ネタがあるが,それにしても,ゲルマ・ラジオで FM まで受信してしまうとは,すごいの一言しか出ない。AM 変調と復調の原理について,昔の記憶を頼りに考え始めているが,僕ごときに解明できる程度はたかが知れているので,「AM 送信機を作ろう!」のコーナーでいずれ勉強させていただくかもしれない。
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