A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

桜・2012

2012-04-13 12:53:01 | つれづれ
昨年は桜を愛でる余裕がなかった、確かこう書いた。
「咲いたなあ」とか「綺麗だなあ」と思ってもなんか他人事で、美しさが心の中に入り込んで「何かものを想う」という状態を作り出すことはしなかったのだと。

今年の桜は、今はまだ、立ち止まって見てはいない。
オートバイの上から、車のフロントグラス越しに、咲き誇る姿、風に舞う姿、雨の翌日の水たまりを覆う姿、……を堪能している。

眺めているほどの時間はないのだが、フラッシュバックのようにそれらの光景が頭に浮かんでくるのである。
時間をかけてじっくりとではなく、短く、激しく、鮮烈に、心の中に届いているようなのだ。

たぶんこれから週末にかけて、僕は桜の花びらのシャワーを浴びながら、その樹の真下をオートバイで走り抜けるだろう。
桜は、僕とオートバイが巻き起こす風にその花びらを揺らし、散らし、舞い踊らせ、渦のように路上に舞い落ちる。

僕はというと、オートバイを停めてヘルメットを脱いだときに、ふと襟元からこぼれ落ちる花びらに目を奪われ、誰にも聞こえないような小さなため息を漏らすことだろう。