路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

雨上がりマルメロ一果置忘れ

2011年11月07日 | Weblog

 ずうっと雨に降り込められて、日曜日本読みながらうたた寝して暮れる。

                

 鈴木博之『東京の「地霊(ゲニウス・ロキ)」』(1990 文芸春秋)
 今回買った中で最高値の800円。『建築探偵の冒険』の土地版、といったら違うと云われるか。ともかく、こういうのは面白いな。
 「東京はいま、どこも工事中である。地価の上昇に見合った開発が必要なためなのか、それとも内需拡大策の反映なのか、大通りから裏通りまで、建設工事を見ない町はないほどだ。」
 というわけでバブル真っ最中の出版だから、いたるところバブルの埃の立つ中を過去へといざなってみせる。東京でなければ出来ない業ではあります。

                

 久米邦武、といえば「米欧回覧実記」でありますが、彼はこの報告書全5巻で500円の賞金を貰ったらしい。で、その金をどうしたかといえば、目黒に土地を買った。それが5000坪余。明治11年のことらしいが、一巻で1000坪である。今の目黒駅前が当時は山間の林野地だったというわけだから安かったということだろうが、この人結構利殖に長けていて、土地の一部を後にビール会社に売って、それをすべてその会社の株式にしてちゃんと土地資産と産業投資に振り分けるような理財の能力もあったらしい。(ビール会社というのは今の恵比寿駅の所にあったやつですね。)肥前藩閥で大隈重信とつながりがあり、「神道は祭天の古俗」で帝大教授を棒に振っても早稲田で禄を食めてたらしいから学者でも世渡りうまかったんだろうね。

 というようなハナシが全部で13。でも、〈ゲニウス・ロキ〉とか難しく気取っちゃうところが東大のセンセイ、なのかなあ。

 

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