路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

ふくよかにふるえる春の水餃子

2013年03月15日 | Weblog


 町内のラーメン屋でラーメンと餃子を食べた。
 高校卒業したばかりのころ友人とラーメン屋にはいり二人で餃子を注文した。彼が小皿に半分くらい醤油をさしたので、ワシもその横にあったラー油を同じくらい小皿に取ったら、友人が驚いて「それ、ラー油だぜ。」と言った。
 実はワシはそのとき初めてラー油というものを知った。というか、そのとき初めて餃子というものを食った。
 そんなどうでもいいことを不意に思い出した。


                         


 岡崎武志と山本善行『古本屋めぐりが楽しくなる 新・文学入門』(工作舎 2008)
 税務署の帰りに図書館で借りてきた。
 均一小僧と古本ソムリエ、というか古書探訪の盟友、というか本好き同級生による楽しい対談。
 工作舎の造本・構成もユニークだ。
 古本をめぐる話、というよりも標題どおり文学をめぐるあれやこれや、同好のおふたりが腹蔵なくというか、そのウンチクをひけらかしあうさまが楽しそうである。

 同世代だからウンウン、ソウソウとうなずける話が多い。ここに出てくる本(ことに文庫)でかつて架蔵していたものの多いのに驚く。殆んど売っちまったなあ、売らなきゃよかったなあ、という本ばかり。
 けっこう厚い本(440余頁)なのにサクサクと読めてしまった。


                          


 身近にディープな趣味を語り合える友人がいるというのは稀有なことだろう。ことにお二人はいまやそれが正業だろうし。
 当方そんな知人は一人もいないし、そもそも文学なんて早々にオサラバしてるし。
 それからやはり都会育ちと田舎育ちでは随分違うなあ。こちら、生れてこの方本屋なんて小さな新刊本屋が二、三軒という町で、(今は一軒しかない)めぐれる古本屋なんて皆無な田舎育ちだから、この違いは長い歳月の間にはそうとう大きな格差になる。

 面白く読んだけど、半分くらいから二人の関西弁がどうにも胃に重くなってしまった。(と云っておきます。)

 いつか京都に行って、善行堂に寄ってみたい。(たぶん無理だろうけど。)


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