これは思い出の酒かもしれない。まだ日本酒に興味を持ち始めた学生の頃。地元の(地酒が豊富に揃うこだわりの)酒屋で、香りがよくて飲みやすいものをと尋ねた時に、紹介してもらったのがこれかもしれない。
その時の印象では、香りが強く独特でむしろ日本酒ではなかった。そう感じた。実際店に再度訪ねたとき、店主も付香をしていて良くない。なんてことを言っていたような気がする。それからしばらく飲むこともなかった。そのうち社会人になり、蔵の近所で仕事をしたこともあり、気にはなっていたが、いつの間にか蔵が廃業となって、雨後の月の相原酒造に吸収されたり、と、時代は大きく流れた。そしてこのたび懐かしの酒をまた飲んでみようと思った。
こちらも雨後の月吟醸純米酒と同じベクトルの味と香り。こちらの方がより香りとそれに伴う刺激感が強まっている。後味に日本酒っぽさが出てきそうなのだが、それをカバーする持続性のある吟醸香だ。
あるいは一気に飲むより、ちびちび飲むとその香りを楽しめるのかもしれない。
本洲一の純米吟醸と比べると、キレがあるといえる。本洲一は甘ったるいようなウェットな中盤以降の味がある。
飲めば飲むほどうまいかもしれない。たとえるならピーチネクターのような味わい。値段はちょっと高めだが、上位に入るかもしれない