医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

手術時に誤嚥気づかず男性死亡 県立静岡がんセンター、医療事故正式発表

2024-06-14 22:14:52 | 医療界

 静岡県立静岡がんセンター(長泉町)は13日、2022年9月に静岡県東部の70代男性患者を手術した際、男性が誤嚥(ごえん)性肺炎を起こし死亡する医療事故があったと正式に発表した。遺族側に和解金4千万円を支払うことで合意した。

 同センターによると、男性は22年9月18日に腸閉塞(へいそく)で緊急入院した。同22日に手術のため麻酔を行う際、男性が嘔吐(おうと)したが、医師は肺に吐物が残っていることに気づかないまま手術した。術後、容体が悪化したことから誤嚥に気づき処置したが、翌23日に呼吸不全で死亡した。

 臨時手術のため具体的な麻酔方法を事前に議論せず、麻酔科医個人の判断に委ねられたという。嘔吐のリスクを減らす方法ではなく、吐き気がないことなどを理由に通常の方法を選択した。嘔吐後には内視鏡を使って確認すべきだったが、口の中や片側の気管支から吸引した吐物が少量だったことから誤嚥を見逃した。

 同センターは22年11月に外部委員を含む事故調査委員会を開催。23年3月に報告書を遺族に提出し、センターの対応に問題があったと認め謝罪した。24年3月、県議会での解決金支払いの議案可決を条件に和解した。県は関連議案を19日開会の県議会6月定例会に提出する。

 県庁で記者会見した小野裕之病院長は、複数の判断ミスが重なったことを認めた上で「心よりご冥福を申し上げるとともに、多大な心痛をおかけしたご家族には深くおわびする」と述べた。再発防止策として、緊急手術でも麻酔科医が担当の外科医と相談すること、麻酔導入時に嘔吐した場合は内視鏡で誤嚥の有無を確認することなどを示した。

2024年6月14日 静岡新聞

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