千葉県病院局は16日、県立5病院で2023年度、医療に起因して患者に大きな影響が出た「アクシデント」事案が前年度比11件増の94件発生し、うち患者が死亡したのは3病院の計10件、10人(前年度比1件増)だったと発表した。影響が小さかった「インシデント」事案は過去最多の1万1821件(同915件増)だった。
同局によると、患者が死亡したのは、がんセンター5件、佐原病院4件、循環器病センター1件。医療に起因することが疑われる予期せぬ死亡など、医療法における「医療事故」に該当する事案はなかった。
同局はアクシデントを3段階で分類。死亡は「レベル5」で10件、永続的な障害や後遺症は「レベル4」で12件、人工呼吸器の装着や手術、入院を必要とする処置や治療などは「レベル3b」で72件だった。
アクシデントの原因は、手術後の合併症などの「治療・処置」が最多の60件だった。続いて、転倒や禁食指示忘れといった「療養上の世話」が13件。
インシデントでは「療養上の世話」が最も多い3276件、次いで内服忘れや量・日時間違いなどの「薬剤」が3045件だった。
同局は調査委員会を設置していた21年発生の死亡事案1件、20年発生の術後脳梗塞事案1件の調査結果も公表。ともに医療過誤はなかったとした上で、主治医と家族間で口頭のみで承諾を得た患者への対応方針が病院内で情報共有されていなかった点など、それぞれ改善の余地があるとした。
同局は16年以降、医療の透明性確保などを目的に、各病院からの報告状況を年1回公表している。担当者は「人が行う以上、ミスはゼロにできない。再発防止や重大なアクシデントを減らすことを目的に、事案が発生した場合は報告するよう求めている」と話した。
2024年7月17日 千葉日報