医療裁判傍聴記

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<聖マリアンナ医大病院>精神保健指定医20人資格取り消し

2015-04-15 22:02:17 | 医療界
 聖マリアンナ医科大病院(川崎市)の医師が「精神保健指定医」の資格を不正に取得したとされる問題で、厚生労働省は15日、同病院に勤務するか過去に勤務していた医師計20人の指定医の資格を取り消すことを決めたと発表した。17日付で取り消される。指定医の取り消しは過去に3例あったが、一度に大量の指定医の資格が取り消されるのは初めて。

 精神保健指定医は、精神障害があり自分や他人を傷つけるおそれがある患者の強制入院や、身体拘束の可否を判断をするために必要な資格。資格取得には一定期間の実務経験に加え、資格を持つ指導医のもとで自ら診察した入院患者8例以上のリポートを厚労省に提出する必要がある。

 処分理由によると、処分された医師のうち11人は、自分で診断や治療に十分関与していない患者なのに、治療に関わったとの虚偽のリポートを提出した。残り9人はいずれも指導医で、11人が作成した虚偽のリポートについて、実際に治療を担当した患者か確認せず提出に必要な署名をした。同省は20人とも指定医として著しく不適切と判断した。医師らは「グループ診療や会議で出ていた症例なのでリポートにしても問題ないと思った」などと釈明しているという。

 厚労省によると、今年1月下旬、同病院に所属する医師から提出されたリポートの内容が、別の医師のリポートに酷似していることが発覚。病院に保管されていた過去5年のカルテの記載とつき合わせ、11人の不正を確認した。同省は先月27日に同病院に立ち入り検査を実施したが、組織的な関与は把握できなかったという。

 この問題を受け、同病院は調査委員会を設置して調査を進め、指摘を受けた医師を一般外来の初診から外した。神経精神科では今月から「外来診療および入院病床の確保・維持が極めて困難な状況になった」として診療体制を縮小しているという。

 厚労省によると、指定医には通院患者の診療などで通常の医師より高い診療報酬が支払われ、救急入院施設など一定数の指定医がいることを要件にした施設基準もある。2012年3月末で1万3880人の指定医がいるという。【桐野耕一、金秀蓮】

          ◇

 精神保健指定医の指定を取り消される医師は以下の通り(敬称略)。

 【申請時に不正があった医師】前泊味音▽柳田拓洋▽藤原圭亮▽北島麗▽板谷光希子▽野口美和▽斎藤香織▽天神朋美▽石川哲也▽田口篤▽渡辺高志

 【指導医として確認を怠った医師】貴家康男▽宇田川至▽田中大輔▽富永桂一朗▽三宅誕実▽関口悦子▽中野三穂▽金井重人▽荻野信

2015年4月15日21:36 毎日新聞


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