『蛍女』 藤崎慎吾 (ハヤカワ文庫JA)
2005年に発売された『ハイドゥナン』の前日譚にあたる小説。
こちらは2004年にソノラマ文庫から発売されたが、ソノラマ文庫廃刊に伴い、移籍してきたらしい。
MDやアンテナが引き出せる携帯電話など、ちょっとだけ古い小道具が出てくることに違和感があるが、『ハイドゥナン』の記述から舞台が2003年であることが推定されるらしい。2004年が初刊なのだから、あたりまえか。
話としては、リゾート開発に対して“天狗が怒る”というありがちなエコ小説に見えて、粘菌の特性や嫌気性細菌による地震など、最先端科学に裏打ちされたハードSFである。
エコ小説には胡散臭い自然礼賛小説が多いが、藤崎慎吾の場合は、自然を必要以上に神聖視せず、あくまでも天狗やオーサキ(神獣)の正体を科学的に探ろうとする姿勢が、SF作家らしい。
ところで、この小説にも出てくる粘菌の研究がイグ・ノーベル賞を取りました。《小さきもの》=細菌による地震発生説も、そのうちイグ・ノーベル賞、いや、本当のノーベル賞を獲る日が来るかも。
ちなみに、オーサキの正体とされるオコジョは、どちらかというと丸顔で狐っぽくないよね。
2005年に発売された『ハイドゥナン』の前日譚にあたる小説。
こちらは2004年にソノラマ文庫から発売されたが、ソノラマ文庫廃刊に伴い、移籍してきたらしい。
MDやアンテナが引き出せる携帯電話など、ちょっとだけ古い小道具が出てくることに違和感があるが、『ハイドゥナン』の記述から舞台が2003年であることが推定されるらしい。2004年が初刊なのだから、あたりまえか。
話としては、リゾート開発に対して“天狗が怒る”というありがちなエコ小説に見えて、粘菌の特性や嫌気性細菌による地震など、最先端科学に裏打ちされたハードSFである。
エコ小説には胡散臭い自然礼賛小説が多いが、藤崎慎吾の場合は、自然を必要以上に神聖視せず、あくまでも天狗やオーサキ(神獣)の正体を科学的に探ろうとする姿勢が、SF作家らしい。
ところで、この小説にも出てくる粘菌の研究がイグ・ノーベル賞を取りました。《小さきもの》=細菌による地震発生説も、そのうちイグ・ノーベル賞、いや、本当のノーベル賞を獲る日が来るかも。
ちなみに、オーサキの正体とされるオコジョは、どちらかというと丸顔で狐っぽくないよね。