神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[コンサ] 2013 J2 第21節 群馬 vs 札幌

2013-06-30 23:59:59 | コンサ

2013 J2 第21節 ザスパクサツ群馬 2-0 コンサドーレ札幌 @正田醤油スタジアム群馬

 

関東後援会のバスツアーで行ってきた。19:30キックオフということで、帰りの新宿到着予定時刻は24:45。終電に間に合わない場合は漏れなく朝まで宴会付き。

 

スタジアム到着と同時に聴こえてきた太鼓の音。もしやこれは札幌のチャント。開場から気合入っているなと思ったら、ちょうど選手バスが到着したところだったらしい。あいにく、ちょっとの差で選手は見られず。

試合開始前に珍しくチャントの歌唱指導。宮澤の曲は、ミヤザーワではなくミーヤーザワで、といういつもの指摘。岡本は原曲知らない人に原曲紹介。youtubeで無限の彼方へbyケムリを聴け。

今日のコールリーダーはずいぶんとご機嫌で、相手のコールリーダーの言葉尻を捕まえたり、バスガス爆発と叫んだり、遣りたい放題。たしかに、群馬は下位に低迷しているが、あんまりバカにするとフラグ立つぞ。

そして、相変わらずのセレモニークラッシャー。ゲストが何か歌っているのに、チャントを歌い続ける札幌。

札幌の布陣は深井が欠場で、宮澤+上里のダブルボランチ。ワントップに横野、その下に内村。サイドは岡本と荒野で、砂川をベンチスタートの切り札に。

守備では奈良が復帰で、櫛引がベンチ。松本は帰ってきても、上原がスタメン。このあたりの人選が、監督からの信頼度を反映しているというところが見えて面白い。

そして、なんと工藤が初ベンチ。早い時間にリードできたら登場するかも。

 

試合内容は目線が低すぎてほとんど見えなかったので、ビデオで見直し。

序盤はボールが落ち着かず、蹴り合いになってしまっている。特に、前二人に当てるボールがことごとくカットされる。サイド攻撃はうまくつながるのだが、クロスの精度が悪い。

時間がたつにつれてボールが収まるようにはなったが、上手く守られている。ボールの貰い手がもうちょっとうまく動いてマークを外さないと、パスカットを狙われ続ける。

攻撃では、左サイドの上原が高い位置まで走り込んでセンタリングとか、良いイメージのシーンが少なくなかった。しかし、とにかく、パスコースを読まれ過ぎ。内村にはずっとマークが付きっぱなしなので、それ以外の選手が頑張らないと、ボールが繋がらない。

上原はカウンターアタックのシーンがあったが、FWに戻る気ならばあれを自分で撃たないと。結果的に内村への横パスがミスパスになってみすみすチャンスをつぶしてしまった。

草津……じゃなかった、群馬の攻撃では、30分の平繁のシュートは怖かったぐらいで、他はほとんど抑え込んだ感じ。

前半は完全に札幌ペースに持って行けたと思うが、それにしてはシュートが少ない。結局、うまく守られた群馬ペースなのだろう。シュート数は3-5。

ハーフタイムには身体がうずいたのか、ピッチ練習を観にきた野々村社長がこぼれ球を蹴り込んだりとか。声をかけるサポと、それにこたえる社長。サポーターと相思相愛の野々村社長っていいな。

後半開始直後に平繁のゴール。現地だと何が起こったのか全く分からず。クリアボールかと思ったらシュート撃たれたイメージ。ビデオで見直すと、上原からのボールを上里がワンツーで戻そうとしたところをブロックされ、そこから平繁にパスが通った。最初、上原のミスと言われていたが、どう見ても悪いのは上里か、平繁を黙って見ていた他のDF。CB二人と宮澤の三角形の中心にできたエアーポケットにうまく入り込まれた。

ここから群馬が勢い付いてしまい、群馬ペースに。

そこでペースをかえるために砂川。一緒に工藤というのは結果的にどうだったのか。荒野と岡本がアウト。

工藤はストライカーとしてシュートを撃とうとする姿勢は良かった。何度もシュートチャンスを作ったが、あいにく精度が無かった。ネットの外側を掠るシュートが最大の見せ場。

横野のヘディングは綺麗に崩した攻撃の流れだったのだけれど、キーパーに阻まれる。

内村はボールを持つとDFにわっと囲まれるので、やはり周りが頑張らないと無理。

最後の手段で松本が入って横野がアウト。上原を前に出す。しかし、最近このパターンは当たってないんだよね。上原はサイドバックとしていい仕事ができるようになっただけに、別なオプションを考えた方がいいんじゃないか。結果的にも、俺の心情的にも、ここは榊を投入すべきだった。

そしてその松本がペナルティエリア内で相手を倒してPK。バックパスにプレッシャーをかけられ、ルーズボールを押さえに行ったところをアタックされた。相手ボールになってから後ろから倒したという判定だが、意図的なものではないのだろうけど、明らかに不用意。周りから声をかけてあげれば、もしかしたら防げたかもしれないが、ボケているとしかいいようが無い。

ここから必死になって頑張りを見せるが、遂に無得点で終了。ついでながら、群馬の選手がひとり退場してたが、現地では全く気付かず。

公式記録でのシュート数は7-10で打ち勝っているものの、結果は2-0の完敗。ポゼッションを奪えずにいても相手のミスで4点取ることもあれば、札幌ペースに持ち込んだように見えても2失点で負けることもある。本当にサッカーってわからん。

ロングパスの精度、クロスの精度、シュートの精度、いずれも足りないことを思い知らされた試合。ボールは持てているからといって、それだけで得点が取れるわけではない。得点を奪えなかった最大の問題はマークを外す動きができていなかったことか。群馬はパスコースを読んで、完全にパスカットを狙いに来ていた。

サポーターも相手を舐めすぎた。試合前の行動には、やっぱりフラグが立ってた。

試合後の挨拶では、久しぶりのブーイング。珍しく、砂川が野次に激昂。締めのタイミングを見失った感じで無理やり礼して終わり。

帰りのバスは荒れるかと思いきや、案外おとなしかった。みんな呆れてたのか。ロシアンビールをやったり、それなりに和やかな感じ。(2連敗しました!)

新宿到着は予定より早い23:45頃。終電に間に合った方は帰り、間に合っても飲む人たちは歌舞伎町へ消えたのでした。

なでしこサッカーと新日のオカダ対真壁を見ながら男前ジョッキ(1L)3杯までは覚えてるけど、そのあとが良くわからん。気が付いた時には西八王子だったよ。乗り換え駅を4駅乗り過ごし……。

 

 


[SF] オールクリア2

2013-06-29 00:10:01 | SF

『オールクリア2』 コニー・ウィリス (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

まさしく怒涛の解決篇。

『ブラックアウト』、『オールクリア1』、『オールクリア2』と続いたシリーズ(というより、一つの作品)において、これまで小説中のテーマであった誰もがヒーロー、ヒロインであるという部分よりも、なぜ3人の史学生(+ダンワージー先生)が第2次大戦下のロンドンに隔離され、戻れなくなってしまったのかという謎の真相がクローズアップされたミステリ解決篇のような様相。

しかし、その謎も二転三転のうえ七転八倒するくらいのどんでん返しがつぎつぎと襲ってくるので油断ができない。

前回の感想で書いたように、「ほら、やっぱりすべてダンワージーのせいじゃないか」という結論も一旦は出てくるので、逆にびっくりした。

『ブラックアウト』の最後に出てきたトラベラーは誰だったのか、マイクを探しに来た二人組は誰だったのかといった伏線をすべて回収しつつ、本当の救助チームが姿を現すに至る流れは、いろいろつじつまが合いすぎて、思わず絶叫したり。

イギリスがナチスの攻撃に持ちこたえ、最終的に勝利をつかむために必要だった最終兵器とはなんだったのか。その意味が分かった時の驚きと楽しさ。これも斜め上な真実で面白すぎる。時空連続体もふざけるのをいい加減にして欲しい(笑)

驚くべきことは、サー・ゴドフリーも、ビニーも、彼らが未来人ではないにしても、どこかへ帰らなければならない存在であることに気づいていたということだろう。だからこそ、あの物語が生まれたわけだ。

さらに、新たに1995年のパートが挿入され、ここがまた涙を誘う物語の終着駅となる。あきらめずに何年も憧れのポリーを探し続けたコリンの愛情と執念。そして、必然的な選択をしたアイリーンの優しさと使命感。

1995年のビニーがコリンの話を聞き、「まさか、そんなはずはない」と言った意味に思い当ったときが、一番の俺的感動のクライマックス。

時間的にも分量的にも長かったけれど、あまりの擦れ違いに途中でイライラして不愉快だったけれど、結末にたどり着いたときには本当に読んでよかったと思った。確かにSF賞を総なめにしたのも納得だ。

 


[SF] 第四の館

2013-06-28 23:59:07 | SF

『第四の館』 R・A・ラファティ (国書刊行会 未来の文学)

 

ラファティの作品は読んでもあんまり記憶に残っていないので、俺とは相性が悪いんじゃないかと思う。これもちょっと……。なるほど、わからん。

先に解説を読めばよかったのかもしれないが、キリスト教に何か関係がありそうということぐらいしかわからず。解説を読んでも、聖女テレサも『霊魂の城』も、そんなの聞いたこともないよという感じ。

〈再帰人〉はクトゥルー的な古き者で、パトリックはアメリカン・ゴッズ的な土着神かなとも考えていたのだけれど、結局のところ、そういうことではなさそう。

〈収穫者〉はいわゆる連接脳派(レナルズかよ!)の走りかとも思うのだけれど、もっとオカルティックだ。どちらかというと、テーブルについて降霊術で手をつないだ人たちのイメージ。『人間以上』のようなホモ・ゲシュタルトな進化というよりは、集団催眠の強化版。要するに、思考が繋がっている割には、参加者内での一体感が不足してるんじゃないかと思うのだよ。なので、小説内でもポジティブな進化というよりは、おぞましい仕業のように描かれているのではないか。そういえば、本物の悪魔バウボーはどうなったのか。あれはバウアーが悪魔的な思考にハマってしまったという比喩なのか、本当に悪魔だったのか。

一番わからないのはビディの父親のリチャード。彼は4つの勢力のどこにも属していないと思うのだけれど、いったい何者なのか。実は途中まで〈収穫者〉の中の一人だと思っていたので、話が合わなくなってしまった。しかし、ビディがリチャードの額から生まれたという話を読むと、思い出すのはなぜかエヴァンゲリオン(旧劇場版)だったりするのだよ。いや、キリスト教じゃなくって、ゼウスの額から生まれたアテナがモチーフなんだっけ?

4つのグループ、蛇、蛙、鷹、アナグマのイメージもいまいち理解しきれず。特に、マイケル・ファウンテンの演説の中で、蛙は雄牛のモチーフと同じとか言ってるそばから、戦いのイメージの中では雄牛が大蛇に変わったりするので、どこからどこまでが読み解きのためのモチーフとして理解していいやらよくわからないのが正直なところ。

そもそも、狂言回しとして出てくる同じ名前のミゲルとマイケルの演説は、なかなか興味深いのだけれど、どこまで小説内の真実を語っているのかが見えず、これも混乱の元。よく考えれば、同じ名前って同じ綴りなんじゃないのか、英語の本文だとどうやって区別してるんだこれ。ああ、MiguelとMichaelで綴りは違うのか。

まぁ、そんなこんなで、わからないからおもしろいという部分はあるにしろ、あまりにわからな過ぎて困ってしまう。

 


[コンサ] 2013 J2 第20節 札幌 vs 岐阜

2013-06-22 23:59:59 | コンサ

2013 J2 第20節 コンサドーレ札幌 4-0 FC岐阜 @スカパー

 

今日は厚別学祭。朝からtwitterのTLは「厚別が臭い」で大盛り上がり。アップされる写真もみんな楽しそう。俺たちが大学生のころはこんな企画は無かったよ(←コンサドーレもありません)

今日のワントップは横野。その下に内村。メンバー的には、前田、河合、奈良がお休みの状況で、俺も納得のベストメンバー。これで負けるならば、選手起用については何も文句は言えない。

岐阜にはGK高木がいて、なんと“秘密兵器”レモスがベンチに。さらには、まだ契約には至っていないが、岡山一成が練習に参加とか。札幌とは縁があるのかないのか。ついでに服部なんていう懐かしい選手もいて、さすがのJ2感が漂う。

 

前半キックオフ。

厚別は芝がまだ悪いようで、結構滑る。しかも、札幌の選手ばかり。午前中まで雨だったせいもあるのかもしれないが、ホームなのにまるでアウェイの洗礼。

そこで細かくパスを繋ぐのではなく、前線へのロングボールを多発。これを受ける横野が予想以上に良い。ヘッドで、胸で、競り勝って味方に落としてくれる。

しかし、横野のさばきはなかなか良いのだけれど、受け手と合わないことがしばしば。もうちょっと意思疎通するか、型にはめるか。もしかして横野がうまく狙ったところに落とせていないだけなのか。しかし、それをフォローしていかないと、チームとしてはまずいでしょ。

そうこう言ってるうちに、横野の落としから砂川がドリブル、こぼれ球をさらに内村がペナルティエリア内にドリブルで切れ込み、GKはかわしたもののDFに囲まれて終わりかと思ったら、タイミングをずらして落ち着いて決めた。なんとこれがホーム初ゴール。これで先制。

さらに上里のフリーキックから、高木がこぼすも、横野のキックは止められる。惜しい。

前半は完全に札幌ペース。しかし、札幌の攻撃が思い通りに行っているというより、岐阜が悪い。うちの選手のテクニックはすごいじゃないかと錯覚するぐらい。

 

後半は岐阜の動きが良くなる。プレッシャーもきつく、さすがに思い通りにはいかない。

しかし、岐阜DF野垣内からGK高木へのバックパスが横野へのスルーパスになって、横野がゴール。

さらにDFから岡本が掻っ攫い、内村へパスしてゴール。

4点目はカウンターから、荒野と横野が二人で抜け出し、最後は荒野の横パスに横野がゴール。

岐阜の攻撃は美尾のフリーキックが危なかったぐらいで、これは杉山がスーパーセーブ。しかし、杉山もその他の場面では、フィスティングではじくべきボールを手のひらで払い落として、これが相手に当たってゴール方向に飛ぶなど、まだまだ信頼を得るまではいけていない。

岐阜は美尾が交代してからは、さらにノーチャンス。後半の出だしが良かったぐらいで、まったくいいところなし。どうせならネタでレモスを出してくれても良かったのに。怖かったのは美尾だけで、それも後半25分に交代。2試合連続逆転勝ちの勢いはどこにいったやら。

結果的には大勝だったけれど、札幌の目指す形でゲームを進められたわけではなく、岐阜が勝手に大崩れしてくれた感じ。横野のワントップも効果的だったが、これが下位相手ではなく、J2でも上位のチームに対しても通じるのかどうかは懐疑的。

札幌にとっては勢いに乗れる勝利のはずなのだが、岐阜の例を考えれば、次の試合にこの勢いを続けられるかどうかは不明どころか難しい。これで9勝9敗2分のイーブン。J2は22チームなので、次の21節で一巡目が終了。相手は21位の群馬とは言え、安心できる相手はいない。

ってことで、終電に間に合わないことが確定している関東後援会バスツアーに参加しに行ってきます。勝っても負けても朝まで飲むよ(笑)

 

 


[SF] ガンパレードマーチ2K 5121小隊の日常III

2013-06-18 22:52:02 | SF

『ガンパレードマーチ2K 5121小隊の日常III』 榊涼介 (電撃ゲーム文庫)

 

5121小隊の休暇。東海岸での激戦から西海岸編開始までの中休み。

ワシントン政府、シアトル政府、そして日本の3者を巡る外交政策の一環で、シアトルに駐屯することだけに意味があるという状況。日本に帰還すること
も許されず、1か月の休暇を命ぜられる5121小隊の面々。

幻獣は出現せず、もちろん戦闘も無し。休暇を思い思いに楽しむ整備班と異なり、だからこそ、戸惑う戦闘斑。しかし、この休暇は彼らの心に蓄積されたダメージを回復するための大切な時間だった。

遠坂、田辺コンビや、田代も復帰して小隊メンバーが久し振りに大集合。もちろん、原日記やハンターの陰謀もあり。

もはや様式美にもなりつつあるが、こうやってワンクッション置くことで、西海岸編で待つであろう過酷な運命を予感させる。

それにしても、このシリーズも長いな。とっくに“史実”からは離れて別物になってしまっているが、それでも新しいファンが付き続けるというのも珍しいのではないか。

第5世界は第7世界から光の速さを越えて遠ざかる。その結果、第7世界には第5世界は宇宙の果てでいつまでも止まって見えるのだ。なんてね。

そういえば、すべての発端であるゲームはPSPでもダウンロードできるようになったんだっけ。久し振りにやってみようかな。

 


[SF] SFマガジン2013年7月号

2013-06-17 21:47:37 | SF

『S-Fマガジン 2013年7月号』 (早川書房)

 

特集「コニー・ウィリス特集」。

コニー・ウィリスはやっぱりおもしろい。その中でも、代表的なシリーズがオックスフォード大学史学部シリーズ。

最初に『ドゥームズデイ・ブック』を読んだときは衝撃的だった。SF的なネタというよりは黒死病時代のヨーロッパで、ただの史学部生でありながらペストに対して絶望的な戦いを挑むキヴリンの姿に感動した。それはもう、『JIN -仁-』どころの騒ぎじゃないわけで。「来てくださると思ってました」という最後のセリフは本当に感涙ものだった。

その時は、実は『わが愛しき娘たちよ』の著者と結びついていなくって、「見張り」が史学部シリーズだったというのも後から知ったんだったよな。

その後、『犬は勘定に入れません』がコメディで、『ブラックアウト』+『オールクリア』はサスペンス。どれもおもしろくて、途中から読み返してでさえ、引き込まれてしまう。『オールクリア2』も、さっさと入手しなければ。

もうひとつの特集は「攻殻機動隊特集」。すでに懐かしい未来になりつつある世界がさらに変貌を遂げ、新しく生まれ変わるらしい。でも、これはあんまり詳しくないので、ふーんという感じ。しかし、この特集のせいか、最寄りの書店では、この号は普通以上に売れていたようで、危うく入手できないところだった。まぁ、たまにはそういうこともあるか。


「エミリーの総て」 コニー・ウィリス
美少女ロボットは女優になりえるのか。いくつもの見方ができそうな事件ではあるが、メインの視点をハッピーエンドに持ってきているところが素晴らしい。おそらく、考えれば考えるほど深みにはまる罠を隠している。読み方が意地悪いだけ?

「ナイルに死す」 コニー・ウィリス
本当に死んだのか、目覚めない夢なのか。悪夢っぽいショートストーリー。エジプト好きで、行ったこともあるので笑いながら読んでしまった。

「天の誉れ」 菅浩江
自分自身による思考の矯正。これを悍ましいと思うかどうかは、確かに微妙ではあるが……。個人的には、やっぱり気持ち悪い。

「偽アカシヤ年代記(第2部)[後篇]」 野阿梓
諦めました。単行本が出たら読む。

 


[SF] ヨハネスブルグの天使たち

2013-06-17 21:09:44 | SF

『ヨハネスブルグの天使たち』 宮内悠介 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

 

敢えて言うけれども、この小説は美少女の夕立、次々と落ちていく美少女型ロボットという情景を書くためだけに書かれた作品なんじゃないかと思う。それぐらい、このモチーフは強烈だ。

短編連作の中で、美少女ロボットDX9は落ち続ける。ヨハネスブルグの廃墟と化したマンションから、911を再現するために再建されたツインタワーから、落下傘降下でアフガンの空から、イエメンの脆い土壁の摩天楼から、そして、東京の下町に広がる団地の屋上から。

DX9は言わずと知れたYAMAHAのシンセサイザーの名機だ。そして、この名前が唄うために作られた美少女型ロボットに付与されたとき、当然のようにそこにはYAMAHAのVOCALOIDが浮かび上がる。宮内氏は隠れボカロPなんだそうな。さもありなん。

落ち行く美少女の情景に、さらに“テロ”というテーマが付与される。美少女とはまったく正反対に位置するテーマかもしれない。泥沼の宗教戦争、民族差別と内戦。そのミスマッチが読者の心をひっかく不協和音になって襲い掛かる。

その違和感は第2話の「ロワーサイドの幽霊たち」で顕著だ。ちょっとした叙述トリックにもなっているのだが、そのときツインタワーにいたのは、1700人の犠牲者ではなく、服装こそ違えど、まったく同じ顔をした美少女ロボットだったのだ。オフィスで働く人々も、屋上レストランで会合を持とうとしていた資産家たちも、飛行機の乗客やハイジャック犯ですら、まったく同じ顔の美少女。

このグロテスクさと、911再演の理由が明らかになる最後のメッセージの暖かさが、さらなるギャップを生み、耳障りな不協和音をけたたましく奏で続ける。

中途半端なガジェットとして持ち込まれた“事象の種”も、人格転写と失敗した自爆テロが生み出した二つの人格も、その他のSF的くすぐりネタのすべては落ち行く美少女ロボットの圧倒的なイメージの前に色褪せていく。

ちまたでは伊藤計劃の『虐殺器官』を継承するとかいう論調のレビューをよく見るのだけれど、果たして本当にそうか。

個人的な感想で言えば、伊藤計劃の方がより観念的であり、宮内悠介の方がより視覚的だと思う。さらには、一本のメッセージ性がより明確な『虐殺器官』に対し、『ヨハネスブルグ~』はモチーフのパッチワークであるともいえる。

多数の印象的なモチーフをパッチワークのように散りばめることによって現れてくる絵柄は、まるでロールシャッハ・テストのように読者の心から何かを引き出し、それが呼び水となって、さらに取り留めのない思いを噴き出させる。それは自分の強い想いを作品に託した伊藤計劃とは、ちょっと異なるんじゃないか。

そういった意味では、二人の作家の類似性は他人のそら似で、本質的にはまったく違う作家性を持っているんじゃないかと思う。

とか言いつつ、『盤上の夜』すらまだ読んでないので、評価をひっくり返すかしれませんけどね。

 

 


[コンサ] 2013 J2 第19節 札幌 vs 富山

2013-06-15 23:59:59 | コンサ

2013 J2 第19節 コンサドーレ札幌 1-0 カターレ富山 @スカパー

 

厚別は晴れ。午前中は雨だったらしいが、風も無く、絶好のコンディションになった。雨上がりのピッチはボールが走るので、これがいい方向に働けばいいのだが。ピッチの荒れもだいぶ落ち着いてきたようで、今日はちょっと期待できそう。

今日のキャプテンは内村。松本が出場停止で、左SBに上原。前田が負傷でワントップは横野が復活。深井がドナドナ帰りのせいか、なんとボランチが上里と砂川!? 宮澤はベンチスタート。

ホームのいいところは、ちゃんと控えが7人いるところ。これでスタメンでもちょっと冒険ができるのだろう。

 

キックオフ直後からのやっちまえコール。「厚別で勝て」のダンマクとともに、サポーターも気合が入る。

前半早々に富山の西川が負傷交代。このアクシデントが富山を混乱させたこともあってか、直後に上原のサイドアタックからボランチの位置に入った砂川がゴール。クロスはマイナスの方向に流れ過ぎたかと思ったが、砂川がいい位置でフリーだった。ニアでDFを引っ張ってつぶれた荒野も影の功労者。

富山はパスサッカー。細かくつないでくるが、返ってミスが多くなる。しかし、札幌のディフェンスも甘く、能動的にボールを奪うようなディフェンスにはなっていない。敢えて言えば、結果オーライな感じの守備。

攻撃では両サイドの前が消え気味。ロングボールが横野にはいったり、内村がサイドに開いたり。もうちょっとサイド攻撃の意識を持た方がいい。実際、岡本にボールが入れば確実にチャンスを作れる。

両サイドハーフが不調な代わりに、上原がいい。もうSB専任でがんばった方がいいんじゃないか。セットプレーだけなら、FWの位置に入る必要も無いだろう。

前半はシュート数 5-1と、ほぼ札幌ペースだったものの、札幌がいいわけではなく、富山がさらに悪いだけ。

 

後半開始時から奈良に替えて櫛引。奈良は太腿の付け根を痛めた模様。ダイナミックさでは負けるものの、安定性では櫛引の方が上のように見える。そのままレギュラーを奪ってしまえ。

後半は前半よりも両サイドの岡本、荒野が機能し出して、さらに札幌ペースが強まったが、いかんせんもったいないミスが多すぎて、みすみすチャンスをつぶす。さらに、横野にボールが入らずに消え気味。真ん中だけとか、サイドだけとかどうしてバランスよく攻められないのか。

後半始まって間もないうちに、動きがどんどん鈍くなっていく。確かに気温は高そうだが、まだ疲れているというほどでもなさそうなのに。1点のリードで満足している場合じゃないだろう。

そこで、岡本に替えて深井。あら、岡本は後半一番良かったと思うけど。相変わらず、賛成できない選手起用。これで砂川が前に出る。

その後も、札幌ペースで進むものの、ラストパスが繋がらずにビッグチャンスも特になし。

終了間際に砂川アウトで榊イン。どうしても追加点が欲しいというようには見えない采配。

 

完全にペースをつかんでいたように見えるけれど、もったいないミスが多すぎて1点どまり。なんとか勝ったが、内容的にはいまひとつ。シュート数も 13-3 と圧倒的。しかし、そんなに押しているようにも見えなかった。やはり、相手が悪かっただけ。

しかし、1回勝ってしまえば、このあと気持ちよく勝てるようになったりしないものか。次節もホーム。相手も下位の岐阜。安心できる相手ではないが、ホーム連勝の期待は大きい。

 

 


[SF] 悪魔の星

2013-06-13 23:45:14 | SF

[SF] 悪魔の星

『悪魔の星』 ジェイムズ・ブリッシュ (創元推理文庫)

 

 

古本。現在は創元SF文庫で再刊されているが、手元にあるのは創元推理文庫版。1959年のヒューゴー賞受賞作。

宗教が無いにも関わらず、心優しく倫理観にあふれた異星人。すなわち、そこは神の存在が不要な世界。リチア星を訪れた調査団のひとり、科学者であり神父であるサンチェスは、この星を“悪魔の星”ではないかと考える。

神の不在は悪魔の存在とイコールになるわけではないのだが、神の存在を自明とした場合には、それを否定することは悪魔的であるが故の不思議な論理により、この穏やかな星は悪魔の星ということになってしまう。

リチア人の生態は非常に不思議なもので、卵で生まれ、育児嚢で孵化し、海へ還り、そこから進化の道筋を“再演”する。哺乳類が子宮の中で疑似的に再演する壮大なストーリーを、子供から大人への成長の過程で実演してしまうのだ。そして、天敵に捕食されずにめでたく大人となった暁には、理知的で穏やかなリチア人へと変態する。

第一部ではリチアの閉鎖が決定され、調査団は地球へと引き上げる。このとき、サンチェスは親しくなったリチア人から、ひとつの卵を託される。

第二部では卵から孵ったリチア人の子供が成長し、エグトヴェルチと名付けられる。

エグトヴェルチはリチア人のようには育たず、地球人のように考える。リチア人がリチア人となるのは、大人のリチア人を観察し続けた結果なのだろう。エグトヴェルチは周囲の地球人を観察し続けた。その結果、母性のリチア人とは異なる存在へと成長を遂げた。

エグトヴェルチは煽動家となり、社会を混乱に陥れる。このあたりの記述が曖昧だったり混乱してたりするのは訳のせいかなんなのか非常にわかりづらく、どうしてそれが可能だったのかはいまひとつよくわからない。

しかし、これによって法皇もリチアを悪魔の星と認め、サンチェスへ悪魔祓いを命じる。

エグトヴェルチは親とのコミュニケーションを拒否し、リチア人であることを否定する。そして、地球上で悪魔として追われた彼は、ついにリチアへと向かう。

その頃、悪魔の星では、核実験を行う調査団が再訪し、滅亡への道を突き進んでいた。


エグトヴェルチが悪魔的な振る舞いに至ったのはなぜか。いったい、悪魔の星とはどちらのことか。

原題は「A Case of Conscience」。道義上の問題、もしくは、良心の事例。

ブリッシュのあとがきでは、「わたしの意図は人間について書くことであって、教義を云々することではなかったのだ」と記されている。すなわち、この小説は、おおかたの評判に反して、宗教SFでも神学SFでもないのかもしれない。

 

 


[SF] MM9 ─destruction─

2013-06-13 23:37:48 | SF

『MM9 ─destruction─』 山本弘 (東京創元社)

 

自然災害の原因が怪獣である世界。科特隊ならぬ気特対が活躍するシリーズの第3弾。といっても、今回、気特対は脇役で、人知を超えた怪獣大決戦が繰り広げられる。

この小説のおもしろいところは、怪獣の存在を肯定するために、ビッグバン世界と神話世界によるせめぎ合いという概念を持ち込んだこと。これはイーガンが「ルミナス」とかで書いたような物理法則が異なる世界同士の戦いなわけで、立派なSFなのだ。

ビッグバン世界とは、我々の世界と同様のビッグバンから始まり、相対性理論と量子理論が成り立つ世界。一方、神話世界は相対性理論どころか、質量保存則や熱力学第2法則も成り立たない神話の世界。すなわち、怪獣は神話世界からの侵略者と位置付けられる。

そして、舞台となる世界は、神話世界からビッグバン世界へと切り替わった世界であり、神話として語られる物語は過去に実際にあった歴史であることになっている。

神話と絡めて語られるのが、女系社会の歴史。かつて、英雄は女性だった。それが、男系社会へと移り変わるうちに、英雄の性別は変えられ、真の主人公であるヒロインは脇役へと追いやられた。

それはまさしく、歴史の簒奪、世界の侵略。

日本やギリシアを含めた世界各地の神話の類似性と、物語的簒奪による侵略の謎解きはそれだけを題材にしたノンフィクションとして読んでも、すこぶる面白い。

さらにそこに、量子力学の“観察者効果”による確率の収束ですら世界侵略であるという視点まで飛び出すのだから、これは本当にすごいSF。

それだけではなく、もちろん、著者の怪獣愛に溢れたオマージュが膨大に織り込まれていて、元ネタを探すだけでも楽しい。

例えば、表紙の怪獣はキングジョーですね。ウルトラマンのオマージュである巨大ビキニ少女のヒメが金属膜で覆われてしまうのは、どう見てもウルトラマンエースの「全滅! ウルトラ5兄弟」。

そんな感じで、ゴモラ、ガメラ、モスラ、ガイガンと、もうなんでもありの怪獣大決戦。

残念なのは、人間の少年(ハーレム状態)の描写がぎこちないというか、こなれていない感じのところ。やっぱり怪獣が出てこないシーンはなんだか素人っぽいぞ。

まぁ何にしても、高度にハードSFな事象によって発生する地球どころか宇宙全体の危機を、神話の再現である怪獣大決戦で乗り越えるなんていう、怪獣マニアにはたまらない小説だった。シリアスものなのに、ゲラゲラ笑ってしまいそうになる。著者もきっと楽しんで書いたのだろう。


[蛇足]
阪神大震災は怪獣のせいになっているのに、福島の原発事故はちゃんと津波のせいになっていた。さすがに、これを怪獣のせいにするというのは不謹慎ということか。いや、ちょっと待てよ、その津波を引き起こしたのは怪獣だったとか……?