神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] ミカイールの階梯

2009-06-30 22:01:18 | SF
『ミカイールの階梯(上下)』 仁木 稔 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)




ちょっと前に読み終えていたのだが、いろいろあって感想アップが遅れた。なんというか、消化不良気味のせいなんだが。

グアルディア』、『ラ・イストリア』に続く《イストリア・シリーズ》第3作。今度の舞台はソ連の亡霊とイスラムの末裔がしのぎを削る中央アジア。世界を分断する使途の名前はミカイール。

仁木稔の作品はいろんな意味でイタイ。いや、ほんと、痛い。

この作品は、現実の合わせ鏡のフィクションとして、ジェンダー、テロ、貧富格差、全体主義、宗教……。現実に存在する様々な問題をストレートな文体で描写していく。

主人公の一人は半陰陽でBLだし、女性だけが自爆テロの遂行者にしたてられるし、戦闘美少女はプロパガンダに使われる。
赤い髪の少女と金髪の少女が黄金の瞳を持つ少女を賭けて決闘するという極めてラノベ的モチーフのもとで、半陰陽のおとこおんなが、少女が闘うという意味を冷静に語るのだ。

そして、そこには、明確な善悪や正邪の決め付けはない。
ヒーローは悪魔であり、救世主は疫病みの王であり、憎しみは愛情の裏返しで、戦いは理想ではなくエゴのために発生する。
そんな混沌とした世の中で、少女の友情だけが純粋にキラメくわけで、それさえも、「女の友情は男の友情よりも弱い」という通説を踏まえたパロディに見えてくる。

いやはや、なんというか、トンデモなく深いのか、トンデモなく薄っぺらいのか、判断に困る。

同じくJコレ収録の『グアルディア』を読んだときに、2chのSFスレで褒めたら総叩きを食らったのも懐かしい思い出だが、表面上の中二病的痛さの下に、何か深い罠が隠されているようには感じる。それはどちらかというと、地の文よりも、登場人物たちの何気ない会話の中に浮かび上がってくるようなことが多い。

かといって、著者本人のブログを読んでみたら、想定外なネタバレ的記載があって、やっぱり自分が深読みのし過ぎなんじゃないかという不安にも駆られてしまう。

ただひとつ言えることは、あまりにストレートな問題提起に惑わされるなということ。そこには何も無い。ただ、読者の側に共鳴する“何か”があった場合は、グッサリと露骨に抉ってくる何かがある。それが狙いなのか偶然なのかは、相変わらずよくわからないのだけど……。

最後に、一番主人公っぽいはずのセルゲイには、今回明かされなかった謎が露骨に存在する。これも、『グアルディア』に対する『ラ・イストリア』のように、前日譚か後日譚があるのだろうか。世界も12使途で分断されているので、これから先、10個の舞台が用意されているのかも。



[映画] ターミネーター4(ネタバレ注意)

2009-06-28 21:17:05 | 映画
『ターミネーター4』 - goo 映画



いろいろ期待していっただけに、チョー残念な映画に見えてしまいました。
評価高すぎなんじゃないでしょうか。
このシリーズの最高傑作は第1作で、SF的にも、映画的にも、これを越えることができてませんよ。

この映画の一番の見所は、黒人少女が安室奈美恵にそっくり(そう思わない?)なことぐらいじゃないだろうか。

高く評価している人は何がしかのメッセージを受け取ったようだけど、あんな露骨な台詞だけのものにメッセージ性だなんて、免疫なさすぎと思うんだけど。いまどきのラノベ読んだら目を回すんじゃね。しかも、その手のものを子供くさいとかバカにしてそうだ(笑)

見ていて何が問題って、わからないことが多すぎ。

スカイネットはなんで人間を捕獲して集めていたのか。使わないなら、その場で殺せばいいじゃん。
スカイネットはマーカスに何をさせたかったのか。まさか、意識が人間のままだということに気付いていなかったのか?
レジスタンスとスカイネットの力関係も良くわからんし。あんなふうに膠着するぐらい匹敵するには、レジスタンス側も相当な工業力がいるだろうに。

SFは荒唐無稽な設定だけに、そこにどれだけ説得力、本当ぽっさを持たせられるかということが勝負なんだけど、この映画では説得力を前作までの了解事項に頼りきっていて、ずいぶんズルをしているように思える。

たとえば、T-600とT-800とマーカスの性能差はどうなのよ。
マーカスみたいなのを出すなら、ロボット型ターミネータの失敗を踏まえた後だろ。原型は過去に研究していたものであってもだ。
あの世界なら、機械軍絶好調じゃん。まだターミネーター計画も失敗してないじゃん。
そもそも、機械軍が負けそうだからターミネーター計画が始まったんじゃなかったっけ?
それなら逆に、マーカスで失敗したから完全に非人間的なT-800を作るとかにつなげるとかさ。

とか言いつつ、思い出しながら書いていると、もしかしてあれはあそこに繋がるのかとか、考えられるところはあるんだけど、やっぱり不自然すぎる。

第5作、第6作と続いて、ターミネーター未来編三部作になるらしいが、このへんの不自然さがすべて伏線として回収されるならば、大喝采である。もちろん、すべて無かったことになったら大ブーイングなんだけど、その方が確率高そう(笑)

そして、最後に気になること。
ラストシーンのジョンの顔の傷、手術中の方が古傷になってなかった?
実はあれはスカイネット大爆発の直後じゃなくて、第6作とかまで引っ張って、それまでにマーカスの心理変化を中心に描いていくとか。でも、それだと、子役が育ち過ぎちゃうか。
そうでなければ、譫妄状態のジョンが見た夢だとか?


[SF] 遠いうねり

2009-06-28 20:39:10 | SF
『遠いうねり(グイン・サーガ127)』 栗本薫 (ハヤカワ文庫 JA)




グイン・サーガ 127巻。
世界最長の物語も、つにこれで終焉かと思うと、万感に迫る思いがある。
しかし、残念なことに、この巻で描かれるのは新しいエピソードの冒頭部分まででしかない。
この物語の結末を、我々は知ることができない。

イシュトヴァーンとリンダの焼けぼっくいの行方も……
黒死病に曝されるサイロンのグインとシルヴィアの行方も……
ヤガでミロク教徒に捉えられたスカールとヨナの行方も……

そんなに急激に教義が変わったのを誰も知らないわけ無いじゃんとか、相変わらず突っ込みがいの多い展開なのだが、まるで初期の外伝のようなファンタジックなヤガの街は魅力たっぷりで素晴らしい。この先が読めないなんて、返す返すも残念すぎる。

歴史書みたいな形でいいから、最後にはどう繋がるのか知りたいものだ。
息子の人とか、ファンクラブの人とかが書き継ぐみたいな話もあるみたいだが、小説として続けるのは勘弁して欲しいかも。
そりゃ、出れば買うけど。

同様に、第一部完結で著者、野田昌宏逝去により尻切れの《銀河乞食軍団》は弟子がシェアワールド化しましたが、まだ買ってないです。あっちはどうなんだろう。



[コンサ] カルナヴァルは続いている

2009-06-28 09:19:14 | コンサ
さあ行け札幌 カルナヴァルの始まり
歌い叫び狂え 飛び跳ねろ
抑えきれぬこの情熱は たとえ敗れようと変わらない
ララララーラララ ララララーラララ
ララララーラララ ララララーラララ

2009年シーズンの応援新曲、『カルナヴァルの始まり』。(youtube
この曲がお披露目されたとき、歌詞の中に“敗れる”という言葉が入っていることで、サポ間でちょっとした議論がまき起こった。

「最初から負けるつもりで戦うのか?」
「負けてもいいと思っているのか?」

それでも、ウルトラスはこう言った。
この歌詞は去年を知っている札幌だからこそ、意味がある、と。

負けが続き、1年でのJ2降格が早々と決定し、ぶっちぎりの最下位で終わった去年。
降格決定前ではなく、降格決定後に、フロントへのメッセージを込めた応援自粛を行った去年。
その中から生まれたのが、この唄。


ここしばらく、この曲を歌っていない。
調子が良かった頃には、周知の意味も込めて頻繁に歌われていたのに。
しかし、今こそ、この曲を歌うべきではないのか?

抑えきれぬこの情熱は、たとえ残り10分で同点にされようと、残り10分で逆転負けしようと、たとえボロボロに敗れようと、変わらないはずなんだろ!


ダニルソンが強烈な2発を見せ付けたプレシーズンマッチ。
そして、開幕初戦で石井が見せたダイビングヘッドによる初シュート。(外れたけど)
今年もカルナヴァルは始まった。

……そして、まだ終わっていない。


[コンサ] J2第24節:ベガルタ仙台 - コンサドーレ札幌

2009-06-27 23:57:40 | コンサ
J2第24節:ベガルタ仙台 1-1 コンサドーレ札幌 @宮城スタジアム

上里のニアへのクロスなんだかシュートなんだかわからないシュートで先制するも、残り10分でマークミスから失点。
デジャブというか、てんどんというか。笑えませんけど。

今日はビッグフラッグあり、コンコースでのサポ集会あり、かなり気合の入った応援だったにもかかわらず、結果は変わらず。

試合内容は、湘南戦も仙台戦も、けして悪くは無い。問題は、最後の最後に失点してしまうこと。
4-5-1に戻してもダメ、3-5-2に変えてもダメ。
というか、固定的な形を作るのではなく、試合内容で流動的にすりゃいいじゃんと思うんだが。

今日は真夏の太陽ギラギラな感じで、とにかく暑かったのだけど、湿度はそんなに高くなかったはず。これで暑さを理由にされたら、7月末から8月頭の厚別もダメだろう。

いずれにしろ、後半に宮澤、上里、ソンファン、吉弘あたりがバテて、マークをはずしたり追いつけなかったりするわけなのだから、守備の控え選手を計算に入れた試合運びが必要なんだと思うんですが、どうなんですか、石さん!



ちなみに、アルバム公開しました。⇒ http://photofriend.jp/album/list/55341/

[コンサ] J2第23節:コンサドーレ札幌 - 横浜FC

2009-06-24 21:20:40 | コンサ
J2第23節:コンサドーレ札幌 1-1 横浜FC @スカパー

すげぇ。さすが引き分けの聖地、厚別。
ただし、今日は終了間際に失点じゃなくて、後半開始直後のPK献上。
いや、西嶋は悪くない。あれはレフリーがおかしい。
問題なのは、横浜FC相手に1点しか獲れなかったことだろう。

見ていると、個人の技術は札幌の方が悪いくらいだった。
トラップが流れる。ボールが思ったところに蹴れない。
三浦時代でも、柳下時代より技術練習が減ってヘタになったと言われていたけど、J一年生の栃木FCぐらいだな、技術的に勝っていると思えるのは。もちろん、外人助っ人は除くだが。

今日も3バックで中山元気登場の時間帯が、一番良かったかな。
しかし、中山が活躍すればするほど、中山の評価が上がるのではなく、他の選手の評価が下がる不思議。
そりゃ怪我明けの選手が急激にうまくなっているはずもなく、去年の中山を考えれば、中山ほどもできない他の選手ってなんなの、ってことになる。

曽田はどうなんだろう。復帰したら中山以上にキレキレで、CBにFWに大活躍だったら泣いて踊る。

一方の箕輪は、また怪我が悪化で再手術とのこと。今季絶望。
曽田、箕輪を当てにしてセンターバックを獲らなかったのが最大の敗因で、シーズン前から勝負は決まっていたということか。

こうなった以上、他のセンターバックを移籍金払って獲得しろとは言わない。むしろ止めろ。
それよりも、柴田、堀田、岩沼を試合で使って欲しい。使えなくても使って欲しい。
今年は育成の年。
そう割り切るしかない。






[SF] メトセラの子ら

2009-06-22 22:00:36 | SF
『メトセラの子ら』 ロバート・A・ハインライン (ハヤカワ文庫 SF)


去年買った復刊本の積読消化。

中学生くらいに読んだはずなんだけど、こんな話だったっけという感想。

第一部と第二部でまったく別の話に分かれている。
第一部は不老不死の秘密を隠しているとして、地球で迫害された長命族が恒星間宇宙船(世代宇宙船!)を奪って脱出するお話。
第二部は脱出した先で異星人の神とファーストコンタクトして、なんだかんだで地球へ戻ってくるお話。

差別問題とか迫害とかの問題意識を表層に浮かべつつも、話はサッサと進んでいく。
これが90年代から00年代のアメリカSFだと、家族の問題だとか、父親を越えるとか、母親と和解するとか、うざったい話が続くはずなのだが、長命族は家族という単位での思想が薄く、親子のつながりでさえも、長命族内の同胞意識とくらべて希薄である。そりゃ、出会って恋に落ちたら曾孫だったという世界だから仕方が無い(笑)

そして、長命族の生きる道が恒星探査というのが、今でも目から鱗的な発想なんじゃないだろうか。
まぁ、恒星探査したいから不老不死の技術が欲しいというのもおかしいのかもしれないけど。

第二部に出てくる異性人もすごい。ある意味、『幼年期の終わり』に対抗するオーバーロードの登場だ。
まったく理解あえないけど、ほとんど全知全能

なんだかんだで誤解が解けて、エデンのごとき楽園に住まわせてもらっても、知恵の実などとっくに口にしている長命族は楽園の生活に耐えられずに、ここからも脱出しようとする。しかし、その行き先が新たなる未知の世界ではなく、母なる地球の緑の丘というあたりが、なんとも。

地球へ戻ったあとの展開も、記憶になかったので、結構ぶっ飛び。まぁ、感動的なラストではあるが。

さらに、巻末に付記されているSF大会でのハインラインのスピーチがすばらしく、これを読むだけでも価値がある。

「事実とは、1941年7月4日のこの瞬間より以前におこったことであり、この瞬間より後のことはみな非事実です。ほとんどの人はそのふたつを区別できず、明日の朝おきて食事をするだろうことを事実と見なしています。かれらは事実と非事実のあいだの違いを完全にこんがらがらせており、特にこのごろの人々は、事実、非事実、理論、主義、学、そして自然の法則をひどくこんがらがらせています」

今から68年も前のSF大会でのスピーチである。古びているどころか、なんと現代的であろうか。そして、なんとインターネッツ(笑)的であろうか。いろんな意味で自戒したい言葉だ。

ついでに、敢えてここを引用しよう。
「私の考えるところ、SF雑誌の中で最も陳腐な作品でも、アンソニイ・アドバーズの全作品、『風と共に去りぬ』に優ります。少なくとも、そこには未来を予測しようという人間らしい試みがはっきりあるからという意味です。」

「ライトノベルに携わる人々は今一度「風と共に去りぬ」を読むといい」なんてエントリを書いた奴が、実はこれを下敷きにしていたのなら尊敬する(笑)



ところで、結局、第一部しか記憶に無かったんだが、もしかしてダイジェスト版でしか読んでなかったんだろうか。

[SF] 12モンキーズ

2009-06-22 21:35:14 | SF
『12モンキーズ』 エリザベス・ハンド (ハヤカワ文庫SF)


積読消化。
なんと映画のノベライズ版とはいえ、著者がエリザベス・ハンドで訳者が野田昌宏という豪華キャスト。


映画『12モンキーズ』はわけのわからない映画として有名だが、ノベライズを読めば12の意味と猿の意味がわかる、と聞いていたのだけど……。

記憶にある限り、映画とそっくりそのまま。よくある、ノベライズで換骨堕胎とか再構築とかされて別物になったものとは異なる。逆に、映画を見てもわからないものは、ノベライズを読んでもわからない。

コールが聞いた声はなんなのか?
最後に世界は救われたのか、終わったのか?
そして、なんで12匹の猿なのか。

さっぱりわかりませんのことあるよ。
もしかして、コールのタイムトラベル込みで、全部仕込まれたことだったというオチなのか?


[コンサ] J2第22節:湘南ベルマーレ - コンサドーレ札幌

2009-06-21 23:02:22 | コンサ
J2第22節:湘南ベルマーレ 3-2 コンサドーレ札幌 @平塚

今日は初めて女の子と観にいきました。
いろいろ勝手が違ってアレでしたが、いろんな意味でドキドキしました。
そんなわけで、感想は後日。

負けたけど、それなりに楽しんでいただけたようでなにより。
湘南が首位ということを伝えたら、「すごいね、札幌もがんばってるじゃん」みたいなこと言われた。
これからは我々もそういう想いで試合を見なきゃいかんなと思った。


<追記>

スカパーで見直したので感想追記。

現地で思ったより、いいサッカーをやっていた。特に前半、ミスが多くてダメダメ感があったのだけど、TVで見たらまったく問題ない。前半終了間際など、2点ぐらい入ってても不思議はなかった。

しかし、最後の10分間が問題。同点にされた後、疲れが一気に出たんだろうか。

1失点目の宮澤、2失点目の西澤、この二人のクリアがオウンゴールならぬ、オウンアシストになってしまっている。これは湘南との勢いの差が出た結果なのかもしれない。

また、ロングボールの処理。札幌はロングボールに弱いと相手チームに分析されているが、センターバックが高さに弱いのではない。ロングボールの出所を警戒していないのだ。2失点目の上里を見よ。いったいなんのつもりだ。

3失点目は完全なマークミス。これには語る言葉が無い。敢えて言えば、ボランチが捕まえていなければならないケース。また西嶋かと言っている奴は目が悪い。

攻撃では宮澤に限らず、ゴールが見えたらシュートの習慣をつけないといかんな。ボランチだって、もっとゴール前にあがっていかなければならない。4-2-3-1だと、どうしても前の枚数が足りないのだ。4-1-4-1くらいの気持ちで、ボランチ2枚のうちのどちらかがゴール前に飛び込んでいけば、もっとチャンスは生まれるはずなんだが。

なんだか、褒めるつもりが、結局貶してしまったが、J2中位チームとしてはまったく問題ない。むしろ良くやったと言ってよい。

後は、この結果を選手がどう受け止めるかだけなのだ。

</追記>

オーストラリア 2-1 日本

2009-06-17 21:11:39 | Weblog
ブーーーー

飛車角どころか金二枚落ちくらいの日本だったが、またケーヒルかよ。

守れない。攻められない。
完全に力負けじゃん。
こんなんじゃ、ワールドカップで1勝すら無理。

阿部がなぁ。
橋本がなぁ。
今野がなぁ。

ブーブーブーーーーーー!