特集は「2000点到達記念特集 ハヤカワ文庫SF総解説 PART3[1001~2000]」。これで遂に完結。さぞかし大変だったことでしょう。お疲れ様です。
このあたりは読んでる本が増えてくるのだけれど、明らかに本棚にあるのに、内容を覚えていないものが多すぎる。どちらかというと、古い、いわゆる名作と呼ばれるのもの方が記憶に残っているのは、ガイドブック記事やなにやらで何度も記憶が強化されているからなんだろうか。
ブログをはじめた後は、記憶には無くてもブログ記事が残っているものがあって、その内容もまったく覚えてなかったりするので、すごく面白い。ほとんど記憶喪失レベル。というか、実は宇宙人がなり代わってるのかもしれない。
他の記事の中で面白かったのは、伊藤計劃を取り上げた「エンタメSFファンタジイの構造」(飯田一史)。残念ながら、これが最終回。なんだかんだ言われているけれど、伊藤計劃のやっていることはオーソドックスな王道だからな。アクションSFの新人賞を、というのは良い提言だとは思うけれど、今でも他で充分、間に合っているからいらないという反論はありそう。
確かに、リアルフィクションの頃はSF界が冬の時代だったせいで、いろんなところから人材を持ってきてたし、それはそれで多様性があって面白かった。ただ、それ以上にSFコンテスト出身者の小説は面白いし、今号で紹介されている『我もまたアルカディアにあり』の江波光則とか、リアルフィクションの系列も継続しているわけだし。
あと、山田某と並べて、有川浩の『図書館戦争』を、外側が描かれない例として並べるのはやめて欲しい。あれは『華氏451』を下敷きに、当時の表現規制法制化への動きに対する批判を込めたまともな近未来SFじゃないか。
○「変身障害 《TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE》」 藤崎慎吾
やっぱり、梅に鶯、牡丹に唐獅子。和室にちゃぶ台とくればメトロン星人だよね。
○「縫い針の道」ケイトリン・R・キアナン/鈴木 潤訳
頭がぼけてて意味がわかりません。解説プリーズ。“縫い針の道”が出てくるのは有名なグリム童話じゃなくて、フランス民話版なのか。
○「と、ある日の解凍」 宮崎夏次系
なんか怒りつつ、ちょっとうれしいのだよね。コミュニケーションの仕方をこれしか知らないというか。
○「絞首台の黙示録」 神林長平
めでたく最終回を迎えたわけだが、なんとも消化不良。『太陽の汗』的な重ね合わさった世界と見るべきか、ただの憑依なのか。これ、単行本では大幅に加筆修正されるんじゃないかという気が……。