神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] レッド・ライジング

2015-06-22 23:59:59 | SF

『レッド・ライジング─火星の簒奪者』 ピアース・ブラウン (ハヤカワ文庫 SF)

 

これは面白かった。分厚いし、続き物なのにまだ1巻しか出てないけれども、オススメ。

舞台は未来。貴族社会が復活したような階級社会の火星で、最下層の労働者(レッド)に属する主人公が、地下組織の手によって改造(!)され、社会を変えるために成り上がっていく様子が描かれる。

面白いことに、物語の前半と後半はまったく別な雰囲気になっている。

前半は階級世界の悲惨さ、過酷さが描かれる。

階級は色属(カラー!)として表現され、これは明らかに人種差別を意識しているのだろう。また、主人公は若くして結婚するが、これは下層階級の寿命の短さを指しているのだし、それは発展途上国における結婚年齢の低さに通じる。

さらにすごいことに、色属の階級社会を守るために、支配階級のゴールドが行っている政策が生々しい。まさに「弱いものがさらに弱いものを叩く」ことによって、下位層同士が憎しみ合い、分断され、効率的な分業体制という階級社会の大義名分に疑問を抱かないようにさせているのだ。

このような状況下で、社会に疑問を持ちつつも長いものには巻かれながら生きていこうとしていた主人公に訪れる転機。そこで使われた“歌”がいい。この歌はゴールドに対する反逆の象徴となり、さまざまな再解釈のもと、このシリーズ(まだ1冊しか出てないけどな!)の根底に流れるメロディーとなっていく。

そして後半。彼の能力に目をつけた反ゴールド組織は、仮面ライダーのごとく彼を“改造”し、ゴールドの選抜教育施設(いわば、大学?)へ送り込む。

ここで重要なのは、彼は既に伴侶を得、レッドとしていっぱしの稼ぎ頭だったにも関わらず、大人への通過儀礼施設へ送り込まれるところ。すなわち、それがまた格差の表象となっているわけ。

しかし、その教育施設で行われていることがまたすごい。『ハンガーゲーム』や『バトルロワイヤル』に言及されるのは、なるほどこれか。そして、歴史上の英雄と共にたたえられる“ウィッギン”という名前にSFファンは小躍りするだろう。

この授業とも儀式ともゲームともつかない期間において、主人公はゴールドとは何かを知っていくのであるが、その様子は先に言及された先行作品から想像されるとおり。あんなことやこんなことが起こるわけで、これがまたすこぶる面白い。スリリングであり、凄惨であり、時に痛快である。

そして、最終的にゴールドとして認められた彼が取った選択が……、今後のシリーズの展開にわくわくしながら待て次号。

前半において、火星の不条理な階級社会を詳細に描くことにより、主人公の行動原理である怒りを読者が共有すること。これが無かったら、先行作品の焼き直しに過ぎない陳腐なアクション小説になってしまうところだったが、露骨な人種差別や格差問題と、底辺層の分断統治という問題をテーマとして明確にすることによって、単純なエンターテイメント小説から一段上の文学に昇華させようとしている。それが露骨であればあるほど、返ってこの社会の成り立ちやゴールドの真実が興味深くなっていくというのが不思議。

この先、絶対にとんでもないどんでん返しが待ち受けている予感もあり、次巻に大いに期待している。

 


天空の鏡に憧れて[20] 最後のトラブル

2015-06-14 12:22:39 | ボリビア

ロスまでは国内線なので、機内食無し。コーヒーは相変わらず発泡スチロール臭いが、何か温かいものをと思うと、これしかない。

ロサンゼルスには深夜の到着。国内線で手荷物だけなので、簡単に外に出るも、頼んであったはずのホテルから迎えのバスが来ない。ここで何かおかしいことに気付くべきだった。仕方が無いので、貸切ではなく、普通のシャトルバスでホテルへ。

ホテルではフロントで添乗員さんが長いやり取り。どうやら予約が通っていないらしい。予約番号で人数分の予約はあるものの、名前が入っていないので部屋との対応が取れないとのこと。どう考えてもシステム入力のミスだから部屋は空いていそうなものだが、本日は満室の一点張り。さすがのアメリカクォリティー。

この時点で現地時間の深夜1時をとうに過ぎていたのだが、さらにここからが長かった。日本に電話したりなんだりで、不足分の部屋の代替ホテルが決まったのが午前2時半。タクシーが来なくて、ホテル到着は午前3時過ぎ。添乗員さんもお疲れ様でした。

あえて文句を言うと、ちょっと判断遅いよね。

まあ、innとはいえ、ヒルトンにアップグレードしたから文句は無いんだけど。

朝は9時出発のため、仮眠程度だったとはいえ、昨日の出発地のラパスとは時差が4時間あるので、そんなに眠たくない。朝ごはんの焼きたてオムレツやら焼きたてワッフルやらでゆっくりして、シャトルバスへ。

無事、空港にて全員合流。セキュリティチェックを経て、国際線乗り場へ。

アメリカの出国チェックはほとんどノーチェックなので、楽でいいんだけれど、入国時の厳しさと比べてなんとなく納得がいかないよね。

ゲートのカウンターにて、席の移動をお願いしようとするが、カウンターにいたのは空港職員で、フライトの係員は30分後に来るから待てとのこと。

そうこうして現れた日本人っぽい人が見事に日本語を話すので、隣り合った席をお願いする。ネイティブっぽい日本語の発音じゃなかったので二世かと思ったら、英語はジャパングリッシュな発音で、いったいあのひとは何者?

無事、2席並びの席を確保。となりは同じツアーの親子3人で、こちらも並び席をゲット。

しかも、中央5列とはいえ、衝立のすぐ後ろの席だったので、前は割りと広め。足元に荷物は置けなかったけれど、離着陸時以外は頭上の荷物置きから下しても問題ないらしい。

すでに昼過ぎだったので機内食を食べて、映画『蝉の記』を見ながらも、途中から二度も爆睡。結局、エンディングの記憶はございません。

ここでもビールは無料。往きは有料だったじゃないか。相変わらずよくわからん。1本目はバドが出てきたのだが、おかわりを頼んだら、バドが品切れでキリン一番絞り。おい、アメリカン航空なんだから、もっとバドとかサミュエルアダムズを積めよ。っていうか、バドも日本語版(お酒!)だったよ。

機内食の米のまずさはロス-成田便でも変わらず。どうせなら割り切って米以外にして欲しいのだけれど。着陸前の軽食は選択を誤ってチキンと米。素直にハムサンドにしておけばよかった。

そして成田に着陸。何の問題も無く入国。何のチェックも無く税関通過。コカ茶買ってきても良かったんじゃないか。

立川まではバスで。寝ている間に府中まで来ていたので、思ったより楽。行きはともかく、帰りは時間が決まっていないので、渋滞にはまったとしても、思ったよりも良いかも。

やっと自宅に帰りついたものの、ぐったりこんで明日から仕事。スーツケースはそのまま一週間放置されましたとさ。

最初から最後までトラブル続きだったものの、致命的な事件にならずに済んでよかった。念願の鏡張りも見られたし、いい旅でした。ビールはもうちょっといろいろ飲みたかったかな……。

みなさんお疲れ様でした。

 

 


天空の鏡に憧れて[19] 帰路

2015-06-14 12:15:08 | ボリビア

ついに帰国の日。

ツアーの常で、出発はAM5:30。せっかくの五つ星ホテルも意味が無い。っていうか、このホテル、本当に五つ星なのか。設備は古いし、あんまりアメニティも良くないんだけど。

朝4時に起きてパッキング。トランジットのロサンゼルスは手荷物だけで一泊なので、いろいろ迷うが、荷物を軽くすること優先で。T字剃刀も手荷物が怪しいのでスーツケースの中。荷物を出して、朝食へ。見えているものはパンとフルーツだけだったのでコンチネンタル・ブレックファストなのかと思ったら、蓋のされていた容器にソーセージ、ベーコンと卵を発見。

卵は殻付きなのでゆで卵かと思いきや、なんと半熟。まさか、保温容器でゆでている途中? ティースプーンで殻からすくって食べたけど、これってそういうものなの?

ここでまたまたトラブル発生。現地ガイドさんが車のトラブルとやらで登場せず。本当か、寝坊じゃないのか?

結局、ガイドさんとは空港で合流予定で添乗員さんとともに出発。この時点では大きく遅れは無かったはず。朝霧なのか雲なのか良くわからない中を空港に向けて出発。

空港では団体チェックインができずに個別チェックインのため、チェックインに時間がかかった上に、ボーディング時間がやたらと早い(離陸の1時間近く前)。このため、ツアー全員がチェックインできたのはボーディング時間を過ぎてから。

自分も自動チェックイン機でエラーが出て、窓口に行けといわれて、ちょっと動揺。なんの問題もなく、有人窓口でチェックインできたのでいった何が問題だったのか。

実はESTAがトランジット専用だったので、ロスのホテルを入力したのが問題だったのかもと思ったのだけれど、妻の人のESTAもトランジットにチェック入れてたはずだしなあ。

予定に織り込み済みの買い物時間が無くて、仕方が無いので経由地のサンタクルスに賭けるかと思っていたところ、添乗員さんのはからいでちょっとだけの買い物時間。空港のドルレートは適正で問題なし。ここでトリマテ茶を無事購入。はてさて、これは税関を無事に通れるのか?

その後、出国チェックを受けるも、出発ロビーでやっぱり待たされる。ボーディング時間の指定はなんだったのか。でも、店が少ないし、微妙に高い。やっぱりロビーで買っておいてよかった。

サンタクルスまでは1時間ちょっと。ちょうど窓際だったので、アンデスの山並みからジャングルまでの気候の変化を見ることができた。白い頂の山並みから谷間をえぐる川が流れ出し、茶色の蛇行する大河になっていく様子が一気に見られて、なかなか興味深かった。

サンタクルスは経由地なのだけれど、ここで一旦、全員降りろとのことで、飛行機を降りて国際線乗り換えロビーへ。

サンタクルスはボリビアのアマゾン側の大都市。最近の発展は目覚ましいらしく、空港もラパスよりはるかに立派で近代的。でも、やっぱり滑走路以外は芝生に駐機がデフォだった。

ここで残った7ボリビアーノを使おうと思っていたんだけれど、お土産品は高級な免税店のみ。ちょっとしたブックスタンドでお菓子を売っていたのだけれど、ボリビア産ではなく、なぜかペルー産やチリ産だったので保留。後でそれでも買っておけばと思ったけれど、これでコインの余剰は確定。

ところで、サンタクルスは熱帯である。こちらは高原のラパスから真冬の東京へ帰るのでコート持参である。暑い。とにかく暑い。そして、売店ではボリビアーノが使えるのか、ドルが使えるのか、値札すらないので飲み物を買おうかどうか迷う。値札があるのは免税店のみ。ここでも EL CEIBO のチョコレートを売っていたけれど、小さいのが5ドルとか6ドルなので、ラパス市外の約3倍ですかね。さすが、お金持ちの街ですね。

そんなこんなで、時間が来て再搭乗。

またしても席が妻の人と離れ離れのために、ツアー内で席を譲っていただく。たびたび申し訳ありません。

サンタクルスからマイアミまではジャングルと海の上を通過。途中で早くも海かと思っていたら、どうやらまだジャングルだったのではないか。それだけジャングルが広大で青く見えていた。

途中、半分だけ茶色に荒廃した島が見えていたんだけれど、もしかしてあれがハイチなのか。ほかは、サンゴ礁っぽい(ブルーホール?)みたいなものも見えていたけど、本当にそうだったのかよくわからず。

往きの便では7ドルといわれたビールが、帰りの便ではなんと無料。聞いてよかった。しかも、出てきたビールがサミュエルアダムズのボストンラガー。これはありがたい。ビールの有料無料は、航路ではなく、飛行機によって違うようで。あきらめずに確認したほうがいいですね。

乗り換え経由地のマイアミでアメリカ入国。ここから国内線のロサンゼルス便までの時間で夕食。なんとツアー会社から現金ドルで支給あり。そんなの初めてだったよ。ひとり20ドルなので、レストランも行けたのだけれど、搭乗ゲート近くにピザハットとサミュエルアダムズのスタンドが都合よく隣り合っていたので、ここで調達。

サミュエルアダムズってボストンじゃないのか。なんでマイアミで勢力強いんだ?

ピザハットでは、親切なのかどうなのか、焼きたてを出すからちょっと待てとのことで、待っている間に相当な数のお客さんに追い越される。面白かったのは、定員さんに“No, Ido't have. This is piza hat.”って言われてた人がいたこと。おい、お前、いったい何を頼んだんだ?

10分くらい待って、やっとピザを入手してから隣のサミュエルアダムズへ。店員さんにビールの種類を聞いたら、LightとDarkだと。そこにタップが5種類あるんだが、全部は説明してくれんのか?

めんどくさいので、その二つを頼むと、Darkはボストンラガー。Lightはたぶんサミュエル・アダムズ・ライトだった。ライトもピザには合うんだけど、なんか別の種類があったんじゃないか。っていうか、Darkってスタウトを期待してたんだが。

 

 

 


天空の鏡に憧れて[18] ラパスで踊れ

2015-06-14 12:03:28 | ボリビア

飛行機でラパスに戻ると、空港で美人ガイドのヴィーベルさんとドライバーのフレディさんに再会。なぜかバスがVIP仕様にグレードアップしてた。

空港からの途中でラパスを見下ろす展望台でちょっと休憩。靄が晴れていて、すり鉢上のラパス市外がきれいに見えた。

そこから渋滞に巻き込まれながらも、サンフランシスコ協会近くにある今日のホテルに到着。カーニバルの前夜祭が始まっているので、爆竹が鳴り響き、お祭りのわくわくしつつも不穏な空気がひしひしと感じられる。

ホテルで一休みした後は、再びのサガルナガ通り、そして、魔女の市場へ。ガイドさんが地元のひとしか知らないような店に連れて行ってくれたものの、ちょっと高級品で会社のお土産には向かなかったりで不評。

離脱してベイビーアルパカのストールを追加購入。140ボリビアーノ=20ドル。お店のお姉さんが何度も新札の20ドル紙幣を確認してたけど、見馴れてないのか?

お土産に買った定番らしいペットボトルホルダーは7ボリビアーノ。1ドルかと思いきや、買った店が悪くてレートが1ドル=5ボリビアーノ。まぁ、高いものじゃないから払ったけど、そのレートはダメだろ。ここはウユニと違って、すぐそこに両替所があるじゃないか。手数料込みで1ドル=6.9ボリビアーノだったぞ。

魔女の市場にも行ってみたが、リャマの胎児を売ってる魔女っぽい店はやっぱり2店舗ぐらいしかない。キーホルダーは買ったが、お茶が欲しかったのだけれど、店頭ディスプレイっぽいものしかなかったので、空港で買うことにして見送り。コカ茶はダメでも、トリマテ茶は欲しい。

なんだかもやもやした気分で、待ち合わせ場所のレストランへ。ここまで坂を上ったり下りたりで汗をかいたせいか、背中が冷たい。そして、動悸、息切れ、めまい。

レストランはいかにもボリビアンな感じで、露骨に観光客向け。

オードブルって言われたのでそのつもりだったけど、内容的にはサラダバー。ドレッシングは出来合いのものを勝手にかけろといわんばかりに、マヨネーズやハインツのケチャップや、A1ステーキソースまで一緒に並んでいた。

メインは事前にバスの中で選択したリャマのロースト。これは後から登場予定。

ビールは5ドルだったか6ドルだったか忘れたけど、メニュー上は適正レート。わざと1ドル=7ボリビアーノで割り切れる値段にしてるっぽい。ビールの銘柄はPacenaの黒。スタウトじゃなくって、黒ビール(シュバルツ系)だった。

店の名前にはHuariが入ってるんだけど、Huariの店じゃないのか、ここ。

で、舞台では民族楽器、ケーナやサンポーニャの演奏。演奏が終わると、CD持ってきてどうって聞かれるまでがお約束。でも、CDはウユニで買っちゃったし。

そして、ダンスチームのフォークダンス。アイマラやケチュアの伝統というより、スペインが入ってきてからの音楽っぽい感じ。

ドラムの女性がスティック飛ばしちゃって、一本で器用に太鼓とシンバルを打ち分けるという珍事も。

さらに、悪魔的な仮面をつけたり、あやしい女神に扮したり、さらには一緒にステージに上がらされたり。こっちは激しく動くと高山病で息が切れるし、頭が痛くなるんだけど。しかも、坂の上り下りでかいた汗のせいで、風邪の引き始めの症状が出てしまったらしく、気持ち悪い。

リャマ肉のローストは臭みの少ない赤身だったけれど、味付けがシンプルなだけに、うまからず、まずからずという微妙な感じ。サラダバーにおいてあったA-1ソースでもかければよかった。

そんなわけで、リャマの肉はちょっと残して退散。

ホテルに戻ると、ウェルカムドリンクチケットを使って、最上階のレストランでビール。ここではPacenaしかなくって、Pacenaのピルスナーを。

16階の窓から見る景色は予想以上にきれいだった。写真ではわかりずらいけれど、眼下のサンフランシスコ教会前広場では、カーニバルの企画なのかスポットライトがぐるぐる回っている。ラパスの町はすり鉢上なので、すり鉢の下から見上げるように窓の下から上まで、夜景が見えるというのは面白い経験だった。

明日も早いので、今日はこれで就寝。

 


天空の鏡に憧れて[17] ウユニよさらば

2015-06-14 11:59:48 | ボリビア

朝食後、ひと休みしてパッキング。さらばウユニ塩湖。

一路、コルチャニ村へ。村と言っても、本当にバラックと倉庫みたいのがぱらぱらとある程度の小さな集落。

ここで塩の精製工場を見学。今は雨季なので開店休業状態で、観光客相手に手作業での袋詰めのデモンストレーションだけ。

しかし、塩のホテル付近の、あの観光スポットのような処で塩を採取しているのだとすると、相当泥やゴミが入ってそうな気がするんだけれど、大丈夫なのか。見た目は真っ白でサラサラした粉になっているので、ちゃんとろ過はされているのかも。

塩は小袋10個入りで10ボリビアーノ。または3ドル。田舎だからレートが高いとはいえ、ドルではボリすぎでしょ。10ボリビアーノって2ドル以下だろ。

その後、塩工場の外の売店でお買い物。スペイン語しか離せない店番の女の子と謎の会話をしながらもなんとか購入。レートは1ドル5ボリビアーノで統一の模様。値引きはほとんどしてくれない。ドルのお釣りをボリビアーのでくれといっても、ダメだったので、ドル建ての方が高いことをちゃんと理解しているのだと思われる。小さいのに商売上手。サガルナガ通りのお兄ちゃんの方が、よっぽど頼りない。

その後、ウユニの街へ移動。途中にリャマを発見し、堤防で写真タイム。ここでウユニ湖も見納め。

堤防は新規作成中のハイウェイ舗装道路。これまでは無舗装で土煙が立つ道だけだったのに、観光客を呼び込むための開発が進む。これはこれで良いのか悪いのか。自分のことを棚にあげ、ちょっと考えてみたり。

ウユニでの昼食は、往きでも休憩に使ったホテル。ここは今回使った旅行社の拠点らしく、今回もツアー二つが鉢合わせ。

昼食の合間に、ガイドさん仲間のCD販売。3枚10ドルなので、適当に3枚選択。サンポーニャの音色が物悲しくてきれいで、ウユニの景色に良く合うのだ。

昼食の後、暇なのでウユニの街をぶらぶら。ウユニの街には、かつて塩の運搬に使われていたSLや、謎の鉄製オブジェが並んでる。

時間は昼過ぎで学校の下校時間らしく、子供の数がたくさん。すでに何曜日なのか良くわからないのだけど、たぶん金曜日?

SLの向こうには、観光客向けというよりは地元の人向けのマーケットマーケットがあり、靴やジャージなんかも売っていた。あと、なぜか水鉄砲。どうも、現地の子供たちの間で水鉄砲が流行っているようで、割と大型の水鉄砲を肩からぶら下げている子供もいたり。

なかなか面白そうだったのだけれど、ぽつぽつと雨が降ってきたので退散。

中にはキヌアを買いに、ガイドさんに引き連れられてマーケットの奥地まで行った方々もいたようで。相当歩かされた暑い、疲れたと大騒ぎ。

そしてウユニ空港へ。空港の待合室は日当たりが良すぎてとても暑い。日陰を探してうろうろ。

ウユニのトイレには日本語の張り紙が。「ドアは必ずお閉め下さい」。さすが、日本人だらけのことがある。ラパスじゃ日本語なんてまったく見かけなかったというのに。

売店でキヌアを見つけたので、おばさんと交渉。2ドルで2袋。本当は1袋2ドルと言ってたような気もするんだけど、英語とスペイン語のちゃんぽんで話しているうちになんだかよくわからなくなってしまった。

目撃者によると、その後、おばちゃんはしきりに電卓で計算しなおしてたとか。ごめん、悪気は無かったのよ。

そして、飛行機でひとっとびにラパスへ。

 


天空の鏡に憧れて[16] 星空

2015-06-14 11:49:52 | ボリビア

今日も朝AM3:00に起床。AM4:00出発。もはや就寝というより、仮眠の連続。

AM1:00頃にトイレに起きたときにはまだ激しい雨音がしていたので、はっきり言って星空観測はあきらめていたのだけれど、ロビーに出て行くと、星空が見えるよとの声が。ドアを開けて外に出てみると、確かに空には、ホテルの明かりがありながらも、はっきりとわかる星々が点々と。

今回の旅はやはり、トラブルを超えたところに天国が。

早速、ローバーに分乗し、湖面へ。

しばらく走ったところで停止。ここが観測地点。満天の星空とはいえないまでも、空の半分以上は雲が切れて星が見えていた。

ちょっと露出を高めにすると月明りで雲が明るく写ってしまうという、星空撮影には厳しいコンディションだったけれども、肉眼で見れば充分な星空天国。

月には珍しいくらいに大きなカサがかかっていて、これも綺麗だ。

ドライバーさんがうまい位置に止めてくれたおかげで、他のグループから充分離れたところで、日の出の東側が見渡せる状況。

ここから星空撮影タイムなのだけれど、三脚+一眼でも写らない人続出。なぜか我々がプロ扱いで講釈することに。いや、いいんですけどね。それよりも、この星空を黙って見上げて楽しみませんか。

湖面は多少の波があるせいか、星空の映り具合はいまひとつ。明るい星がちらほらと湖面に映っているのが見える程度。

月ももう少し低ければ湖面に映るのだろうけれど、天頂近くにあるために、足元に映っているので写真には撮りづらい。

それでも、薄暗い夜明けの雲が湖面に映り、見上げた星空と空気の冷たさが異次元の世界に誘うような不思議な雰囲気はなんとも言えない。

そして、ついに日の出。今日もまた朝陽は濃い雲のちょうど向こう側だったけど、その周りで微妙に赤く色付く雲を見ることができた。

アングルがなかなかむずかしい上に、初めて借りて使った単焦点レンズの癖が良くわかっていないので苦戦。目で見たものを上回れる写真は撮れませんでした。残念。

さて、ドライバーさんの計らいで、塩のホテル宿泊組みでは最東端をゲットしたはずだったのに、どこから歩いてきたのか、謎の男が三脚をかついでわれわれの前に。添乗員さんが英語とスペイン語でそこをどいてくれと大声で頼んでいたのだけれど、言葉がわからないのか、自分じゃないと思っているのか、鼻歌って傍若無人。

実は、帰り際に声をかけられたのだけれど、最初は何語か良くわからなかった。たぶん、フランス語? 結局、英語で写真とってくれということだったので、相手のiPhoneでパチリ。もっとアップでとのリクエストにもう一度。いや、そんなにアップだとどこにいるかわからないないんじゃないか。

そして、最後にはフラミンゴの飛翔も激写。一瞬のことだったので、本当にフラミンゴかどうかも良くわかりませんが、ガイドさんいわく、フラミンゴだったとのこと。

湖面の見学はこれが最後だったので、集合写真を撮りながら、うだうだと時間延長。ツアーの面々は名残惜しそうに湖面を後にしたのだった。

 


天空の鏡に憧れて[15] プラヤ・ブランカ

2015-06-14 11:42:43 | ボリビア

いろいろ寄り道の果てに、やっとプラヤ・ブランカへ到達。

「プラヤ・ブランカ」はスペイン語で「白い浜」ですかね。そこらじゅう水浸しの中でも、白い塩の大地が残っている場所。

おー、ここテレビで見たことあるよ!

添乗員さんは日帰りツアーの終着地とちょっと馬鹿にしたように言っていたけれども、ウユニ湖の象徴ともいうべき場所。最初の塩のホテル。

ちょうど風も強くなって、万国旗が勢い良くはためいている様子がカッコいい。

ここではトイレ休憩のみとのことだったけど、トイレチップが5ボリビアーノで、なおかつ激混みなので、利用は見送り。なお、ここも日本人だらけだったけれども、飛行機や塩のホテルに比べれば、それなりに欧米人率も高かった。

近くには“DAKAR”の碑が。DAKARは塩のブロックの採石場にも誰かが文字で残していたけれども、いわゆるダカール・ラリーのこと。以前はその名のとおり、パリ-ダカール間で行われていたが、2009年からは南米開催で、なんとダカールがゴールでは無く、今ではダカールはラリー競技名になって残っているということらしい。

このウユニもコースのひとつ。ボリビアにとっては重要な観光資源扱いなのじゃないか。

帰国してから調べたところによると、2015のDAKARは1/10~12に、すでにウユニを経由してしまっていたらしい。しかし、三菱パジェロが連覇していた時代もあるというのに、日本じゃ何の話題にもなってなかったから、まったく知らなかった。

一方で、プラヤ・ブランカに集まっている四輪車はほとんどがトヨタのランドクルーザー。年式はピンきりで、セコハンどころか3rdハンド、4thハンドが多いとのことだけれど、見事なまでにランクル一色。

ガイドさんの話にチラッと出てきたけど、ウユニは4000メートル近い高地なので、エンジンには高地用の部品が必要なのだけれど、トヨタ車は特別な部品無しに動くという評判だそうだ。本当のところはどうなのかわからないけれど、そういう風評が流れているならば、みんなトヨタのランクルを買うだろう。

その後、一旦ホテルに戻って一休みしてから夕陽見学に出発。

あれ、寝過ごしそうになったのはこのときだっけ?

この日は雨が降っていたので、やはり車で晴れ間の場所まで移動。天頂は青空が見えるものの、周囲は黒い雲と雨の筋に囲まれる。

夕陽は昨日よりも厚い雲の向こう側に沈み、赤い夕焼けは見られず。

しかし、水鏡はこれぐらいの光のほうがきれいに見える。ツアーのみなさんは思い思いのポーズで写真に納まっていた。

ホテルの帰り道はやっぱり雨。今日の夜は、またもや星空は無理か。

ホテルへ帰って夕食。

この日はそれなりに調子が良かったのでビールを注文。またもやHUARI。残念ながら、ビールはHUARIしかない。

今日のメニューはチキンの丸ごと塩蒸し。これはおいしいんだけど、外側の皮が強烈にしょっぱくてビールが進む。

そして、案の定、今日の夜の星空観測はお休み。雨音を気にしながら、明日の朝の晴れを願っての就寝となった。

 


天空の鏡に憧れて[14] 塩の遺跡

2015-06-14 11:17:56 | ボリビア

塩の結晶の中に刻まれたハイウェイを走り続け、茶色い結晶がまばらになると同時に雨も止む。

そして、たどり着いたところは、まるで太古に突然放棄された遺跡のような場所だった。

ここは塩ブロックの採掘場。切り出されたブロックが無造作に放置され、切り出し途中と思われる地面に升目状の切り込みが入ったままの場所もある。

採掘は乾季にしか行われないので、雨季には撤収しているのだろうけど、なんと、手袋や工具もそのまま放置されているし、極めつけは、地面に切れ目を入れるカッターと思しきマシンまでも置きっぱなしにされていた。

まるでマリーセレスト号事件のように、人だけが急に掻き消えたような不思議な光景だった。

そこでは放置された塩のブロックで文字を書いたり、塩のブロックを取り出した跡のプールに長靴でちゃぷちゃぷ踏み込んだりして過ごす。

さっきまでの雨が嘘のように、日差しが強くて汗ばむくらい。

予定を変えてここで昼食。どうやら、雨の降っていない地域を探してここを選んだ模様。少し離れた場所に車を一台移動して仮設のトイレを設置。残りの車両を壁にして屋根を張り、即席のテントが完成。

食事を始めたとたんに風が強くなり始め、不穏な空気が流れる。そして、ついに雨。テントと言っても、ランドクルーザーの間に布を張っただけの空間なので、雨も風も直接吹き込む。風に飛ばされるペッパー・アンド・ソルト。

ちょっとやばいかなと思ったけれども、それ以上はひどくなることもなく、なんとか食事を終えて無事に撤収。

次の目的地はどこか。インカワシ島はどうなった……。

インカワシはやっぱり途中の道が水没しているので無理とのこと。そこで、ウユニで最初の塩のホテル“プラヤ・ブランカ”を目指して出発。

プラヤ・ブランカまでは20分程度とのことだったが、着いたところは真っ白な大地。

降りる前に、穴が開いてるから注意(!)とのアナウンスが。

確かにあちこちに直径10~20cm程度の穴が見える。ここは塩の結晶の採取場所。穴の下には大小さまざまな大きさの立方体が重なった塩の結晶が見える。塩の大地は数センチから十数センチの板になっていて、その底側や、穴の周囲では析出した塩の結晶が成長しているようだ。

ドライバーさんたちが手に手に腹ばいになるための台や、塩の大地をかち割るためのハンマーを持ち出してくる。そして、新たな穴をあけ、その穴に手を突っ込んでグリグリ。引き上げた手のひらには、塩の結晶の破片が。

突っ込んでいた腕は肩まで見る間に塩で真っ白に。水と言っても、塩の飽和水溶液であることが良くわかる。

氷の張った湖とは違い、塩の結晶はかなり硬かった。穴の縁を歩くと割れるかと思ったが、まったくなんとも無く、蹴飛ばしてもめったに破片すら飛ばない。

しかし、塩の大地に見えるものが、数センチの薄さの塩の板だというのは、ちょっと信じられない。

穴に向かって塩の破片を落としてみたら、透明度が悪くてよく見えないけれど、底まで数十センチはありそう。もしかしたら、破片が見えなくなるだけで、もっと深いかもしれない。

塩湖というのは底まで塩で固まった死んだ湖だと思っていたのだけれど、湧き水があったり、結晶が育っていたり、なかなかダイナミズムにあふれた場所ではないか。こういう発見は、現地に来ないとわからないものだな。

 

 

 


天空の鏡に憧れて[13] 湧水

2015-06-14 11:09:38 | ボリビア

朝食の後は一休みして10時に再出発。この時間が微妙で、仮眠していたのだけど見事に二度寝してピンチ。なぜかギリギリに目を覚まして部屋を出られたのだけれど、長靴を履いている間に、部屋では呼び出しの電話がリンリン状態。すみません。

やっぱり、仮眠仮眠の連続はきついです。

さて、例によってランドクルーザーに分乗して出発。

天候は晴れ。しかし、はるか遠くまで見渡せる塩湖には、そこここで雨が降っているのがわかる黒い雲と、その下に雨の筋が見える。東京でも最近ゲリラ豪雨が多くて、遠くで雨が降っているのが見えるけれども、まさにそんな感じ。

今日は昨夜からの雨のせいで水深が深く、当初予定のインカワシ島へはいけないとのことだったが、ガイドさんから「Lets' Try」の一言が。

途中でなぜか湖面に捨てられていたDVD(?)デッキを発見。これをきっかけにゴミを拾いながらの行程となった。わざわざこんなものを塩湖に捨てる人がいるとは思えないので、車か何かからの落下物なのではないかと思うんだけど。

で、確かに湖面にはかなりのゴミが塩の結晶に埋もれるように散らばっている。ほとんどがお菓子の包み紙で、風に乗って飛んできたものもあるのだろうけれど、観光客が捨てていったものが多いと思われる。みんな、このウユニの光景にあこがれてやってきたのだろうに、身勝手なことだ。

で、なぜかタイヤが落ちてる、と思ったところで停車。湖面も真っ白ではなく、茶色くて汚い。

ここはゴミ捨て場、ではなく、湧水。ガイドさんいわく「Hot spring」だそうだが、別に暖かくは無い。実はウユニ湖には注ぎ込む川(地下水?)があり、その水がここから湧き上がっているのだという。そのときに、周囲の岩盤を削って、ミネラルを多く含み、鉄分などが水を茶色く染めている。

たしかに、ポコポコと気泡が沸いているところがそこかしこにある。そして、ちょっと臭い。

塩湖は底まで塩で固まっているのではなく、ダイナミズムにあふれた場所でもあったわけだ。

塩湖のダイナミズムというか、生きている様子は、今日の今後の行程でも目にすることになる。

湧水を後にして出発。すると、雨が降ってきた。やはり、今日は雨か。どうやらこの雨でいろいろと状況が変わり、予定変更があった模様。だけど、行く先もよくわからないままにランドクルーザーは白い大地を走る。

水がほとんど乾いた状態の地面では少し速く走るのだけれど、ちょっと水があると、時速10キロ程度のノロノロ運転。それでも景色はころころ変わる。

見えてきたのは白い地面の上に茶色い突起物。これは、塩の結晶の赤ちゃんだという。

塩湖は塩の結晶のせいで、ゆがんだ六角形のタイル張りのようになっているのだけれど、このタイルのつなぎ目に塩の結晶が成長する。ミネラル分や埃のせいか、これがちょっと茶色い。たぶん、粉にすると白くなるとは思うけど。

この茶色い結晶は最初はまばらに湖面に見えているだけだったのに、みるみるうちにそこらじゅうが結晶だらけに。もはや真っ白な大地というより、茶色い大地。

これがタイヤの下ではじけてバリバリいう音も聞こえる。

面白いのは、車両が茶色い結晶を砕いた跡がハイウェイか滑走路かのようになっているところ。一台が走っただけでは、結晶の先端がちょっとかけるぐらいなのだけれど、数台が続けて走ったりすると、はっきりと道が見える。中には真っ白でつるつるになっているラインもあり、これは定期順路か何かなのだろうか。

いつのまにか、われわれの車列もこのハイウェイを走り続ける。

 

 


天空の鏡に憧れて[12] 朝陽

2015-06-14 10:54:02 | ボリビア

ウユニ2日目の朝。

せっかくの塩のホテル宿泊も、朝3時起きの4時出発。旅行行程からわかってはいたが、なかなかきつい。

昨晩、湖の寒さの片鱗を味わったため、重ね着の厳重装備で部屋を出る。

昨晩の雨音は止んでいたが、外に出るとまだポツポツと降っている。当然、空は真っ暗で星は見えない。しかし、逆にこれは朝焼けを見られるチャンスではないのかと、ポジティブに考えてみる。

5台のランドクルーザーに分乗してまだ真っ暗な湖面に出る。さすがに周囲には何もライトが無いので、昼間よりもさらにノロノロ運転。

ウユニ湖というのは広いもので、雨が降っているところもあれば、止んでいるところもある。ガイド間で連絡を取り合って、天候や湖面の情報を共有しているらしい。このガイドさんのネットワークを駆使して、なんとか晴れ間の見える地点まで。

とは言っても、空は曇天で星はほとんど見えない。ただ、月だけが雲の向こうに輝いている。これだけだと写真に撮ろうと思っても、たいした写真にはならず、残念。

そうこうしているうちに、明るくなってきたのか、目が慣れたのか。上空の雲が湖面に映っているのが見えてきた。青い空と白い雲のコントラストがまぶしい昼間の空と比べ、グレイスケールの空もまた赴き深い。とはいえ、こちらもまともにカメラには映らない。

仕方がないので、ライトで文字を書いて遊ぶ。ハートマークや星マークに始まり、UYUNI、JAPANとだんだん難しくなる。湖面に映すということを考えすぎて、逆に裏文字になってたりで大笑い。三脚の無い人は、車のボンネットにカメラを置いてセルフタイマーで撮ったりしてたけど、あまりうまく撮れない様子。

そして、日の出。かと思いきや、残念ながら無情にも太陽は暗い雲の向こう。ちょうど雨が降っているあたりにあたってしまい、なんとなく全体が明るくなってきておしまい。雲も空も赤く色付くことは無かった。

それでも、徐々に明るくなっていく水鏡の世界は幻想的で美しかった。

ウユニ湖にいるのだという高揚感が、身体の奥まで染みこむ寒さに変わって退却。ホテルに帰って朝ごはん。

塩のホテルの朝ごはんはかなりの当たり。特に、チーズとハムがうまかった。黒い角食っぽいパンにのせて食べると格別。ただ、スクランブルエッグが妙に白いのは、白身だけ増量なのか、黄身だけ何かに使っちゃったのか。シリアルには麦のドン(ポン菓子)みたいなものもあり、これも予想以上においしかった。