神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[コンサ] J2第50節 札幌 - 横浜

2009-11-29 23:26:46 | コンサ
J2第50節 札幌 3-1 横浜 @スカパー

今日は曽田の引退試合。
そのせいか、いつもと気合が違うコンサイレブン。まずいプレーは少なくないものの、集中力が途切れず、良く走った。それが結果として、前半の2得点に繋がった。

1点目はパスミスを拾って、ダニ→キリ→ハファとつないで、豪快なシュート。
2点目はエンドライン付近でのお見合いくさいシーンからの苦し紛れのクリアボールが、うまくキリノに繋がって、独走ゴール。
助っ人3人の特徴が良く出た得点だった。

後半は集中力が途切れ気味になり、横浜ペース。
三浦アツが、今日3本目のフリーキックを3度目の正直で決めて1点を返される。さすが、賞味期限切れでも消費期限は切れていない感じ。大物は違うね。

そして、ドラマは80分過ぎから生まれる。

80分。藤田から、今期限りの中山へ交代。今日、唯一戦力外組からの出場でも、腐らずに良くがんばった。
85分。もう一人の三浦、もう一人のカズ(筆頭はもちろん上里カズゥ)が登場。プレーは衰えても人気は衰えず、ドームが沸く。
87分。遂に曽田が交代。キリノに替わってトップの位置へ。石川から渡されるキャプテンマーク。(今日のスタートはキャプテン高原で、これもちょっと以外)
……そして、90分過ぎ。
ペナルティエリアで曽田が倒れてPKゲット。
そして、キッカーは曽田!
これを一度は止められるも、GKが早く動きすぎでやり直し。
2度目はしっかりとゴール隅に蹴りこんで3点目。曽田、奇跡のラストゴール。

誰がこんなドラマを予想しただろうか。クソ審判のジャッジも、すべてはこのドラマの伏線だったのだ。
2度にわたるPK戦の曽田の表情。緊張と安堵と歓喜の表情を、サポーターは忘れないだろう。

とにかく、曽田が最後の最後にすべてを持っていった試合。
スーパースターの星の元に生まれた男というのは、こういうことをいうのだろう。

喜んでくれて 有難う
怒らせて ごめんなさい
哀しませて すみません
楽しかったです 僕は
        曽田 雄志

引退セレモニーまで放送してくれたスカパーにも感謝を。



ついでといっちゃ何だが……。
上里カズゥ、MVPおめでとう! 俺が投票したのは西大伍だったけどな!

ハファエルのお立ち台。しきりに来年もよろしくと言っていたのは残留決定なのか、リップサービスなのか。
そういえば、「来年契約を結ばない選手」には含まれていないんだよな。せっかくチームにフィットしてきたところなので、来年もぜひ残って欲しいところ。あとは金額の折り合いだけか。

中山、荒谷、柴田、健伍、ありがとう、お疲れ様。というか、来週東京に来いよ!

そして、藤山選手、いらっしゃい。SBの補強なのか。若い選手のサポート役としても期待したい。

ホーム最終戦ということで、なんだかもう、仕事収めムードだが、来週もう1試合ありますから!


[コンサ] コンサドーレ選手仕分け

2009-11-28 23:17:13 | コンサ
今年もさびしい季節がきてしまいましたね。
まだ試合も残っているんですが、曽田の引退発表に続き、戦力外通告が出ました。

コンサドーレ札幌 契約満了選手について


[16] 荒谷弘樹
もう年齢も年齢なので、引退の可能性もあるけど。
熊本戦で“やっちゃった”イメージが強すぎるな。高原を正キーパーとして使うなら、確かに必要ないかも。
GKコーチで残って欲しいが、そうなると、赤池が仕分けされちゃうか。

[3] 柴田慎吾
三浦監督のもとでそこそこやれていたから、今年は期待していたんだが石崎監督とは合わなかったのか。
去年は相手FWが凄すぎたのだと思っていたが、今年の少ない出場機会では、ことごとく不甲斐なさを発揮して自滅。
これでは見限られてもしょうがないが、まだ2年目なんだし、曽田の後継者と思っていたのに……。

[13] 中山元気
1トップのシステムを続けるのであれば、確かにポジションが無いんだよな。
FWとしても、日本特有のDFWだったからなぁ。中山が交代で入ると「攻めるぞ」じゃなくて、「守るぞ」みたいな。
献身的に走り回ってくれる分、使い勝手はいいのだが、FW以外で使うなら、本職の選手を採るのは仕方が無いか。

[9] 石井謙伍
今回、一番残念だったのが、この発表。石狩出身だし、生え抜きの選手だし、若くして9番を任されたほどの期待の選手だったんだが。
まぁ、その前の9番も、エメ、ウィルといった問題児が多かったからな。
石崎監督が2トップのシステムを使っていれば、もしかしたら、もう少し活躍出来たかもしれない。
西や上里に比べ、複数ポジションをこなすことが出来なかったのが、結果として戦力外に繋がったのか。
サイドで使われた時に、もっと必死さが見えればよかったんだろうか。でも、必死さだけなら誰にも負けない元気も戦力外だしな。
J2レベルでは、まだまだやれる選手だと思う。誰か貰ってください(泣)

  ∧∧
  ミ゜∀゜ ミ、
| ̄`" ̄"'´ ̄|
| ひろえ! |


[SF] 神林長平トリビュート

2009-11-27 23:18:56 | SF
『神林長平トリビュート』 (早川書房)




新世代作家八人が神林SFを代表する長短篇を独自に解釈、豪華競演を果たした傑作アンソロジー。
へんな意味ではなく、神林長平は本当に大物になったなぁと思う。

○○トリビュートなんていう企画が成り立つのは、クラーク、アシモフ、ハインラインの御三家並。
日本だったら、小松左京クラスぐらいだろう。

そうは言っても、“SF冬の時代”の筆頭戦犯とも言われるだけあって、SFファン以外での知名度は高くないようだ。
それだけ、ワンアンドオンリー、世界にひとつだけの花なのだよ。

神林長平よりも知名度のある収録作家のファンにも、神林長平は知っているけど最近の作家は知らない人にもオススメの一冊。

神林長平ファンの作家が描く、神林長平のための、神林長平の世界。100人読めば、100通りの影響を受けそうな神林長平だけあって、収録8作品はバラエティに富んでおり、飽きることが無い。
それぞれの作品に、神林の影響を探すのも楽しい。

本当に作品は粒ぞろいで、来年の星雲賞短編部門は、この収録作の中から出るに違いない。



『狐と踊れ』 桜坂洋
ノリノリな感じが伝わってくる。ちょっとフザケすぎだろ、と突っ込みながら読むのもまた楽しい。

『七胴落とし』 辻村深月
一読すると、ほのぼのとした猫小説なのだが、大人になることへの戸惑いと不安感がじわじわと伝わってくる。

『完璧な涙』 仁木稔
神林の初期の短編にイメージが近い作風。『完璧な涙』の枝編なだけに、固有名詞なども懐かしい。

『死して咲く花、実のある夢』 円城塔
これはどう読んでも円城作品(笑)。円城塔は神林長平の個性を越えた!?

『魂の駆動体』 森深紅
これも神林っぽくないか。良く考えたら、原著もあんまり好きじゃないや。

『敵は海賊』 虚淵玄
紹介文でネタバレしているにもかかわらず、その紹介文の通りツボを押さえた秀作。

『我語りて世界あり』 元長柾木
ぶっ飛びすぎて理解不能。ゼロ年代的決断主義ブンガクなのか?

『言葉使い師』 海猫沢めろん
物語の伝播。詩的な短編。神林長平よりも、言葉の持つ力に対する信頼が見える。

『過負荷都市』 伊藤計劃
……書かれなかった作品。永遠に書かれない作品。


[SF] ファントマは哭く

2009-11-25 23:19:46 | SF
『ファントマは哭く』 林譲治 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)




林譲治は現在の日本で最高のハードSF作家といえるだろう。あくまでも、“ハードSF”の分野でなのだが。
その林譲治の代表作、《AADD》シリーズの最新作。

冒頭、いきなり既視感のあるシーンからスタート。これって短編で、出てなかったっけ?
調べたら、「大使の孤独」(S-Fマガジン2007年4月号、『年刊SF傑作選 虚構機関』にも収録)ですね。
でも、なんだか雰囲気が違う。こんな話だったっけ……と思っている間に、事態は急速に展開していく。

ダークマターとは何か、生物の本質とは何か、といった大きなSFネタ。
地球人-異星人間、地球人-地球人間、異星人-異星人間のコミュニケーション/ディスコミュニケーションの物語。
人類の愛と家族関係のエピソード。

大きな物語から小さな物語まで広がるこの小説ではあるが、やはり大きな物語に注目するほど評価が高くなり、小さな物語に注目するほど評価されない小説なのかもしれない。良くも悪くも、これがハードSF。

小さな物語だけでも、SFネタがわからない読者にまでアピールできるほどになれば、意に反して「これはただのSFではない」という決まり文句とともに紹介されるようになるのだろうが……。

今回は特に大ネタが3つぐらい重ねてあるが、それぞれが有機的に(比喩よ!)結びついておらず、独立した事象になっているように見えるところがマイナスか。ただ、謎解きミステリとして見た場合には、うまいミスリードと言えるのかもしれない。

どうせなら、心情描写とか処理過程の推測抜きに、観測事象だけをクールな文体で積み重ねたほうが、林譲治の凄みが出るような気がするのだが、どうだろう。日本のレムみたいにはなれないだろうか。

それはさておき、個人的にはファントマの行動原理が、頭では理解できても納得がいかない。
ネタバレになってしまうが、あえて書く。

〈ネタバレ注意報〉











(1) 傷つければ痛いからこそ肉体を実感することが出来る。
(2) 傷つければ痛いのが自分の領域。
(3) 殴れば痛いのが自分の身体。
(4) 殴れば殴り返される(と痛い)のが自分の身体。

(1)は明らかに自傷の問題をはらんでいるのだが、これをSF的に拡張していくという思考はわかる。しかし、どう考えても(3)→(4)に論理の飛躍がある。ただ、(4)の状況を甘えに対する愛のムチと強引に解釈すれば、まぁわからなくは無い。家族を自分という領域の中に収めてしまうことができる。

とはいえ、道の真ん中で無差別に通行人に殴りかかって、殴り返されたら仲間、とかいう状況は、まったく理解不能。どこの友情マンガだ、そりゃ。

地球産のAIが異星人のAIと交じり合って狂ったとはいえ、狂い方がおかしい。というか、上記のような間違いを犯すには、必用な認知レベルが高すぎる。わかっていて、詭弁レベルで言い訳をしているようなイメージがする。

うーむ。なんだろう。単純に感想として納得できないという以上に、何かがひっかかっているのだが、それが何なのか自分でも良くわからない。

大きい話だけを見れば、ある意味感動的な物語(の序章)ではあるのだが、この件がどうしても引っかかる。
Webで感想を探してみたんだけど、同じ処に引っかかりを持っている人は見当たらなかったので、個人的な問題なんだろうか。


[映画] 2012

2009-11-23 22:52:33 | 映画
『2012』 - goo 映画


(C)2009 Sony Pictures Digital Inc. All rights Reserved.


いやぁ、おもしろい映画でしたよ。
何が面白いって、世界各国の訛りの英語が聞けるということでしょうか。
インド訛り、ロシア訛り、イタリア訛り、中国訛り……日本訛りはあったっけ?
どれも「そうそう、そんな感じ」と思える演出だ。

見所はそうじゃなくって、世界の壊れっぷりなんだろうな。あれじゃ核シェルターでもダメだろう。
世界の終末を生きるサバイバル物は、自分だったらどうやって生き残るかを考えながら見ることが多いのだが、今回は無理。絶対生き残れる気がしない(笑)

SFとしては、最初の説明で捨てました。
「太陽フレアで大量に発生したニュートリノが、未知の核物質を発生させ、地球の核を電子レンジのように加熱する」ことにより、地殻が浮いて大惨事が発生するらしい。←ここ、笑うところですか?

主人公が「ありえない!」と叫ぶんですが、どうでもいいです。そういうことにしましょう(笑)

テーマとしては、家族愛&人類愛ってことなんでしょうが、主人公家族がマヌケな事故を引き起こす当たり、まぁズレてますよね。
そのズレっぷりの皮肉さを描いた映画だったら、大喝采を得ることが出来たのかもしれないけれど、スタッフがそのズレっぷりに気付いているどころか、返ってスゴイだろうと悦に入っているように見えるところが噴飯ものではありますが。

友愛精神を発揮するのならば、あの船を設計する時点で気づけよ。最後の最後にそんなこと言っても、全員を危険にさらすだけだし、所詮、あの場にいるのは10億ユーロでチケットを買った金持ちどもだろうが。作業員たちだって、あんな状態で何の疑問も持たずに下船するわけなかろう。そういった意味で、人類愛テーマは破綻していると断言してよい。

家族愛の方だって、あそこでジャクソンがわざと見殺しにしたとキレなければ嘘でしょう。←ジャクソン妻。
まぁ、別にいいけど。

この映画の見所は、ロサンゼルス大破壊のシーンだけですね。津波はディープ・インパクトでも見たしな。いや、それだけでも見る価値はあると思いますが。

さて、マヤ最古の遺跡(発見されている限りでは)のカミナルフユをタイトルにあげているブログとして、ひとこと。

2012はマヤの暦が一回りするだけですから!
いわば、長い長い還暦。
日本とか中国は60年毎に滅亡しますか!
西暦使っている国は、1000年毎に滅亡しますか!

ついでに、2012に惑星直列は発生しませんから!
1999には、惑星直列を越えるグランドクラスを経験してますから!

というか、チツェンイツアが集団自殺の現場としてニュース映像に出たくらいで、マヤ文明にまったく触れられていないのはなぜですか?
タイトルがマヤネタなのに、物語がノアの箱舟なのはなぜですか!

今に始まったことではないが、キリスト教国以外の世界に対する無理解に萎えるハリウッド映画であった。
チベット(?)の扱いもどうなのさ、それ。マニ教なの、仏教なの?


[コンサ] J2第49節 岐阜 - 札幌

2009-11-22 18:29:27 | コンサ
J2第49節:FC岐阜 2-4 コンサドーレ札幌 @スカパー

お久しぶりのリーグ戦。
寒い寒い寒波とともにコンサドーレが岐阜へ襲来。
本当、ゴール裏軍団はいつでもどこでも行くなぁ。TVに映るのは、見たことある顔がいっぱい。

試合開始直後、ビールでも飲むかと冷蔵庫をあけている間に得点(笑)
リプレイしか見ていないけど、古田→キリノ→上里か。

さらにキリノが後ろに返したボールをダニルソンが蹴りこみ、相手キーパーがポロって2点目。

3点目は藤田→上里とまわしたボールを、上里がダニルソンへプレゼントボール。ダニルソン、ドカーン!
久しぶりに胸のすくようなゴール。

これで試合は決まったかと思えば、岐阜に粘られて、前半1-3。

後半にはファール崩れから岩沼が蹴りこんで4点目。
J初ゴール、おめでとう。
ゴール直後にいろいろな人にボコボコにされてたけど、嬉しそうだったから大丈夫か。
古田もそろそろ……。

岐阜も諦めずに、追加点を奪うが、なんとか2-4で終了。

失点2点は、両方とも高原が弾いた球を押し込まれる格好。あれはDFがクリアしなければいけないんだが、リプレイを見る限り、弾いた先が不運にも岐阜FW佐藤の正面なので、クリアのしようが無いか。

とにかく、久しぶりの大量得点での勝利。
ニトリ撤退、金欠で明日をも知れぬ中、神のごときヒーロー曽田も引退が決まり、明るいニュースが無かったコンサドーレ。
しかし、この試合では、古田、岩沼といった若手の活躍が目立った。
石崎監督も残ってくれるようだし、暗いニュースばかりじゃない。

まぁ、今日は岐阜の出来が悪かっただけのような気もするが、各選手にとっては来期へ向けての生き残りをかけた試合である。
あと2試合。怪我に気をつけてがんばってくれることを望む。
特に誰とは言わないけれど……。


[映画] 曲がれ!スプーン

2009-11-22 09:13:50 | 映画
『曲がれ!スプーン』 - goo 映画


C)2009 フジテレビ/ROBOT/博報堂DYメディアパートナーズ/東宝/日本映画衛星放送


Jコレで読んだ『曲がれ! スプーン』の映画を早速見に行ってみた。
周りに声をかけてみたら、長澤ファン扱いされたけど、あんな大女、好きじゃないですから!

いつものシネコンに行くと、長い行列が!
『2012』か。さすがに人気があるなと思ったら、『マクロスフロンティア』(笑)
OLっぽい女性も多かったけど、あれってBL要素でもあるのか?
そういえば、ミンメイの全裸が拝める『マクロス映画版』を見に行ったのは遠い想い出。確か北見に住んでた頃だよな……。

そんなことはさておき、小さなスクリーンに、観客がちらほらの『曲がれ!スプーン』の会場へ。
困ったことに、両サイドともカップルで、小声で喋りながら見てやがる。全部聞こえてますから!
Booooooooooo!

内容ですか……。舞台脚本の通り、そのまま。やっぱり、読む前に見るんだった。
オチを知っていても楽しい映画であるのはさすがなのだが、もうちょっと、映画ならではの演出は無かったのかね。カフェ・ド・念力の棚にある文庫本を映すとか。(あれって、超能力ネタのSF小説が並んでると見た!)
改変点で面白かったのは、逆さ釣りのところぐらいか。あと、“へっちゃら男さん”に寺島進っていうのが、アンマッチっぷりは良かったけど。

逆に、マスターの予知が実現するネタの扱いはどうかと思う。原作より穏便にしたかったのだろうけど、あれじゃ予知かどうかわからないでしょ。ラストシーンも、夢を与えるという直接的なメッセージ性を持たせたかったのはわかるにしても、間延びして感動が薄かったしなぁ。

マスターといえば、ちょっと会話のテンポを外し気味だった気がする。この映画は、完成されたコントみたいな会話が売りだと思うんだけど、マスターのところでちょっともたつくんだよね。

なんだか、脳内で完成された『曲がれ!スプーン』が実演された直後なので、どうしても評価が辛くなってしまったが、楽しさでいえば、今年一番の映画といってもいい。特に、SFファン、不思議なもの好きな人は、必ず見に行った方がいいと思う。ひとことで言えば、“超能力のあるあるネタ”コメディ。こんなのが理解できるのは、おれらしかいない(笑)

長澤まさみファンも、彼女の巨乳っぷりを見に行けばよろしい。インタビューによると、ホンモノの上に、さらに入れてたらしいっすけどね。


[SF] 曲がれ! スプーン

2009-11-19 23:06:12 | SF
『曲がれ! スプーン』 上田誠 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)




日本のSF界を拡大路線で独走する“Jコレ”。以前にSF短歌集『抒情の奇妙な冒険』なんてのも収録しているが、今度は戯曲集だ。

映画2本の原作となった舞台脚本を収録。
『曲がれ! スプーン』と『サーマータイムマシン・ブルース』。
どちらもSFネタのコメディで、SF的には、いわゆるお約束なネタのオンパレード。

SFネタの映画だと、どうしても、「いや、それ違うし」という突っ込みを入れてしまうのだが、これはまったくそんなことはなく、もうその通り、そこしかないというオチに突っ込んでいく。
裏切られことの無い分、驚きも少ないのだが、思う通りに、思うタイミングでネタが積まれていく、これがまた、楽しくてたまらない。

その中で、感心したのが、テレポーテーションの処理。舞台上でテレポーテーションをどうやって表現するのかというと、周りが止まって、エスパーだけが移動するという。それ、テレポーテーションじゃなくて、タイムストップじゃん。と突っ込まずに、「おぉ、テレポートした!」と拍手を送るのが正しい鑑賞方法。

おそらく、外しネタが多ければ、上記も突っ込み処になるんだろうが、他の透視やサイコキネシスの正しい“見せ方”が積み上がったあとだけに、本気で感心してしまった。

他のネタも、SF研のバカ話(うちのSF研は部室がなくて、例会は喫茶店だったしな)的なノリで、なんだか大学時代に戻ったような、あるいはSF大会の休憩所みたいな、ヘンな“わかる感”が醸し出されていて、ニヤニヤせずにはいられない。この空間にずっといたいというような、それでいて、もう勘弁というような……。

なんだか、舞台も見たくなってきたぞ。

ちなみに、上野樹里がヒロインの『サーマータイムマシン・ブルース』はビデオレンタルでも絶賛レンタル中。
長澤まさみ主演の『曲がれ! スプーン』は11/21、今週末から公開だよ。
読む前に見るの原則を破っちゃって、ちょっと後悔だよー。


[コンサ] ネ申、引退

2009-11-18 22:36:44 | コンサ
まだあまりピンときていないのだが、曽田の引退について、やっぱり一言書いておこうか。

曽田といえば、そのあまりのファンタジーさに“神”とまで呼ばれた男。
身体能力が高くて頭もいいが、頭が良すぎで回りに理解されない男(笑)
記憶にも、記録にも(Jリーグ最後のVゴール、ハットトリック付)残る稀有な選手。

DFにコンバートされたときには、見限られたのかとも思ったが、その後の活躍はご覧のとおり。
FW出身のDFとして、パワープレーでFWにあがったり、セットプレーの得点力が魅力だった。

高い年俸をもらいながら去年の怪我から復帰できずに、一部では給料泥棒との声も高いが、一番期待できる選手でもあった。
俺も、今期の復帰を今の今まで待ち続けていた。

しかし、曽田、(そして、箕輪)がいるからこそのDF不足が今期不振の原因だと思っているので、ちょっと言いたいことはある。
まぁ、それは彼の責任ではなくて、強化部が悪いんだろうけど。

1996年の発足以来、初めてコンサドーレ一筋の主力選手の引退となる。
熱狂的な曽田ファンではないけれども、曽田のいないコンサドーレは、ミスタースポックのいないエンタープライズ号のようだ。

ホーム最終戦には出場するのかもしれないが、ぜひアウェイの味スタでも見たいものだ。
横浜FC戦で大活躍して、東京V戦で先発復帰なんてなんないかな。さすがに無理か。

巷では、彼の背番号4番を誰が継ぐのかということが早くも話題になっている。
(『継ぐのは誰か?』 by小松左京)
吉弘、柴田はすでにレギュラー番号だし、堀田にはまだ早い。
来期残ればソンファンか、助っ人に渡る可能性が高いが、ここはぜひ、柴田に、3番を捨てて4番を継いで欲しい。
高さ、強さ、セットプレーの得点力、そして、守備の甘さのファンタジーっぷりから見ても、曽田の後継者は柴田にこそふさわしい。

っつーか、サカつく6で相手チームの柴田にMVPとられた。
現実世界でもがんばってください。

そして、ありがとう曽田雄志。これからもよろしく。
そーたゆーし オーレー
そーたー ゆーしー


[SF] ノーストリリア

2009-11-17 21:58:38 | SF
『ノーストリリア』 コードウェイナー・スミス (ハヤカワ文庫SF)




『世界の中心で愛を叫んだけもの』と同じく、タイトルだけはチョー有名なSF名作シリーズ《人類補完機構》、唯一の長編の新装版。

実は『鼠と竜のゲーム』を読んで、わけがわからなかったので、敬遠していた。ブックオフでの出会いも無かったし(笑)

実際に読んでみたら、これが期待以上の面白さ。人類補完機構シリーズはここから読み始めるべき。

なんというか、これは昔話なわけだ。SFなんだけど、中身は昔話のフォーマット。
もしくは、童話、民話のたぐい。浦島太郎であり、わらしべ長者であり、竹取物語であり、なんであり、かんであり。

そこを少年の成長物語が一本のメインラインとして貫いている。
この少年というのがまた、持たざる者としてのコンプレックスの塊でありながら、逆に、持てる者として妬まれ、狙われる。
これを乗り越えて成長し、少年は赦しをもたらすわけだ。

さらには、人類補完機構が作り出した理想郷を描く、ユートピア/ディストピアの見聞小説でもある。
ある意味、ガリバー旅行記。もしくは、不思議の国へ行って帰ってきた物語。

主人公の少年は、人類補完機構のディストピアを改革、もしくは崩壊させる萌芽としても機能する。
しかし、最後の最後で、主人公が帰ってきた故郷も、別な意味でのディストピアであることが冷酷に描かれる。

赤毛猫のク・メルにはそんなに萌えなかったけど、田舎で主人公を待つラヴィニアや、ちょっとだけ登場する亀人の子供など、萌え要素は十分だぞ。燃え要素はちょっと足りないかもだが。

ところで、カバー折り返しのシリーズ一覧には『鼠と竜のゲーム』と『ノーストリリア』のみでさびしい限り。
残り2巻『シェイヨルという名の星』『第81Q戦争』は絶版なのか?
それとも、新装版で続けるつもりがあるんだろうか?