神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

SFマガジン読者賞発表

2008-12-28 13:18:30 | SF
遅ればせながら、SFマガジン2月号でSFマガジン読者賞が発表になっています。

【国内部門】
第1位:『ナイト・オブ・ザ・ホーリー・シット』 桜坂洋
第2位:『From the Nothing With Love』 伊藤計劃
第3位:『トキノフウウセンカズラ』 藤田雅矢
第4位:『南極点のピアピア動画』 野尻抱介
   :『流浪の民』 菅浩江

【海外部門】
第1位:『もろびと大地に坐して』 コニー・ウィリス
第2位:『商人と錬金術師の門』 テッド・チャン
第3位:『眠りの宮殿』 ホリー・フィリップス
第4位:『十億のイブたち』 ロバート・リード
   :『葉と花の帝国』 ジーン・ウルフ
   :『両替官とアイアン卿』 ダニエル・エイブラハム

順当というよりは、へぇー、って感じの順位でした。
国内だと桜坂洋の位置が微妙。海外部門のジーン・ウルフもそうだけど、他の作品のおまけ小説が票を集めるのはどうなんだろう。桜坂の『さいたまチェーンソー少女』ってそんなに話題になってたっけ?

第4位が同着に複数並んでいるのを見ても、全体の投票数が少ないのか、という疑問が……。

個人的に投票したのは伊藤計劃と、あえて中国SFくん。予想ではロバート・リードだったんだけどねぇ。ウィリスとチャンはやっぱり強いな。


さて、北の国に里帰りしてきますので、しばらく更新しません。
みなさま、良いお年を。

  

トムヤムクン食べた

2008-12-27 12:19:48 | Weblog
昨日、トムヤムクン食べたよ。
すっぱい、からい、うまい。

酸っぱい+辛いとか、甘い+辛いが多いタイ料理の中で、野菜炒め(空芯菜?)がしょっぱ辛くて一番日本人の舌にあっているようでした。たぶん、ナンプラー(?)のせいですか。

塩分は汗をかいた後などに必須なので、日本よりも暑い東南アジアの方がしょっぱくてもいいような気がするのですが、しょっぱい南方系の料理ってありませんね。辛いとか酸っぱいとかが多くて。

和食というか、日本の料理に塩分が多いのは、少ないおかずで大量のコメを食うからだそうですね。昔は一人一升とか食べたらしいし。で、現代人はコメを食わずにおかずばっかり食べるので、塩分過多で高血圧になると。しかも玄米じゃなくて、白米だし。

自分も佃煮とか結構好きなので、気をつけなきゃいかんですね。しょっぱいものは止めて、スッパ辛いものばっかり食べるにする?(笑)

[SF] ハーモニー

2008-12-27 11:35:20 | SF
『ハーモニー』 伊藤計劃 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)



いまや、ハヤカワSFの二枚看板になってしまった伊藤計劃の最新作。
ちなみに、もう一枚は円城塔。
この作品では、彼にささげる「空から落ちてくる人をバットで打ち返す」シーンが出てきます(笑)
あと、『虐殺器官』のセルフパロとか。

この作品はひとことで言うと、中二病患者が邪気眼をこじらせて自殺したと思ったら、本物だったよ。しかも人類補完しちゃうよ。という小説。

こう書いてしまうと身も蓋もないわけですが、善意の空気を押し付けてくる全体主義というディストピアは、ちょっと背筋がゾクゾクします。いまの世の中も、ある特定の人たちが進める政策や方針を推し進めていくとこうなってしまうわけで、何事もほどほどが一番かなぁと。

伊藤計劃はブログを持っていて(リンクは張らないから探して)時々読むのだが、問題意識や着目点は自分と似ているのだけれど、反論コメントを書きたくなる(笑)記事が多い。総論賛成、各論反対というか。

この小説でも、意識に関する考察部分はちょっと納得がいかない。実は十数年前に書いたオレ様の修論に関係してるし(笑)

それでも、中学生くらいの女子に顕著な“同調圧力”が社会的に高まった、しかもその方向性が“健康”に偏っている世界というのは、容易に想像できる。煙草の注意書きがアルコール飲料やカフェイン含有飲料にまで記載され、おそらくは蒟蒻畑だって食えやしないディストピア。

消費者庁大臣様あたりに一度読んでもらい、感想をお聞かせ願いたい。

トムヤムクンの思い出

2008-12-24 18:55:40 | Weblog
最近じゃなくて、ずいぶん前なのだが、タイ風ビヤレストランというところに行った。
そのときの話。

“トムヤム”は“辛い・酸っぱい”という意味で、“クン”は海老。
つまり、海老入りの辛い酸っぱいものという意味。
その店は、トムヤム海老(トムヤムクン)だけではなく、トムヤム鶏とか、トムヤム牛とか、トムヤム烏賊とか、いろいろメニューにあった。

そこで、東南アジア人風の店員さんに、どれがお勧めか聞いてみたところ、
「エビ、オイシイヨ。エビ」
だそうなので、トムヤムクンを頼んだ。

他にも、焼き物……、
「エビ、オイシイヨ。エビ」

炒め物……、
「エビ、オイシイヨ。エビ」

なんでもエビがお勧め。それはお勧めなんじゃなくて、お前が好きなだけなんじゃないのか?
てか、もしかして「エビ」以外日本語がわからないとか(笑)

で、最後に海老入り焼きそばを頼んだら、
「エビ、モウナイヨ。アナタタチ、エビ、タベスギ」

……お前が薦めたんじゃないかヨー。

[SF] ミロクの巡礼

2008-12-23 19:37:11 | SF
『ミロクの巡礼(グインサーガ124)』 栗本薫 (ハヤカワ文庫JA)




弥勒じゃなくって、ミロクの巡礼とくれば、主人公はスーティとフロリーかと思いきや、ヨナ博士でした。
別にお前はどうでもいいんじゃぁ。

表紙のオッサンはカメロンですか。最近船乗ってないんじゃ。
実は大湿原の泥船の船長でしたとかってオチ?

ミロク教はカトリックみたいな宗教でありながら、イスラム教のメッカ巡礼のように、一生に一度、巡礼の地ヤガへ向かうのですが、ヤガっててっきりパロの東にあるんだと思ってたよ。今回の地図では、パロの南。どっちかというと、草原地方の東側にあるんですね。

この地図もずいぶんと変遷をたどっていて、最初の頃の地図は物語と矛盾が出てきたので、確かファンクラブの有志で書き直したはず。

パロが温暖なのは、西側に海があったからなはずなんですが、今じゃすっかり内陸の国です。ふつう、こんな地理の国、寒暖の差が激しい草原になるんじゃないの?

かつては、パロ=フランス、ケイロニア=ドイツ、ゴーラ=東欧、草原地方=イベリア半島、沿海州=イタリアな感じだったんですよね。あきらかに、クム=ハンガリーだし。こんな地図の変遷にも歴史を感じますね。さすがに、1巻発売(1979)から30年の重み。

そう考えると、ノスフェラス=ロシアで、爆心地はチェルノブイリ?
ありゃ、あの事故は1986年のはずなんだが。
当時、ノスフェラスの予言とかって話題になってたっけ?


[映画] ライラの冒険

2008-12-23 19:07:32 | 映画
ライラの冒険 黄金の羅針盤



今年の落穂拾いとして借りてきました。

やっぱり、このサイズではストーリーがバタバタしすぎで落ちつかない感じですね。どうせ最初から3部作とか4部作とか言われていたのだから、もっと脚本を整理してもよかったのに……。

と、思っていたら、続編無期限延期だそうで。
早く撮らないと、子役が育っちゃうぞ(笑)

身体の外にある魂としてのダイモン。いろんな動物でかわいいんですが、ダイモン占いをしてみると、ホームページによって野ウサギだったり、クモだったり、なんだかいろいろでわかりません。
日本語版のオフィシャルだと、クモかな。探究心旺盛で粘り強いらしいです。

このダイモン、台詞の中ではどう聞いてもディーモンに聞こえます。綴りを調べたら、やっぱり"daemon"だったよ。日本人には悪魔の"demon"と区別が付かないから、わざとダイモンなのか?

ところで、子供たちが集められた理由。ダストから守るため。
ダストは世界の外に繋がっている。
……。
なんだか、どっかで聞いたような話ですが。
やっぱり情報からの隔離?

[SF] 太陽の中の太陽

2008-12-21 13:04:10 | SF
『太陽の中の太陽』 カール・シュレイダー (ハヤカワ文庫SF)</bold>



〈気球世界ヴァーガ〉シリーズと銘打たれた第一作。
『リングワールド』が引き合いに出されているが、要するにダイソン球(地球サイズの巨大な風船)の中の世界を描いた物語。
ただ、今回は外殻の話がほとんど出ないので、巨大構造物萌えの人にはちょっと物足りないかも。

『リングワールド』よりも、気体世界で大冒険な、ニーヴンの『インテグラルツリー』、バクスターの『天の筏』とかが近いんじゃないかな。世界の中心には重力源がなさそうで、ほぼ完全に無重力の世界というのが特徴か。

無重量状態でも衛星軌道なんかだと、速度を上げれば高度が上がるとか、感覚的にややこしい話が出てくるんだけど、ヴァーガではそんなこと関係なしの無重力なので、感覚的にもわかりやすい。基本的に空気もあって、気圧変化が小さいから、高度を上げて(外殻に近づいて)も空気が薄くなったりしない。そういった意味では非常にわかりやすい。

文化的には忘れ去られた世界パターン。
「重力ってあれだろ、回転でつくるやつ」
この台詞にドキドキできるのはSFモノだよね。

科学的な裏付けや世界観はしっかりしているが、物語は両親を殺された少年の復讐譚。2007年の星雲賞受賞作品『移動都市』の空中世界版というか。あれが星雲賞取れるなら、これも星雲賞ものだ。ちゃんと、顔に傷を持つ女性も出てきます。人妻だけど(笑)

こういう作品を読むたびに、これはSFというべきなのか、ハイファンタジーと呼ぶべきものなのか、よくわかりません。うるさい人なら、異世界(遠未来?)での文化が中世から産業革命時代そのものであることに突っ込みをいれるかも。こういうのも、いわゆるワイドスクリーン・バロック?

でも、そんな野暮な話は抜きに、楽しめる作品になっていると思います。

3部作らしいので、ヴァーガの秘密や主人公達のその後が描かれることに期待します。というか、続きがあるなら読みたいです。


毎日楽しいですか、と彼女は聞いた

2008-12-21 12:59:08 | Weblog
毎日が楽しい人なんているのかな。
朝起きたときに、チョー楽しいとか。

女の子に言われた言葉である。

そんな奴はいない、と答えてはみたのの。

毎日が楽しいとか、毎日が充実しているとか、これがいわゆる“リア充”って奴か?
リアルが充実で毎日ルンルン。
ポーズではなく、本当にそんな奴がいるのか?

さらにわかりやすいリア充判別
7つ以上チェックならリア充である。

・恋人が複数いる。さらにはうまく両立している。
・アドレス帳登録数が200件以上。収まりきらないため携帯が2つある
・一日の平均メール数が10以上
・ほぼ毎日なんらかの形で電話する。但し仕事を除く
・誕生日イベントによくからみ、ホームパーティーを計画する
・昼食や夕食を友人と食べることが多い
・一日に二回以上以上飲みがある
・月に1回は欧米や韓国に旅行する
・他の人に堂々と言える趣味がある(ライブ三昧・サッカー観戦等)
・将来に希望が見出せる
"http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%85%85" より作成

恋人が複数とか、一日に飲み会が二回とか、どんなんだよとも思うが、たしかに、こんな風なら毎日楽しいかもな。

リア充を目指すなら、とりあえず、他の人に堂々と言える趣味があることから始めてはどうか?
趣味はもう持っているんだから、後は堂々と言うだけでいい。
友達に言えなければ、僕に言えばいい。

旅行に行けなくても、各国料理を食べ歩きにいこうよ。今度は東南アジア系がいい?
そうすれば、友人との食事もクリアできるよ。

電話やメールの相手も、複数の一人でいいから恋人も、僕じゃダメかな。

僕はあなたに会えると思っただけで、毎日楽しくなります……。

[映画] ウォーリー(WALL・E)

2008-12-19 23:16:47 | 映画
WALL-Eはアメリカ人のナウシカ(映画版)なんだよ!

とりあえず、今日は酔っ払いなので、詳しくは明日書く。




ウォーリー - goo 映画



なんだか、とても無邪気で楽天的な映画だった。
悪い人は出てこない。ちょっと歯車が狂っただけ。

艦長はただのバカかと思えば、あくまで格好良いアメリカンヒーローだし、目の前のカバーをはずされた男女はお互い一目で恋に落ち、英雄的行為で子供たちを救う。

あんな状況であれば、地球になんか帰りたくないという人間が出てきてもおかしくないし、地球に帰ったところで、こんなゴミだらけの荒野で生きたくないと逃げ出す人間が出てくるのが普通だ。

地球は故郷だが、楽園ではない。

アメリカ人以外、たとえば、イギリスでもフランスでも、日本であっても、こんな楽天的すぎる映画は作らないんじゃないかと思った。それでは、日本だったら、どんな映画を作るか?

昨日の電車に揺られた酔っ払いが思いついたのは、『ナウシカ(映画版)』だったらしい(笑)

ナウシカ        ⇒ ウォーリー
テト          ⇒ ゴキブリ
腐海の底のラストシーン ⇒ プラント
腐海          ⇒ ウォーリーたちのお掃除と700年という時間
冒頭の伝説       ⇒ エンディングのスタッフロール


このように見ていけば、二つの映画が同じテーマを描いていることは明らかではないか?
(ただし、何度も言うが、ナウシカは映画版にかぎる)

ナウシカみたいな映画を作ろうとして、アメリカ人は『ウォーリー』を作った!

一方、ロシアは鉛筆を使った。





Web検索してみたら、みんな考えることは一緒だったみたいだ(笑)


[SF] 回帰祭

2008-12-17 21:32:38 | SF
『回帰祭』 小林めぐみ (ハヤカワ文庫JA)




由緒正しい正統派SF。ライトノベル風ハインライン。
こういうのを読むと、すごく落ち着く。

荒れ果てた地球を出発した移民船。たどり着いた過酷な地から、16歳になった男子だけが地球へと“回帰”する。

メインコンピューターの不調、男女比9:1の出生率、反乱分子、そしてウナギ…・…。
「我々はストレスにさらされている」
なぞの言葉とともに、回帰を目前にした二人の少年と、この地に残らなければ行けない少女の冒険が始まる。

すばらしい。
これは、いいSF(笑)

植民地が第4惑星だったり、“外”が人々の意識から巧妙に遠ざけられたり、あからさまに怪しい設定がありながらも、事態はまったく想像もしない展開に……。

読み終わった後で、扉(前文)の“彼”が誰なのかを考えると、これまた意味深。

アツも、ライカも、ヒマリも、みんな愛おしい。
なんだか、彼らに感情移入するよりも、がんばれよと、微笑ましく眺めてしまうけど。

ただ一点、個人的には「我々はストレスにさらされている」の言葉を残したのが、“彼ら”なのか、反乱分子なのか良くわからなくて消化不良。

この作品は、俺的SFのど真ん中を打ち抜く作品。これがSF、これぞSF。
なんだか、懐かしくて泣けてくる。(笑)