神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[コンサ] 2012 ヤマザキナビスコカップ Bグループ 札幌 vs 新潟

2012-03-28 10:48:03 | コンサ
2012 ヤマザキナビスコカップ Bグループ 札幌 0-1 新潟 @スカパー


ついでなので、ナビスコカップの感想も。もう1週間以上前なので、それこそ思い出話だけど。


この試合、先発メンバー全員を入れ替えて臨んだ石崎監督。主力メンバーの疲労を避けるためのターンオーバー制というより、控えメンバーの実戦試験という意味が強かったように思う。

特に札幌は地理的に他のJ1チームと離れているため、サテライトリーグが無くなってからは練習試合相手に恵まれず、控えメンバーの実戦の場がなくなってしまっているので、ある意味いいチャンスだったのかもしれない。

そこで頑張った控え選手たちなのだが、他の方のブログを見ると、選手の評価は随分分かれている模様。

たとえば、三上なんかは、どんな体勢からでもシュートで終わろうとする意識が見えて、個人的には高評価だったのだけれど、無駄にミドルを撃っただけという低評価の方が多いようだ。

逆に、杉山はキャプテンとしてフェアプレーフラッグにサインするあたりからキョドっているように見え、キーパーがあんなにバタバタしてボールが手に付かないようじゃダメだろと思っていたのだけれど、ホスンよりも良いフィードを高評価しているサポも多いようだ。

大島もキリノも評価が分かれていてなかなか面白い。俺は大島もキリノもダメ系評価なんだけど。

個人的に最大に評価したいのは前貴之。こぼれた五分五分のボールを確実に拾っていたし、プレースキックも正確だった。後は先輩に渡すようなチョロっとしたパスが無くなって、俺がお前らを使うんだという意識が出てくれば大化けするかもしれない。実は去年のユース戦で左サイドバックの時はちょっとどうかと思ってたんだけどね。

榊も良かったし、荒野も良かったけど、荒野はスタミナ切れが早かった感じ。まあ、若いうちはそれくらいのがむしゃらさが欲しいよね。リーグ戦出場したとしても、途中交代が多くなるだろうし。

櫛引はすぐにでもレギュラーになれる。奈良さんをどうにかするより、ノースを先発から追い落とす方が早いかもよ。

岡山は頑張ってたけど、櫛引の方が上。悪いけど、今年はスクランブル以外では出場はなさそう。その分、中山と一緒にチーム内の盛り上げ役として働いてもらえれば。

宮澤は相変わらず。いい時はいいし、悪い時は悪い。1試合を通してコンスタントにミスなくプレーできればいいんだけれど、時々雑になるのが問題。

上原のサイドバックは意外に様になってきた感じ。ロングスローもうまくなってきたよね。


なんだか順番が逆になってしまったが、試合の印象。

序盤はとにかく札幌が走りまくってボールを拾いまくった。これだけセカンドボールを拾える試合は珍しいというくらいだ。しかし、控えメンバー中心ということもあって、拾ったボールをうまくつなげず、ただ相手DF裏に蹴り込むだけで、連動したプレーがなかなか見られなかった。

このいい時間帯で得点が奪えず、結局スタミナ切れで足が止まって敗戦ということ。

最初から勝ちにいった試合というより、選手の経験と見極めのための試合だったような気がするので、この結果は仕方がないか。


今後もナビスコカップは控えメンバーの実戦練習扱いにするんだろうか。そうすると、例のベストメンバー規定が気になるところではあるけれど、「リーグ戦直前5試合」のスタメンが基準になるので、リーグ戦第5節が終わるまでは適用なしということなんでしょうか。すくなくとも、今回は制裁受けてないよね。



あ、あと石川vsキリノのバチバチ感がなかなか笑えた。もしかして、お前ら昔から仲悪かったんじゃないかw

藤田が帰ってきて岡本とバチバチっていうのも見てみたいですw


[コンサ] 2012 J1 第3節 札幌 vs 浦和

2012-03-28 10:06:22 | コンサ
2012年 J1 第3節 コンサドーレ札幌 1-2 浦和レッズ @スカパー


もう時間が経ってしまったので思い出話状態なのだが、とりあえず感想を。


札幌にとって、浦和戦はいろいろ因縁がある。2008年に昇格した年は、あまりにグダグダなチームに対してコアサポが応援拒否で分裂状態になったりとか、その前はJ2に落っこちてきた浦和とバチバチやりあったり、エメルソン引っこ抜かれたりしてたわけだ。

試合開始前、各座席にサポ有志とボランティアの方々が置いて回った小旗には、そんないろいろな歴史が込められていたはず。

そして、いつも以上に広がったアウェイ側応援席。久しぶりの札幌ということで観光気分の方も多かったのかもしれないが、浦和にも札幌との因縁を覚えていてくれているサポが多いのだと思う。例の「お前はもう死んでいる」ダンマクも登場したしな。

札幌ドームでホームの応援をかき消すように轟く「浦和レッズ」コールは札幌J1昇格のお祝いと歓迎の儀式だと受け止めたい。


試合では、間に挟んだナビスコカップを完全にターンオーバー制にして、前節神戸戦と同様の布陣。攻撃はとにかくワントップ前田俊介の出来にかかっている。

序盤5分間は浦和が圧倒。さすが、これがJ1なのかというボールも人も動くパスサッカーで、札幌DF陣はまったくなすすべ無し。これは勝負にならないかとも思ったが、結局この猛攻は5分間で止み、浦和もなんだか落ち着いた感じに。

しかし、札幌の攻撃は前田を押さえられて中央への縦パスはほとんど通らず。それでも右サイドの抜け出しからコーナーキックを得ると、いつものサインプレーでペナルティエリア外の山本へ。これを山本が高く弾ませ、トラップミスで終わるかと思いきや、とんでもないミドルをぶち込んで先制。神戸戦に続いて2発連続の先制弾だった。

ここから割と互角の展開になるのだけれど、札幌は結局、プレーの精度を欠いてみすみすチャンスをつぶしたり、シュートを吹かしたりして得点ならず。

逆に浦和は前半終了間際にサイドライン、ゴールラインどちらでもラインを割っていると判断されそうなボールをつないでセンタリング、これを純平がかぶってヘディング空振りの柏木ゴール。

審判のジャッジミスと言っている人も多いけど、あれは仕方がないんじゃないか。どっちかというと、人を捕まえられていないDF陣の問題。サイドバックが中に絞るなら、その大外に走り込んでくる選手をどうやってケアするのか当然考えてないと。

せっかくの先制点をもったいない感じで同点にされて前半終了。

そして、後半もなんとか浦和に食らいつくも、だんだん運動量が落ちて足が止まり、ファールでしか相手を止められなっていく。で、ペナルティエリア付近で取られたファールから、柏木にFKを決められて逆転。

あれはキックが良すぎた。ホスンでも無理。キックの準備がとかの問題じゃない。

最後はいつもの光景とばかりに、キリノ、大島、榊とFW大量投入も実らず、1-2で試合終了。2試合連続の逆転負け。シュート数では11本対11本で互角、チャンスの数も大差無いと思うのだけれど、結局のところはパスやシュートの精度の問題か。

榊は頑張っていたのが見えたし、ボールを持つたびにスタジアムが沸いていたのはわかるけど、このクラスの相手だとまだまだ通用しなさそうだ。奈良は浦和の同年代、矢島を完全に抑えたばかりか、他の選手にも1対1ではほとんど競り勝てていたので、本当に凄いやつだと思った。

ところで、問題の前田なのだが、まだ天才ぶりを発揮できていない。意味不明なスルーや、ヒールパスなど、味方をも欺くトリックプレーばかりが目立ってしまっている。今回は阿部やら鈴木やらに付かれて自由にさせてもらえなかったということもあるのだろうけれど、“天才”という言葉が揶揄に見えてしまうくらいだった。

一方で、浦和の柏木は決めるべきところでしっかり決めるというエースの仕事をきっちりやってのけた。前田が天才ならば、柏木は神様か何かなのだろう。

この二人だけではなく、選手全員においてレベルの差が見えてしまう。内村にしたところで、裏に完全に抜け出した大チャンスのシーンにおいて、ファーストタッチのトラップミスでボールを大きく逸らせてしまい、追いついた足が利き足とは逆だったのでシュートが撃てず、みすみす1点もののチャンスをつぶしてしまっている。そこでシュートにまで持っていけるかどうかがJ2とJ1の選手の差ということなのだろう。

石崎監督は前田のワントップにこだわりを持って続けているようだけれど、前田依存の攻撃というのはかつてのクライトン頼みの攻撃というのと変わっていないような気がしないでもない。外人頼み、エース頼みの攻撃から脱却したはずなのに、結局は前田頼みなのかよというところに、正直なところ、かなり違和感を感じる。

だから、次の清水戦では、内村、近藤、岡本に、これが札幌の攻撃だというところを魅せて欲しいものだと思う。


[SF] 空の都の神々は

2012-03-18 18:51:18 | SF
『空の都の神々は』 N・K・ジェミシン (ハヤカワ文庫 FT)





FTレーベルでの出版だが、本国ではヒューゴー賞、ネビュラ賞候補。立派なSFですね。

超古代文明の遺物が残る世界。その最たるものが“神々”だった。いや、“神々”こそが最初に存在したのか。

神々の都に生まれた王女を母に持つイェイナは、そびえる塔の上に栄える都に招かれ、否応なく王位継承争いに巻き込まれる。しかし、それは同時に、絶対的な力を持つ神々の争いに巻き込まれることでもあった。

母はなぜ都を出たのか。神々はなぜ人々の奴隷であるのか。世界はなぜこのようであるのか。

イェイナが生まれた部族は女系社会で、そこはかとなくジェンダーSF風の役割の逆転が見える。ただ、それはちょっとしたフレイバーのようなもので、あまり主題にはならない。

主題はあくまでも、絶対神となった光の神と、奴隷となった闇の神の確執、そして反逆劇。イェイナは彼らの駒となり、あるいは自らの意志で運命を覆す。

空の都の王侯貴族たちは割と類型的で人間離れしているところがあるのだが、逆に神々たちが非常に個性的で魅力的に描かれている。闇の神ナハドは淫靡なイケメンで、子供のシアはいつまでも子供を演じる。もっと登場する神々の種類を増やしても良かったような気もするけど。

彼ら神々の歴史というか、神話はなかなか面白い。最初に闇の神があり、光を欲っして光の神が生まれた。そして、黄昏と暁の女神が生まれ、子供たちが生まれた。しかし、光の神は絶対的な権力を望み、黄昏の女神を殺し、闇の神を奴隷にしてしまう。

このあたりの話は、多神教から一神教への変化を感じさせる。一神教は中央集権の象徴のようなもので、この作品でも王権の集約と崩壊に通じる。いわば、古代エジプトのアテン神一派とアメン神一派の戦いのようだ。

SFなのかファンタジーなのかはさておき、超越的な文明と中世以前の社会が入り混じるような世界は魅力的で、細部まで作り込まれており、まるで実在世界のようだ。この手の話は、和製ファンタジーに多いのだけれど、ちゃんと世界観が練り込まれていて作り物感が無い。これだけの世界を作り出せる力というのは、尊敬に値する。しかも、これが処女長編なわけだし、今後にも期待できそう。

そしてまた、ラストの一文がSFっぽくていい感じだ。この未来へ、宇宙へ広がる感覚はSFならではのものだろう。


[SF] エラスムスの迷宮

2012-03-18 17:57:27 | SF
『エラスムスの迷宮』 C・L・アンダースン (ハヤカワ文庫 SF)





フィリップ・K・ディック賞受賞。ディック賞といっても、ディックとはあんまり関係なく、ペーパーバック・オリジナルで出版されたSFの賞ですね。日本でいうと、文庫本SF賞みたいなもんですか(そんなものはありませんが)。

感想は一言でいうと、読みずづらくて長いです。

読みづらい原因のひとつは、ファーストネームとファミリーネームが入り乱れて、なおかつ(日本人には)近い発音の名前が多くて混乱することですかね。登場人物表を付けてくれたら、随分読みやすかっただろうにと思う。

後は、基本的に謎解き物であるにも関わらず、その謎がちゃんと提示されないということですかね。複数の視点があって、それぞれにとって謎に思っていることがあり、それらを調べていくことになるのだけれど、それぞれの関わり合いが今一つよく見えず、登場人物以上に読者が混乱してしまうような気がする。要するに、ストーリーが分からずに迷子状態になるのだ。これぞ、迷宮wってことですかね。

ネタのひとつひとつを見ると興味深くはあるのだけれど、どれもとってつけたような感じで、無くても良かったような水増し感がある。主人公の家族ネタなんかもそうで、最初と最後で重要なシーンとなっているのだけれど、これが他のネタとはまったく絡まずに独立しているように見える。逆に言うと、夫や子供との絆を描いたおかげで、死んだ同僚との絆が甘くなってしまっている。ということは、そもそも主人公がこの謎に飛び込んだ動機が薄くなっているということだ。

そして最後の大ネタは、ちょっと途方もなさ過ぎて「へぇー」っていう感じ。今まで読んできた謎解きの解決篇というよりは、全く別の小説の設定を読まされているような気がした。あまりに万能な話で、実はそうだったのかという納得感が得られなかった。

アメリカではこのところしばらく水増ししたような長い物語が好まれているようだけれど、ちょっと勘弁してほしいなというのが正直なところ。


ところで、C・L・ムーアってサラ・ゼッテルの別ペンネームらしい。C・L・ムーアにあやかったんだろうか。読み終わってから知って、「ああ、サラ・ゼッテルねw」とある意味納得してしまったよ。以前に読んだ奴も読みづらくて長かったよ。


[SF] ワン・ドリーム ~みんなでひとつの悪い夢~

2012-03-18 17:07:48 | SF
『ワン・ドリーム ~みんなでひとつの悪い夢~』 中井拓志 (角川ホラー文庫)





これはコメディなんだろうか。それとも、他人の悲劇は喜劇に見えるというやつだろうか。

他人に悪夢を見せられるという能力を、科学的に増幅して非殺傷兵器にしようというプロジェクト。戦争をしちゃいけない自衛隊にとては、確かに喉から手が出るほど欲しい兵器かもしれない。しかし、それを一般市民にまで意図的に被曝させ、データを取ろうなんていうのはいい迷惑。

自衛隊内の派閥争いや足の引っ張り合いがイラつく。陸自と空自ってこんなに仲が悪いのか。そして、海自はどこに行った。なぜかこの自衛官たちが、まるでサムライみたいな怪しい言葉づかいをしているので、実は偽物で正体は某国の……なんて変な深読みをしてしまったくらい。自衛隊内ってこんな言葉使うのか?

SFネタとしては、夢の伝播ということなんだろうけど、今回は科学ネタとしてもちょっと強引か。カルト宗教なんかの集団幻覚は一種の催眠術みたいなものなのではないかと思うのだが、そのあたりの科学考察が弱かったような。

しかも、最後に待っている真相は、確かに度肝を抜かれるが、もう笑ってしまうしかない。完全なる喜劇。

ラスト直前までは、何が起こっているのだかさっぱりわからない感じで進むのだが、怒涛の解決篇が馬鹿すぎ。最初から意図してこんな構成にしたのか、ちゃんとホラーを書こうとしていたのかは判断が付かないのだけれど、もうなんというか、「馬鹿すぎw」としか言いようがない。

こういう馬鹿話は好きなのだけれど、前半の読みずらさがマイナス。もうちょっと話の筋を整理しても良かったんじゃなかろうか。

ただし、この小説で語られる、「物語の救い」の強さと、その強さゆえに惑わされる人々という構図はなかなか興味深いし、日ごろ自分が考えていることにも通じる。

現実が不幸だったり、退屈だったりするある種の人々にとっては、物語は麻薬なのですよ。要するに物語中毒。それがなおかつ伝染性を持ったら、というアウトブレイク小説だったりするんですね、これ。



[SF] グイン・サーガ・ワールド 4

2012-03-18 17:01:15 | SF
『グイン・サーガ・ワールド 4』 天狼プロダクション監修 (ハヤカワ文庫 JA)





〈グイン・サーガ〉続編プロジェクトの第4回。とりあえず、第1期はこれで終了。

栗本薫の著作がこれ以上読めないのは残念だ。「スペードの女王」は冒頭だけしかないが、伊集院大介が大槻教授や韮澤編集長やマツコ・デラックスと戦う(微嘘)続きはぜひ読んでみたかった。

今岡氏が明かす奥さんの秘話には毎度驚かされるのだが、今回の『ぼくらの時代』に対する記述にもたいへん驚いた。大介よりも薫くん派だった自分にとっては、ある意味衝撃的。でも、本当にそうだったら、『ぼくらの時代』はそのまま使い捨てにされ、『魔境遊撃隊』という《グイン・サーガ》や《魔界水滸伝》にとっても重要な作品には繋がらなかったような気がするんだけど、どうだろう。

このプロジェクトについては賛否両論あるらしいけど、自分としては完全に賛成。グイン・サーガの世界はこのまま閉じられてしまうには惜しいほどに魅力的だ。シェアワールドもので熱狂的に好きな作品というのは確かに無いのだけれど、グイン・サーガだけはシェアワールド化したら是非とも読み続けたい。

もちろん、それにはシェアワールドに参加する作家人の力量というものが問題になるのだろいうけど、今回の3人はまったく問題ない。久美沙織も牧野修も実力派だし、宵野ゆめは初見だったのでちょっと心配したが、蓋を開けてみれば栗本塾の弟子ということで、もっとも栗本薫に近い世界を描き出していた。

こんな感じで季刊ペースで続けてもらえたらうれしい。作家陣は入れ替わってもいいし、続投でもいい。特に宵野ゆめは連投で!



「星降る草原」 久美沙織
ハクシルが結局なんだったのかよくわからないし、リー・オウって本篇ではどういう扱いだったんだっけ? なんとなく、ちょっと割り切れない感じが残る。しかし、スカール出陣のシーンの緊迫感はさすがの盛り上がりで、若きスカールの格好よさと、幼いリー・ファの健気さにノックアウトされる。

「リアード武侠傳奇・伝」 牧野修
グイン・サーガ後の世界の描き方として、こういうのもありなんだと納得の作品。物語としては一番完成度が高いかもしれない。最後には牧野的グログログチョグチョの片鱗もちょっとだけ見せてくれた。そして、セムのリアードの最期に泣いた。

「宿命の宝冠」 宵野ゆめ
ついに出たよ、アンダヌス・ザ・ブッチャー(笑) このネタを持ってくるあたりが、さすがはグイン・ファンだなと思わせる。中原からキタイにいたる世界情勢なんかも、グイン本編に混じっていてもまったく違和感がない。栗本薫本人よりも、ファンクラブの中の人の方がグイン世界に詳しいとか、そのあたりのことを思い出したり。実は男の娘ってあたりも、栗本薫が好きそうなネタでありながら、新時代を感じさせる(爆) 枚数制限の影響か、ラストはティエラもアウロラもちょっと唐突なシーンに見えなくもないが、そこを補って余りあるほどのグイン・サーガっぷりだったと思う。次回があれば、ぜひもう一度我々を〈中原〉へ連れて行ってもらいたい。



[コンサ] 2012 J1 第2節 神戸 vs 札幌

2012-03-18 16:56:41 | コンサ
2012年 J1 第2節 ヴィッセル神戸 2-1 コンサドーレ札幌 @スカパー


前日の飲み過ぎで朝帰り。危うく乗り過ごすところを起こされて無事帰宅。そんな状況だったので、完全なる二日酔いで迎えた第2戦。スカパー観戦じゃなかったら、スポーツバーに出かけて見るなんてとてもできない感じでしたよ。

しかし、そのムカムカ感を吹き飛ばすような立ち上がり。早いプレスから前線でボールを奪い、跳ね返されたこぼれ球もことごとく拾い、連続CKで完全に神戸を圧倒する。なんだこれ、コンサじゃない(笑)

神戸は前節、アウェイでガンバを倒してのホーム開幕戦で気合が入っていただろうに、いったいどうしたわけだ。もしかして、札幌ってJ1上位に行けるんじゃないのかと思わせるくらいの攻撃だった。

なんだなんだと思っている間に、怒涛の分厚い攻撃から山本真希がこぼれ球をきれいに蹴り込み、遂に先制。落ち着いて浮かせずに蹴り込むあたり、さすがJ1仕様の選手だ。

すべての選手が前を向いてプレーをすることができたので、積極的なプレスになってボールを拾うことができた。それはやはり、前田がボールをキープできたからなのだろう。ポストプレーというと、アジアの大砲、高木のイメージが強いが、そういうハイボールの競い合いではなく、グラウンダーのボールをキープして時間を作るという形のポストプレー。この攻撃の形を選手全員が理解し、体現できるようになりつつあるということだろう。

しかも、前田一辺倒ではなく、近藤や内村もそういうボールを落ち着かせるプレーを見せていたので、ターゲットも分散して守りづらくなっていたかもしれない。この形を完成させれば、J1でも前半30分のように相手を圧倒できるようになる。

しかし、一瞬の隙を突かれ、イレギュラーなバウンドにホスンが対応できずに失点。そこから徐々に神戸にペースを握られ、後半に戸倉が入ってからは押し込まれることも多くなり、遂に逆転される。

最後はキリノ、上原、大島と、FWをどんどんつぎ込んでパワープレーに行ったものの、追いつくことはできずに終了。かなり惜しい感じの逆転負けだった。


こんなことを言うと馬鹿にしてるとか言われるかもしれないが、正直言って札幌がここまでできるとは思っていなかった。神戸戦の前の浦和-柏を見ていても、ちょっとレベル高すぎで、この中で試合をするのは厳しいと思った。実際、去年のJ2だってギリギリでの昇格だったし、今年のJ1でダントツの降格候補であることは否定できない。

しかし、この内容ならばやれるよ。確かに、今回は負けたけど、まだ勝ち星は無いけど、歯が立たずにボコボコにされるようなことは無いと断言できる。磐田戦も悪くなかったけど、神戸戦では前田が一気にチームにフィットしてきた。もちろん、まだまだ納得のできではないけれど、攻撃の形はできあがってきた。

決められるときに決める。ゴール前で危険なミスをしない。難しいけれど、あとの課題はこれだけだ。


次は浦和? いつかみたいにぎったんぎったんにしてやんよ。「お前はもう死んでいる」ダンマク忘れるなよ!


あ、その前にナビスコで新潟か。久しぶりだな、Jリーグカップ。J1なんだという実感がして、ちょっと幸せ。

宮澤とか櫛引とか、今年出ていない選手も見てみたいね。あと、藤田征也も(笑)


[SF] 第六ポンプ

2012-03-11 23:25:14 | SF
『第六ポンプ』 パオロ・バチガルピ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)





新☆ハヤカワ・SF・シリーズの第2回配本は、まさに新進気鋭の作家、パオロ・バチガルピの第一短編集。SFマガジンで発表済みのものと新訳が半分ずつ。

一冊を通して、とにかく陰鬱な未来が見える。


石油は無くなり、水は無くなり、環境は化学物質と改変遺伝子に汚染され、人口は増えすぎ、穀物メジャーが支配する世界は格差が広がり、富める者による封建制が復活し、人間は生体改造なしには生きられず、文明すら忘れ去られていく。

背筋がぞっとする。息が苦しくなる。冷戦が終わり、世界の終わりが終わった。しかし、それは新しい終わりの始まりでしかなかった。

ローマ・クラブが資源の枯渇による地球の危機を訴えたのは1972年。実に40年前。そこから何も変わらず、世界は終わりに向かい続ける。

南北間格差のおかげで、かつては割を食うのはアジアやアフリカだった。危機に瀕する世界の最後の救いは、技術文明の象徴であるアメリカだった。しかし、リーマンショックによる欧米世界の凋落と、アジア、南米、さらにはアフリカ諸国の台頭がそれを逆転し、大国アメリカも世界の終わりの先頭となって堕ちていく。

そういったディストピア的未来の中で、底辺層の人々、貧しく虐げられた人々の生活が克明に描き出される。

中でも、表題作である「第六ポンプ」の崩壊しつつあるニューヨークは衝撃的だ。自分たちは文明的な生活をしていると思いながらも、すでに文明は崩壊している。下水を流すためのポンプを修理することは、すでに誰にもできない。そして、それを知っているのはポンプ技術者ただ一人だけだ。自分だって、会社で製造している製品を自分ひとりで作り出すことはもはやできない。こうして記事を書いているパソコンだって、デスクトップならまだしも、ノートPCは分解することすらおぼつかない。

『ねじまき少女』も同じ世界を扱った作品だが、長編化されたことによって陰鬱さが希釈され、ねじまき少女の未来への希望があったこともあって、この短編集の作品たちのような重苦しさは緩和されてしまっていた。バチガルピの魅力は、この短編集でこそ発揮されている。


バチガルピは中国語と東アジア学を専攻したそうで、その経験が東南アジアを舞台とした物語の中で生きている。西欧文明からの視点だけではなく、アジアからの視点も含まれ、リアリティのある世界が描き出される。その読みにくい名前はアジア系ではなく、イタリア系らしいけど。

本当に読んでいて苦しくなる作品がそろっているのだけれど、その絵描き出す未来を反面教師として、そんな世界にだけはならないようにするためにはどうすればいいのか。我々はこの未来を生きていかなければならない。


[映画] ヒューゴの不思議な発明

2012-03-11 17:15:54 | 映画
『ヒューゴの不思議な発明』 - goo映画


(C)2011 ParamountPictures. All Rights Reserved


見終わって思ったのだが、看板に偽りありだ。

あの自動人形(映画中ではオートマトン!)はヒューゴが発明したわけではないので、『ヒューゴ“と”不思議な発明』とすべき。どうしてこんなタイトルにしてしまったんだろう。原題だと『Hugo』だけだから、『少年ヒューゴ』が妥当なところか。あんまりヒットしそうなタイトルではないけど。

さらに、予告編で流れる不思議な雰囲気はファンタジー映画を思わせるんだけど、まったくそんなことはなくって、どちらかというと映画の黎明期を支えた男の挫折と復活を、少年ヒューゴの目から語らせるといった映画讃歌のヒューマンドラマ。このあたりもミスリードだと思う。

そのミスリードにまんまと乗っかって見に行った俺も俺なわけだが。何しろ、ヒューゴはヒューゴー賞に名を残すSFの父、ヒューゴー・ガーンズバックと同じ名前なもので。


しかし、映画自体はとてもよくできた作品だと思う。さすがにそのストーリーであそこまでの自動人形を持ってくるのはどうかと思うけど。かつての特殊撮影のチープな(失礼!)作りから考えても、あの性能は高すぎ。あれができるんだったら、たとえば後から出てくるドラゴンは人間がロープで動かすんじゃなくって、ぜんまい仕掛けのロボットにできただろう。


この作品は、映画ってすごいよね、小説もすごいよね。エンターテイメントって、ひとを感動させて、夢を観させてくれる素晴らしいものだよね、ってことを観客に語りかけてくる映画だと思う。

そしてまた、そんなすごい男をスポイルしてしまった戦争の悲劇と、その男を復活させた夢の力の強さが描かれている。役割を果たすこと、目的を見つけること、それがいわゆる夢となり、少年ヒューゴは“修理すること”を自分の夢として見つけ、かつての天才を修理することになる。


ドラマとしては、たぶん家族の話なんだろうけど、こっちはちょっと弱いかもしれない。ヒューゴは孤独な少年で孤児院に送られることを極端に恐れている。そして、ヒロインのイザベルもまた実の両親を失っている。最後のセリフ「父親のオートマトン」に込められた多義性には、ちょっと感動した。


さらに、映画の黎明期に特殊撮影という魔法を作り出したジョルジュ・メリエスを称賛し、3D映画という新しい技術によって彼にせまろうとしたマーティン・スコセッシの挑戦ともいえる。

初めて映画を観た観客が、ただ駅に到着する蒸気機関車のフィルムを見ただけで、轢かれるではないかと怯え、興奮したように、3D技術によって蒸気機関車のリアリティを再現し、観客の度肝を抜こうとした挑戦だったのだろう。その結果は、映画館で見て確認して欲しい。


#俺は別に2Dでも良かったと思うけどね、この映画。



[コンサ] 2012 J1 第1節 札幌 vs 磐田

2012-03-10 23:22:00 | コンサ

2012年 J1 第1節 コンサドーレ札幌 0-0 ジュビロ磐田 @スカパー


遂に来ました。2012年の開幕戦。今年は久々のJ1だ。

いろいろ都合があって自宅観戦に過ぎないのに、前日は興奮でよく眠れないくらいだった。

思い返せば前回のJ1は2008年。まったく歯が立たずに早々の降格決定で、応援拒否やら何やらいろいろあったあの年だ。

さて、今年はどうなることやら。おそらく苦しいシーズンになると思うのだけれど、どうせ間違って上がってしまったJ1だと思って、開き直っていこうと思う。(酸っぱい葡萄理論の変形でもあるがな!)

午前中にクロネコ経由で今年のユニフォームとタオルマフラーが届き(やっとかよ!)、気分も盛り上がって迎えた初放送。放送チャンネルは、なんとスカイ・A sports。いつものスカチャンじゃないから、番組が見つからなくて一瞬焦ったぜ。こういうところもJ1なのだな。

テレビに映し出された札幌ドームはサポーターでいっぱい。さすがに去年の最終戦には届かないまでも、大入りの25000人。やっぱりJ1だと観客もくるんだよ。J1定着が経営安定への道だな。

ゴール裏リーダグループ、Ultra' Saporoが仕掛けたコレオグラフィー(人文字)は、なんと文字やマークではなく、札幌の街並み。時計台やテレビ塔がはっきりわかるようなデザインだった。最初は何をやっているのかわからず、twitterにもどの色を出せばいいのかわからないというつぶやきもあったりしたので、ありゃ失敗かなと思ってしまった。しかし、徐々に出来上がった絵柄はハッキリとテレビ画面にも映し出される素晴らしいものだった。疑ってしまって、大変申し訳ありませんでした。


そして、試合開始。

序盤は互角にボールを奪い合うも、徐々にジュビロペース。しかし、それでも、岡本、前田と相次いでボレーシュートを当て損ねるwというシーンを見せる。実は、両方とも攻撃の起点となったのは18歳の奈良だった!

その奈良は、ジュビロのトップ前田遼一、右サイド駒野と、日本代表を一対一で見事に抑えきるなど、随所に素晴らしい守備を見せた。この世代ではトップクラスの実力だな。19歳の櫛引ともども将来のコンサドーレを支える屋台骨になってほしい。

今年の新戦力で注目なのは、やっぱり前田俊介だが、まだまだ期待されるほどの能力は出していない。トリッキーなドリブルでチャンスを作ることもあるが、さすがにそれだけではゴールを奪えない。このチームの中でワントップとしてどう動けばいいのかという点においては、内村の方が数段上に見える。実際、前田が下がって内村が上がるシーンも多かった。これが、前田が相手DFを引き出して、内村が裏を狙うという連動した動きならばいいのだけれど、あまり効果的な連動には見えなかったのが残念。

山本はパスミスしたり、空振りしたりで前半はチャンスメークどころかピンチを招く方が多かったような気がする。しかし、後半、上がり目になってからはさすがの動きを見せる。ショートパスをつないでゴール前まで迫る姿は、噂にたがわぬ華麗なプレーだった。

ジェイド・ノースは大きなミスもなく、及第点。ただ、今日は奈良さんに喰われて印象が薄かった。まぁ、ディフェンダーは目立たないに越したことはないんだけどね。オーストラリア代表なので、ワールドカップ予選で当たることになるのだけれど、そっちの方で気になる人が多いかも。

新戦力じゃないけどお久しぶりのキリノは、太ったと言われていたけどデブではなくてガタイがよくなった感じ。フィジカルが強くなった分、ボールを簡単に奪われるシーンは減ったかも。万能のFWじゃないけど、カウンター狙いの時には頼りになるタイプなのは変わらなかった。PKくさいいシーンもあったが、あれは取られなくても仕方がないか。

終了間際に登場した大島はあんまり目立たなかったので、特にコメントなし。ジオゴの代役を期待しているんだけど、放り込みのターゲット扱いだったかな。

去年からの戦力で目立ったのは、やっぱり岡本。古田の代役扱いだったけど、今日の岡本はドリブルがキレキレのヌルヌル。今日の出来なら前田よりも上なんじゃないかと思う。90分間走り切ったし、このまま先発定着になるかどうか、チーム内の競争も激しくなりそう。

そして、内村。シュートチャンスには恵まれなかったものの、裏を狙うタイミングは抜群。撃てば入るのだけれど、今日は撃つタイミングが無くての交代だった。

今日は結局、スコアレスドローだったのだけれど、シュート数ではジュビロの14本に対してコンサドーレ7本。まぁ、いつもの札幌ですね。というか、J1でも変わらなかったというのは、地味にすごい。2008年の開幕戦は鹿島に虐殺されたからな。

確かに勝てる可能性が高かった試合で、勝ち点2を損したと言ってる人が多いみたいだけど、J1開幕戦が無失点で引き分けというのはそんなに悪くない。去年の開幕戦だって、絶望の淵に立たされたじゃないか。

J1でも去年と変わらない戦い片と実績が残せれば、残留どころかアジア狙っちゃえるかもよ!

#もちろん、そんなに簡単なわけない……。