神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 道化師の蝶

2012-02-27 00:05:49 | SF
『道化師の蝶』 円城塔 (講談社)





読み直してからと思っていると、いつまでも感想が書けないのでとりあえず……。

言わずと知れた芥川賞受賞作。これでSFでも芥川賞が取れることが証明されたわけだが……はっきり言って、これに賞を与えるならば、『これはペンです』に受賞させるべきだった。そうすれば、田中慎弥に喰われて影が薄くなることもなかったのに(笑)

いや、そういうわけでもなく、面白さも小説としての完成度も『これはペンです』の方が上だと思うんですよ。『道化師の蝶』は、なんというか、小説としてトリッキーすぎる。

謎の覆面作家、トモユキ・トモユキと、彼を追う大富豪A・A・エイブラムズ。そして、エイブラムズのエージェントの一人である友幸友幸の翻訳者。

この小説では、章毎に複数のわたしが存在し、複数の現実が存在する。その一部は小説内小説であることが明示されているが、そうではない章について小説内現実であることは“保障されない”。はたしてこの小説内に現実は存在するのか。

読み方でキーワードになるのは“無活用ラテン語”。これは、時制や格変化がなく、主語、目的語がわからなくなるという混乱発生装置。もしかしたら性も不明確になる文があるかもしれない。ゆえに、“彼”が“子宮癌”で亡くなることも当然ありえる。誤訳として。

Ⅰ章はこの無活用ラテン語で書かれた文章を、Ⅱ章のわたしが不完全ながら翻訳したという設定である。つまり、Ⅱ章冒頭は早くも「信頼のおけない語り手」のカミングアウトなのだ。翻訳は正確ではない。この言葉が、カップリング(笑)の「松ノ枝の記」まで含めて重大な留意点になる。

つまりは、翻訳のズレの話。着想が蝶として頭から飛び出て、高速で移動する飛行機の中ではそのまま後方に置き去りにされてしまうというのが“道化師の蝶”。しかし、この蝶の話は主題ではなく、“翻訳のズレ”の話を書くにあたっての例に過ぎないのではないかという解釈も成り立つ。

「松ノ枝の記」では、翻訳のズレがさらに露骨に物語に絡んでくる。なにしろ、日本人作家(わたし)が米国人作家の小説を不完全に翻訳し(作中内の「松ノ枝の記」)、その翻訳版を米国人作家が歳翻訳して新作(「松ノ枝ノ枝の記」)として発表するくらいなのだ。つまり、翻訳という変換によって、物語がまったく違うものになってしまう。

そして、解釈の大きなカギとなるのがⅣ章とⅤ章。ここは米国人作家の屋敷の玄関ホールの記述なのだが、なんの説明もなく同じシーンがちょっとずつ違って繰り返される。素直に読むと、Ⅳ章が小説内小説としての「松ノ枝の記」の記述なのだろうが、それではⅤ章は小説内現実なのか?

そこで思い出さなければいけないのは「松ノ枝ノ枝の記」という存在。つまり、ここでもまた現実は保障されず、実はふたつとも小説内小説であるという可能性が提示されているのである。

どちらが創作内創作。どちらが翻訳。さて、現実はどこに?

「松ノ枝の記」と同じ構造を「道化師の蝶」が持っているとしたら。はたして友幸友幸が書いた章はどれか。

どうです、だんだん混乱してきたでしょ。本当に、読めば読むほど混乱する小説なのですよ、これ。しかもそれをかなり意図的にやっている。とっても意地悪でトリッキーな小説だ。こんなものに賞を与えてはいけない(笑)

本来、幻想は現実を侵食しない。そう読めるのは誰かが騙そうとしているから。という立場に立てば、この複数のわたしの意地悪さ加減に非常に腹が立つ。なにしろ、この小説に目的があるとすれば、それは読者を混乱させて面白がるということだけだからだ。

まぁ、普通に幻想小説だと思って読むのが正しいと思いますけどね。



あと、小ネタを取り上げるとすると、ナボコフと『ロリータ』の話は文学好きの人のためにとっておいて……。

「道化師の蝶」にでてくるわたし(どのわたし(笑)?)が取り組んでいるフェズ刺繍は、雪っぽいような、フラクタルのようなデザインをしている。そして、裏から見ても表から見ても同じデザインになるのだという。なるほど、ちょっと象徴的かもね。

そして、“松の枝”はフラクタル図形の見栄えとして時々耳にする喩え。“松の枝の枝”とかい言い出すと、さらにフラクタルっぽさが増す。このあたりもいろいろ象徴的。

あと、Google先生に聞いたところ、“Mr. Pinebranch”が登場する小説があるらしい。その名も、『The Adventures of Harry Marline』。日本語訳は出版されていないけようだれど、いずれ円城塔が翻訳するかもしれない(笑)


[SF] 夢違

2012-02-19 12:40:23 | SF
『夢違』 恩田陸 (角川書店)





夢を記録、保存、再生ができるようになったらというIFから始まる物語。そこに、予知夢を見ることができる女性の死と、夢札を引いた(夢を記録した)子供たちの異常。謎を解明するため、死んだはずの女性を追う夢技術者。

恩田陸はジャンルミックスな作家だ。この作品も、全体構成はミステリであり、設定はSFであり、雰囲気はホラーであり、最後はラブストーリーに終わるという見事なミックスっぷり。しかし、それぞれのジャンル小説ファンからは、どうしても物足りなさを覚えるのは必然かもしれない。

実際、途中まではゾクゾクするようなホラーだと思って読んでいたら、この肩透かしのような結末には怒る人もいるだろう。俺は、まぁ恩田陸だからなぁという感じ。意外だったけれども、こういう結末もありだと思った。


SF的にみると、夢を記録する装置の設定が問題になるが、これは何と言っても名称の素晴らしさがすべての突っ込みどころを吹き飛ばす勢いだ。

装置の名前は“獏”。そして、夢を記録することを「夢札を引く」という。

未来の話ではなく、現代の設定。アメリカの研究所で開発されたとか、当初は白黒で曖昧にしか見えなかったが最近はフルカラーでくっきりと記録できるようになったとか、細かい設定がいろいろあるものの、「夢札を引く」という日本的な表現方法によって、まるで昔からの伝統行事っぽい雰囲気も醸し出し、なんとも言えない不思議な気分になる。

カギとなる、夢で見る風景もどこか懐かしい日本人の原風景と言える。小学校の廊下。満開の桜。山の上に見えるお堂。特に、小学校の廊下と桜は、現代の日本人ならば誰でも知っている風景。いわば、集合的無意識の象徴としては的確すぎる。

しかし、後から考えると、この「引く」という表現は英語の pull の直訳ではないかと思い至った。機器にデータを出し入れすることに、技術用語では pull/push という動詞を使うのだ。恩田陸は割と理系ネタ好きなので、この用法を知っていてもおかしくない。

英語の技術用語を直訳した単語が、とても日本的な感覚の用法になるとは。こういうのを《センス・オブ・ワンダー》というのだ。


さて、肝心のストーリーなんだけれど、どうもプロットを明確に決めずに、気の向くままに書いた感じが伝わってくるようで、場当たり的な展開が目立ってしまう。しかし、そこを最後は綺麗にまとめるというのは、いつも思うのだけれど大きな才能だ。

とはいえ、もう少しちゃんとプロット組んだ小説も読んでみたい。



[SF] バレエ・メカニック

2012-02-19 11:53:35 | SF
『バレエ・メカニック』 津原泰水 (ハヤカワ文庫 JA)





2010年版の『SFが読みたい!』で第3位になった作品が文庫化されていたので買ってみた。

もともとは“想像力の文学”叢書でハードカバーで出版されたもの。評判は知っていたのだが、“想像力の文学”収録作品は、俺的にハズレが多いので敬遠していたのだ。

読み始めて「アレっ」と思ったのは、読み覚えがあるから。本棚に『バレエ・メカニック』のハードカバー版が無いのを再確認してしまった。

結局、第2章までSFマガジンに分載されているのを発見する。こういう初出情報は文庫化の時にも残しておいてもらえないか。そうだったら、読まかったかもしれないのに。そう、SFマガジン掲載のころから、この話はどこが面白いのかわからなかったのだ。

正直に言うと、何が書いてあるのかわからないくらいのわからなさ。何が書いてあるのかわからないから、どこが面白いのかもさっぱりわからない。

あんまりおもしろくない理由を書いてもしょうがないのだけれど、たとえば、第1章の人称がなぜ「君」なのかがわからない。語り手は「龍神(私)」と明記されているのだが、これは龍神が木根原に過去を思い出させようとしているのか、偽の記憶を植え付けようとしているのか、いったいなんなのか。シュールさを出そうとする単なる演出なのか。

通り一遍の表面的に書いてあることはわかるのだけれど、結局何が起こっているのかはさっぱりわからず、主人公の龍神の動機もさっぱりわからず。

ただ波長が合わないだけなのか、根本的に読み落としているのか。なにか、俺の頭がおかしいのではないかと思えてくるほどの不思議。




[映画] TIME/タイム

2012-02-18 19:01:33 | 映画
『TIME/タイム』 - goo映画


(C)2011 TWENTIETH CENTURY FOX


なかなか面白かった。

基本的に通貨を時間に置き換えた世界の『俺たちに明日はない』。しかし、通貨が時間という設定がうまく活かされた演出が多く、ありきたりな映画では終わっていない。

お金は大切だけれども、一文無しになった時にすぐに死んでしまうわけではない。しかし、この世界では、自分の時間が無くなってしまうと即アウト。なんとかして時間を稼がないと、自分の死=停止までの時間が目に見えている。この焦燥感がすごい。

毎朝目覚めるたびに残り時間を確認する。そして、わずかな時間を稼ぐために工場にいけば、時間切れになった死体が転がっている。しかし、だれもその死体を片付けようともしない。この世界に生きることを想像しただけで怖い。

なんでそうなったかというと、不老不死が実現してしまったために、すべての人間は25歳で老化が止まる。しかし、それだけでは人間が増えすぎてしまう(死なないから)ために、残り余命が設定され、通貨として遣り取りされるようになったという。

もちろん、時間が通貨である以上、どこかで時間の流通は管理される。そして、時間をふんだんに持つ富裕層と、時間を毎日稼がなければならない貧民層が生まれる。彼らは住むエリアも制限され、時間の物価指数は富裕層に管理される。人口を一定に保つためには誰かが死ななければならず、それはスラム街の人々でなければならないからだ。

ここまで説明すればわかると思うが、この映画が投げかけるメッセージは「時間は大切」とか、「時は金なり」といったことでも、「最近の人々は時間に追われている。もっとゆっくり生きよう」ってことでもない。これは明らかに、現代格差社会のひずみを皮肉り、もっと資産を分け合ってみんなで生きようというメッセージと、そのことがいかに困難であるか、そして、それでも無鉄砲に戦い続ける若者を描いた作品なのだ。

生きるのに倦むくらいの時間=使い切れないほどの金を手に入れる必要があるのか。人々と分かち合って生きることはできないのか。

主人公の二人が金を手に入れ、いくらスラムでばらまこうとも、それはスラム街の人々を幸せにはせず、金持ちたちは物価を釣り上げることによって対抗する。スラム街の中では持てる者と持たざる者が生まれ、持てる者は必然的に犯罪の被害者になってしまう。

時間の格差社会は資本の集中や階層の固定化といった現実の問題そのままで、貧者に分け与えるだけでは何も解決しないのも一緒。しかし、時間だからこそ成り立つセリフは、お金に戻してみても容易に納得のいくセリフなのかどうか、考えながら観るといちいち興味深い。

ひょんなことから大金を手に入れ、格差社会の転覆を狙う主人公の若者。その若者に惹かれ、犯罪に手を染める富豪の娘。娘の存在よりも現在の社会=既得権益を守ることに必死な大富豪。スラム出身でありながら、秩序を(正義ではない!)守るために命を掛けるタイムキーパー。それぞれの想いが物語を紡ぎ上げ、永遠に25歳の青春が駆け抜ける(笑)

たしかに、時間を通貨として使うための無理やりな設定が無いわけでもないが、そこは現代の御伽噺ととるのでも、仮想世界でCPU Timeを取り合っているとでも、如何様にも解釈可能。あんまり突っ込まないように。


ちなみに、主演はジャスティン・ティンバーレイク。こいつはどうでもいいのだが、相手役のアマンダ・サイフリッドが良い! ちょっと若作り風なメイクなのに、脱いだらすごいんですのエロカワ系。惚れたわ。



[映画] はやぶさ 遥なる帰還

2012-02-14 21:53:50 | 映画
『はやぶさ 遥かなる帰還』


(C) 2012「はやぶさ 遥かなる帰還」製作委員会


はやぶさ映画はこれが2本目。全部で3本作られるらしいが……。

この映画は、いったいどの層に向かって、どのような物語に、どのようなテーマを載せて語ろうとしているのかがさっぱり見えなかった。

渡辺謙が主演ということでか、平日午前の映画館は高齢の観客が多かったのだが、イオンエンジンやリアクションホイールが何なのかわかって見ていた人はどれくらいいるんだろう。その辺の細かい説明もなく、淡々と話が進むのが気になった。

メーカー側技術者との衝突や小さな町工場の関わりなど、官民一体の開発ドラマを主体にしたかったのかもしれないが、いかんせん、エピソードが細切れで起承転結や物語の盛り上がりがまったくない。

プロジェクトXのようなドキュメンタリーならばそれでもいいのだろうが、それだったら最初からドキュメンタリーで撮ればいいわけで。

小ネタは随所にあり、ネットや講演会で見聞きした内容からしても割と事実に忠実なんだと思うが、それはわかっている人向けであって、しかもわかっている人にとっては二番煎じの再現フィルムに過ぎないので、映画として見る価値があるのかどうか。

日米の宇宙開発予算の違いや、財務省との厳しい予算交渉のエピソードも、それだけで一本映画が作れるくらいだと思うのだが、小さなエピソードのひとつとして埋没してしまっていて、この映画を観た有権者が宇宙開発予算に好意的になってくれるほどのものではなさそうだ。

正直言って、この映画を見て感動して泣く人がいるとは信じられない。これでは、はやぶさが成し遂げた偉業の凄さも、満身創痍で帰還して燃え尽きた感動も、まったく伝わらない。


これまでのはやぶさ関連コンテンツで、一番泣いたのも一番笑ったのも、ネットに転がっている“はやぶさ”Flashだ。『今度いつ帰る』も、『こんなこともあろうかと』も、『はじめてのおつかい』も、何度見ても泣ける。本当に、マジ泣ける。

当時、まだニコ動が無い頃から無名のアマチュアが、はやぶさの帰還を祈って作ったコンテンツたち。日本の映画界は、いくら金を掛けても、いくら時間をかけても、たとえアカデミー賞俳優を使っても、これらのアマチュアコンテンツにはかなわないということが証明されたという認識でいいのか。それならば、やっぱり映画なんていらないでしょう。


結局のところ、これはNECの宣伝映画だと思っていいのか。そう思うくらい、やたらとNECが出てきた。はやぶさに協力していた企業はNECだけじゃないと思うんだけど。

そして、どうにもならなかったリアクションホイールには、でかでかと“made in USA”の文字が。これは、リアクションホイールも日本製だったら、誰かが「こんなこともあろうかと」と、秘密の仕掛けと神業運用でなんとかなったはずだというメッセージと思っていいのか。だったら、そういう物語の作り方もあっただろうに。


とにかく、何のために作られたのかまったくわからない映画だった。おもしろくないわけでもないのだけれど、誰にも見る価値の無い映画だと思う。



[SF] ガンパレードマーチ2K

2012-02-12 23:13:02 | SF
『ガンパレード・マーチ 2K 北海道独立(1)~(4)』 榊涼介 (電撃文庫)




『ガンパレード・マーチ 2K 5121暗殺』 榊涼介 (電撃文庫)





ガンパレード・マーチシリーズの去年の新作(笑)を一気読み。

ガンパレード・マーチは一時期本当にはまったゲームで、会社のサーバー室でも「世界の謎掲示板」を読みふけっていたくらい。

世界の謎掲示板は、ゲーム製作会社がゲーム内の謎を解こうというゲーム外ゲームを仕掛け、そのゲームの会場となったネット掲示板。本当にそこまで練り込んであったのかと驚くようなシナリオと裏設定だった。

そのゲーム世界を引き継いで書き続けているのが“榊版ガンパレ”であり、ゲーム外ではもっともオリジナル・ガンパレ遺伝子が濃いと考えているガンパレ作品であり、これまでずっと楽しみにしてきた作品なのだが、どうも今回は乗れなかった。

故郷を愛する北海道出身者としては、樺山などという小物にそそのかされて日本から独立しようとするとか、1級道民と2級道民の階層社会とか、挙句の果てに幻獣に売り渡すとか、正直勘弁して欲しかった。これが、道産子部隊の活躍のひとつでもあれば変わったのだろうが、道民は完全なる道化か無関心の市民、役立たずばかり。これでは道民を馬鹿にしてるのかと思われても仕方がない。

まぁ、それ以上に、これまでの敵であった幻獣(の一部勢力)と和解してしまったために、わかりやすい敵がいなくなってしまったということが行き詰まりの問題としてあるのだろう。そのために、新たな敵を人類の中に作らざるを得なくなってしまった。これは強力な敵がどんどん出てくるドラゴンボール的マンネリの始まりなんじゃないだろうか。

今まで舞台に上がらなかった北海道はまだしも、さらには日本国内を裏から牛耳る影の組織、そして、壊滅寸前だったはずのアメリカ政府。いったい、ガンパレはどこに向かってしまうのか。

そんな変な方向に風呂敷を広げなくても、まだまだガンオケ緑、ガンオケ青のネタが残っているであろうし、いわゆる史実(ゲーム内設定)のネタがすべて尽きているわけでもないはずだ。

そもそも、黒い月の謎はどこに行ったのか。茜作戦、銀環作戦は発動するのか。幻獣との和解をメインに据えてしまったために、シリーズのゴールがまったく見えなくなってしまっている。このまま、新たな敵を登場させながらズルズルと続くんだろうか。

ガンパレード・マーチは何度もループし、らせんを描くゲームだった。したがって、榊版ガンパレも、TVアニメ版やコミック版と同様、第5世界の別ループを描いた作品であることは確かだし、それについては全く問題がない。しかし、榊版ガンパレも、おれの好きだったガンパレ世界からどんどん離れていき、光速の彼方に消えるのだろうかと考えると、ちょっとさびしい。



[SF] SFマガジン2012年3月号

2012-02-12 22:31:33 | SF
『S-Fマガジン 2012年3月号』 (早川書房)




今月は英米SF受賞作特集。毎年この時期になるのは翻訳のせいなのでしょうか。ときどき受賞作がまったくなくて候補作だけ載ってる年もありますが、今年はちゃんと受賞作がどっさり。未掲載のものも、すでに日本発表済みだったり、近刊だったり。出版権と翻訳作業という壁を越えて、前年の話題作がすぐ読めるなんて、ありがたいことで。

ちなみに、ヒューゴー賞はこんな感じ。

■ ヒューゴー賞
【長編部門】
『ブラック・アウト/オール・クリア』 コニー・ウィリス (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ近刊)

【ノヴェラ部門】
「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」 テッド・チャン (2011年1月号掲載・2012年読者賞)

【ノヴェレット部門】
「火星の皇帝」 アレン・M・スティール (2012年3月号掲載)

【ショート・ストーリー部門】
「For Want of a Nail」 メアリー・ロビネット・コワル

コニー・ウィリスは相変わらず強いね。しかも今回はおなじみのダンワージー先生が出てくる例のシリーズとのことで、期待度満点。正座して待つって感じ。

テッドチャンは向こうだとあんまり人気がないとかっていう話も聞いていたんだけど、しっかり受賞してますね。

そして、SFマガジン読者賞も発表。海外編は下馬評通りヒューゴー賞受賞のテッド・チャン「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」。国内編は飛浩隆「零號琴」。連載物だったのと、途中で読むのをやめていたせいもあって、まったく忘れてました。

「零號琴」を読まなくなったのは面白くなかったわけではなくって、あの話を連載細切れで読むのに苦労したせい。単行本で出版されたら、しっかりと読ませていただきます。

他には連載コラムの「センス・オブ・リアリティ」金子隆一が現代美術やら、ストラディバリウスの心理的バイアスについて書いていた話が興味深かった。何に価値を見出すかは人それぞれだし、いいと思うものは胸を張っていいと言えるようになりたいもので。




○「雲海のスルタン」 ジェフリー・A・ランディス
金星ってなんであんなに雲に覆われた星なんですかね。それはさておき、少年王が家庭教師に求愛するという、それなんてエロゲな展開に笑う。歳の差結婚を交互に行うシステムは別の場所でも読んだ記憶があり、確かに合理的かもねと思った。特に最近、若者の結婚離れ(笑)とか、少子化問題の解決方法としてはありだと思う。ただし、制度的なものじゃなくって社会システムなので、一気にこれを実現するのは大変だろう。
えーと、もうひとつのちゃんとしたSFネタの方は、……霞んじゃったからいいや。

◎「火星の皇帝」 アレン・M・スティール
これも一種のSFファン内輪受け小説だと思っていいのでしょうか。自分は物語の力を確信しているけれども、ちょっとあざとい気もする。しかし、本読み、SF読みにとっては、感動するなというのが無理な泣ける話だった。

◎「アウトバウンド」 ブラッド・R・トージャーセン
これもまた悲壮な話。最終戦争が始まった地球を脱出した少年の長い旅。ハッピーエンドになるのか、バッドエンドになるのか最後まで想像がつかなかった。

-「女王の窓辺にて赤き花を摘みし乙女〈前篇〉」 レイチェル・スワースキー
例によって完結するまで評価未定。ただし、このまま終わるのならば、凡庸かな。

○「ウェイプスウィード(後編)」 瀬尾つかさ
微笑ましくてのほほんとした感じだったのだが、母親の死因あたりが絡んで一気にきな臭くなり、オーソドックスながらもしっかりとしたSFネタを見せてくれる。なんというか、ちょっとそれはないでしょうというツボをうまく押さえている感じがする。予定調和の中でも、かならずどこかに不協和音が入ってくる感じ。


2月6日(月)のつぶやき

2012-02-07 03:43:32 | つぶやき
22:07 from Tween
北区。じゃなくって帰宅。なんかやんなきゃいけないことがあったはずなのだが、思い出せず。絶賛老化中。もしくはアルコールで脳味噌破壊中。

22:23 from 読書メーター
【ガンパレード・マーチ2K北海道独立 4 (電撃文庫 J 17-34)/榊 涼介】どうも盛り上がりに欠けるのは、超人的になり過ぎて悲壮感が薄れたせいか。あと、道民がボンクラぞろいで終わってしまったので... →bit.ly/wOMbGY #bookmeter

23:30 from Tween
クエの成功条件勘違いして50分が無駄になった……。ダメだ。もう寝よう。

by kats_takami on Twitter

2月5日(日)のつぶやき その2

2012-02-06 03:43:01 | つぶやき
22:07 from Tween
しかし、実際問題として、奈良&櫛引はまずチーム内でノース&ジョルジーニョに勝たないと、うちのサポ以外には知られずにオリンピックが終わりそうだ。

22:13 from Tween
こわいわー

22:14 from Tween
なんか、どうなってんだよって感じ。

22:37 from Tween
山村に対するコメントがみんなヒドス。

22:42 from Tween
おしい

22:51 from Tween
のーーーー

22:56 from Tween
また中東戦術かよ

22:58 from Tween
まけますた。2-1。

23:01 from Tween
チームとしてどうやって点を取るのかが見えない、イライラする試合だった。個人技で何とかなるレベルでいか勝てないような気がする。

23:04 from Tween
山田直輝って出てたのかレベル。

23:06 from Tween
まぁ、ここで選手入れ替えってのもなさそうなので、清武にかけるしかないんでしょ。

by kats_takami on Twitter

2月5日(日)のつぶやき その1

2012-02-06 03:43:00 | つぶやき
09:59 from Tween
ERROR_CONNECTION_RESET頻発からやっと復活。結局、システムの復元で数週間前に戻したらエラーが出なくなった。復元の中にはWindowsUpdateしかなかったということは、WindowsUpdateの何かが悪さしてたのか?

10:05 from 読書メーター
【S-Fマガジン 2012年 03月号 [雑誌]】やっぱり受賞作特集は外れがなくてよいですね。『空の都の神々は』も読まなきゃならぬな。そして、コニー・ウィリスの新作は正座して待つ! 読者賞は順当すぎで... →bit.ly/wEmExb #bookmeter

10:29 from web
@junhosoi あれ、見つかっちゃいました? あんまり 広めてはいけませんよ!

10:49 from 読書メーター
【ガンパレード・マーチ2K北海道独立 4 (電撃文庫 J 17-34)/榊 涼介】を読んでる本に追加 →book.akahoshitakuya.com/b/4048707027 #bookmeter

10:50 from Tween
鍋の中からかっぱえびせんの袋を発見。どうしてこうなった。

13:24 from Tween
なんか適当にテレビつけてたらカンクン、チチェンイッツア。もはや懐かしス。

13:25 from Tween
しかし、カンクンにチチェンイッツアと言えば、京都に清水寺みたいなものだと思うんだけど、知名度低いのね。テレビ的な設定か何かか?

19:55 from Tween
俺もシイタケぎらいだが、シイタケの味がする限り無理。子供の頃は、マジうぇーーーーーって感じだった。今は平然と食べられるけど、うまいと思ったことはない。

20:52 from Tween
BS見れねぇ。おとなしく地上波見る。

20:57 from Tween
古田寛幸のチャントが「ロンドン橋落ちた」なのはいろいろ思うところがあるんだけど。特にロンドンオリンピック予選見るたび。

20:58 from Tween
おお、今日は新ユニだったのか。

21:03 from Tween
胸になんか染みみたいのがある?>新ユニ

21:19 from Tween (Re: @Consadole_news
うお。ちゃんと札幌から移籍になるんだ。 QT @Consadole_news: 松尾直人選手 新規入団決定のお知らせ - FC大阪 #consadole #jleague consadole.gigamode.net/a/274

21:21 from Tween
サッカー選手も受け身の練習が必要だな。by武道推進のひと

21:21 from Tween
山崎負傷退場かー。

21:23 from Tween
あれまぁ。

21:24 from Tween
公式にもオウンゴールなのかよ!

21:29 from Tween
大迫、取り返さないと一生言われるぞ。

21:34 from Tween
今日のできだけ見てると、宮澤古田が代表に呼ばれない理由がわからないくらいだな。

21:40 from Tween
なんか見てていらいらする試合だわさ。

21:45 from Tween
やっといい形。

21:50 from Tween
うっひょー

21:50 from Tween
よし、大迫、今度は本当に仕事した。

21:52 from Tween
前半終了間際に追いつけたっていうのは大きいかもな。

21:54 from Tween
奈良さんはリオまで行けるんじゃなかったっけ。

by kats_takami on Twitter