神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

3月27日(日)のつぶやき

2011-03-28 02:20:58 | つぶやき
10:05 from Keitai Web
立川シネマシティなう。自動券売機の位置がわからなさ杉。案内板の位置がヘン。
13:30 from Tween
なんだかUHBはおもしろそうでつね。うらやましい。
20:47 from goo
[映画] わたしを離さないで #goo_kats-takami http://blog.goo.ne.jp/kats-takami/e/a7dea2a1f60cf7603d53af4343e7e9a7
21:57 from Tween
東電の発表は何が何やら。現場作業者の安全のためにも、第三者機関の計測部隊を投入したほうがいいのかもとか思えてくる。
22:44 from goo
[SF] WORLD WAR Z #goo_kats-takami http://blog.goo.ne.jp/kats-takami/e/91d5a6c55d1c4ed9e1de735314b642b6
23:02 from goo
[映画] ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド #goo_kats-takami http://bit.ly/dNHlWF
23:12 from Tween
溜まっていたものをやっと吐き出した。あと、もう無いよな……。
by kats_takami on Twitter

[映画] ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド

2011-03-27 23:01:03 | 映画
ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド<最終版> - goo 映画


『WORLD WAR Z』があまりにも良かったので、勢いでレンタルして見た。

ゾンビ映画の原点だけあって、まだまだ洗練されていない部分が目立つ。しかし、ゾンビという存在はすでにこの時点で完成していたのだな。

そしてまた、やはり無知が最大の敵。立てこもる人々の不協和音はすべて情報不足、無知によるものだ。

もちろん、あのオヤジのいけ好かなさは耐え難く、ラストシーンも否定しない。非常時において、無知という罪に与えられるのは死刑なのだ。

しかし、あのオヤジも、正しい知識が与えられていたならば、もっと協力できたのではないかと思う。しかし、十分な知識があったとしても、子供のためを思う気持ちが彼を狂気に走らせてしまうのだろうか。

そしてまた、ヒロイン、バーバラ。登場時は、いかにも叫ぶだけの女性キャラに見えたが、冷静に状況を判断し、たった一晩の間に戦う女へと変貌していく。

あの、ズボンに着替えるシーンにはゾクゾク来た。セクシーとかではなく、これからの戦いへの覚悟を感じたからだ。

次の日の朝のシーンも象徴的で、あの世界観は『WORLD WAR Z』の戦後世界へも引き継がれている。そういう意味では、発端から結末まで、その後のゾンビ映画、ゾンビ小説はすべて『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』の変奏曲でしかないのかもしれない。

初登場にして完成されたフォーマットというかなんというか。やっぱり、凄いものは凄いんだよな。



[SF] WORLD WAR Z

2011-03-27 22:39:11 | SF
『WORLD WAR Z』 マックス・ブルックス (文藝春秋)




『SFが読みたい! 2011年版』で海外篇第4位。まったくのノーマークだったので、書名を見て「なんだこれは」と思い、『SFが読みたい』と一緒に買ってきた。

惹句は「ブラッド・ピット、主演映画化。」、「小島秀夫監督、絶賛!」。ついでに、著者のマックス・ブルックスは映画監督メル・ブルックスの息子だそうで。といわれても、メル・ギブソンなら知ってるけど……って感じ。

これだけだと、あんまり読む気しなかった。しかし、これはそんなレベルの作品じゃなかった!



中国の奥地で発生したゾンビ・ウィルスのアウトブレイク。そこからウィルスは世界に広がり、世界規模でのゾンビ戦争が始まる。これこそが表題の“World War Z”。

本書は“World War Z”後の世界で当時の状況をインタビュー形式で集めたもの。とは言っても、それぞれのエピソードは小説形式になっており、ゾンビテーマの連作短編集と思って問題ない。

とにかく、ゾンビ出現の発端から、全世界規模でのゾンビとの攻防、さらには人類の大反攻から“戦争”終結後の掃討までが、くまなく描かれる。

ゾンビに対する人類の感覚が、得体の知れない恐怖から、明確な敵へ、さらにはやっかいな害虫へと変わっていく様子も興味深い。

世界各国でのゾンビに対する反応もそれぞれ。日本は引き篭もりオタクと盲目のサムライの生き残りを掛けた戦いが、笑えて泣ける。

この小説の凄いところは、とにかく対ゾンビの戦い方のバリエーション。ゾンビの性質は衆知の通りで、奇を衒って走ったり、口から火を吹いたりなどはしない。それでも、これだけのボリュームで飽きさせない。

ただ、恐れを知らず、足を切られようが、内臓を抜かれようが、頭部を破壊しない限りは、ただひたすらにズルズルと迫ってくる。しかも、倒しても倒しても、ほとんど無限に沸いてくる。これが怖い。

また、ゾンビはただのモンスターではなく、かつては生きていた人間だったのだ。隣人や仲間、家族が戦いに疲弊し、倒れ、今度はゾンビとして襲ってくる。この極限状態が何日も続くのだ。想像しただけでも気が狂いそうだ。

このゾンビ戦争が、時にはシリアスに、時にはコミカルに、露骨な泣かせも交えながらいくつものパターンで描写されていく。笑っている状況じゃないと思いながらも、“ロボトミーくん”なんて言われれば、どうしても笑ってしまう。しかし、実際にそんな非常時でも笑いにしてしまうのが人類のしぶとさなのかもしれない。



この小説を読んでしみじみ思ったのが、「無知は敵」ということ。とにかく、ゾンビ以上に厄介なのが、無知なる人々。彼らは自分だけでなく、周囲の人々をも危険に晒し、ゾンビの手助けをする内なる敵と化してしまう。

ゾンビ戦争だけではなく、現実の非常事態においても、無知は敵、無知は罪。そう思っていたときに発生したのがこの震災である。

まぁ、なんというか。やっぱり、無知は敵、無知は罪。知らないことは、知識を持った人に聞く。誰も知らないようなことでも、あくまで科学的な眼で見ること。デマや空気に流されないこと。せめて、デマの扇動に繋がりそうな発言はしないこと。

災害系の非常時には、週刊誌なんか読むよりもSF読んでた方が助かりそうな気がするよ。ほんと。


[映画] わたしを離さないで

2011-03-27 20:42:05 | 映画
わたしを離さないで - goo 映画


(C)2010 Twentieth Century Fox


カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』の映画化。

原作の感想はここ


これは重苦しいテーマを、ただひたすらに静かに描いたSF映画である。それと同時に、学生時代の切ない三画関係を描いた恋愛映画である。

以前に聞いた話では、SFスリラーとなっていたのだが、寄宿舎ヘールシャムが何のために存在しているのかということが冒頭でバラされてしまうので、ミステリー成分やスリラー成分はほとんど無い。

とにかく、重く、静かに、時は流れる。

謎の寄宿舎の正体がわかっているだけに、主人公3人の物語に焦点が絞られている。とくに、ルースのキャシーへの揺れ動く想いが前面に出ていると思った。そして、その生命が消えていく瞬間の映像は、文字で描かれるよりもショッキングで、まったくもって耐えがたい。あのシーンを映像化する必要があったのだろうか。

そして、映画のラストシーン近くに登場するため、印象に深く残る“魂の問題”。マダムや校長先生がヘールシャムで何をしようとしていたのか。そして、そのことが挫折したということの意味。

希望を求めて、やっとたどり着いた場所で知らされる根本的な絶望。トムでなくても、あの絶叫は抑えきれないだろう。

肝心のカセットテープのエピソードや、すべてが流れ着く場所のエピソードは改変され、削除されてしまっているが、物語全体を貫くイメージは変わらず、より尖った表現になっている。

それを、わかりやすさを優先したとして取ることもできるが、映画という時間の制約と、原作読者よりも広い観客を意識したであろうことを考えれば、許容範囲だと思う。

特に、この手の物語に慣れていない人にとっては、これでも衝撃的過ぎて、まったく意味がわからないかも知れない。あるいは、完全なファンタジーとして見てしまうか。

SFにまったく無関心だったひとが、これを見た時の感想を知りたい気がする。


3月26日(土)のつぶやきその2

2011-03-27 02:19:59 | つぶやき
19:54 from Tween (Re: @tsunehayashi
@tsunehayashi 突然すみません。パーソナルスポンサーを集めても赤字解消できないのに、経営可能なだけのソシオ会員が集まるという根拠があれば教えていただけませんか。
20:07 from Tween (Re: @tsunehayashi
@tsunehayashi ご回答ありがとうございます。でもそれは違いであって、会員が集まる理由にはなっていないと思いますが。
20:37 from Tween
持ち株会だろうがパーソナルスポンサーだろうがファンクラブプレミア会員だろうが、もちろんソシオだろうが、コンサドーレに金を出す人数や総額は限られている。それを広げる具体案が無いのであれば、ソシオ化なんて机上の空論でしかない。
20:39 from Tween (Re: @tsunehayashi
@tsunehayashi ありがとうございます。ご意見はわかりました。自分は持ち株会会員かつパーソナルスポンサーですが、ソシオ化による発言権とやらが具体的にどう変わるのかが提案されないと、なんともかんともです。
20:40 from Tween
ソシオ化するための具体案が、現在の体制で実現できないものであるならば、ソシオ化に賛成する。それが無いのであれば、検討するに値しない。
20:42 from Tween
そもそも、現在の持ち株会の体制(情報公開、会員の株主総会への関与など)に不満が無いわけではないが、それは経営難とはまた別な話。ソシオ化は、直接的には何も解決しない。
20:43 from Tween
ソシオ化することによって実現する具体案が、現在の体制で実現できないものであるならば、ソシオ化に賛成する。それが無いのであれば、検討するに値しない。(一部訂正)
20:46 from Tween
だいたい、たとえ自分が持っていなくとも、持ち株会の会員権が紙切れになるのを見た人が、新しくソシオ会員になると考える理由も良くわからない。最後まで金を出し続けるのは、親や親戚、もしくはチームをそういう家族のように思っているひとだけ。その人たちには金を出す理由なんてなんでもいい。
20:46 from Tween
大切なのは、そういう、チームを家族のように思ってくれるひとを増やすことだ。あれ、フェルナンデス時代に戻っちゃったか。
21:03 from Tween
「素子姫」とか聞いたことがある人は寄付しなさい。 RT takachihoharuka: 日本SF作家クラブ(会長・新井素子)がJustGivingで震災募金活動をはじめました。よろしければ、ご協力をお願いいたします。http://justgiving.jp/c/5892
22:00 from Tween
惹句って“じゃっく”って読むのか! ずーと“ひきく”と読んでた。
by kats_takami on Twitter

3月26日(土)のつぶやき

2011-03-27 02:19:58 | つぶやき
09:28 from Tween
自分は頭が悪いから……とか言いながら、専門家の言うことは嘘と思い込むあの心理状態は何なのかね。一種の厨二病? 政府の言うことは無条件で嘘だと思い込むけど、みのもんたの言うことは無条件で本当だと思う心理もよくわからない。
09:29 from Tween
自分の専門分野でさえ、おかしいと思うことは、実はそれなりに理由がある。その理由を知らずにおかしいとだけ言っていても馬鹿にされるだけだ。
09:29 from Tween
だいたい、よっぽどの天才でない限り、自分が考え付くようなものは、先に他人が考え付いている。それが実現できないのには理由があるし、その理由を乗り越えられるかどうかが問題。それができれば新ビジネスや特許に繋がる。
09:29 from Tween
で、何が言いたいかというと、おかしいと思ったら調べろよ、勉強しろよということ。よく言われるけど、お前の目の前にある箱はそのためのものだ。
09:30 from Tween
自分の知識だけで嘘を嘘と見抜くのは大変だが、目の前の箱を使えばそんなに難しいことじゃない。メディアリテラシーっていうのは、なんでも疑うことじゃなくって、そういうことだ。
09:30 from Tween
以上、自戒を込めて。
10:04 from Tween
SHIBUYA EGGMAN ワロス
10:22 from Tween (Re: @consadole
ブーブーブー。興行収入増と言ったって、今年はスケジュール変更の影響が大きそうだしな……。 QT @consadole: HFC債務超過 9700万円 10年12月期 株主総会で承認 http://bit.ly/gOStr0 #consadole
10:48 from Tween
楽しみにしていた『世界侵略:ロサンゼルス決戦』が公開延期になっていた。これだから、現実とフィクションの区別のつかないやつらは!
10:53 from Tween
『ヒアアフター』の公開中止はわからないでもないが、『かぞくはじめました』が公開中止なのはなんでだろう。表向きは上映館確保の問題だけど。ちょっと自粛系の深読みをしてしまう。
15:41 from Tween
世の中には核物理学者とか、放射線医療技術者とか、理論経済学者とかが存在する。これらをすべて「もの知りな人」としてひとくくりにして、有名な順にランキングをつける。それが世間の信用度というものらしい。ゆえに、理論経済学者に企業経営のことを聞いたり、放射線のことを聞いたりする。理解。
15:45 from Tween
気分が乗らないので、moon over the castleをエンドレスでかけてみる。
15:49 from 読書メーター
【ダイナミックフィギュア〈下〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)/三島 浩司】後半、どんどんグダグダ感が増していくところがTVアニメっぽくて良かったというと怒られるか。しかし、この作品は過去の... http://bit.ly/hiWbfI #bookmeter
15:57 from 読書メーター
【地球の緑の丘 (ハヤカワ文庫SF―未来史2)/ロバート・A ハインライン】時節柄、放射能ネタは涙無くしては読めません。ハインラインはアメコミのうようなスーパーヒーローではなく、知恵とちょっとした勇気... http://bit.ly/h65vYb #bookmeter
15:58 from 読書メーター
【シリンダー世界111 (ハヤカワ文庫SF)/アダム=トロイ カストロ】を読んでる本に追加 http://bit.ly/hePmDf #bookmeter
15:59 from 読書メーター
【SF Japan 2011 SPRING/森 奈津子 他】を読んでる本に追加 http://bit.ly/gfyrAc #bookmeter
16:05 from goo
[SF] SFマガジン2011年04月号 #goo_kats-takami http://bit.ly/h0zLBQ
16:09 from goo
[SF] デリラと宇宙野郎たち #goo_kats-takami http://bit.ly/eOW9N3
16:12 from goo
[SF] 10月1日では遅すぎる #goo_kats-takami http://bit.ly/fhp8J2
16:18 from goo
[SF] ダイナミックフィギュア #goo_kats-takami http://bit.ly/fvyY5k
16:21 from Tween
風が強くてアパートが揺れてるのか、地震なのかわからない。
17:04 from goo
[SF] 地球の緑の丘 #goo_kats-takami http://bit.ly/hdQ84O
17:28 from Tween (Re: @Hayakawashobo
明日見に行くー。 QT @Hayakawashobo: カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』映画公開!のニュースをあっぷしましたー。→ http://t.co/m7uqME2 本日からです~。
18:48 from Tween
ソシオとパーソナルスポンサーって、究極的にどっか違うのか? 今の状況見る限り、むりじゃねーの。今の問題はそういうことじゃないと思うんだが。
19:49 from goo
[映画] ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 #goo_kats-takami http://blog.goo.ne.jp/kats-takami/e/f401c9b5a4d849a18ebe492a0544d3d2
by kats_takami on Twitter

[映画] ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島

2011-03-26 19:45:05 | 映画
ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 3D - goo 映画


(C) 2010 Twentieth Century Fox Film Corporation and Walden Media, LLC. All Rights Reserved.



正直なことを言うと、映画としての出来はどうかと思う。しかし、この映画はそういうものではないのだ。

あの『ナルニア国物語』を忠実に映像化する。まさしく、何も足さない、何も引かない。

その意味では、パーフェクトな出来だ。すばらしすぎる。

のうなしあんよはまさしくそのまんまだし、ユースチスの憎たらしさは原作以上だ。

最後に出てくるアスランが待ち受ける場所の美しさなど、到底映像化できるとは思わなかった。あの花もたぶんCGなんだろうけど。

エンドロールで原作の挿絵がアニメーションしているのも、原作読者にはうれしい演出だ。

ナルニア国物語はこの先も第7章まで、とにかく原作に忠実に、変な演出など加えずに、このまま続けてもらいたい。

原作読んでない人は原作を読むべきだよ。あれは原作読んでなんぼのもの。

特に、中学生以下の女の子推奨(笑)

従姉妹の娘に与えたら、映画は見るのに本は読まないらしい。寂しい。別な従兄弟の娘が小学校低学年なので、こっちを攻めるか。

うちは姉弟そろってシングルゆえ。すまぬ、両親よ。



あと、3Dで見たのだが、やっぱ2Dでいいよ。というか、2Dは吹き替えしかなかったから3Dで見ざるをえなかったのだけど……。



[SF] 地球の緑の丘

2011-03-26 17:02:42 | SF
『地球の緑の丘』 ロバート・A・ハインライン (ハヤカワ文庫 SF)




〈未来史〉シリーズの第2巻。このあたりになると、シリーズという意識が出てきたのか、自覚的な背景の共通化が見られる。

第1巻の「月を売った男」で月開発の先鞭をつけたDDこと、D・D・ハリマンが遂に月面へたどり着いたり、ロケットの型式名が引き継がれていたり。

ハインラインの未来史感は、人類は同じような失敗を繰り返しながらも、ヒーローの力よって一歩ずつ、着実に進んでいくというものか。

この“同じような失敗”の部分は、当時の世界情勢の反映であると同時に、人類の考え方の普遍性を描くものである。好意的に捉えればね。


そしてまた、著作された年代が年代だけに、核への恐怖が常に背景に流れている。しかし、放射能被曝をものともせずに、他者を救おうとするヒーローたちの姿により、原子力は怖いが制御可能なものとして描いかれている。

彼らヒーローの姿は、現在、原子力発電所事故の対応で生命を危険に晒している作業員たちの姿に重ねあわされ、涙なしには読めません。しかし、生命と引き換えに地球を救うヒーローはフィクションの中だけでたくさん。

現実の作業員のみなさんには、安全第一で、冷静に作業を進めていただきたいと願います。




「宇宙操縦士」
夫婦喧嘩は犬も食わない。まぁ、なんというか、女の仕事はなんたらかんたらというのは、ジェンダー的にやばい昨今。

「鎮魂曲」
「帰れなくてもいいから宇宙に飛ばしてくれ」と言ったのは誰だったか。やっぱり、生きている間にひと目でいいから、この眼で月面を見たいものだ。

「果てしない監視」
原題のwatchは監視というより、当直かなぁ。放射能ネタ。その棺までもが汚染されたヒーローの埋葬は、いろいろな意味で心に染みる。

「座っていてくれ、諸君」
月面で空気漏れ。そして、タイトルの通り。

「月の黒い穴」
バカとヒーローの見分け方。ハインラインの特徴というか、考え方が良く出た作品だと思う。

「帰郷」
おうちがいちばん。おうちってどこ? あー、でも自分はまだ、東京よりも北海道がおうちだと思っているけど。

「犬の散歩も引き受けます」
解決策は魔法でしかないのだが、主題はそこには無いということなのだろう。どちらかというと、経済学小説なのか?

「サーチライト」
行方不明になった盲目の少女をどうやって見つけるか。掌編だが、SF的な面白さが満載。少女の勇敢さ、聡明さも際立っていて良い。

「宇宙での試練」
宇宙での事故により広所恐怖症になってしまった男が、子猫を救うことにより尊厳を取り戻す話。子猫の可愛さが際立っていて良い。

「地球の緑の丘」
ふたたび自己犠牲と放射能の話。しかし、このタイトルはすばらしいな。

「帝国の論理」
内惑星開発によって繰り返される帝国主義、植民地政策、そして独立組織。憤る主人公を迎えるペシミスティックな結末。ハインラインは内惑星の植民地化を、肯定的では無いにしても、避けられないものと考えていたのだろうか。




[SF] ダイナミックフィギュア

2011-03-26 16:14:01 | SF
『ダイナミックフィギュア』 三島浩司 (ハヤカワJコレクション)




太陽系外からやってきた謎の物体、STPF。落下したその物体の破片から生まれる人型モンスター、キッカイと戦う人型近接決戦兵器、ダイナミックフィギュア。

周辺各国、米露中韓朝台、五加一の承認を得て、牢獄台から出獄するダイナミックフィギュア。ユラピストル、ユラライフル、ユラスピア! 最後は蹴りだ、手刀だ、この野郎!

どう見てもアニメ的な物語を、小説ならではの細かい書き込みとSF設定とによって支える、リアルロボットSF小説。


人型ロボットの存在理由はそれなりに考えれられており、基本戦力は陸自の実在兵器。キッカイの走馬灯を除去する必要性という設定が、いろいろな角度からの精密射撃や格闘戦の必要性につながり、最後は「足なんて飾りですよ!」まで飛び出して、人型が人型である理由に説得力を与えようとしている。

走馬灯というのはキッカイの牡種が持つ生体器官であり、記憶を牝種の胎児に伝えることができる。これにより、当初はゾンビみたいにふらふらしてるだけだったキッカイが急速に学習、進化を遂げる。この走馬灯は牡種が死ぬ直前に記憶を伝えるため、キッカイを倒す前に走馬灯を切除しなければならない。

この走馬灯の存在がキッカイとの戦闘を複雑化し、物語に深みを与えている。たとえば、キッカイに飛行機を見せてしまえば、そのキッカイが走馬灯を経由して胎児に知識を伝え、キッカイが空を飛び始めてしまうという。ゆえに、戦闘に航空機はどころか、羽付きのミサイルさえも使えず、航空戦力は飛行船という徹底ぶり。ただし、そのための設定で、STPFの破片が放つ究極的忌避感によって、その周辺では人間どころか鳥も昆虫も生き残れないということになっているというのはちょっと無理矢理かなと思う。

こんな感じで、とにかく膨大な設定がリアルロボットを活躍させるために用意されており、読者が読み進めるにしたがって披露されていく。冒頭からゆっくり読んでいくのには問題ないが、本の紹介や感想を書こうとすると、これが難しい。走馬燈やら究極的忌避感やらの説明無しでは記述できないのだけれど、それらを書いていくと到底書ききれない。まったく感想の書きにくい小説だ。


そして、やたらと想起される“ヱヴァンゲリヲン”ネタ。3人の少年少女、親子の葛藤、組織の裏の顔……。使われなかった伏線なのかもしれないが、〈カラス〉の子は3匹いて、一匹がパイロットの親を食っている。それはつまり、アレを思い起こさせるわけで……。

いまさらヱヴァでも無いだろうが、ネタは過去の作品(エヴァンゲリオンに限らず、ファフナーだのなんだの)をトレースするわけではなく、どちらかというとアンチ的な対比を見せているように思える。

たとえば、本作品で重要なポイントになる“他感作用”、“究極的忌避感”とヱヴァンゲリヲンのATフィールドの違い。

ATフィールドは閉ざされた心の壁のアナロジーとして用いられ、さらには人と人の境界を示す絶対的な障壁であった。一方、他感作用(アレロパシー)は「ある植物が他の植物の生長を抑える物質を放出するなどにより排除する作用」のことを言い、人と人の間にも他感作用が存在するのではないかということが仮説として示される。また、STPFが放つ究極的忌避感とは、五月病や登校拒否の強烈なものであり、あまりに強烈過ぎて死に至るという。他感作用仮説は、人と人の間だけではなく、さらには異性種族間にも作用し、その強烈なものが究極的忌避感であるという仮説が導かれる。

関係性の中に“壁”という障壁があるのではなく、無意識のうちに相手を排除しようとしているがゆえに障壁が生まれる。排除すべき壁などは無く、障壁を排除することと自死が表裏一体化するという結論は、ATフィールドの消失によって他者と一体化するというエヴァ的結論よりも悲劇的かもしれない。


この物語は後半に進むにつれてグダグダ感が生まれ、ある意味、無理矢理な結末へと突き進むところも、いかにもアニメ的である。しかし、久しぶりに、読んでいて電車を乗り過ごしそうになった作品だ。

正直なところ、これまで三島浩司は自分の中で評価が低く、この小説もJコレじゃなかったら読んでいなかっただろう。参りました。見直しました。

それにしても、Jコレクションは(というか塩澤さんは、なのか)いいものを拾ってくるな。