播磨、鶴林寺夕暮れ
















     刀田山鶴林寺、加古川の市街にある天台宗の寺である。
     聖徳太子がこの地に来て、創建したという聖霊院が、この寺の前身と伝えること
     から、播磨の法隆寺と呼ばれることもある。9世紀始め、慈覚大師円仁の来寺
     より天台宗となり、奈良時代以降各時代の文化財を護持し、今に伝えている。
     太子堂は1112年の建立という。聖徳太子との所縁により、この名で呼ばれるが、
     本来は、本堂を挟んで西にある常行堂と対をなす法華堂である。天台宗法華堂
     として、日本最古の建物。北面を除き殆どを蔀戸で囲む、純和様である。前面に
     孫庇を一間幅で通り庇として設けるため、見る角度によっては、やや異様な感じ
     もある。常行堂は、太子堂とほぼ同時の建立。もと桧皮葺きであったが、1566
     年瓦葺きに葺き替えられた。
     本堂は1397年の建立という。外周りを桟唐戸で囲み、柱上の組物は尾垂木入り
     の二手先組、中間に板蟇股を置く。和様に大仏様、禅宗様をとり込んだ数少ない
     建築例という。(和様、大仏様、禅宗様ともに、元々中国から伝えられた建築様式、
     和様は、最も古く奈良時代に輸入され、日本で咀嚼、変容を遂げ平安時代には、
     ほぼ定型化した建築様式である。)
     太子堂、本堂は国宝、常行堂は国重文に指定されている。
     写真上より本堂(2枚)、常行堂、太子堂(3枚)、三重塔の影である。

     (加古川の鶴林寺を訪ねたのは、弱い冬の陽が、早くも傾きかけた午後でした。
      著名な寺だけあって、本堂の中には、納経所もあるが、お参りする人の影はない。
      僧衣の若い女性達は、世間話に余念が無い。
      夕暮れのほの赤い光が境内を覆う。太子堂の蔀戸の永遠を想わせる格子紋様、
      投げかけられた夕陽の影が、一際印象に残った、鶴林寺でした。

      国宝建築物シリーズ、中国地方を出て、ついに兵庫県に入りました。もっとも、
      小野の浄土寺は昨年5月にお参りしましたが・・。あと二つのお寺があります。
      詰まらないけど、がまんです。)
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