★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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街のカラス(13)

2009年09月15日 | 短編小説「街のカラス」
 気になっていた輝きの現状が判ったので、なんとなくホッとしながら、懐かしい鉄塔のねぐらへ戻ることにした。
 もうニンゲンたちもいないだろうと思いながら、懐かしい街並みを眺めつつ、鉄塔に近づいていってびっくり。なんとオイラの鉄塔は、すすけた緑色の細かい目のネットがすっぽり覆い被さっており、その中で何人もの作業員が黙々と作業を進めている。
 さて、困った。
 鉄塔の電線をたどっていくと、同じ形の鉄塔があるにはあるのだが、あっちは、風の流れがあまり良くない。それに見慣れない別グループのカラスが時々飛び回っているので、あまり近づきたくないのだ。
 しかもよく見ると、そっちの鉄塔も同じようなネットで覆われていて、すでに作業が進行中のようだ。
 仕方が無い。また、しばらくの間群れに戻るとするか。そう決心したオイラは、ちょっと名残惜しいので鉄塔の周りを数回旋回し、懐かしい風を翼に感じてから、再び神社の森を目指して羽ばたいた。


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