鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

超高齢化社会、日本(2023.9.17)

2023-09-19 14:11:11 | 日本の時事風景

今年の9月17日は敬老の日。高齢化の波はますます高くなっている。

新聞によると、日本国民の10人に1人は80歳以上だそうだ。正確に言うとその割合は10.1%で、1259万人である。

また、65歳以上の高齢者は3623万人で総人口に占める割合は29.1%、ほぼ3割が高齢者ということになる。

世界でもこの割合は突出しており、2番目のイタリアが24.5%、次のフィンランドは23.6%だから、断トツの世界一だ。

喜ぶべきか、喜ばざるべきか、それが問題だ。

誰しも長生きを喜ぶだろうが、そこそこに健康であっての喜びだろう。

日本は国民健康保険制度によって「皆保険国」であり、介護保険によって「皆被介護国」であるから、長生きへの保障はおさおさ怠りないが、保険制度の利用者が多くなるほど財政は圧迫される。

今、厚生労働省では「フレイル予防」がキーワードになっている。要するに足腰が衰えないように「○○体操」と銘打って各地の公民館などで地元住民への啓発活動を行っている。

これはある意味結構な話で、家に引きこもりがちな高齢者を外へ誘導し、他者との交流を活発にして心身の衰えを防ごうというものだ。

その一方で「認知症予防」もこれからは重要な課題で、一説によると団塊世代が後期高齢者に入った時点で、認知症患者の数が後期高齢者の5人に1人、つまり600万人以上になるだろうという。

認知症はもちろん介護保険適用の範疇だが、数が余りに多過ぎ、通常の心身の衰えによる介護対象者を脅かす存在になる可能性も見えて来た。

特に問題なのが認知症による「徘徊」だそうだ。施設に入った認知症の高齢者が引き起こすてんやわんやはよく話題になる。

いずれにしても超長寿社会を経験しつつある日本の動向は世界の注目の的になっている。

 

ところで一昨日は自分の所属する町内会の敬老会に役員として参加したのだが、式典の冒頭に講話をした鹿屋市の社会福祉協議会の会長の話の中で印象に残っていたのが「女性はなぜ長生きなのか」というテーマであった。

会長自身の説は披歴されなかったが、奥さんにそれを問いかけたら奥さんは「そりゃあ、女は執念深いからよ」だったそうである。

聴いた会長はぎゃふんだったろうが、この「執念」を「夫を含む人との関わりや子どもに対する想いの一本の道」と敷衍したら分かる気がする。

そのような「執念」はおおむね見返りを求めず、ただやるべきことをやっているだけという感覚だろう。そこには「自己への執着」は無いように見える。

それに比べると男の「執念」は「勝つか負けるか」「得するか損するか」「あいつを見返してやる」など執念というより「妄執」に近い。

勝つにしても得するにしても相手を見返すにしても、それを達成するためには膨大なエネルギーが必要だ。達成出来たらそれはそれでよいのだが、達成できずに挫折したら「身を焦がすような」事態に陥りかねない。

女が男より長生きなわけは、多分そういうことだろう。男は人生の上で毀誉褒貶が多過ぎるのである。

生命科学的に見ても女の遺伝子を形成する性染色体は「XX」で、男は「XY」である。男は女より「一本足りない」のである。男は「失われた一本」を求めてあがきまわるようになっているのだ。

新聞報道によると、全国で100歳以上の高齢者は去年に引き続き9万人台で、うち女性の占める割合は88.5%と男をはるかに上回っている。

鹿児島県は全国で第4位の長寿県だが、1964人の100歳高齢者のうち女性は1740人、男性は220人で、女性の割合は90パーセントを超えている。

「○○サロン」というような高齢者向けのフレイル予防講習や体操クラブ、お茶飲み会、各種同好会などに集まるのはほとんどが女性だという。そういう機会に友や見知らぬ人と世間話をしたり、笑いあったりすることが「健康長寿」の最良の秘訣かもしれない。