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鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

「産まず女」でなくてよかった!

2024-05-20 19:25:00 | 日本の時事風景
上川陽子外務大臣があの舌禍事案で辞任した前静岡県知事の川勝平太氏の後任の知事を選ぶ選挙で擁立された自民党推薦の候補の「押し」の会合で、

「産まずして何の女性でしょうか!」

――という発言をしたことで話題になっている。

川勝氏の舌禍事案は静岡県職員の任用式典での発言、

「あなたたちは牛にエサをやったり、畑で野菜を作ったりする人たちとは違う(エリートだ)から・・・」というはなむけの言葉がやり玉に挙げられた。

これはあきらかに職業差別につながり、下手をすると人間そのものへの差別につながる由々しき発言であり、川勝知事の個性とはいえ人権という観点からも容認することは不可能だ。

マスコミで問題発言として取り上げられたその結果、川勝氏はさっさと知事を辞めた。そのことは好意的に受け止められた。

で、その後任を選ぶ選挙が始まるのだが、自民党推薦の候補として某氏が立つということで静岡県のおそらく女性団体の集会で上川外務大臣が支持への発破をかけようとしてあのような発言をしたらしい。

自身もかつて自民党推薦で衆議院議員候補として擁立された際に、女性団体の大きな支持を受けたようで、今度の知事候補にもおなじような絶大な支持をお願いしたいという思惑があっての発言だったようだ。

「産まずして何の女性でしょうか!」

とは文字通り解釈すれば、――女性は子どもを産む性であり、産まないのは女性であることを放棄しているのではないか――という女性性の科学的な存在理由にかこつけての叱咤激励と受け止められる。

「この人は絶対当選させてくださいね!いいですか、絶対にですよ!」

とでも直截に言えば問題は無かったのだろうが、かの発言は上川陽子氏の「持論」だったのかもしれない。

今日びは「性の多様性」という屁理屈がまかり通っているが、そもそも性には「男性」と「女性」しかないのが科学的見解である。

これを「有性生殖の原理」というのだが、地球上ではすでに数億年前からこの形態が採用されており、日本の神話ではイザナギ・イザナミの時代からということになっている。

「性の多様性を認めよ」と言う本人からして、有性生殖の結果産まれているのだから何をか言わんやだろう。

女性同士、男性同士が結婚しても有性生殖の観点、つまり科学的原理からすれば、絶対に子どもは生まれない。

こういう人たちは「友達同士の同居」または戸籍に載せない結婚すなわち「内縁の関係」で十分ではないか。

「産まずして何の女性でしょうか!」

という選挙応援演説のワンフレーズは、女性の口から出されたからまだよかった。もしこれが男性の口から「産まず女」などと言う言葉が出たら舌禍事件になっていたに違いない。

何にしても正論(科学的理論)の通らない訳のわからない時代になったものだ。



女性天皇へのハードルは低い

2024-04-29 10:33:49 | 日本の時事風景

先頃、共同通信社が皇室に関する世論調査を行った(3000人規模で回答率は約67%)が、皇室があった方が良い人の割合は88%、そのうち「女性天皇」については実に90パーセントが「賛成、またはどちらかと言えば賛成」だったそうである。

女性天皇への人気は高く、とくに今度大学を卒業され、日本赤十字社に就職された愛子さまを念頭に置いてアンケートに賛成と答えた人は多いだろう。

保守層は男系男性天皇を絶対に譲らないのだが、アンケートの回答にもあったように日本にはかつて女性天皇が実際に存在した。

魏志倭人伝に載る倭国の女王卑弥呼は別にして、また捉え方にもよるが神功皇后も除外して記紀の記載によると、第33代の推古天皇以下、第117代の後桜町天皇まで代にして10代、人数にして8名の女帝がいた。

このうち最後の後桜町天皇とその前の第109代明正天皇は徳川政権時代だが、あとの8代6名の女帝は飛鳥時代と奈良時代に集中している。

第33代の推古天皇は母が蘇我氏の出身で、西暦593年から628年まで35年間の在位期間と格別に長く、その後は皇極・斉明(皇極の重祚)・持統・元明・元正・孝謙・称徳(孝謙の重祚)と7代(5名)が続く。

推古天皇の2代あとに立った第35代皇極天皇以下、飛鳥奈良時代の女帝最後の第48代称徳天皇は770年に亡くなっているから、西暦593年から770年までの177年間は、16代の天皇のうち8代が女性天皇であり、その統治期間の合計は約半分の87年にもなっている。

以上のように飛鳥奈良時代の女帝群は、代数もその在位期間もほぼ半分を占めており、当時の男性天皇と互角と言ってよい。

とは言ってもどの女性天皇も父が天皇か天皇位に就ける皇族であり、わが夫天皇の死により次代の男子つまり皇太子が幼かったり、早死にしたりしたために中継ぎで即位しており、基本的には男系男子の天皇が立つのを前提としていた。

したがって男系男子が絶えないまでも先細りになってきた場合、女性天皇が即位することは理に適っていると言える。

ただ、女性天皇が一般男子と結婚した場合にその皇子が皇太子となり、やがて皇位を継ぐとなるとハードルは一気に高くなる。

戦後廃止された旧宮家(男系男子家)を復活させ、その中からしかるべき男子を女性天皇の配偶者としたら女性天皇への道のハードルとともに、その間に皇子として生まれた次代の男性天皇へのハードルも低くなると思われる。

いずれにしても、若い世代が天皇制度を受け入れる姿勢が強いという今度のアンケート結果には好感が持てた。

 


「もしトラ」か「またバイ」か

2024-04-26 14:55:34 | 日本の時事風景

前財務大臣で自民党副総裁の麻生太郎議員が、アメリカニューヨークの「トランプタワー」に共和党大統領候補のトランプ氏を訪ねたという。

故安倍元首相が大本命だった民主党のヒラリー・クリントン候補がドナルド・トランプ候補に敗れるという大誤算に慌てふためき「トランプタワー詣で」をして急場をしのいだのだったが、今回は早々と顔を繫いでみせた。

自民党筋では「全くの個人資格の訪問で、党としては関与していない」とボケをかましているが、現職の副総裁が行ったとあれば、党としての関わりがないわけないだろう。

「もしトラ」という流行語が生まれるほど、トランプ候補のエネルギー度はすさまじい。

連邦議会襲撃事件への関与やいくつもの訴訟を抱えているにもかかわらず、国民的人気は高く、大統領選に最後まで立っていられるのか危惧が出されているけれども、本人は至って平気を装っている。

そんな所も人気の秘密なのかも知れないが、何しろ一度たりとも行政経験がないにもかかわらず、オバマ後の民主党政権スライドを打ち破って大統領に就任してしまったのだ。

その点ではウクライナのゼレンスキ―大統領も似ているが、もしトランプが大統領になったらゼレンスキーーにとっては相当やばい相手だ。「ウクライナ戦争は直ちに終わらせる」と言ってはばからないからだ。

現在ロシアの占領下にあるウクライナ東部4州をそのままロシア領にさせて、手打ちとするようなことを洩らしているのだが、ゼレンスキ―政権が受け入れることはないだろう。

その点昨日だったか、現在のバイデン大統領はついにウクライナへの軍事的追加支援を決めた。ゼレンスキ―大統領の喜びいかばかりだろうか。

しかしアメリカ国内では今やウクライナ支援に加えてイスラエル支援が国民の分断を生んでいる。

バイデン大統領にしろトランプ候補にしろ、対ロシアでは反専制国家主義で一致しているようだが、ことイスラエルに関する限り、両者には大きな開きがある。トランプのイスラエル寄りは明白で、大統領就任中にテルアビブにあった米国駐イスラエル大使館をエルサレムに移転させている。

だから「もしトラ」だったら、アメリカのイスラエル寄りに反発するアラブ諸国がどう出るか予断を許さない。

一方で「またバイ」つまりバイデン氏が大統領に再選された場合でも、やはり根底にわだかまる宗教的な対立に翻弄されるに違いない。

それ(宗教)はそれ、これ(政治)はこれ――と明確に分けられないのが辛いところだ。

中国との間では貿易(経済)は貿易(経済)、政治は政治とはっきり分けて付き合っているのが日本だが、台湾問題がにわかに浮上して来ており、台湾とのそれとこれは一筋縄ではいかない気がする。

 

 


それを言っちゃあ・・・

2024-04-12 13:24:19 | 日本の時事風景

国賓待遇でアメリカに招かれた岸田首相は大統領歓迎の晩餐会で流暢な英語を操り、次のようなジョークを飛ばしたそうだ。

ーー一緒に招かれた妻の裕子が「晩餐会の主役が誰だか分からない(ほど著名人が多数招かれた)わね」と言ったので、自分は確かにそうだと思ったけれども、バイデン大統領の隣の席に座れたので主賓だと分かりました。

この発言は晩餐会に招かれた人たちの笑いを誘った。以前に国賓で招かれた安倍首相よりは受け入れられたようだ。

最近よくアメリカのスタンフォード大学フーバー研究所の研究者だった西鋭夫教授がユーチューブで発言している映像を視聴するのだが、西教授は岸田首相を評価して「あの人は外国に行くと生き生きとしてお金をばらまいていますが、日本国内では暗い顔をして下を向いている」と言うことが多い。

今度のアメリカ訪問でも全くその通りのようだ。安倍元総理も英語をしゃべるがさして得意ではなく、菅前首相に至っては全く話せないから、たしかに英語圏では岸田首相の面目躍如だろう。

アメリカが今度岸田首相を丁重にもてなしたのは、ウクライナ支援で疲労し、イスラエル支援でもうまく行かず、さらに最大の中国問題である台湾有事が差し迫っているという認識のもとで、日本に少なくとも対中国牽制の立役者(盾役)になって欲しいとの思惑があるからだ。

対中国軍事戦略をアメリカは最も重要視しているのは承知のことだが、日本の軍事的役割を安保を前提としてワンランクアップさせようと圧力を掛けてきており、その結果岸田首相が唐突に5年間で43兆円を予算化すると宣言したことを評価しての今度の招待だった。

これに加え、アメリカはいざ戦闘準備となった場合の指揮権を一本化したいようで、在日米軍司令部内の統合的な指揮系統を再編した。自衛隊も同様の動きを示し、米軍との連携強化を図っている。

「平時に居て、乱を忘れず」という精神論から逸脱して、すでに南西諸島では自衛隊部隊が進駐し、地下壕の準備を始めたり、避難住民の受け入れ先を鹿児島県本土に設定したりとキナ臭い。

岸田政権下でのそのような対中国牽制のための準備活動はアメリカへの忖度が半分にしても、中国にとっては実に目障りだろう。

岸田首相はそんな中国への若干の配慮があったのか、バイデン大統領との会談の後で開かれた「共同記者会見」の記者の質問に答える発言の中で思いがけぬ言葉を口にしてしまった。

――同盟国たる中国・・・、あ、失礼、同盟国である米国との強固な信頼関係のもと・・・

あらあら、おいおい、という感じである。

間違うにも程というものがあろうに、それを言っちゃあお仕舞いよ。せっかくのアメリカへの忖度が台無しではないか。

「もしトラ」だったら、「ああそう、日本は本心はアメリカとの同盟は望んでいないのだ。もう別れよう。自分の国は自分で守れ」と、こう言いだすかもしれない所だ。それを言っちゃってくれトランプ!

 

 


大荒れの大阪場所

2024-03-24 16:51:02 | 日本の時事風景

大阪場所は荒れる――とよく言われるが、まさにその通りの結果となった。

何と入幕1場所目の東の17枚目「尊(たける)富士」(青森県出身。伊勢ケ浜部屋)が13勝2敗で優勝してしまったのだ。

大正3年(1914)に優勝力士制度が始まり、当時、両国という力士が新入幕で優勝したのだが、それ以来110年ぶりの快挙だそうだ。

昨日14日目は、勝てば優勝というところで対戦相手の朝乃山に敗れ、運悪く土俵から落ちる際に右の足首を痛め、一時は重篤説も流れたのだが、足首の捻挫程度ですんだらしい。

千秋楽の相手は一つ年上という大阪府寝屋川市出身の豪ノ山だ。豪ノ山は尊富士とは学生時代に対戦したことがあったという。

右足首の状態が気になったが、尊富士は果敢に立ち合い、一時巻き返しにあったが休まずに攻めて豪ノ山を土俵下に突き落とした。完勝である。

館内が湧いたこと言うまでもない。

優勝と殊勲・敢闘・技能の三賞を独占したのも新入幕ではもちろん初めてである。何とも素晴らしい力士が現れたものだ。

来場所の番付が気になるが、どこまで上がっていることだろう。

今場所の幕の内はモンゴル勢が後退したことで、日本人若手力士の奮闘が目立った。

入幕2場所目でまだ大銀杏が結えない若い力士で、あの能登地震のあった石川県出身の「大の里」も期待できる。楽しみだ。(※千秋楽は大関豊昇竜に敗れ11勝4敗だった。)

モンゴル勢は横綱と大関で三人がおり、あとは平幕の玉鷲だけで、かつての勢力は影を潜めた感があるが、それでも十両の西方に5名の若手がいて、その中で水戸龍が十両優勝を果たした。

水戸龍がインタビューを受けていたが、いつもながらモンゴル出身力士の流暢な日本語には舌を巻く。韓国もだが、半島から満州以北、モンゴルくらいまでは2000年前から倭人との交流があったと考えるにやぶさかではない。

ところで面白いのは、ロシア出身の力士「狼雅」が幕の内におり、十両にはウクライナ出身の力士「獅司」がいることだ。

戦争当事国の対戦相手ともにが大相撲にいる、というのも大相撲ならではと言うべきか。狼よりも獅子(ライオン)の方が強いだろう、とはウクライナサイドの見方だが、やはり人情的にはそっちを応援したくなる。

考えてみれば、モンゴルにせよウクライナにせよ、またもう一人カザフスタンの金峰山がいるが、これらの国々はロシアの周辺国で、かつてはソ連邦の一員だったのだ。

(※大分前に引退したが元大関「把瑠都(バルト)」はバルト三国の内のエストニアの出身で、この国もロシアの隣国である。)