2016年のBKSコンベンションの開催されるメリーランド州は、チャールズ・カラディモスさんのご自宅と工房がある場所です。
コンベンションと200年記念万華鏡展の開催に合わせて、自宅の一部屋を展示室に改造なさって、万華鏡制作の36年間で生み出したほとんどすべての作品を見せてくださる企画は、私たちにとっても大きな楽しみとなりました。
滞在するロックビルのホテルから車で約40分。 広い敷地に建つ白い家が目指す場所です。 自分で手を入れて、1階の一室をきれいな展示ルームになさっています。
初期の作品から最新作まで、必ず自分の手元に1点を残しておくという作家さんは意外と少ないのではないでしょうか? 合計すれば150以上の作品が並ぶ展示は、カラディモスさんの作家としての歴史を物語り、万華鏡の発展の姿も見せています。
初期のころ(1980年ぐらい)は、ステンドガラスをはんだでつなぐスタイルの作品でした。
最初に表面反射鏡を使ったのが1984年だったそうです。
そして、最初にスランピングの技術を取り入れたのが、1985年。 それから現在のスタイルの基本が生まれてきました。
この上の作品は、フュージングとスランピングでデザインした1988年の作品で、オブジェクトセルが交換できるものです。
辻輝子さんとのコラボレーション作品もありました。
様々なガラスの表情を生かしたスランピングの筒は、コーン型と丸みを帯びた形の2種類があり、現在でも製作されるスタイルです。
大型のパーラータイプはやはり見ごたえがあります。
台座の部分と一体化したスタイルですが、この形にスランピングでガラスを形作り、強度を保つことが難しいとおっしゃっていました。 見にくいですが、このテーブルには5種類の大型のパーラータイプが載っています。 中には先端部のオブジェクトセルをマグネットで着脱、交換可能なものがあります。
ずっとずっと覗いていたくなる、美しいシンメトリーが形を変えながら、永遠に続くかと思うと小さな覗き口の奥の壮大な景色にため息が出ます。
パーラータイプのいろいろなスタイルを見ることができます。いずれも限定版製作で、彼のもとに残っているのは1点だけ。 アメリカで、日本で、コレクターやミュージアム、ギャラリーへと求められていった作品たちです。
窓辺にはステンドガラスの作品が飾られています。 万華鏡の映像をデザインしたものですね。
手元に残っていない過去のコラボレーションの1点物はこんな風にパネルで紹介。
最新作まで部屋を一周して見られるように展示されていますが、一人の偉大な万華鏡作家の歴史を見せていただき、あらためてその凄さ、素晴らしさに圧倒される思いでした。
私たちがこの場所を訪れた日は、快晴で万華鏡日和でした。 カラディモスさんの自宅でもあるこの白い家のほかに、皆さんが興味津々だったのが、彼の工房です。次回はその工房をご紹介します。