渋谷の東急本店で開催中の万華鏡200年を記念する三井郁弥さんの万華鏡コレクション展は、たくさんの作品がゆったりと飾られていて、万華鏡を味わう素敵な場所になっていました。
このコレクションでは、どちらかというと最新の作品というより、万華鏡ルネッサンスを作り上げてきた歴史を思わせる作品がたくさん見られます。
たとえば今日ご紹介したのは、グレン・ストローブさんの2000年の作品で、S.F.パーラースコープシリーズ#204です。 木工のグレン・ストローブさんと映像を担当する息子のベン・ストローブさんがコラボレーションで制作した、完成度の高い万華鏡です。
先が広がるテイパード2ミラーシステムで、映像の中心がきちんと正面に来ているので美しいシンメトリーの映像です。 特徴的なのは、このオブジェクトセルには、バーナーワークによるガラスオブジェクト、液体入りガラスアンプル、アンティークの時計部品を入れていることです。 写真ではわかりませんが、ドライの映像の中で液体の流れが見えるのが、とてもユニークです。 写真の濃い赤や青の部分が液体です。
以前、富良野で拝見した時にも大感激したこの万華鏡、その時の写真に比べると木材の色が薄くなっています。 日当たりのよい窓辺で覗くのがきれいだからと展示してあったそうで、渋い濃い目の色合いが変わってしまっていました。 万華鏡映像は光があってこその美しさですが、一方で直射日光に当たらないところで保存してくださいとお願いすることも多いのです。難しいところですね。
それでも内部映像の繊細さ、すがすがしさ、鮮やかさは変わることなく、やっぱり素晴らしい作品だなあと再確認しました。
もうひとつ、手持ち型の作品です。
こちらは3ミラーシステムで、特徴は、ハニカム(ハチの巣)という六角形の模様に重ねて、オブジェクトが模様を作るところです。
白い背景にこちらも透明感のある色の重なりや、時計の部品などがきれいに見える、気持ちの良い映像が展開します。
時を経ても魅力を失わない作品を伝えていくこと、たくさんの万華鏡を実際に見て感じてもらうこと、それが三井さんの想いであり、この万華鏡展への期待だと思います。
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