鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

亀鳴屋新刊出ました!

2007-04-29 | 本のこと。
昨日、きむさんと一緒に亀鳴屋にお邪魔した。
いらっしゃいと迎えに出てくれた亀鳴屋主人、声に力がない。
「……妻は家を出ました、ま、あがってください」
え!?と驚く私達を尻目に家の奥へとふらぁと消えていく。

本当は妻女は所用があって実家へ出かけたようすで、
それを茶化して言っている亀鳴屋ではあるのだが、
いつもの冗談と少し様子が異なる……。
聞けば公私にわたり気を病むモノゴトが重なって。
せめて新刊本の案内でもここでして、
亀鳴屋主人と妻女を、励ますことにしたい。


◎○亀鳴屋 最新刊○◎

『伊藤茂次詩集 ないしょ』
 挿画/滝田ゆう 
 解説/川本三郎・天野正
 写真/小幡英典
 定価/1600円

亀鳴屋主人の話によると、
この伊藤茂次さんという詩人は無名、どこで生まれたのか全くはっきりしない。
編集の間に分ったことといえば大正14年に生まれ、平成元年に孤独死。
お墓が滋賀にあり、亀鳴屋は先月末に見本紙を墓前にお供えしてきたそう。

茂次さんは電車の車掌、旅回りの役者、大部屋俳優などで生計をたて、
極度のあるこほる中毒を患うなか、妻にも先立たれた。
茂次さんの暮らしむきは決して楽ではなかったようだが、
さっぱり明るく突きぬけている。
その詩は生きることの哀歓が漂い、そして人間臭い。

本の題名になった「ないしょ」は1篇の詩の題名からとられた。
そのさわり一連を少々。


  ないしょ

 女房には僕といっしょになる前に男がいたのであるが
 僕といっしょになってからその男をないしょにした


むむむ、さあ、どうです。かつての男をないしょにした奥さん。
茂次さんは知っていたのにどうしたのか、と気にならないか?
気になる続きは『伊藤茂次詩集 ないしょ』で、お読みあれ。
人間、夫婦というものを考えさせ、心にあたたかく届く詩が編まれている。
注文は亀鳴屋HPからどうぞ宜しく。



最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (vino)
2007-05-04 13:18:36
拝見して、早速、亀鳴屋さんにメールで注文しました。
跋が川本 三郎、表紙・扉絵が滝田 ゆう、そして帯にはなんと天野 忠さんが「酒に・・・」などなど。
天野さんは、前から気になっていた詩人でしたので、それだけで嬉しくなってしまいました。
不明で、伊藤さんは知りませんでしたので、本が届くのがとても楽しみです。
亀鳴屋さん、ホントにいい仕事なさってますね。
よろしくお伝え下さい。
返信する
ありがとうございます! (kakyo)
2007-05-05 11:59:37
vinoさま
大変ありがとうございます。亀鳴屋もとても励みになることと思います。伊藤さんという方は関西で詩の同人誌に発表をされていた方で、全く無名といってよい方です。
マイナー路線の本を作ってしまう亀鳴屋ですが、どうぞご贔屓に宜しくお願いいたします。
返信する
Unknown (sue)
2007-05-08 10:25:18
ないしょ・・・

どうしませう、気になってしまいまふ。。

では、亀鳴屋さんへ

久しぶりにご挨拶してまいります。。
返信する
Unknown (kakyo)
2007-05-08 23:08:27
◎sueさま
気になるでせう。
この詩一篇で映画が撮れそうなほどのドラマがありますのん。ぜひ読まれてみてくださいませ。
返信する
Unknown (岡崎武志)
2007-05-17 23:50:30
川本三郎さんより、『ないしょ』御送付いただき、一読、うなってます。こりゃあ、いいや。山之口貘、木山捷平、川崎長太郎、つげ義春に通じる味で、ぼくの好みにぴったり。滝田ゆうのイラストを配した装丁もいいですねえ。愛読します。
返信する
宜しくお願いします! (kakyo)
2007-05-19 14:56:13
◎岡崎武志さま
はじめまして。
書評のお仕事をされていらっしゃるのですね。こんなところに書き込みありがとうございます。
亀鳴屋、アナログにコツコツとがんばっていい本を作っていますので、どうぞ宜しくお願いします。
返信する

コメントを投稿