鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

「藝州かやぶき紀行」上映会へ。

2008-11-28 | サワサワ茅葺き
広島から帰った翌23日、
金沢の奥座敷とうたわれる小さな温泉街湯涌温泉近くにある「茅葺き農家群」へ出かけました。
金沢市街より車で30分。数日前に降った雪がところどころに道端に残り、
平野部とはぐっと寒さが違います。

茅葺き農家群には現在3棟の家が移築されていて、
かつて能登にあった野本家で上演される「藝州かやぶき紀行」を観てきました。
前日から夜行バスを乗り継いで、監督の青原さとしさんも広島から来沢。
先般、白峰でもいつか上映できればと思い、
メールをさせていただいていたことから会場でご挨拶しました。

土間の梁にかけられたスクリーンに、ほどなく映し出され上映開始。
この映画は長く故郷広島を離れていた青原監督が、
広島に戻った際に広島の茅葺き職人が「芸州屋根屋」
あるいは「芸州流」などと呼ばれていることを初めて知ったことから、
芸州屋根屋の過去と現在を追う旅が始まりました。

監督の人を撮るときの目線、
飄々とした茅葺き職人の方々のかもす雰囲気や
茅葺き屋根のもたらす長閑さなどから、
全編に流れるのはほっこりとしたぬくもり。
見終わった後もその余韻が続きました。

高度経済成長期の昭和30年代を境に急速に変わった暮らし。
これは骨董を扱っていても実感できることで、
それとともに消えていったものの代償は大きいと
いつも感じていることを再確認させられました。

映画を見ながら明治中ごろから昭和までの
道祖土家(さいどけ)の100年を描いた物語「道祖土家の猿嫁」(坂東真砂子)にも、
時代の変遷を描くのに茅葺き屋根の家が
象徴的に描かれていたことなども思い出しました。

「藝州かやぶき紀行」は茅葺き屋根を通して、
忘れられたものを思い出させてくれます。
各地で上映会も行えますので、ぜひあなたの街でも上映をどうぞ!


そして、来月14日(日)13時から、
茅葺き農家群で、またまた茅葺きにまつわるイベントが行われるようです。

映画にも出演されていた京都府美山の茅葺職人・塩澤さん、
ねそを縛らせたら日本一の飛騨かやぶきの杉山さん(と塩澤さんが言っていた)、
茅葺研究第一人者の筑波大学教授・安藤さんといった方々が来られて、
茅葺きの今と未来を熱く語ってくださいます。

塩澤さん、杉山さんとは春以来。
お話も、再会も楽しみです。




安芸の国へ。

2008-11-25 | 日々のこと。
金沢に初雪の降った20日、仕事で広島へ向かいました。

横なぐりに降る雪を列車の車窓から見ていたのは福井まで。
琵琶湖を左手に見る頃には、すっかり季節は逆戻りし、
うららかな小春日和に陽のありがたさをしみじみ感じました。

サンダーバード~のぞみを乗り継いで着いた広島は、
さ・む・いっ!!
聞けば金沢とほぼ同じ気温のうえ、
山間部では雪も降ったとのこと。
瀬戸内の温かさを期待した私があほうでした。

着いた夜は、胡町にある爐談亭という囲炉裏端のある凝った作りの店で、
某コンクールに出場する県代表を囲んで壮行会。

前日にも関わらず全く緊張しないという県代表を頼もしく思いつつ、
入賞を狙うぞとはしゃぐ応援団の皆々様を、
県大会と全国大会では、レベルも、質も、
考えている以上に、全く全く違うのよと冷ややかに見る私。
そういう思いに至った経緯は色々とあるのだけれど、
くどくど書いても不快な思いにとらわれるだけなので
よしておこう。

おりしも広島の街は胡神社の二十日えびすで賑わい、
熊手を買い求めお祓いを受ける人の列、
歩行者天国になった通りでのパフォーマンスや
露天商の屋台に集う人で大賑わい。



そして期せずして目を奪われたのが、
平和大通りの両側に延々と連なるイルミネーションの数々。
星が舞い降りたように美しく素敵でした。



コンクールの終わった翌日22日には、世界遺産の厳島神社へ参拝。
よく映像で目にする鳥居が、
木そのものを活かしてあったことを初めて知りました。
捩れた木の肌からみなぎる力強い生命力。



厳島では、人の語を解する鹿にも会いました(ウソ)



宮島参拝後は、
もう一つの世界遺産・原爆ドームのある平和記念公園と、
園内の資料館も訪ね、
今もって過去帳に綴られる多くの方々の御霊に祈ってきました。


広島へは今回で二度目でしたが、またまた殆どを仕事で潰え、
改めてゆっくりと巡ってみたいと意を新たにしました。




茅刈ってきました。

2008-11-17 | サワサワ茅葺き
暑くもなく寒くもなくのちょうど良い日よりになった15日土曜日、
白山市白峰にて茅刈りをしてきました。



茅とは、そういう植物があるのではなく、
屋根材に使われるイネ科の植物の総称になります。
一般的にはススキが主で地域によってはヨシ、アシ、イネ。
珍しいものでは能登の一地域や丹後あたりで、笹を葺くところもあります。

白峰では自生するススキを使っていて、
ススキにも中にふわふわした綿のあるオガヤと
ストロー状のメガヤがあり、かの地はオガヤになります。

さて午前10時に出作り体験学習施設「かもしか」に集合したメンバーは
7歳から60代半ばまでと幅広い年齢の5組11人。
「体を動かしたかった」「茅ってなんだろう」「子供に体験させたくて」と、
参加理由もさまざまです。

本日の茅場は、集合場所よりもうすこしだけ標高の高い、
セミナーハウス望岳苑前のクロスカントリー場。
茅刈り体験の主催者、白山ろく民俗資料館館長の山口さんのお話によると、
今年は霜の降りた日が遅いうえに冷え込まず、
そのため枯れるのも遅くここ2~3日でようやくいい具合に
枯れてきたとのことでした。

地元の茅刈り名人に茅の刈り方や、
葉を互い違いに寄せあい束ねる「うねうね」という方法を教わったあと、
いざ茅刈り!
刈った茅がいずれ屋根を葺く人の手に渡り、屋根材になるのだと思うと、
大事に刈らなくては~と鎌をふるう手も真剣になります。
そして刈った茅をとりこぼすことなくうまく、うねうねで束ねられると、
何だか一丁前になれたような気分!




茅刈り体験に予定されていた2時間はあっという間に過ぎ、
いささか物足りないほどでした。
(が、あとでやってきた筋肉痛を思うとこれで良かったと今は納得・・・)

茅場から民俗資料館へ移動し、敷地内の杉原家で昼食。
赤々と炭火の熾る囲炉裏端で山口館長が差し入れしてくださった、
白峰特産の堅豆腐と天然なめこの美味しいお味噌汁も頂きました。
ついでエチオピア原産で日本ではもう白峰でしか栽培されていない、
「カマシ」の香ばしいおちらし粉も頂きました。感謝。
(カマシは鴨足がなまってカマシと呼ばれ、四国稗ともいう)



昼食後、学芸員・三浦さんの解説で、資料館敷地内に移築されている
茅葺民家や出作り小屋を見学。
参加した11名のうちの小学生二人にとっては、
どれも珍しいものばかりで、実に楽しそうにしているようすが微笑ましくて♪
良かったね!
きっと大人になっても忘れないでしょう、この子たちは。

帰りに焼き畑で収穫された大根と赤蕪までも頂き、
白峰での茅刈り体験は楽しく、無事に終わりました。
また来年もあること祈っています。


ところで、今週末23日(日)には金沢市湯涌にて、
石川県茅葺き文化研究会主催で茅刈り体験と
青原さとし監督の「芸州かやぶき紀行」の上映が行われます。
お時間のある方、ぜひどうぞ。
茅刈りから見えてくるもの、さまざまあります。

:::::::::::::::::::::::::::::::

◎茅刈り体験
11月23日(日)9時 湯涌温泉バス停前集合 畠尾地区へ移動
15時まで。昼食各自持参

◎「芸州かやぶき紀行」上映(入場無料) 
11月23日(日)
金沢市湯涌荒屋町茅葺農家群内 野本家
13時~  1回目上映
15時半~ 2回目上映
17時~  青原さとし監督講演会

:::::::::::::::::::::::::::::









お山で茅刈り。

2008-11-10 | サワサワ茅葺き
霊峰白山を仰ぐ白山市白峰で、
茅刈りと茅葺き民家の見学会があります。

白山ろく民俗資料館主催のもので、
同館では初めての茅刈りイベントになります。

これが行われることになった背景には、
せっかく同資料館に茅葺民家があるなら、
ぜひ茅刈りをして、それを屋根の葺き替えに生かしていけばどうだろうと、
生意気にも意見したことによります。。。。

そしてさらにそう意見した背景には、
地元の業者によるずさんな葺き替え工事があり、
それはいかんでしょ!と。

次元の違うレベルで正していいけばいいのではないか。
そんなところからでもありました。

刈った茅は白山ろく民俗資料館に移築されている葺民家の屋根の葺き替え時に、
今後、使用していくことになります。

今後また発展していくことを願い、
日時が迫っておりますが、
ぜひ、お誘いあわせお申し込みくださいませ。

お昼は囲炉裏を囲んでです!
おにぎり焼いてもいいな~♪♪

::::::::::::::::::::::::

秋の体験イベント「カヤ刈り」

日 時:平成20年11月15日(土)10時~14時
    雨天時は翌日
会 場:白峰クロスカントリー競技場内他(白山市白峰西山)
集 合:出作り農業体験学習施設「かもしか」9時半~受付
持ち物:鎌、軍手、昼食、着替え

《日程》
10時~12時 着替え、茅刈り
12時~13時 民俗資料館へ移動、昼食
13時~14時 茅葺き民家見学
14時    解散

★お申し込み:石川県立白山ろく民俗資料館 
TEL&FAX 076-259-2665
http://www.pref.ishikawa.jp/hakusanminzoku/

ら・ふらんす。

2008-11-03 | 日々のこと。
ラ・フランスと片仮名で書くより、
ら・ふらんすと平仮名の方が、この果物のシルエットには
よく似合うような気がします。

富山のある地域では、「ら・ふらんす」といえば、
なんと、消防車のことを言うのです!
初めて聞いたときは、びっくりしましたよ。


「あら、ちょっと、ら・ふらんす走っとる」
「ほんとや~、どこやろ」
「どこ向かって走るか、見にいこまいか」


ら・ふらんすが走る? 
なに、なに、どういうこと・・・??

あとで聞くと、昔、
消防車をはるばるフランスから輸入したそうで、
それでLA FRANCE!
なんだか、当時の人々の異国への思いなども感じられてほっこりします。

さて、私は果物のら・ふらんすを、
熱々のフルーツグラタンにしてほっこり。
クリームチーズベースのソースに、
ら・ふらんすの芳香が移り美味でした。


  



シンポジウム会場にて。

2008-11-01 | 日々のこと。
昨日のシンポジウム、
知人・友人とよく顔を合せました。

着いてすぐ、僻村塾の事務局長をしているコダカさんにばったり。
コダカさんは、好青年でおまけにハンサムである。
だが4人のお子さんと美人の奥さん持ち。ちぇ。
ま、いいことである。

まだライティングの仕事をしていた頃、
ライター3人で新聞連載をしていたコラム記事入稿を、
いつもとりまとめてくれたのが彼である。
また毎年風の盆の時季には、
高橋治さんを八尾に送り届けてくる。
「あ~、Kさん来てくれてありがとうございます。
あ、今日、塩野さんと亀鳴屋さんへ行ってきたんですよ~」。
おお~、そうかそうか♪

ついで席について開演までのしばらくをぼう~としながら人間ウォッチング。
すると右前方招待席に見たことある後ろ姿。
う~ん、あれは近年詩人になった・・・Oさんではないか?
そのうち私が若かりしころに勤めていた半島印刷の社長の姿も
招待席に現れ。

シンポジウムが始まり、
撮影禁止と言っていたにもかかわらずシャッター音がするぞ~と
後方をみれば、一昨日会った湯浅君。
どうも仕事でシンポジウムを撮影のようすです。


シンポジウムが終わると席を立ったOさんが会場内を見渡して
私を見つけ、こちらを見ながら社長に耳打ち。
いや~、どうもどうも御無沙汰の御挨拶の図になりました。

その後、出口に向って階段を上っていると、
昨年、望岳苑で月見のセミナーを行ったときにご参加頂いた
おじ様お二人にもばったり。
「いや、いやどうも。元気でしたか?これから山口さんとこ行くし、
あなたもどう?」と誘われて楽屋へ。
聞けば山口さん、環境庁から賞をもらったそうで、
お祝いの会をしようかということでした。
でも本人はかたくなに拒んでおりまして、山口さんらしい。

山口さんの後ろには、おお、池澤さん♪
本でも持っていればサインをしてもらったのに、残念でした。

おじ様二人にもお暇をつげ別れた先には、
先ほど撮影していた湯浅君。
やあ、やあ、昨日はどうものご挨拶の図。


会う時には一時だわとおかしく、認めたしだい。
きっと他にも知った方々がいらっしゃっただろうな~と思いながら、
会場をあとにしたのでした。