鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

オークション会場でもお導き。

2011-05-30 | 日々のこと。
弘法市をあとにして本来の目的地、
中京区にあるオークション会社へ行きました。
碁盤の目の京都は、路地に入ると一方通行が多く、
何度来ても迷子になってしまうNさん。
いい加減覚えてくださいませね(涙目)。

暑さと迷子でぐったりしながら、
玄関で積み込み作業をされていた方に挨拶をし2階の受付にいくと、
ご年配の男性がお一人椅子に腰掛けていらっしゃいました。
スタッフの方とのやりとりからして次回の会に出品されるもよう。
「この作家は古い民家ばかりを描いていてね」ともれ聞こえてきます。
古い民家といえば・・・向井潤吉?と思っていたら、ビンゴ!


20年ほど前、名古屋で少しだけ画廊でアルバイトをしていたことがありました。
小さな画廊でしたが取り扱う作家は麻生三郎、小倉遊亀、脇田和など
なかなかの品揃えでした。
そのほかにこの向井潤吉もあり、まだバブル全盛期のころでしたから、
8号くらいで700万円とかしたような記憶・・・。

この画廊に勤めるまで
『絵』というのは鑑賞の対象で購入するものと思っていましたが、
ここでは今お持ちの絵をお売りになると
お買い求めて頂いた時よりも○○万、
高く売れますよと画廊のオーナーがお客様にお話するのをきいて、
絵とは『投資』にもなることを知り驚いたものでした。


話が横道に逸れました。
向井潤吉は古い民家、なかでも茅葺き民家を好んで描いていました。
実は翌日、茅葺き民家がたくさんある南丹市美山へ行き、
茅葺屋の塩澤さんにご案内いただく約束をしていたのです。
そのため向井潤吉ときき
「おお!!茅葺きの神様のお導き、呼ばれてるわ」と
先ほどのぐったりはどこへやら、
フフ~ンと鼻歌まじりに一人盛り上がる私。
なにか、可笑しい?







ひさかたの弘法さんで。

2011-05-30 | 日々のこと。
21日土曜日、京都のオークション会場へいくついでに、
教王護国寺(東寺)で開かれている弘法さんへ行ってきました。
弘法さんは毎月21日に開かれていますが、なかなか土日にあたることが少なく、
今回覗くのは7~8年ぶりになるかもしれません。



朝6時、富山のAG堅香子・Nさんに迎えにきて頂いて金沢を出発。
10時少し前の到着でしたが既に寺内には大勢の人、人、人、そして物、物、物。
ざわざわとした露店の雰囲気に気分が浮きたつ反面、
もう近年ではこれは!と胸躍る出会いが少なくなっていて、
ここはこんなお値段で出しているのかとか、
そういうチェックばかりを、結局さもしくしておりました。
それでも1時間半ほど品物を見たり、薬師如来にお祈りするなぞをし、
そろそろオークション会場へ行きましょうか・・・と弘法さんを後にしようとしたときに、
古いこけしを4~5体置いているお店を見つけました。

無造作に置かれたこけしのなかに、何とはなしに見覚えのあるお顔のこけし。
手にとって裏返すと「煤孫こけし」と墨書きされていました。
それは5月の企画展のときにお預かりした
煤孫盛造さんのお父さんが作られたこけしでした。
「こんなところで会うとはね」と思わずつぶやくと、
おじさんがこけしが好きなのかと聞いてこられたので、
「これは南部系花巻のこけしで・・・」と最近知りえた俄か知識を披露すると、
こけしの脇に置いてあった講談社カルチャーブックスのこけし本に、
やおらボールペンで書き込みをはじめました。
勉強熱心な方だわ~と嬉しく思いながら、その本をよくよく見ると、
表紙には「○○町立図書館」とシールがぺたっと貼られているではありませんか・・・。

「おじさん、それ図書館の本でしょ。書き込みはまずいですよ」というと、
「いやな、世の中には親切な人がおるわぁと、喜ばれるわな」って。
そう来よったか!

憎めないおじさんから煤孫さんのこけしさんを買い求め、
まだまだ賑わう弘法さんをあとにしたのでした。

原発つれづれ。

2011-05-24 | 日々のこと。
5月19日、金沢シネモンドで鎌仲ひとみさんの「六ヶ所村ラプソティ」を観てきました。
会場の8割の座席が人で埋まっていました。

2日前に観た「ミツバチと地球の回転」では、
未来のエネルギーへのシフトチェンジに目をむけることができましたが、
六ヶ所・・・は、もし上関が原発を受け入れてしまったら、
あの村はこんな風になってしまっただろうと重ねながら、観ていました。

激しい反対運動も繰り返されてけれども、
反対する人が一人減り二人減りをし、原発立地の保証金を受け取ってしまった漁村。
誇りも土地も傷つけられた人々の表情には哀しみがあり、
これ以上そんな人々を出してはいけないと感じる。

立地する土地だけでなく、それは近隣にも及ぶ。
「やませ」とよばれる海から吹き付ける風に乗って放射性物質が降る。
無農薬のお米を作ることに生きがいをもっていた苫米地さんの
涙を必死にこらえた表情が忘れられない。

放射性物質の影響は、電力会社の大好きな言葉「ただちにない」だけで、
5年、10年、30年・・・・、先のことは分からない。

六ヶ所村・・・には、内閣府原子力安全委員会委員長の班目氏の語る原子力開発の話、
また昨日参議院で参考人招致された京都大学原子炉実験所助手の小出氏による
プルトニウムの話も収められています。
ご覧になってみてください。

http://www.youtube.com/watch?v=T2RQlTyeAVc

最初観た時は「けっきょく最後はお金でしょ」「原子力なんてあんな不気味なもの」
と言ってのける姿に呆れてしまいましたが、
何度か見ると正直すぎるのか、この人はと思うようにもなりましたが、
やはり疑問符のつく御方。

対して40年間原子力の反対を唱えてきた小出さん。
どんな不当な扱いをされてきても研究所に残ってきたのは
推進派の人々を見張るためだったとも聞きます。
今回の原発震災で推進派の人に「勝ったと思っているでしょ」といわれた小出さんは
「とんでもない。こんなことが起きてしまって、悔しい」と。

それは昨日の小出さんの参考人招致の締めによく現れていました。
マハトマ・ガンジーの7つの大罪。痛烈に胸に響きました。

1.原則なき政治
2.道徳なき商業
3.労働なき富
4.人格なき教育
5.人間性なき科学
6.良心なき快楽
7.犠牲なき宗教


これまで街なかで原子力の反対運動をしていても、
よそごととしてスルーしてきたのが私でした。
でも六ヶ所村・・・・の映画のなかで語られた言葉
「核燃は賛成か反対しかない、
中立、あるいは何もしないというのは楽だけど、
それは賛成ということになる」。

今ある原子炉には順々に休んでいってもらい、
その間に新しいエネルギーの形を確立してほしい。
これが今の私です。

小出さんの非公式まとめブログ





「ミツバチの羽音と地球の回転」お見逃しなく。

2011-05-19 | イベント、お知らせ。
先日、鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー映画「ミツバチの羽音と地球の回転」を
香林坊109・4階のシネモンド金沢で観てきた。
鎌仲さんは長く原子力の問題に向き合って映画を撮り続けていらっしゃる人だ。

山口県上関町の海辺の町にもちあがった原子力発電所建設問題。
映画はそこを漁場とし日々の暮らしを紡いできた祝島の人々と
中国電力の間におきた28年(撮影時)にわたる戦い、
地域自立型の自然エネルギー開発に取り組むスウェーデンの人々を照らし合わせる。

3月11日におこった東京電力の福島原発の、
あってはならない事故を目の当たりにした今、
それは乾いた土に水がしみこむように、実に明快に頭に吸い込まれていく。
日本のエネルギー政策の未来、
電力の独占体制をどうしたら変えられるのかを問いかけてくる作品だ。



心に残ったシーンメモ*************

✦祝島にて。
町の議会でおこなわれた推進派と反対派の評決は推進派が圧倒的な数になったが、
「それはわかっていたこと。向こうは勝ったと思っているかもしれないけどそれでもいい。
(上関も他も)建設を遅らせることができればいい。それが役割」と高戸さん。
(*今日現在、推進派だった山口県知事が建設許可申請の延期を受諾せず、
実際中止になる運びに!役割確かに果たされました。)

中国電力が漁業権を放棄させるために、
『勝手に振り込んできた』という補償金は4億4千万円。
お金で解決できるという驕り。何という傲慢さ!
それに対し振り込まれたお金を、即座に返金した人々の清さ。
すっと胸のすく思い。

「原発は安全です。海は汚しません」。
人を傷つけ海や大気、土壌、生物、植物を汚した東
京電力の事故を目の当たりにした今、笑止。

「一次産業では食べていけないでしょう」と反対運動の村の人々に呼びかける中国電力社員。
それに対し「僕たちはこの島で原発のお金に頼らず漁業と農業で生きているんだ」と
言い切った祝島の高戸さんの息子たかしさん。
目の前に広がる海、背後に広がる山地を開いて作られた先祖伝来の田畑。
そこで暮らしの糧を得て生きる人の言葉は美しくて強い。


✦スウェーデンにて。
国民投票によって脱原発を決定。
化石燃料に依存しない持続可能エネルギーへの転換を図る。

新しい酪農のあり方。株式会社とし1人220万189人の株主。
搾乳、餌やり、糞便の掃除のオートメーション化。
これにより酪農家のかたは休みもとることができるようになる。
糞便はためてメタンガスを発生させ、そこから熱をうみ電気をまかなっていた。
(*福島県の酪農にもなにかヒントにならない?)

地域暖房。廃材をチップとし暖めた70度の温水を各世帯へおくっている。

地方議員は無報酬、ボランティア。

クリーンな電気を選び、買うことができる。

クリーンという付加価値をつけたビジネス。


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恥ずかしながら上関の原発反対運動は、
twitterをはじめる数ヶ月前まで知らなかった私でした。
そして、この映像を見ることによって知った真実から得たものの、
なんと大きく多かったことか。

香林坊109の4階、シネモンド金沢では明日の18時25分、
「ミツバチの羽音と地球の回転」最終上映です。

映画は、真実を知ることの大切さと、
原子力エネルギーの推進VS反対という構図でなく、
50年、100年、もっと未来の地球のため、
新しいエネルギーへの夢を感じた。

まだご覧になっていない方はぜひ!!






「日韓 くさわら時間」。

2011-05-17 | イベント、お知らせ。
金沢市本多町の中村記念館・茶室耕雲庵、旧中村邸(県立図書館裏手)で、
5月26日(木)から「日韓 くさわら時間」という展覧会がはじまります。

前衛を得意とした華道家だった道念邦子さん。
韓国へ足繁く通うなかで草編みにもふれてこられました。
やがて腰を痛められてからは花に向き合うことが難しくなり、
韓国で草編みを本格的に学ぶようになられました。
そして親交のあった彗星倶楽部の中森あかねさんに、
韓国の草編みの文化を紹介したいとお話しをされて、
この展覧会が企画されていきました。

その準備が進むなかでおこったのが、03月11日の東日本大震災です。
未曾有の出来事に私もなにかできることはないかと思って動きだしていたところに、
中森さんから福島県三島町にすごく素敵な編み細工がある、
土地のおじいさんやおばあさんが山ブドウ、ヒロロ(ミヤマカンスゲ)、マタタビなどで編む籠やかばんを、
韓国のくさわらの作品と一緒に紹介したいのだが、
伝手はないかとご相談を頂きました。

あいにく私には三島町への伝手は持ち得なかったため、
中森さんは地震の被害を気にかけながら、
状況が少し落ち着いたころに福島県三島町の奥会津三島編組品振興協議会に連絡。
事務局の方もその申し出を喜ばれ、工人さん達とも話しあわれた結果、
晴れて今回の展覧会に作品を出品して頂けることになりました。
そしてつい先日には、ヒロロ細工の実演に、
はるばる三島町から工人さんがいらっしゃることにもなりました。

くさわら、文字通り草と藁です。
昭和30年代からの経済成長とともに、竹やさまざまな草で編んできたざるや籠といったものは、
石油から生まれたプラスチック製品にとって変わっていきました。
これから先、原子力に頼らないエネルギーに舵を切っていくことになると、
いずれは枯渇するとされる石油は、
より大切に使っていかなくてはならないことでしょう。

今回の展覧は、草、わらから生まれる美しい手仕事・生活工芸品という見方だけではなく、
無尽蔵ではない石油に頼らない物づくりという点で、
作る側も使う側も見直しする機会にと個人的には思います。
使えば使うほど味わいがでて美しくなる品なら、
自然素材のものを選んでいきたくなりますね。

能がきはともかく、美しい品々、目にするだけでも心が洗われます。
草と藁を通しての日韓の文化交流も清清しい。

関連イベントとしては記念美術館内の耕雲庵で講演や交流茶会、草藁工芸ワークショップ、
旧中村邸では東日本大震災チャリティマーケット「いのりつなぐ」もあります。
このチャリティマーケットには私も骨董の器をすこしですが出品し、
売上げの100%を寄付させていただきます。
どうぞお求めのほど宜しくお願いいたします。

「日韓くさわら時間」の会期は短いです。
お見逃しなく。

詳細はこちら→金沢アートグミ


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日韓 くさわら時間
2011年5月26日(木)~29日(日)
10時~17時(最終日15時)
中村記念美術館茶室・耕雲庵
旧中村邸









ありがとうございました。

2011-05-16 | 東北にエール
GWの10日間に行いました「東北の楽し麗し手仕事展」。
ご報告が遅くなりましたが、無事に終了することができました。
ご来場いただきました皆様をはじめ、
開催にあたりご協力いただきました皆さま方に、
この場をかりて御礼申し上げます。
大変ありがとうございました。
また、本当は2日と6日は出勤日でしたが、
何ごとかを察し、休暇を受理してくれました職場の上長にも感謝いたします。


会期終了後、北の匠の会の会長・工藤さんからは

 仕事の方も徐々に形が整い、動けるようになってきました。
 名古屋の○○先生からもお声掛けをいただき、5月10日からの出展と
 6月初めの展示が決まっています。

 多くの方々にご心配いただき、助けていただいて、元気をいただきました。
 これからも、前に進んでまいります。

と、メールも頂き、物作りの環境も震災前とまではいかなくとも、
少しづつ取り戻されているようで安心しました。

また花巻市の工房木偶乃坊・煤孫さんからも
東北のために皆さんが支援くださることへのお礼の言葉が綴られたお手紙を頂きました。
そして当方から送金させていただいた売り上げのなかから、
岩手県へ義捐金として寄付されたことを認めてあり、
ご自分よりもっと大変な方々があるからという「利他」の心。
胸があつくなりました。

今回、ご来場いただいたお客様、作品をお預かりした作家さん、
ご協力いただいた皆様がた。
震災という大変な不幸な出来事で結ばれたご縁ではありました。
しかしながらも稀有なご縁、
これからも末永く大切にさせてくださいませ。
どうぞ宜しくお願いいたします。


明日は最終日です。

2011-05-07 | イベント、お知らせ。
好天に恵まれたゴールデンウィークの9日間、
たくさんの方々にご来庵いただきました。

なかには東北ご出身の方、東北に赴任していた方、
東北で学生時代をすごした方、
今現在、家族が東北にいらっしゃる方などにご来庵いただき、
東北へよせる思いを強く感じさせていただきました。

東北3県の県人会大阪事務所さんからお送りしていただいた観光パンフレットも
次々にお持ち帰りいただけ、残りわずか。
時期を見計らって旅行にいきたいと
皆さん、思いを馳せていらっしゃいました。

長かったような短かったようなの
「東北の楽し麗し手仕事展」も
いよいよ明日1日限りになりました。

「北の匠の会」のとんぼ玉作品や「工房木偶乃坊」のこけし、
また岩手の手仕事を紹介した「tenote」を
ぜひこの機会にご覧くださいませ。

お醤油の町・大野をお散歩がてら、
お立ちよりくださいますよう、
お待ちしております。

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東北の楽し麗し手仕事展
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4月29日(祝)~5月8日(日)
10時半~19時
金沢大野湊かたかご庵
(金沢市大野町3-4)
お車は山森駐車場7・8・9

東北ゆかりの絵本と物語たち。

2011-05-02 | イベント、お知らせ。
絵本と石けんの店宇吉堂、
ウキコさんがセレクトしてくれた絵本と物語も、
今、かたかご庵にあります。

自然に本の前でお母さんとお子さんの
読み聞かせがはじまり、
横で聞いている私も幸せな気持ちになりました。



5月8日まで、本はあります。
ぜひお手にとって声にだして物語の世界へどうぞ。

またカメリアーノ・ミツルさんの
色彩あふれる素敵なポストカードも置いてあります。
1枚100円。
お買い上げ頂いたお金は義援金になります。
宜しくお願いいたします。


もっとたくさんの絵本やカメリアーノさんの作品がみたいなと思ったら、
絵本と石けんの店宇吉堂へどうぞ~。
泉ヶ丘高校のテ二スコートに面したお家です。
のれんが揺れてます。

こけしコレクション&こけ談

2011-05-02 | イベント、お知らせ。
昨日は宮城発祥の郷土玩具・こけしをめぐる
あついトークイベントをこけしコレクターのanagさんと
金沢ふくうめこけしを手掛けるクラフト作家TOKOさんに行っていただき、
10名の方々にご参加いただきました。
ふだんはもの静かなanagさんですが、
愛するこけしのお話になると熱い熱い!
こけしに対する思いがあふれていました。



ごちそう案内人のゆきねこさんが、
この日のために作って送ってくださった、
岩手のこびるどきに食べられるおやつ「がんづき」を頂きつつ
わいわい、がやがや。
ふんわり、黒糖が香る絶品がんづき、おいしゅうございました。



5月8日まで、anagさんのコレクションも並びます。
豊かな表情をみせるこけしに会いにきてくださいね。
かたかご庵ではコレクションにもある、
花巻の煤孫盛造さんの木偶の坊こけしを販売しています。



さて、今日は穏やかな日。
海辺の町大野は散策日和です!
お誘いあわせお越しくださいませ~。