鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

nousaku 1周年記念!

2009-10-30 | イベント、お知らせ。
私の周りには素敵な女性がたくさんいます。
そのなかでもとりわけ好奇心と行動力の人が
高岡市在住の194さん。

数年前のある日、194さんのお母様から「今度194は東京に行くのよ」と
お話を伺いました。
へえ~と思っているうちに、仕事を辞められ、ご主人に留守を守らせ?
東京になんと2年半も遊学です。

その2年半のなか、お気に入りの蕎麦屋さんでアルバイトをしたり、
チーズ好きが嵩じてチーズ店でアルバイトをしたりし、
遂には難しいチーズソムリエの資格も取得されました。

そして地元に帰ってからは、
1級建築士でもある194さん自らが現場監督を務め自宅を改装。
世界各国のチーズを楽しめる「nousaku」をオープンされました。

と、はしょって紹介するとこんな風ですが、
そこに辿りつくまでのさまざまが、実に刺激に満ちておりました。
これだけバイタリティにあふれていると
一体どんな男まさりの女性と思われるでしょうが、
ライフエンジョイナーと自らを呼ぶ194さんは、
しなやかな感性をおもちの、とってもチャーミングな女性です。

そんな194さんのお店が、
先週10月22日にオープン1周年を迎えられました。
その記念イベントとして、
194さんが敬愛するギャラリー無境の塚田晴可さんのしつらえ展が
同店で行われます。

本当は11月1日に塚田さんの講演も予定されていたのですが、
氏の体調不良で中止とあいなりました。
これには私も参加を申しこんでいたので、すごく残念でした。

それでも、2日からは予定通り記念イベントの
「しつらえ展」が行われます。
お近くの方、ぜひ、nousakuさんへ。

私も相談ごとなどもあるので、
3日にお伺いしたいと思います。
194さんとの再会がとても楽しみです。


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■しつらえ

2009年11月2日(月) ~ 5日(木)
14:00 ~ nousaku 閉店まで展示

nousaku
富山県高岡市新横町1044-2
電話0766-28-0138

今夜は十三夜。

2009-10-30 | 月と旧暦と。
今日は旧暦の9月13日ということで、十三夜。
十五夜と共に愛でられてきた月です。
栗名月、豆名月とも呼ばれます。

先だって、かたかご庵で一足早く行った「十三夜のしつらい遊び」では、
この月に因んで松葉屋(小松市)の「月よみ山路」をいただきながら、
参加者の方と楽しみました。

栗たっぷり、ほど良い甘さの小豆が美味しい蒸し羊羹の命名は、
良寛さんの

  月よみの 光を待ちて 帰りませ  山路は 栗のいがの多きに 

からです。

今宵静かに、ご家族とともに十三夜の月を愛でられてください。


冬時間。

2009-10-27 | 本のこと。
フランスには冬時間なるものが存在するそうですね。

サマータイムとは逆に、時計の針を1時間早めるのが冬時間。
ウィンタータイムとは言わず、
冬時間と漢字にしたほうが、しっくり感覚になじみます。

私が冬時間を楽しむとしたら、やっぱりかしましいテレビを消して、
暖かいブランケットにくるまれ本を読むことかな。

最近読んでいるのは、
瀬戸内寂聴さんの「わたしの源氏物語」。

十三歳のときに「源氏物語」に出会って以来、
その訳をライフワークとしてこられた瀬戸内さんならではの読み込みで、
光源氏と彼をとりまく女性たちの姿を、
さまざまな視点で鮮やかに描いていらっしゃいます。

瀬戸内さんのものを読みながら、
源氏物語を読み返すということも時にしながら、
二冊の本を行ったりきたり。

へぇ、そうだったかな。
そうそう、そうだった。
そんな風に思った?

瀬戸内さんと源氏物語を語りあっているような気持ちになれる
「わたしの源氏物語」。
読んでみたいと思われたなら、まずは源氏物語を読んでから。

秋の夜長、冬時間を楽しみましょう。



富貴よせ企画展「暮らしの衣替え 秋から冬」。

2009-10-22 | イベント、お知らせ。
朝夕、肌さむくなってきました。

今週前半は職場主催の某コンクール石川県大会があり、
慌ただしくしておりました。
明日は福井へ事務支援に出かけます。
これが終われば職場の一大メインイベントは終わり、
あとは毎年好例のセミナーをいくつか。
それもこなせば、もう今年も終わりますわねぇ~、
ゴーンと除夜の鐘!?


いやいや、その前に。
かたかご庵からの霜月の開庵お知らせです。

暮らしに寄りそうものたちも季節にあわせて衣替え。

染付から色ものの器へ、
ガラスから漆の器へ、
単衣から袷の着物へ、
灯りもぬくもりを感じさせるものへ。

そんな品々をとりどり集めた富貴よせ企画展を、
11月の後半、かたかご庵で行います。

お近くの方はもちろん、
ご旅行で金沢においでの観光客の皆さまも、
どうぞお出でくださいませ。


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富貴よせ企画展

暮らしの衣替え 秋から冬  
灯り、古布、色絵・土もののうつわ、着物

11月20日(金)~23日(祝)
午前10時~18時半
金沢大野湊かたかご庵 
(金沢市大野町3-4)




ノラや。

2009-10-16 | 猫のこと。
港町には猫がよく似合う。
志摩の猫、エーゲ海の猫、
そしてかたかご庵のある大野町もまた。

しかし大野町の猫は、
実をいうと器量よしが少ないのでした。

先日の巡遊の時に出会ったこの子ときたら、
「・・・猫ですよね?」
「そうですね」
皆と確認しあったくらい、
不思議な面立ちの貫禄ただようノラ。

ヒャッケン先生が見たら、
なんと評したかなあ。



きもの日和 ~港町の町家を巡る~

2009-10-12 | ぐるぐる町家巡遊
10月11日のこまちなみフェスタの時だけに、
大野町のふだんお住まいの町家を拝見できたので、
その日にあわせて「きもの日和~港町の町家を巡る~」を行いました。



大野の町家は醤油・味噌を代々作ってこられたお宅のほか、
回船問屋、材木商、穀物商を商ってこられた、
築100年前後のお宅が残っています。
金沢の中心部に見られる町家とは趣が違い、
外観の袖うだつや木虫籠の2段構のほか、
内部も吹きぬけに農家に見られるような大きな梁が組まれていたり、
建具も帯戸があったりと興味深く拝見。
それぞれのお家に伝わってこられた品々も飾られ、
歴史を感じさせていただきました。
お写真は午後の部ご参加の皆様。(約2名写真はご遠慮)



紺市醤油の酵母が香る蔵のなかでは山本基さんの塩によるアート作品。
チベットの曼荼羅のように指で塩を撒いて、
波紋のような文様を形作っています。

直源醤油さんの重厚なオエの間では、
フローキャンドルが灯され幻想的な雰囲気を楽しみました。
ここで午前に巡ったときに、カシャカシャ写真を撮られ、
これがHK新聞に載っておりました・・・、不覚。

きもの日和の午後の部の締めは、
ヤマト醤油さんのひしほ藏にある大正浪漫ホールで、
お醤油ソフトや甘酒ラテ、甘酒パフェなどを頂き、
美味しい一休みをいたしました。



参加者の皆様には大野の町の魅力、
町家に代々大切に住まわれていることの素晴らしさなども
感じとっていただけました。

ご参加いただいた皆様、
ありがとうございました。
またいつかお会いしましょう。





町家巡遊09&金沢大野こまちなみフェスタ

2009-10-12 | ぐるぐる町家巡遊
町家巡遊、こまちなみフェスタの間、
かたかご庵も少々いつもより花を多くしつらい、
道をいく方々に楽しんでもらいました。



町家ショップの目印は、水引き細工の飾り。
赤、橙、緑、黄色の4色がそれぞれのお店の軒先を飾っていました。



かたかご庵の土間には、お月見のしつらい。
十三夜用にお団子は13個を盛り、お出迎えいたしました。



金沢大野こまちなみフェスタ09。

2009-10-09 | 金沢大野湊 かたかご庵
10月11日(土)の10時~15時、
大野の町では町家巡遊09と併催で、
「金沢大野こまちなみフェスタ」も催されています。

このイベントは商店街や地元の皆様の協力で1988年から
ずっと続いているものです。
何事もそうですが、始めることは実は易しい。
それを続けていく事がとても難しい。
運営される皆様のご尽力に頭が下がります。

こまちなみフェスタでは、
こまちなみ保存地区の町中に点在する町家の拝見、
地元のアーティスト音子(ねこ)のコンサート、
大野に工房をお持ちの山本基さんのアート作品の展示、
7問正解すればその場で大野のお醤油があたる大野検定、
おさんぽカメラ、俳句会などなど、行われます。
このほか、かたかご庵でも「きもの日和」などの催しなども。

11日はよい日和に恵まれそうです。
お醤油の香る港町大野へ、
どうぞお越しください。

町家巡遊09 金石・大野エリアの見どころ。

2009-10-06 | ぐるぐる町家巡遊
10月10日~12日は、金石・大野エリアが町家巡遊ウィークです。
かたかご庵もその間、開庵いたします。

企画展ほどではありませんが、
眼福に値するやもしれない品を並べております。

セミナーなども立案しておりますが、
かたかご庵の存在を知っていただければ十分、
というスタンスで今回はおります。


さて、今日は金石と大野両町のことをすこしお話しましょう。
二つの町の歴史は、鎌倉時代に遡ります。
陸路より海路が発達していたころ大野荘という荘園で、
港町の繁栄を誇っていました。
地内にある大野湊神社には、かの義経一行が1泊したとされています。

現金石はその昔は、宮腰(みやのこし)と呼ばれ、
江戸時代には北前船の寄港地としても賑わいをみせ、
藩の木材を扱うなどして隆盛を極めました。
そして大野町は醤油の5大産地として栄え、
金石と同じく北前船の寄港地でもありました。

二つの町の魅力は、藩政時代とあまり変わらぬ道の作り。
せまい路地が続き、迷いこんで思わぬところに出るのも酔狂。
大野には庄町、茶箋町など旧字名の石碑が町内に建てられ、
それを巡るのもまた楽しかりきです。

そしてこの界隈の町家の特徴は、
2階の両側に見られる袖卯建(ソデウダツ)。
木虫籠(キムスコ)は東山などの町家と比べると、
かなり太めの格子で明かり取りの役割をしています。

一階軒下の先端に設けられている「下がり」も金沢の町家ならではの意匠。
風雨や雪をしのぐためのものですが、
繊細でやわらかな曲線がいかにも金沢ごのみといえるでしょう。

窓の格子は、荒格子から細い出格子と連なっており、
2段構成の木格子はめずらしいそう。
大野町ではこれら町家に加え、
醤油の醸造蔵や大きな板張りの土蔵も見どころです。

そして屋根を覆う黒瓦も、古いものだと100年は経ているのでは?
1枚ずつその色合いが異なり、
奈良元興寺の天平時代の瓦のように(ちょっと褒めすぎ?)美しいです。

どれだけ美しいかはその目で確かめに、
3連休、ぜひご来遊ください。
町家カフェ、現代アートの展示、コンサートなどの催しが花を添えています。
町家巡遊09 詳細はこちら

町家巡遊09 東山エリアへ。

2009-10-04 | ぐるぐる町家巡遊
町家巡遊09(10月3日~11月3日)がはじまりました。

富山からの帰り、今週末お世話になるムシャリラ・ムシャリロさんへのご挨拶をしようと思い、
巡遊の第1週エリアの東山・主計町へ行ってきました。
ご存知ない方のために申し上げると、ムシャリラ・ムシャリロさんは、
国産のお野菜を使った無添加のお弁当を作っていらっしゃいます。


まずはともあれ、ムシャさんが食事を提供している木糀店を目指してテクテク。
するとその途中の町家の玄関から、
7月の企画展のおりにご来店いただいたMさんがひょこんと出てこられてご挨拶。
「いま、ここで家内が案内していますから」と仰るので中へお邪魔すると、
Mさんの奥様と息子さんがいらっしゃり、奥様は町家巡遊のスタッフとして来客の応対、
そして息子さんがまるでそこのお家の子みたいになって、
町家のおばあちゃまと折り紙をしていて、思わず笑みがうかびました。
この家は箱階段や竃、井戸がそのまま残っていますが、
使われていない所はやはり傷みがみられ、
おばあちゃまの「やっと住んでますわ」との言葉にもうなづけました。
これを住みやすく改装するとなると・・・。


色々と思いをめぐらしながら目的の木糀店へ。
すでに板の間で食事をいただいている方が大勢。
奥で忙しく立ち働いていらっしゃるのを申し訳なく思いつつ、
表までお出でいただいてご挨拶。
ムシャさんのお弁当は何度かいただいたことがあるのですけど、
ご本人にお会いするのは実は初めて。
この方があのお弁当を作っていらっしゃるのだと感動~♪。
戦場のように忙しいお台所のようすが伝わってきて、ご挨拶もそこそこで店を出ました。
(ムシャさん、お忙しいところすみませんでした。11日の日、宜しくお願いいたします。)


観光客でにぎわうメインストリートを横目に続いて向かった先は観音院前の町家。
ここでは「古道具と暮らす」という催しが行われていて、
加賀市大聖寺でセンスの良い古道具や雑貨を扱うタユタフさんと、
大阪八尾市のチアブ家具さんがコラボ。
四万六千日のときに通る道をテクテク、
観音院につづく階段を二十段ほどのぼるとそこが目指す町家です。
実はこの家、ほんの数ヶ月前までは葛の絡まる空家でして、
金沢R不動産のHPにものっていたりした、個人的にもとても心惹かれるお家でした。
2階に玄関があり、入るとすぐ目の前にバーンと浅野川界隈が開ける、
抜群のロケーション。
手入れをすれば、化けますよ、このお家♪
さてまだ化ける前の家の中、タユタフさんの目に選ばれた時間をまとった古道具が、
すっかりこの家に馴染んでありました。
チアブさんのリペアされたちゃぶ台たちも愛らしく。
陶製のサイコロ、お薬の匙にも心惹かれるも、
連れ帰ることにしたのはバターナイフ。いい味わいでしたもの。
(タユタフさん、ありがとうございました。)

観音院の前の町家を後にして向かったのは、東茶屋街とは対面側の奥の細道。
ブックカフェあうん堂さんを過ぎて30メートル、
つい先日開店されたばかりの「月天心」という和菓子屋さん。
もともとは昨年の町家巡遊のおりに公開された町家に、
新しい息吹が吹き込まれての誕生。町家巡遊実行委員会の本懐ともいえるでしょう。
オーナーは三重から引越されてきたご夫婦。
いつか和菓子職人になるきっかけを与えてくれた金沢で、
開店したいという夢を実現されました。
「栗蒸しはじめました」の張り紙につられ、ホクホクの栗がたっぷりはいった栗蒸し羊羹を購入。
店内には喫茶スペースもあり、お店でお抹茶と一緒に美味しいお菓子を味わえます。
皆さま、ぜひともご贔屓に!

その足で来た道を戻り、あうん堂さんでコーヒータイム。
尼崎の白子ちゃんを話題に奥さんとおしゃべりしているところにお客様が一人。
あうん堂の本多さんから、観音院前のお宅のオーナーKさんだと紹介されました。
今はまだ建築家の方と思案の途中だそうで、
いずれはカフェにしたいな~と。
あのロケーションでカフェなら、それだけで行く価値ありです。

町家巡遊のエリアをあとにしての本日の締めは、
医王山のふところ俵町の喬屋さん。
毎朝5時からご主人が石臼で挽いた蕎麦は絶品。
町家巡遊のパンフレットを置いていきがてらお蕎麦を頂こうと思っていたのですが、
伺った時間が遅く、残念ながらお蕎麦は売り切れ! 
登山大好きのナツエさんが「ごめんね~、御膳ならできるよ」と仰るので、
御膳(写真)を頂きました。

麦飯にとろろ、出し巻き玉子、かぼちゃと海老の焚き合わせにお豆腐のたれがたっぷりかかったもの、
なた豆と厚揚げの煮物、香の物に、特別に蕎麦湯をつけていただいて満足。
幕末から明治前後の器でいただけて600円はお得です。

喬屋のご夫婦とも、もともとは日本で3本の指に入る
広告代理店でばりばり働いていましたが、
早々と退職されてお蕎麦屋さんに転進。
そんなお二人からは人生の先輩としても学ぶことが多いです。
この日も心のメモ帳にメモメモいくつか。
喬屋前に広がる稲刈りの終わった田んぼからは、
心地いい風が入ってきてすっかり寛ぎました。

今日も一日、好日でした。