鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

梅雨どきに、天晴れ。

2008-06-29 | 日々のこと。
NHKの土曜ドラマが面白いです。
先般の自動車業界を舞台にした「トップセールス」もしかり。
そして今放送している「監査法人」も、出色の出来かもしれません。

物語は、監査法人入社4年目の若手会計士・若杉が、
主査を任せられ会計監査をおこなった大手食品会社に粉飾を発見。
やがてそれは財界や金融界を巻き込んだスキャンダルに発展し、
若杉の勤務する監査法人自体もその渦中へと飲み込まれていくといった展開です。

数字にひそむさまざまな人間模様が面白くて見ていますが、
この他に、実はこのドラマを見る大きな理由がもう一つあります。

実は、大学3年の甥っこが、会計士を目指しており、
そんなわけでドラマと言えども興味津々で見ているわけです。
そして、つい先日のこと。
難関の公認会計士試験をみごと合格しました。
このあと甥っこがどういう道を選んで進んでいくのかはわかりませんが、
オバとしては数字のなかに温もりを読みとることができる、
会計士になってほしいなと思うのでした。

幸い、東京の家に遊びにいって私が帰る日が近づくと、
「Yおばちゃん、もう1日くらい泊まっていけばいいのに」と
優しいことを言ってくれる子。
何もしてあげられない頼りないオバですが、
天晴れな君の前途を、心から応援しています。


今年の梅仕事。

2008-06-26 | 台所と酵母くん。
店頭にならぶ梅を横目で気にしながらいた先週。
日・月と時間を作って、今年も梅仕事をしました。

昨年は4キロほどの梅を使ったのかな。
梅ジュースは実家や亀鳴屋のユキちゃんにもお裾分けをし、
そして梅酒はというと殆ど実家行き。
というのも私はお酒は飲めますが習慣化していないので
家では殆ど飲まないのです。
ですから梅酒も飲むことよりも、
作る過程と琥珀色に変わっていくようすを楽しんでいました。

そして今年の梅仕事は、梅の量を半分に減らし、
梅酒1,2Lと梅ジュース800CCくらいができあがる予定で仕込みました。
ところがどうしても氷砂糖を一緒に瓶に入れるうち、
梅が5個だけ残ります。
どうしようと思いましたが、作り方を忘れないために、
たった5個の梅を梅干にすることにしました。
漬けて二日経った今、もう梅酢も上がってきています。
できあがったら究極の梅干になりそうな。

あとはゆっくり時の流れに、お任せです。

しもおきひろこ キッチンスタジオ まもなくオープン!

2008-06-26 | 日々のこと。
先週から職場の総会が始まりました。
県内6地区協会と支部理事会で、全て終わるには約一月かかります。
日々の業務、2ヶ月後の某コンクール予選会準備も進めつつ~の、
総会準備というわけで1日が目まぐるしく終わり、
1週間が過ぎるのも早いこと、早いこと。

総会では3会場で記念講演会を行い、今年は共通の知人を介して知りあった、
フードコーディネーターしもおきひろこさんにお願いしました。

講演は「大人のための食育」と題して、
一昨日、まず金沢地区にて行っていただきました。
食育というと子供のためというイメージが先行しがちですが、
大人がまずしっかりとした食事を選ぶことができなければ
子供に教えることもできないというお話から始まり、
家族で食卓を囲む意義、6つの“こしょく”、
「頂きます」と「ご馳走様」にこめられた意味など、
興味深いお話がつぎつぎと続きました。

後ろから会場全体を見ていると、大きく頷づく人、
熱心にメモを執る人の姿もみられ、
また珍しく財団の役員も、講演会のあと講師控室に足を向け、
ひろこさんと歓談。
友人の講演というものは、我ことのようにドキドキしましたが、
今回、彼女にお願いして良かったと思いました。

さて前振りが長くなりましたが、来たる7月8日(火)。
手帳に◎つけてくださいね。
つけていただけましたね、はい。

実は、この日、しもおきさん念願のキッチンスタジオが、
いよいよオープンします。
健康を考えた低カロリーのレシピなどの料理教室は、
既に予約も入り順風満帆のスタートになるもよう。
オープン数日前にはプレオープンもなされ、
私もお祝いに駈けつけたいと思います。
エネルギッシュなひろこさんのこれからを、
ますます楽しみに見守っていきたいと思います。


《7月8日オープン!》
しもおきひろこ キッチンスタジオ
金沢市高尾1丁目147 電話&FAX076-218-9899





源氏のあとさき。

2008-06-23 | かたかごの会。
夏至の土曜日、かたかごの会の皆さんと源氏物語にちなんだ
「げいのう万華鏡―源氏物語千年紀」へ出かけてきました。
この日は気温28度。梅雨独特の蒸し暑さも加わり、
縮みの着物を着て出かけたものの、ふぅ~! 

「暑いですね」を挨拶がわりにデパート前で皆さんと合流。
デパート内でも源氏物語をモチーフにした博多人形展をやっており、
涼みがてら鑑賞。
その後、長町武家屋敷街の散策、食事をして会場の邦楽ホールへ向かいました。

そしてメインの「げいのう万華鏡」。
白状しましょう。わたくし、最初の素謡「源氏供養」で、
もののみごとに舟を漕いでしまいました。
午前の疲れがでてほどよく涼しい場内に睡魔が訪れ、
鼓と笛の調べ、朗々と響く唄声がどこか遠くに鳴り響き……。
眠かった、いえ、眠っていました、面目ない。

しかしながら、有りがたいことに、その後、
会場内の拍手ですっきり目が醒めました。
特別に面と衣裳もつけて舞われた半蔀、葵上、須磨源氏などの舞囃子は、
能舞台と同じ形式で観ることができ満足しましたし、
幕間の五種のお香の組み合わせをあてる源氏香も楽しみました。
趣きを変えた後半、舞楽「迦陵頻」では笙や篳篥が奏でられいっそう雅やかで、
地唄「夕顔」も美しい舞い姿でした。

この催しのために読み始めた源氏物語でしたが、
今も読み続けて、ようやく全54帖のうちの21帖目「乙女」まできました。
ただの色恋だけじゃないこの物語に触発され、
数々の芸能、美術が世に生まれたのもわかる気がします。
まだしばらく、わたくしの源氏熱は続きます。


追記
源氏にちなんだコードを設けて出かけましたが、
この日、一緒に歩いた方の姓が源さん♪
勝るもののない源氏コード。


梅雨入りの望月に。

2008-06-19 | 日々のこと。
せっかくの望月も、
梅雨入りの夜空では仰ぎみることもままならず。
雲の向うにそれが在ることを想い、
同じく遠いどこかで、
その月を想う人が在ることも想う。


梅雨と打ちながら、
今年の梅仕事が一向に進んでないことを思い出す。
定番の梅ジュースと梅酒、そして梅干も。
日曜日、梅の香に包まれていたしましょうかね。






旧暦七夕の室礼セミナー、参加者募集です。

2008-06-13 | 月と旧暦と。
以前にもご案内しました旧暦七夕の室礼セミナー、
いよいよ参加者募集がはじまりました。

タイトルは「七夕に遊ぶ  棚機姫と織りの里」。
自然豊かな白山市白峰にあります、
白山セミナーハウス望岳苑にて行わせていただきます。
ここ数年はお月見のセミナーでしたが、
白峰は牛首紬の産地でもありますので、
今年はそれにちなんで七夕の室礼がテーマです。

セミナーは8月7日・8日の1泊2日。
宿泊施設の関係で15名の募集になります。
1日目の午後、七夕の由来、日本各地の七夕行事を紐解いた後、
それぞれお泊りいただくお部屋を室礼。
夜は浴衣に着替えて、七夕にちなんだお献立の夕飯を頂き、
天の川、牽牛と織女のまばたく星空を眺めてゆったりとしたひとときです。

あくる翌日は、牛首紬の白山工房で機織体験。
その後、養蚕の歴史なども辿れる白山ろく民俗資料館の見学と
その囲炉裏端で貴重な「かまし」を頂いて、解散になります。

詳しくはこちらから。プログラムも載っていますのでご覧くださいませ。
ご参加お待ちしています。

ユウキへ。

2008-06-13 | 猫のこと。
ユウキ。

君が星になって地上を見おろしているのか、

風になって気ままに草や木をそよがせているのか、

その行方を告げずに旅だってしまってから、今日でちょうど375日。


その間に、いろんなことがあったんだよ。

いや、もう知っていたよね。



君がいないとわかっているのに、

家へ帰ると自然と君を探しているよ。


君に代わるものはいないといって、

いまだ家には君の同属をいれていないよ。


君のいた頃を思うと、

だらしなくもたちまち景色がぼやけてしまうよ。


君の呪縛はまだまだ強い。

ユウキ、いつかまたね。

「源氏物語」の効用。

2008-06-11 | 本のこと。
10日ほど前から通勤途中のバスのなかやお昼休みに源氏物語を読んでいます。
選んだ現代語訳は与謝野本。それと源氏物語の背景などを知りたく
今井源衛の「源氏物語への招待」を併読しています。

来週末に鑑賞する「げいのう万華鏡」の演目に関わる帖は
読み終えることができました。明日からようやく「蓬生」です。

ようやく全体の3分の1くらいにさしかかったところですが、
読み進むにつれこの時代の「恋」やら「恋人」というのは、
今の時代の感覚とは全く別物なことや、
男性がよく泣くことに驚かされます。
そして、無知なために、以下のようにわからないことだらけ。

わからないことその1■読み交わす歌
源氏が、うまい、野暮、品がないなどと述べたりするのだけれど、
その歌のどこがどうそうなの?

わからないことその2■手紙の文字
雅趣に富んだ気高い字やら、貴女らしい字などとありますが、
美術館や本で見た仮名まじりの散らし書きを茫洋と思い浮かべるものの、
結びつきがたく、嗚呼。

わからないことその3■衣裳
直衣って?襲(かさね)の色目ってどうだっけ?と、
本棚より服飾や色の辞典も引っ張り出して。

そして最大にわからないこと■光源氏の面差し
笑顔はむろんのこと、泣いても、寂しがっても、痩せてしまっても、
何でもともかく「艶で美しい源氏」、
その姿を目にしただけでで寿命が延びるような心地がする源氏とは、
いったいどのような姿形なのだ?


読まず嫌いで今日まできてしまっていた「源氏物語」でしたが、
色んな面で面白いですね。千年書写され、読みつがれてきただけあります。

ストーリー以外にも、
あちこちに時の風俗が現れていてそのあたりも興味深く、
思えば今に伝わる節句などは、
唐から伝わったものがこの頃に国風化されていったもの。
源氏物語のお蔭で、平安時代の風俗・風習にも、興味がわいてきました。




梨木香歩 ロングインタビュー。

2008-06-10 | 本のこと。
久しぶりに立ち読みだけでなく(ごめんなさい)、
ダ・ヴィンチ7月号を買いました。
梨木香歩さんの特集で、ロングインタビューもあるんです。
「西の魔女が死んだ」の最初の読者が故河合隼雄氏だったんなんて!
作品のバックボーンが紐解かれて、
また一段と梨木香歩さんの世界観を深く感じられました。


先の歪と歪のお話の続きだけれども。
抑圧された小学生の時や一人になってしまった時、
私の場合、宮沢賢治や古い器、猫、空、草花に助けられました。
梨木さんの紡ぐ物語りもまた。

そんなはずれ方、逃がれ方、休み方、心を守れるあたたかい場所が、
いろんな形でどこかにきっとあるんです。
見つけてくださいね。

歪と歪。

2008-06-10 | 日々のこと。
歪と歪。
同じ漢字ですが、読みは『いびつ』と『ひずみ』です。

「ぼくは昭和一桁生まれだからね。日本がどんどん戦争に巻きこまれていって、
思いも寄らぬ方向へいったのを見て知っているんです」。

日曜の午後来店されたMさんがそうお話されました。
Mさんは私の親と同世代。再来週、「げいのう万華鏡」にもご一緒される方です。

「今の日本は、あの頃とまるで同じだね。
効率という名前の戦争にどんどん巻きこまれて、
人の生き方が乱暴で歪(ひず)んでいるように思う。
ぼくもいい年齢だからあとどれくらい生きられるかわからないから、
そういう物事や人から遠ざかっていようと思うんだ」。

そう仰るMさんが来られるうちの店は、
さするに効率からは外れていることになるのですよね。。。。
商いとしては喜んでいいのか、哀しんでいいのかではありますが。
商う物が物、者が者だから仕方ないでしょうか(苦笑)。

しかしながら、もう少し効率の渦からの逃れ方、外れ方、
間の取り方なぞの生き方を何かしら身につけていれば、
どんな歪(いびつ)な生き方であろうとも、もっと別の道があったろうにと、
昨今の物騒な物事に思いを向けてしまいます。

骨董の世界でも、歪(いびつ)は愛でられても、
歪(ひずみ)は愛でられはしません。
心してあられよ。