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鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

四万六千日へ。

2011-08-09 | 月と旧暦と。
今年の8月8日は旧暦7月9日で、
卯辰山にある観音院では四万六千日の法要が執り行われており、
仕事帰りに寄ってきました。
9日は観音の縁日で、この日にお参りすると
4万六千日お参りしたことになります。

昨年は8月18日にあり、
実家の父と東京から帰省していた姉との3人でいき、
厄除けのトウモロコシをいただいてきました。
あの日はメール誤送事件があり凹んだ日だったなあ(苦笑
今年も父を誘いましたがつれない返事だったので
一人気ままに向かいました。



橋場町から交番の角を曲がって東へまっすぐ続く道が
観音院へ通じる道で旧観音町。
古いつくりの町屋も残る筋は人の暮らしを感じられるいい道です。
「ひもじいわいのー」と卯辰山に上って
庶民の窮乏を訴えた7人を鎮める七稲地蔵さんの前をすぎれば
もうすぐ観音坂です。
観音坂にはすでに階段の一段一段に蝋燭が灯されて、
御詠歌の音も次第に大きく聞こえてきます。



いつだったかの年、もう3~4本しかトウモロコシがなく、
ぎりぎり間に合ったことがあったので今年も心配していましたが、
何とか間にあい、無事に買い求めることができました。



噴出してくる汗を抑えながら堂内に上がると、
御詠歌にまじって笛の音色がすぅっと聞こえてきました。
音を辿って目でおうと60才半ばくらいの方が
須弥壇の横の方で一人吹いていらっしゃる。
御詠歌は残念ながら録音された音で、
そのなかに人の息遣いのする笛の音はとりわけ
胸に響いてくる音でした。

珍しいこともあるものだと思いながら、
護摩供養の護摩木に家族の分と友人知己の分の名前と年齢を書き、
無病息災、家内安全などの焚き上げをお願いしてきました。
ちょうどそこにお寺の奥さんが通りかかられたので、
笛を吹いていらっしゃるのは何方ですかと尋ねると、
うちの信者さんなんですけど今年初めてのことで・・・と。

へぇと思いながら須弥壇横に並ぶ信者のかたが預けられている
いろんな仏様たちに(不動明王、大日如来、十一面観音などさまざまおわす)
手をあわせているうちに、
笛の音がやみ一休みに入られたご様子。
私と同じようにこの方の笛に惹かれた方がもう一人おいでたので、
その方とご一緒にあれこれ親しくお話をさせていただき、
連絡先を交換させてもらいました。

笛の方は地元で笛を教えている羽柴さんという方で、
新聞社の文化センターでも笛を教えているのだとか。
今度8月15日に倶利伽羅不動寺の万灯会で笛を吹くので
よかったらどうぞとご案内をいただきました。
実は倶利伽羅不動寺のあるところは父方の祖母の里でもあり、
なんだか不思議な縁に驚きました。
こういうのを観音様のご縁というのでしょうか。

せっかくなので誰かを誘って
聴きにいけたらなあと思います。
東北の慰霊祭も行われます。

倶利伽羅不動寺 万灯会


追記)
この日、観音院のご本尊・十一面観音もご開帳され、
拝することもできました。
(と言いながら年代は江戸期かなと鑑賞するワタクシ。)






四万六千日。

2010-08-24 | 月と旧暦と。
先週8月18日は旧暦7月9日で観音の縁日。
この日にお参りに行くと、四万六千日お参りしたことになります。
いってみればスーパーのポイント3倍セールのような日でしょうか。

今年は帰省していた姉と父と3人で行くことになり、
勤務先まで車で迎えに来てもらい、
卯辰山の観音院までお参りにいきました。

実はメールを誤送信したのがこの日で、
ことの顛末を車のなかで話すと父と姉は大笑い。
父なぞは「道理で顔が引きつっていた。お前はクビだな」と実に面白がりまして。
人の不幸は蜜の味?

そんなこんなで観音院。
ご祈祷済みの厄除けトウモロコシも頂き、
お札も書いて護摩を焚きあげてもらってきました。
トウモロコシは一年間、玄関先に吊るしておき、
来年の四万六千日に新しいものと交換です。

しばらくはこのトウモロコシを見るたびに、
色々と思い出しそう。
自戒します。






今夜は十三夜。

2009-10-30 | 月と旧暦と。
今日は旧暦の9月13日ということで、十三夜。
十五夜と共に愛でられてきた月です。
栗名月、豆名月とも呼ばれます。

先だって、かたかご庵で一足早く行った「十三夜のしつらい遊び」では、
この月に因んで松葉屋(小松市)の「月よみ山路」をいただきながら、
参加者の方と楽しみました。

栗たっぷり、ほど良い甘さの小豆が美味しい蒸し羊羹の命名は、
良寛さんの

  月よみの 光を待ちて 帰りませ  山路は 栗のいがの多きに 

からです。

今宵静かに、ご家族とともに十三夜の月を愛でられてください。


七夕のお星さまに。

2008-07-07 | 月と旧暦と。
新暦の七夕さま。
金沢の街でも6月の終わり頃から、
あちらこちらで笹飾りが立てられていました。
風に揺れる竹をみていると、
いつしか懐かしい子供のころに呼び戻されて、
玄関脇の柱に立てられた笹飾りを思い出します。

先月30日、夏越しの祓いの茅の輪くぐりに
職場のぴっぴさんと二人で寄った石浦神社にも笹飾りが立てられていました。

石浦さんでは、紙の短冊ではなく「多羅葉(たらよう)」の葉と割箸が用意してあり、
割箸で葉っぱの裏に願いごとを書いてきました。
昔々は、梶の葉に墨書で和歌を詠み捧げたそうですが、
石浦さんの多羅葉は、こちらの神主さんの遊び心でしょうね。

ぴっぴさんも私も多羅葉に書くのは初めてで、
思わぬ楽しい体験をさせてもらいました。
ちょうど居合わせた3~4歳の男の子を二人連れた親子連れも
嬉々として葉っぱの裏になにやら書いており、
小さな頭が二つ寄りそっている様は、とても微笑ましかったです。

二人は葉っぱの裏に何を書いたのかな?
願いごとは、お星さまだけがご存知です。



旧暦七夕の室礼セミナー、参加者募集です。

2008-06-13 | 月と旧暦と。
以前にもご案内しました旧暦七夕の室礼セミナー、
いよいよ参加者募集がはじまりました。

タイトルは「七夕に遊ぶ  棚機姫と織りの里」。
自然豊かな白山市白峰にあります、
白山セミナーハウス望岳苑にて行わせていただきます。
ここ数年はお月見のセミナーでしたが、
白峰は牛首紬の産地でもありますので、
今年はそれにちなんで七夕の室礼がテーマです。

セミナーは8月7日・8日の1泊2日。
宿泊施設の関係で15名の募集になります。
1日目の午後、七夕の由来、日本各地の七夕行事を紐解いた後、
それぞれお泊りいただくお部屋を室礼。
夜は浴衣に着替えて、七夕にちなんだお献立の夕飯を頂き、
天の川、牽牛と織女のまばたく星空を眺めてゆったりとしたひとときです。

あくる翌日は、牛首紬の白山工房で機織体験。
その後、養蚕の歴史なども辿れる白山ろく民俗資料館の見学と
その囲炉裏端で貴重な「かまし」を頂いて、解散になります。

詳しくはこちらから。プログラムも載っていますのでご覧くださいませ。
ご参加お待ちしています。

旧暦の七夕に。

2008-05-08 | 月と旧暦と。
端午の節句がおわったばかりなのに、
もう七夕? なんていわないでね。

白山セミナーハウス望岳苑にて、
石川自然学校の1コマとして行わせて頂いている室礼セミナー。
これまでに3回、月をテーマに行ってきましたが、
今年は七夕をテーマに、旧暦の七夕8月7・8日に行う運びなのです。

今年の1月には既に決まっていたことなのですが、
まだまだ先とのんびり構えておりました。
住まい近くにある竹藪の筍が、
焦げ茶の皮を青い肌にまとわり残しながら、
すくすくと竹に育っていくのをみて、
いくらなんでも、もう、考えないと・…と。

私のセミナーに『 七夕に遊ぶ 棚機姫と織りの里 』と
素敵なタイトルをつけてくださった望岳苑のSさん。
きっとやきもきしていらっしゃったことでしょう。
性根をいれて進めていきますから、どうぞ安心してください。

白山麓では牛首紬という紬が織られていますので、
機織などの技芸上達を祈る七夕の室礼が、この土地にぴったりです。
一日目はレクチャーのあと各自のお部屋をそれぞれ室礼。
七夕に因んだ夕食のあとは星空観察。
満天の星に浮かぶ天の川と織姫とひこ星を仰ぎます。
そして、翌日は白峰散策と牛首紬の工房で機織体験などなど。
楽しいセミナーになると思います。

参加申込みは、実施の一ヶ月前から望岳苑にて受付ます。
お時間のある方、旧暦の七夕をご一緒しましょう。


月に祈り、星に願い。

2007-10-18 | 月と旧暦と。
明日は旧暦の9月9日。
最大奇数が二つ重なることから重陽の節句、
または今が盛りの菊の花から菊の節句、あるいは栗の節句ともいいます。
新暦ではピンとこない栗の節句の名も、旧暦ならとても納得がいきます。
月は上弦の月。晴れていたら夜空には半月をみることができるでしょう。
菊花の香をうつした菊酒を器に注ぎ、月を映して飲むなどという風流も一興です。

そして来週23日は旧暦9月13日にあたり、
白山セミナーハウス望岳苑にて十三夜の月を
セミナー参加者の方々と愛でてきます。

思えば約一月前、十五夜の月を見上げていたときといえば、
不安な心で母のことを祈るばかりでした。

先日、医師とソーシャルワーカーから、
今後の方針について説明がありました。
順調に回復期に入ったので、機能回復の時期を逸することなく、
より高度なリハビリ訓練を受けられるよう転院を勧奨されました。

病院側の内状としては診療報酬の高い時期が過ぎたから・・・・
ということもあるのでしょうけど、
ちょうど家族の間でも、そろそろ日常生活に復帰するためのリハビリが必要では
という話をしていたところでしたので、
ソーシャルワーカーの方とも相談し、
いいタイミングで次の病院に転院できればと思います。

転院後はその病院で2~3ヶ月間ほど訓練をしたのち、自宅へ戻り、
それから通院になるだろうと思われます。
母が病院でリハビリに励む間に、
家の改装をして迎える準備も必要となることでしょう。

これでもう脳出血はおこらないという保障はありません。
それでも、ともあれ明るい方向に向かって進むことができている今、
ひととき心穏やかに来たる十三夜の月を愛でられることに感謝します。


お月さんはいずこ。

2007-08-28 | 月と旧暦と。


今朝は6時過ぎから雷鳴が鳴り響き、
激しい稲光、落雷、大雨でした。

秋雨前線によるこんな始まりの1日でしたから、
日中もぐずつき、夜空も雲に覆われて、
皆既月食は見ることができませんでした。

またいつか見ることもあるだろうと開き直って、
器の中でお月見。
印判波兔文鉢のなか、うさぎが見上げる空には、
まあるいお月さんが浮かんでいます。

四万六千日。

2007-08-21 | 月と旧暦と。


こどもの頃、不思議に思っていた張り紙がありました。
それは墨書で黒々と「四万六千日」と書かれてあるもの。
いったい何が四万六千日なのだろう?と謎でした。

長じてそれは、7月9日の観音の功徳日(縁日)を知らせるためのもので、
この日にお参りすると四万六千日、
お参りしたことになるということを知りました。

金沢では旧暦の7月9日に東山の長谷山観音院で行われ、今日がその日。
仕事帰り、家とは逆方向のバスに乗り向かいました。

観音院は金沢の地名のおこりになった芋掘藤五郎ゆかりのお寺。
観音の信仰に厚い藤五郎夫妻が、
奈良の長谷観音の同木で行基菩薩に十一面観音を彫ってもらい、
同当を創建したとされています。
前田家の産土神(うぶすな)としても信仰されています。



バスを降り浅野川を渡って交番脇の露地の突き当たりを目指して、
ずんずん進んでいくと旧観音町。
観音院のある卯辰山からは、御詠歌が響き、
道端では焼きトウモロコシを焼くいい匂いがします。
すきっ腹に応えますが、ここは我慢、我慢。
さらに途中には生後3ヶ月ほどの可愛い盛りの子猫たちがたむろ。
遊びたい気持ちをぐっと押さえて、それも我慢、我慢っっ!

せっかく四万六千日に行ったなら、
「とうきび」を求めなくては意味がありません。
もう時計は6時をとうに過ぎているので、
まだ間に合うかしらと先を急ぎます。

目の前にようやく観音坂が見えてきました。
坂の中腹から眺める金沢の町並みは、
黒瓦が並んで美しいのです。
しばしここで休憩し、残りの階段を上りきり、
五色の幡がはためく本殿に到着。



本殿正面のテントではお目当ての「とうきび」が販売され、
お参りを後回しにして向かうと、くたびれた風情のとうきびが、
3本だけコロン、コロンと並んでいました。
「もうあとこれだけです~、どれにしますか?」とおじさん。
「えぇ、そうなんですか。良かった~、途中小走りしてきましたよ」と私。
この「とうきび」は、家の玄関に吊り下げ、魔を払います。
篭目や碁盤の目、麻の葉文と同様、
とうきびの細かな粒々が魔物の目くらましになるのではと思います。

念願のとうきびを買え、すっかり安心し、ようやく本殿へお参り(苦笑)。
西国三十三霊場のお砂踏みや護摩焚きをお願いしてきました。
ついで堂内におまつりしてある何体もの仏像をも拝むつもりでいたのですが、
伊万里の古い良い香炉に目がいったり、
仏像にいたっては「これは江戸だけど、作りがいい」「彫りが甘い」と値踏み。
職業病というには……、罪深きこと。

観音坂を下りる頃には、すっかり町は夕暮れに包まれて。
浅野川の川面には花街の明かりが揺れていました。

帰宅してさっそく、とうきびを下げました。
1年の無事を守ってもらいます。





旧暦・笹の節句の願いごと。

2007-08-19 | 月と旧暦と。


昨日の午後と今日半日をかけて、
明日から始まる「風の盆前夜祭」にむけ
店の準備を終えました。

風の盆が行われる11町では、
一世清掃が行われたり、
じりじりと焦げつくような暑さの中、
青年団の方々が雪洞を立て、
祭りの準備を整えていました。
お疲れさまです、本当に。

富山市街へ戻った夕方、梅雨明け以来の待望の雨。
遠雷がだんだんと近づき、冷たい風にのって雨の匂い。
みるみる積乱雲が大きくわきあがると、雷鳴が響きわたり、
大粒の雨が降りました。

地上の生き物には喜びの雨でしたが、
今日は旧暦の七夕、笹の節句。

天上の牽牛と織女は、
会うことができたでしょうか。

天に願いが届くなら……。
二人を会わせてあげてください。
それから、おわらの間、
どうか、夜だけは雨を降らさないで、
おわらを楽しませてください。