俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

1月29日(火)

2013-01-29 23:09:58 | Weblog
★あたらしき薪を傍積み暖炉燃ゆ   正子
暖炉の温か味は、紅くゆれる炎の視覚的な助けもあって、私たちの体と心をゆったりと和ませてくれます。特にここでは、傍に積まれた新しい薪の豊かさが新鮮です。「あたらしき」から「傍積み」に連なる音の調べが「燃ゆ」という柔らかな響きに収まってゆき、詩的ドラマを感じさせてくれます。(小西 宏)

○今日の俳句
光るもの鈍(にび)なるものもみな冬芽/小西 宏
光の当たる冬芽はよく光っている。一方光りの当らない冬芽は鈍い光を放っている。それらは、どちらも冬芽で、日向にも、日陰にも、冬芽が「今」をしっかりと育っている。(高橋正子)

○東大・小石川植物園
高橋正子の俳句日記(小石川植物園吟行)/2008年4月19日(土)
▼俳句
 植物園
やわらかに足裏に踏んで桜蘂
風冷えて残花飛ぶことしきりなる
たんぽぽの草の平らに散らばりぬ
▼小石川植物園吟行句会。
経路は、グリーンラインで日吉本町から日吉まで、日吉から武蔵小杉まで東横線、武蔵小杉から目黒線、目黒からは南北線に変るが直通なのでそのまま乗って後楽園まで。後楽園から丸の内線で、次の駅の茗荷谷まで。約1時間。420円。
参加者は、信之先生、圭泉さんご夫妻、秀之さん、淳子さん、みのるさん、荘二さん、宏さん、弦さん、愛代さん、加代子さん、正子。(12名)
句会・昼食は、茗荷谷駅前のラ・クローチェのイタリア料理。あとジョナサンで喫茶。
小石川植物園は、ゆるい坂になっていて、森の雰囲気がある。こういうところで働ければいいと思った。ドイツでは、森林保護員というか、そういう職業があって、地位も高いと聞く。さすが森の国ドイツではある。
ハンカチの木も見た。苞ができていたが、開花は4、5日あとになるそうだ。なにげなく若葉していて、見逃してしまいそう。一才藤の紫と白が咲き始めていた。日本庭園には、みずすまし、おたまじゃくしがいる。里桜が花を散らす。ひえびえとした若葉の植物園だった。

○寒中であったが、信之先生が小石川植物園に花を探しに出掛けた。梅はまだであるし、大方は芽である。土佐水木の冬芽の明るい茶色に、土佐水木の淡い黄色の花が思い浮かんだ。冬の植物園でいちいち芽を探すには広すぎるのではと思われた。2008年の4月19日の小石川植物園は、桜が散って、一面に桜蕊が降り重なって、踏めばやわらかなクッションとなって、足裏に応えてくれた。その記憶が今蘇った。

○笑顔(はるさざんか)

[笑顔/大船フラワーセンター]

「笑顔」という名前に思わず頬が緩む。「春山茶花」と呼ばれるものだが、花弁がひらひら砕けて、いかにも山茶花に系を引く花らしい。ピンク色で幼子の笑顔のような花だ。言葉として「笑顔」はあまりに俗すぎるが、幼子の笑顔ならば、許されよう。


◇生活する花たち「獅子頭(寒椿)・素心蝋梅・老鴉柿(ロウヤガキ)」(東京・小石川植物園)
コメント (2)
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