俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

1月1日(火)

2013-01-01 06:49:45 | Weblog
 賀正 2013年元旦
 あけましておめでとうございます。本年も高橋正子の俳句日記をよろしくご愛読ください。

★せせらぎの砂に日差してお元日/高橋正子
 浅瀬の水際に佇み、迎える新年。流れゆく水はもちろん、その岸の砂、一粒一粒に日が差していることに、慶びを感じます。見るもの全てがあらたまり、清らかに想われるお元日です。(川名ますみ)

 今年は、花冠創刊30周年を迎えます。もの事にはやはり節目が必要で、その節目に反省をしたり、新しい考えを実行に移したり、人間活動が活発になると思っています。幸いに花冠同人の皆さまもこの30周年を大変喜んでくださり、前進へと向かってみんなの気持ちが揃っている感じを受け取り、元気をもらっています。花冠の編集長も1月号からは、若い世代の高橋句美子さんに交代しました。藤田洋子さんには、花冠の「後記」を私と担当していただきます。フェイスブック句会も、季節の行事や風物を楽しめるような句会にしたいと思っています。日々の「俳句添削教室」も、俳句を通しての楽しい交流となっていますので、ひきつづき、充実したいと思います。9月の30周年記念大会で多くの皆様にお会いできるのを今年最大の楽しみにしています。今年もよい年でありますように。

○午前10時、葛飾の社宅に住む息子夫婦をお節を持って信之先生と訪ねる。三田線で見たまで行き、印旛日本医大行きの電車に乗り換えて、青砥まで。そこからタクシーで社宅へ。社宅はどの棟も正月らしくきれいに掃除されていた。2時間ほどお節を食べながら話して帰宅。句美子は風邪のため留守番をした。帰宅は3時半ごろ。電車のまどから、スカイツリーのある押上か、曳舟あたりから富士山が見えた。初富士だ。

★初富士の高嶺確かむ明るしと/高橋正子

○元旦○
★元旦や朝日棚田へ溢れおり/小口泰與★
元旦のあふれる朝日をまず棚田に眺める。上州の棚田であろうか。すがすがしい元旦を詠んでいる。(高橋正子)

○元日○
★元日の大空朝日で青々と/高橋秀之
元旦の空が大きく、まっさらな朝日で青い。「朝日で青々と」が秀之さんらしく、印象に残る空である。(高橋正子)

○初詣○
★子を抱いて石段高し初詣/星野立子★
初詣に鎌倉八幡へでも出かけたのであろうか。子どもを抱いて上る石段が特に高いと感じられる。健やかに成長した子の重さゆえの「高し」であるだろう。晴れ着の子を抱く新春らしい光景である。(高橋正子)

○若水○
★若水のくらきを汲んで手を清む/高橋正子★
初詣は氏神様である駒林神社に行きましたが、神社の坂の下から、拝礼の列ができて、30分ほど並んでやっとお参りすることができました。参拝のあと、お神酒をいただき、お札を買って、おみくじを引きました。学生風の若い人たちが大勢いて、その人たちらしい話題が漏れ聞こえてきました。(高橋正子)

○年頭○
★年頭躍筆墨条のみの白馬の図/中村草田男★
正月の床を飾るに相応しく、健康で、力強い句である。俳句の短い詩形、それに白と黒の単純さを生かした、俳句のよさである。(高橋信之)

高橋信之3句
元朝の零時吾も鎮守の杜に
思うことあり夜空の遠き去年今年
元日の日が昇る吾の真っ正面に

高橋正子3句
一つ聞き二つ目聞きゆく除夜の鐘
石段に水打ってあり初詣
かがり火に開きて読める初みくじ


○蝋梅(ロウバイ)

[蝋梅/横浜・四季の森公園]

★風往き来しては蝋梅のつやを消す/長谷川双魚
★蝋梅の咲くゆゑ淡海いくたびも/森 澄雄
★蝋梅や樅をはなるる風の音/古館曹人
★文机に蝋梅一朶誕生日/品川鈴子

★蝋梅咲いて森の正午の空の青/高橋信之
★蝋梅のはじめの一花空に透け/高橋正子

 ロウバイ(蝋梅、蠟梅、臘梅、唐梅、Chimonanthus praecox)は名前に梅がついているためバラ科サクラ属と誤解されやすいが、ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木。開花時期は、12/25 ~ 翌 3/15頃。お正月頃から咲き出す。花の少ない季節に咲く、うれしい花です。とてもよい香り。中国原産。日本には17世紀頃に渡来。よく見られるのは蝋梅のうちの「素心蝋梅(そしんろうばい)」。花の外側だけでなく内側も黄色いのが特徴。ふつうの「蝋梅」は内側がちょっと赤っぽい。葉っぱは、ふつう花が咲く前に落葉するが、開花時にまだ残っていて徐々に落葉する場合もあるようだ。表面はザラザラした感触。花のあとでできる実は、なんともユニークな形。花の姿からは想像できない。マンゲツロウバイ(満月蝋梅)、トウロウバイ(唐蝋梅)などの栽培品種がある。1月27日の誕生花。花言葉は「先導、先見」。

 十二月六日、四季の森公園に出かけた。公園の季節の見どころ情報では、蝋梅が咲いたとある。蝋梅は愛媛に住んでいたとき、砥部の庭のアプローチの日当たりが一番いいところに植えていた。正月にやっと蕾が黄色い色を見せ始め、霜が降りる朝に、透き通った花びらを開くのがいつもだった。十二月に蝋梅が開いたという情報に、多少戸惑った。少し早いのではと思いつつも出かけた。紅葉谷の紅葉を楽しんだあと、作ってきたおにぎりの弁当を食べた。蝋梅は「春の草原」の傍にあるという。ああ、三椏の花が咲く小川のほとりかと、すぐに見当がついた。そこに蝋梅があったことには、気づいていなかった。弁当を広げたところから、小川の小さな橋を渡ってすぐのところにある。黄葉してかさかさした葉がまたたくさん付いていたので、すぐ蝋梅と分かった。蕾がたくさん付いている。花を探すけれど、この木も、次の木も、その次の木も蕾だけ。最後の木にようやく見つけたのは、開こうとしている蕾。その直ぐにもっとひらいた蕾、その近くに、見上げた青空にくっきり開いた花。花と言えるのは、この三花。澄み透った森の青空の中に開いた蝋梅であった。


◇生活する花たち「冬桜・水仙・万両」(横浜日吉本町)

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