7月13日は梅雨の晴れ間との予報なので早池峰山に登りました。風が強いことは覚悟していましたが、寒さ対策が不十分だったため五合目で引き返しました。
寒いうえ風に揺れる花を写すことは難しく、五合目で出会ったベテランの登山者も引き返すというので一緒に下山しました。その方は、今年14回目の早池峰山で岩手山にも2回登っているとのことでしたが、やはり寒さに耐えかねた様子でした。
風に悩まされながら撮影した花について次の図書で確認しながら紹介します。
①山渓ハンディ図鑑2山に咲く花(山と渓谷社)
②山渓ハンディ図鑑8高山に咲く花(山と渓谷社)
③早池峰連嶺の花(文化出版局)
④カラー高山植物(東京新聞出版局)
⑤岩手の高山植物百科(岩手日報社)
河原の坊登山口に5時30分頃到着した途端雨脚が強くなったため、車内で2時間ほど待っていたら雨は止み青空も見られるようになったので、7時38分に2km先の小田越登山口に向かって車道を歩き始めました。
路肩にはスミレの仲間、コミヤカタバミ、ヤマオダマキ、カニコウモリなどを見たことがありますが、この日咲いていたのはこれだけでした。
オオヤマフスマ
帰宅してから前に見た記憶がよみがえりパソコンの中から2019年7月3日に写した写真を見つけ、①で確認したら「山地の草原や道端などに生える多年草」とあり納得しました。
快調に歩くこと34分、難なく小田越登山口に到着。仮設トイレの数が例年より少ないと感じました。
ここでレインウエアを脱いで登山届を書くなどしていたら20分経過しました。
出発したのが8時31分で登山道には先ほどまで降っていた雨が流れていました。
一合目までの樹林帯では咲いている花を見かけることはなく、一合目の直前で少しだけ咲いていました。
ミヤマカラマツ
カラマツソウと似ていますが二枚目の写真で葉を確認できます。
マルバシモツケ
③によれば、ごく少ないながら葉の先端だけに鋸歯があるイワシモツケも生育しているとのことですが、見当たりませんでした。
コメツツジ
②に、山地~高山帯の岩場や岩隙に生える落葉低木。基準標本/岩手県の高山 とありました。
一合目からは荒々しい岩山の風景に圧倒されますが今日は雲で覆われています。
少し花が増えてきたので立ち止まる回数が増えました。
ミネウスユキソウ
②に、頭花に柄はないか、あってもごく短い。とありました。
綿毛をハヤチネウスユキソウと比べると、雪というよりは霜のような印象です。
ハヤチネウスユキソウ
咲いていたのはもっと上ですが比較のためにここで載せておきます。
ミネウスユキソウ
ミヤマハンショウヅル
②によれば、葉の違いによってミヤマハンショウヅル(2回3出複葉)コミヤマハンショウヅル(1回3出複葉)とありますがはっきりしません。
キンロバイ
③に、本山の植物の中で黄色の五弁花をつける低木は、キンロバイだけなので見分けは容易。とありました
イブキジャコウソウ
③に、乾燥した岩礫斜面でよく見かけるためか、「真夏の花」の印象が特に強い。とありましたが、この日の体感温度は「晩秋」でした。
ホソバツメクサ(別名コバノツメクサ)
②によれば、分布は北海道、本州(早池峰山、谷川山系、至仏山、中部地方)とあり、白馬岳で撮影した写真も載っていました。
カワラボウフウ
シラネニンジンと思いましたが、③に載っている南面下部で撮影のカワラボウの葉とよく似ていますし、シラネニンジンは山頂直下の御田植場と呼ばれる湿地帯で撮影されたものが載っていました。
ミヤマオダマキ
②に、分布/北海道、本州(早池峰山、蔵王、谷川岳、北・南アルプス、八ヶ岳、白山) 基準標本/礼文島、利尻島 とあります。礼文島では海抜10m(推定)ほどの民家の庭先に咲いておりました。
タカネサギソウ
五合目から一緒に下山したベテラン氏に、花の名を尋ねられましたが思い出すことが出来ませんでした。
②によれば、亜高山帯~高山帯の湿った草地に生え、高さ10~15cmとあるので間違いないと思います。③には高さ20~40cmのヤマサギソウも生育しているとありました。
キバナノコマノツメ
③に、本山には、黄色のスミレはこのキバナノコマノツメだけで、よく似たタカネスミレは分布していない。とありますしオオバキスミレも見たことがありません。
登ります
タカネシバスゲ
風に揺れるなか何とか写っていた一枚と③に載っている写真がよく似ていました。
②には載っておらず④には次のような記述がありました「カヤツリグサ科の中で高山種というと、先ずスゲ属の三種(ミヤマアケボノスゲ、ミヤマクロスゲ、イワスゲ)があげられる。むろんこの三種だけであるわけはなく、本州の中部以北と北海道の高山に産するキンスゲ、イトキンスゲ、キンチャクスゲ、タカネシバスゲなどがあり・・・・」
カトウハコベ
植物学者の牧野富太郎博士が早池峰山で発見し、同行した加藤泰秋子爵に因んで命名したものです。②には基準標本/早池峰山 分布/北海道(夕張山地、日高山脈、鵡川町)、本州(早池峰山、谷川岳、至仏山)とあり、それらは蛇紋岩地帯のようです。
ミヤマヤマブキショウマ
早池峰山の固有種で②によれば果実や果柄が上向きであること、小葉の先が尾状に伸びないことが、果実や果柄が下向きで小葉の先が細長く尖るヤマブキショウマとの相違点とのことです。
この写真の葉は先が尖っているようにも見えますが・・・・・
ナンブトラノオ
これも固有種でナンブは南部氏の旧領地の通称で、青森・岩手・秋田3県にまたがる。特に盛岡をいうそうで、「南部せんべい」「南部鉄瓶」「南部片富士」などで知られているかと思います。
イブキトラノオ比べて虎の尾に当たる部分が短いです。
ハヤチネウスユキソウ
早池峰を冠する固有種中の固有種で他のウスユキソウに比べて大きく、エーデルワイスとよく似ていると言われています。
ミヤマアズマギク
県内では早池峰山だけに咲く希少種ですが、五合目までの花は傷んだものが多くて残念でした。
10時30分に五合目に五合目にたどり着きましたが、この先も強風が吹いているので下山を決め30分ほど休みながら花を写しました。
チシマフウロ
②によれば、県内の分布は経塚山だけですが、見落とすはずがないほど咲いていました。
サマニヨモギ
咲き始めたばかりでこれからが期待されます。②によれば北海道以外の分布は県内だけで、他には八幡平茶臼岳、源太ヶ岳です。
ネバリノギラン
件のベテラン氏に教わって初めて撮影したもので、これまでは見過ごしていたと思います。
⑤には八幡平、岩手山など高山の草原で、普通に見られるとありました。
登る時写していなかった花は次のとおりです。
ナンブトウウチソウ
これも固有種で8月末に沢山咲いているのを見たことがありますが、これは相当気が早いです。
こんなふうに風で揺れるなか44枚写した中で何とか見られる一枚がこれです。
ナガバキタアザミ
③に「早池峰を代表する植物の一つで、北海道のほかには本州では本山のみに産し(鳥海山に変種オクキタアザミがある)、南面一体に多い。つぼみのときは黒っぽい総苞が特に目立つ」とあり、まさにその通りで淡紫色の筒状花が咲くのは8月~9月とのことで、今までに一度見ただけです。
11時38分に花を楽しみながらゆっくりと下山開始、河原の坊には13時38分に到着し15時前に無事帰宅したら気温が30℃近くありました。