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やむなしと国が止ませぬ黒い雨

2020-08-18 09:19:10 | 時事川柳

 広島市への原爆投下直後に降った放射性物質を含んだ「黒い雨」を巡り、国の援護対象区域外にいた原告84人全員(死亡者含む)を被爆者と認めた広島地裁判決について、被告の広島県、広島市、訴訟に参加する厚生労働省は12日、控訴しました。

 加藤厚労相は「十分な科学的知見に基づいたとは言えない判決」と控訴する方針を決め、官邸サイドも厚労省と歩調を合わせる形で早々に「控訴やむなし」の方針を決定しました。

 控訴理由について安倍首相は「累次の最高裁判決とも異なることから、上訴審の判決を仰ぐこととした」と説明していますが、世論の批判や支持率低迷への懸念もあり援護対象区域拡大を視野に検証を進める「次善の策」であると強調しました。

 原告側は「原告らが原爆の被害で健康を害したのは明らか。科学的知見を口実にした政治判断による控訴は、高齢化が進む黒い雨を浴びた人たちの思いを踏みにじるものだ」、「国は司法の判断に難癖を付けている。控訴は大変残念だが、勝訴に向かってまい進していきたい」、「私たちの命には限界がある。結論の先延ばしだ」と厳しく批判しております。

 広島県と広島市は国の意向に従う形での控訴に悔しさをにじませながらも、広島県知事は「非常に重い政治的意味がある。被爆者救済にかじを切った決断だと受け止めている」と語り、「法律論としては控訴せざるを得ない。少しでも早く被爆者の救済が実現できればよかったが、やむを得ない」との認識も示しました。

 法律論を超越して黒い雨は止ませようという、『政治判断』を期待する声が聞こえないのでしょうか。

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