やっぱり幸せ♪

日常の色んなこと、特に発達障害を持つ息子との素晴らしき日々を綴っていきたいと思います。

自閉スペクトラム症(ASD)

2016年09月12日 | ソーシャルスキルトレーニングとその他支援

先日、発達支援センターが主催する学習会に参加してきました。

「自閉スペクトラム症の理解~二次障害、薬物療法について」というテーマで、大阪府立精神医療センター、児童・精神科の間宮由真先生からお話を聴くことが出来ました。

 

息子は、広汎性発達障害と診断されるまでは、注意欠陥・多動による行動障害、アスペルガー症候群、自閉症、色々な名称で障害の可能性があると言われ、

「いったい、ほんまは何やねん?」

と、ちょっともやもやしていましたが、発達障害の歴史を教わり、すっきりしました。

 

この数十年の間に、発達障害の名称・定義・理解と対応などが大きく変化してきたようです。

色んな人が、それぞれの研究から自閉症の子どものことを発表してきました。

 

1960年代後半頃までは、いわゆる「冷蔵庫マザー」という後天的原因説が主流で、親の育て方が問題とされた時期があったそうです。

(息子が小さい頃、年配の方から、「親のしつけがなってない!」と言われてきたのは、若いときにこうした情報を得ているからなのかも。。。

 

1960年代終わりに、イギリスのマイケル・ラター医師により、自閉症は先天性の脳障害説が発表され大きな転換期を迎えます。

脳の発達に障害があって、その結果、脳の働きに歪みが起こり、様々な障害が見られる・・・という見解が現在でも主流になっています。

けれど、今でも、全てが解明されたわけではないのです。

 

個々に発表されてきた自閉症の研究ですが、1980年のDSM-Ⅲ(米国精神医学会が発行する精神疾患の分類と診断の手引書)によって、国際的診断基準として、「広汎性発達障害」が使われるようになりました

 

さらに、2013年のDSM-Ⅴによって、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、自閉症・・・これらは境界があいまいで連続するものとして、自閉スペクトラム症(Autistic Spectrum Disorder(s)、略称:ASDと呼ぶことになりました。(自閉症連続体・自閉症スペクトラムなどということもある)

このときに、自閉症の中核症状である、「社会性の障害」「コミュニケーションの障害」「想像力の障害(こだわり)」に加えて、「感覚の過敏性、もしくは鈍感性」が加えられるようになりました

 

感覚の過敏性に配慮しては、

慣れさせようとして無理強いしない。

不快なことを避けることを認める。

目の悪い人が眼鏡を使うように、サングラスや耳栓、イヤーマフなどの使用を認める。

等の対応が求められています。

 

あきらかに他の子とは違う感覚のせいで、息子の不安が大きくなったり、そのために問題行動が起こったりすることがあるので、こうした感覚に配慮した支援は絶対に必要だと思います。

この感覚的な問題が国際的診断基準に加えられ、大きく理解が進むようになったのは、本当につい最近なんだと、少し驚きました。

もしかすると、これから先も研究が進んで、名称や対応が変わったりすることがあるのかもしれません。

 

自閉スペクトラム症の特性から、著しい自尊心の低下によって二次障害を起こすことは多くあります。

環境を整えたり、勉強や生活面での配慮、自分の気持ちの落ち着かせ方を学んだりしてもなお、薬物療法が必要な場合があります。

薬は万能ではなく、メリットもデメリットもあり、その上で、今一番困っていることを緩和するために薬を使うのです。

いずれも、医師の処方通りに正しく服用しなければなりません。

 

質疑応答で、私の後ろに座っていた方が、小学2年生の息子さんがリスパダールを飲んで体重が増え続けていることを心配して、薬を変更した方が良いのかと質問されていました。

 

間宮先生は、

主治医と相談して、薬を減らすか、ロナセンなどの他の薬に変えることもありだと思うこと。

ただし、その分、効きが悪くなるかもしれないこと。

運動や食事によって体重をコントロールすることも必要だということ。

等を回答されていました。

 

私も息子のことを聞いてみました。

昨年、4年生になった息子が強迫性障害が認められるようになり、リスパダール1錠とレクサプロ半錠を飲んできたこと。

1年経って不安がなくなり、意欲も出てきて、この春、自らサッカークラブに入ったこと。

そこで、自信を喪失したのか、不安症状が強くなり、意欲も低下して、日常生活もままならなくなってきたこと。

サッカークラブを休部し、およそ1学期間不安の強い状態が続いたが、レクサプロの量を4分の3錠に増やしてから半月あまりで調子が良くなってきて、またサッカークラブに復帰したいと思っていること。

 

「薬のせいで息子の状態が良くなったと思えるのですが、復帰させてもだいじょうぶでしょうか?」と。

 

わずか1分程の説明を聞いただけで答えを出せる問題ではないのに、先生は真摯に答えてくださいました。

「主治医やクラブの人達との話し合いが必要だと思います。

状態が良くなったのは、決して薬のせいだけでなく、クラブをやめたという環境要因が大きいと思います。

息子さんの復帰したいという気持ちは尊重すべきだと思いますが、同じ状況では、当然難しいと思うので、どこまでの配慮が望めるのか相談していただいて、その上でチャレンジしてみる価値はあるとは思います。

やってみなければ分かりませんが、うまくいくかもしれませんし、息子さんの状態によっては、親がストップをかけることも必要になるかもしれません。」

 

復帰も、ありなんです。

また失敗しても、それは仕方がないことなのです。

やってみなければ分からないのですから・・・。

 

私の後ろの人も隣の人も、ここにいるたくさんの人達が、おそらく自閉スペクトラム症によるなんらかの悩みを抱えていて、話を聞きに来ているのでしょう。

誰もが、家族、あるいは教え子の、ありふれた日常のささやかな幸せを願っています。 

理解することによって、彼らを支えられる自分に変わっていくことを願っているのです。 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿