20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

新刊ご紹介

2013年08月15日 | Weblog

 慌ただしい日々をすごしていたら、新刊のご紹介がすっかり遅れてしまいました。

 ご恵贈いただいている新刊が17冊。(ほんとうに、ごめんなさい)

 机の上に積まれています。ほとんど拝読しておりますが、まだ未読のご本が2~3冊・・・。

 それにしても、出版不況といいますが、出版界は元気です。

 今日は6冊の新刊をご紹介いたします。

 

      

『レガッタ!2 風をおこす』(濱野京子作・一瀬ルカ絵・講談社)

『レガッタ!1 水をつかむ』で、埼玉県立美園女子高校の強豪ボート部に入部した、主人公の有里はこの第二巻では高校二年に・・。取材に裏打ちされた、ボート部の様子がリアリティをもって迫ってきます。

 A艇の<天狼>のメンバーに選ばれた有里は何事にもひたむきで、真っ直ぐです。そんな彼女はちょっとした不注意から左手を捻挫してしまいます。

 そういったアクシデントを交えながら、ボート部の仲間たちのすがたが生き生きと描写されています。

 このシリーズでの読み応えは、もちろん、「レガッタ」に向かう女子高校生たちのすがたです。

 けれど圧巻なのは、人間群像。

 作者のみつめる人間へのまなざし。深さが、余すところなく描写されていて、読む人の胸をゆさぶります。

 たとえば元部長だった沙智が、有里に語るシーンなども、人間を深く捉えようとする描写のひとつです。

「去年はちょっと癪に触ったよ。・・たぶんあたしだからわかったんだなって今は思う。あんたが内側に抱えていた、ぎらぎらした野心みたいなもの・・」

 こうした人間の心を奥深く捉まえて、それをきっちりと積み上げていく。

 これこそが、この作品の醍醐味です。

 

       

『まよなかのほいくえん』(いとうみく作・広瀬克也絵・WAVE出版)

 保育園のお泊まり会。

 小さな子どもたちにとっては、親と離れはじめて過ごす夜です。

 そんな夜は、奇妙な興奮と不安につつまれるものです。

 そしてお話は、寝る前にしてくれた先生のこわい物語へと。

 小さな子どもたちの気持ちに寄り添い、繰り広げられる夢か現かのこわ~い世界。

 絵本の、絵の力は、単にこわいお話から、ちょっぴり覗いてみたくなる楽しいおばけたちのお話へ・・。

 この絵本を読んでもらった子どもたちの、ドキドキワクワクが伝わってきそうです。   

          

『かあちゃん取扱説明書』

 今年度の日本児童文学者協会新人賞を受賞した、いとうみくさんの第二作目です。

 上の絵本に続き、絶好調です。

 いとうみくの筆には勢いがあります。

 とうちゃんも、かあちゃんも、ぼくも、マジックの太い線できっかり描いたような、重厚感があります。

 物語は、主人公のぼくが、いつも口うるさい母ちゃん攻略法をあれこれ考え出していくところからはじまります。

 けれどどんな攻略法も、簡単にできそうで思うようにいかない。

 主人公は、さらにあれこれとかあちゃん、対処法を練っていきます。

 ここには、子どものまさざしが、しっかりと描かれています。 

 そして大人の、大人としての論理も、しっかり描かれています。

  

       

『うんちしたの、だーれ?』(末吉暁子作・武田美穂絵・講談社)

 現在NHKのEテレで大人気放送中の「ざわざわ森のがんこちゃん」が、「新・ざわざわ森のがんこちゃん」シリーズとして低学年向けに、出版されました。

 きょうりゅうのがんこちゃんが学校へいこうとすると、そこにかたつむりのツムちゃんが・・・。

 うんちが出なくて困っているツムちゃんに、がんこちゃんはいいことを教えてあげます。

 とたんにツムちゃんは・・・。

 学校でうんちのできない子どもたち。 

 そんな子どもたちへ、お話を通して楽しくメッセージが伝わってきます。

 

          

『ぞくぞく村の魔法少女カルメラ』(末吉暁子作・垂石眞子絵・あかね書房)

 同じく末吉暁子さんの人気『ぞくぞく村のおばけ』シリーズの17巻目です。

 幼年の人気シリーズをふたつも、お持ちになっていらしゃるのですからすごいです。

 末吉さんは、魔法使いのコスチュームをつけて、全国の図書館や学校、そして被災地で、このシリーズと、『がんこちゃん』シリーズのペープサートや、講演をおやりになっています。

 どこへいっても大人気だそうです。

 たくさんの子どもたちに支持されているシリーズの、今回は、半分吸血鬼の少女カルメラのお話です。

 彼女はりっぱな吸血鬼になりたいと思っているのに、思うようにいきません。

 悩んでいる彼女の前にあらわれたのは、「ぞくぞく村」の魔女のオバタンです。

 さて、カルメラはどうなるでしょう。

 

           

『七月七日はまほうの夜』(石井睦美作・高橋和枝絵・講談社)

『おはなし12ヶ月』シリーズの7月のお話です。

 暑い夏です。

 2年1組のなかよし三人組、りえ、みな、ゆかは公園に集まって遊びはじめました。けれどあんまり暑いので、「すずしいところへいこうと」・・。

 三人が辿り着いたのは、はたおり神社。

 秋まつりにはおみこしや、縁日の並ぶ場所です。そこで三人は探検をはじめました。

 その探検の先に見たものは・・・。

 七夕にちなんだお話が、繰り広げられています。

 

 皆さま、どうぞこの6冊、お読みになってください。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« PLEATS PLEASE | トップ | パン »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (糸子)
2013-08-15 15:44:18
純子さま

毎日本当に暑いですね。
夏休みは少しはゆっくりされましたでしょうか?
わたしはどこにも出かけていないのですが、どこか
涼やかなものを・・と、大きめの鉢を購入して、
ベランダでメダカを飼い始めました。
すいすい泳いでいるメダカちゃんたちを見ていると、
癒やされます(笑)

それから!!!
「まよなかのほいくえん」「かあちゃん取扱説明書」をご紹介してくださいまして、ありがとうございました!!!
お忙しいのにこんなふうに取り上げてくださって、本当に感謝しています!うれしいです☆

これからもどうぞよろしくお願いいたします。
返信する
Unknown (加藤純子)
2013-08-15 19:08:16
糸子さん

ご紹介がすっかり遅れてしまい、申し訳ございませんでした。
ベランダでメダカを!!
ステキですね。
金魚と違って、メダカなら飼いやすいかも知れません。
メダカたちのいる空間だけ、きっと暑さを忘れる涼やかな空気が流れているのでしょうね。

どうぞこれからも、次々といいお仕事をなさってください☆
返信する

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事