20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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桜しべ降る

2020年04月08日 | Weblog

                

 この季節の、一番好きな季語です。

「桜しべ降る」

 桜が散り落ち、葉桜になり、赤い桜の萼が、落ちていく様子を言います。

 

 ソメイヨシノの、人々の目を奪う美しさ。

 それとは、裏腹に、この桜しべは、なんとなく切なさを伴っています。

 道が、赤く染まっていると、人々は、汚いものを見るように、通り過ぎていきます。

 

 私はソメイヨシノは三度、美しいと思います。

 一度目は、妖艶なくらい美しい、満開の桜。

 二度目は、桜吹雪で舞い落ちて、川辺にたゆとう、花筏(はないかだ)。

 そして、三度目が、この赤い桜しべ。

 

 三度も、楽しませてくれる桜は、ソメイヨシノだけです。

 だから奈良・吉野からやってきた、このソメイヨシノに、人々の心は奪われるのでしょう。

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