20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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『シャトルバスにのって』(飯田朋子著・新日本出版社刊)

2008年12月27日 | Weblog
 先日もご紹介した作家・飯田朋子さんのデビュー二作目です。
 
 デビュー作の『だんご鳥』で「障害は個性だ」と書いた飯田さんは、今回の『シャトルバスにのって』で、さらにその個性をきらきら輝かせ、本からはみ出してしまうくらい、きらきら、どきどき、わくわく、描き出しています。
 本を閉じてもなお、胸のこのへんで、子どもたちが飛び跳ねています。
 自分の貧弱な文章でどう書いたらいいか、言葉が見つかりません。
 どんなことを書いても、このぴちぴち、きらきら、生き抜いている子どもたちのパワーは、伝えきれないような気がします。
 障害をもっている姉の「るきちゃん」も、その妹の「咲記ちゃん」も、オーストラリア人のお母さんと日本人のお父さんのハーフの「カオリちゃん」も、マザコンの「真奈ちゃんも」、家出中の「恵子ちゃん」も、「たこ焼き屋のおじさん」も、迷子の「たっちゃん」も、みんなみんな、泣きたいくらいカッコいいです。

 飯田朋子という作家は、いったい何者なのでしょうか。思わずそんなことを思ってしまうくらい、子どもたちがすぐ目の前で、息をしていて、怒っていて、笑っていて、泣いている姿を鮮やかに描きだしています。見事なくらいに。
 ピクニックに出かけるだけの、たったそれだけの物語だというのに、子どもたちをこんなにも豊かに生き生きと描ききるなんて!
 風や川の水の冷たさや、子どもたちの歓声が、まだ耳もとに残っています。
 それもなんの気負いもなく、あたたかな目線でひょいと身軽に掴み取っているのです。
 いやはや、すごいです。

 皆さん、とにかく、お読みになってみてください。
コメント (6)
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