20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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毀誉褒貶(きよほうへん)

2008年08月05日 | Weblog
 留守中にたまってしまった新聞を整理していて見つけたのが、グッケンハイム美術館に関する記述です。
 カタツムリのような奇妙な形をしたこの美術館は、ニューヨークのセントラルパークの東側にあります。カンディンスキーのコレクションで有名な美術館です。
 ニューヨークの五番街をセントラルパークのところで折れて、公園に沿って歩いていくと、白い大きなカタツムリのような形の建物が見えてきます。 この美術館、外観も奇抜ですが、なかも実に奇抜です。
 なにしろらせん状のスロープをぐるぐるまわりながら全館を一周するという、きわめて斬新な作りになっているのですから。
 設計したのは、旧帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトです。 
 新聞によると、この美術館、建設当時はアーティストや美術館関係者には、おそろしく不評な建物だったそうです。
 自己顕示欲のはげしい建築家の妄想だとか、アートを侮辱するものだとか・・・。
 おまけに、こんなカタツムリのような形は、ニューヨークの美しい碁盤の町並みを無視したものだと。
 それでもライトはそんな批判にめげす信念を貫き通し、16年の歳月をかけ構想を巡らせたそうです。完成したのは彼の死の半年後。
 けれど、グッケンハイムはいまや、ニューヨークのシンボルです。

 アバンギャルドというのは、そういうものかもしれないと私は新聞記事を読みながら思いました。
 建築物ということでいったら、同じくセントラルパーク沿いにあるメトロポリタン美術館などより、はるかに強烈なインパクトを放つこのグッケンハイムを人びとが認めるまでに時間がかかったことをわかる気がします。
 
 それは文学にしてもしかりです。
「毀誉褒貶」(きよほうへん)。悪評や好評という意味です。
 いつか、グッケンハイム美術館のような、毀誉褒貶される作品を書いてみたいものです。
 ただしそれを書くのは生半可なことではありません。かなりのインパクトがないと、毀誉褒貶の俎上にさえ登れないことを、私たちはすでに充分承知しているのですから。
 
コメント
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