太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

国境の南

2019-02-07 08:53:32 | 海外経験ノンフィクション

ナットキン・コールの楽曲でもなければ、村上春樹の小説でもない。アメリカ・メキシコ国境である。トランプ大統領の一般教書演説が遅ればせながら行われた。遅れの原因はトランプ氏の公約でもあった国境の壁建設を巡り予算が認められなかったことに因を発する。上下院で民主、共和のねじれがあり、すんなりとは認められない。あおりで多くの政府機関が閉鎖という事態まで起こった。一旦は矛を収めた形の大統領だがまだ諦めてはいない。是非は別としてあくまで公約を実現しようとしているトランプ大統領の執念は何処かの国の政治家にも見習って欲しいところもある。

ねじれについては暫く前まで日本でも衆参のねじれのマイナス部分ばかり強調され決められない政治とか揶揄された。煽ったのはマスコミである。逆手にとって決められる政治を標榜したのは現政権である。果たしてねじれは負の側面ばかりだろうか。アメリカがトランプ一色になってアメリカ第一を言い出したら何が起こるだろうか。決めようと思えば何でも決められるのである。政治に緊張を齎すのは適度なねじれか、政権交代可能な2大政党の存在である。

それにしてもアメリカ・メキシコ国境の壁建設は不思議なアイデアである。不法移民はどのような理由であれ不法であり阻止することは当然であろう。その方策が莫大な費用を伴う壁建設と言うのはアメリカらしからぬ。国境の壁と言えば今から2500年前くらいに建設された万里の長城(The Great Wall)とかって冷戦時代東西ドイツを分かつベルリンの壁だろう。アメリカの壁建設は現地でどのような呼称であるかは知らないがGreat Wallとは言えないからTrump Towerの次のTrump Wallとか言っているのだろうか。そうなら次は柱(Trump Column)を立てるだろう。

それにしても大統領が演説の時に見せる、したり顔、ドヤ顔は如何にもアメリカ人らしく微笑ましい。壁の効果について疑問がある。ベルリンの壁のように短ければ隈なく警備兵を配置して監視もできるだろうが万里の長城よりは短くとも人件費は壁建設以上かかるだろう。そうすると実際の効能より不法移民阻止のシンボリックな建造物となるのだろうか。シンボルなら壮大過ぎるように思うが。2500年前の知恵と技術から進歩が無さ過ぎる。

国境にセンサーを張りめぐらせ、遠隔監視、場合によっては衛星を使って事あれば警備兵が出動するので十分ではないかと思う。アメリカならではの最先端技術を駆使してできるだろう。その国境警備技術は後に輸出も行える。陸続きに国境を有する国では必ずニーズがある。それを兵器と言う人はあまり居ないだろう。その時は日本には売り込めないことは覚えておいて欲しい。国境の南は果てしない太平洋。